群PSL(2,7)について
群PSL(2,7)についてII
群PSL(2,7)についてIII
にPSL(2,7)について群の表示とその共役類まで詳しく観察しました.
今日はこの群を使ってもの(8点)を動かしてみようと思います.
群は何かを動かして、一人前になるのです.
有限体上の世界
有限体とは、有限個の数 $\{0,1,2,\cdots,p-1\}$ からなる数字で、
足し算、掛け算に関して、その数を足して、もしくは掛け、
その答えに $p$ の倍数を足すことで、再び $\{0,1,\cdots,p-1\}$ の数とする.
このようにして和積を作ってやると、この $p$ 個の元からなる数字に
算術を展開することができます.
また、$p$ を素数とすることで、$0$ 以外の数で割り算を行うこともできるように
なります.
$0$ 以外の元で割り算もできる、和積の入った集合を体というのでした.
(本当は、分配法則や可換性などもろもろの性質を満たす必要があります...)
このような体を有限体といいます.
群PSL(2,7)についてII
群PSL(2,7)についてIII
にPSL(2,7)について群の表示とその共役類まで詳しく観察しました.
今日はこの群を使ってもの(8点)を動かしてみようと思います.
群は何かを動かして、一人前になるのです.
有限体とは、有限個の数 $\{0,1,2,\cdots,p-1\}$ からなる数字で、
足し算、掛け算に関して、その数を足して、もしくは掛け、
その答えに $p$ の倍数を足すことで、再び $\{0,1,\cdots,p-1\}$ の数とする.
このようにして和積を作ってやると、この $p$ 個の元からなる数字に
算術を展開することができます.
また、$p$ を素数とすることで、$0$ 以外の数で割り算を行うこともできるように
なります.
$0$ 以外の元で割り算もできる、和積の入った集合を体というのでした.
(本当は、分配法則や可換性などもろもろの性質を満たす必要があります...)
このような体を有限体といいます.
${\Bbb F}_7^2$ 平面上の直線
線形代数でやったように、有限体 ${\Bbb F}_7$ をスカラーとする有限体上の数ベクトル平面
${\Bbb F}_7^2$ を考えます.つまり、
$${\Bbb F}_7^2=\{(x,y)|x,y\in {\Bbb F}_7\}$$
となる集合です.平面といっても、有限個(49個)しか点がありません.
しかし、${\Bbb F}_7$ をスカラーとするベクトル空間であり、
${\Bbb C}^2$ や ${\Bbb R}^2$ と同じように、線形代数でやるベクトル空間の公理を
満たしています.
この ${\mathbb F}^2_7$ の 1次元部分空間は直線を意味しますが、これも有限集合です.
${\Bbb C}^2$ や ${\Bbb R}^2$ では1次元の部分空間は無数にありましたが、
${\Bbb F}_7^2$ の世界では、有限個しかありません.
書き出してみると、
$L_0=\{(0,0),(1,0),(2,0),(3,0),(4,0),(5,0),(6,0)\}$
$L_1=\{(0,0),(1,1),(2,2),(3,3),(4,4),(5,5),(6,6)\}$
任意の直線は ${\Bbb F}_7$ と線形同型ですので、一つの直線の中には7つの点が
含まれていることになります.
2つの異なる直線は原点でのみ共有点をもつので、
49-1を 原点以外の6点で割ればよいので、$49-1=6\cdot 8$ という計算から、
8本あるということになるのです.
${\Bbb F}_p^2$ の中には、原点を通る直線は、
$p^2-1=(p-1)(p+1)$ ですから、 $p+1$ 本あることになります.
文脈は異なりますが、このような算数の計算は、ここでやっていました.
つぎに、${\Bbb F}_7^2$ 上の線形写像を考えます.
$A=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}$ とすると、
$\begin{pmatrix}x,y\end{pmatrix}\in {\Bbb F}^2$ に対して、
$$A\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}$$
として行列を考えます.
係数は全て ${\Bbb F}_7$ です.
${\Bbb F}_7^2$ の線形写像の中で、行列式が $1$ なるもの全体を
$$SL(2,7)=\left\{\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}|ad-bc=1,a,b,c,d\in {\Bbb F}_7\right\}$$
とします.
集合は有限群です.
さらに、$\begin{pmatrix}6&0\\0&6\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}-1&0\\0&-1\end{pmatrix}$ なるスカラー行列は、$SL(2,7)$ の中で、
群をなし、${\Bbb Z}/2{\Bbb Z}$ と同型です.この ${\Bbb Z}/2{\Bbb Z}$ と同型な
群で割ったものを $PSL(2,7)$ と書きます.
線形写像によって直線全体がどう移るか
この位数168の群を使って先ほどの $P^1(7)$ (8点)を動かします(作用します).
$PSL(2,7)$ の生成元は、
$$S=\begin{pmatrix}1&1\\0&1\end{pmatrix},T=\begin{pmatrix}0&-1\\1&0\end{pmatrix}$$
となり、
$\varphi(T)=\begin{pmatrix}0&1&2&3&4&5&6&\infty\\\infty&6&3&2&5&4&1&0\end{pmatrix}=(0,\infty)(1,6)(2,3)(4,5)$ となります.
となります.
この書き方でわかるように、$\varphi$ の像は全て、$S_8$ の偶置換の部分群
に入っていることもわかります.
偶置換とは、 $S_8$ の中で、偶数個の置換によって書かれているものです.
これらは自然に $S_8$ の部分群になり、普通 $A_8$ などとかかれ、交代群といいます.
$A_8\subset S_8$ は指数2の部分群で、位数は、$S_8$ の半分になります.
よって、
$$PSL(2,7)\hookrightarrow A_8$$
がいえました.
ちなみに、$A_8$ も単純群ですので、この部分群は、正規ではありません.
実際、PSL(2,7) はもう少し小さく7点を(忠実に)動かすことができます.
つまり、$PSL(2,7)\hookrightarrow S_7$ となります.
ある既約な7次方程式の解を使います.
忠実というのは、$PSL(2,7)\to S_n$ に、単射準同型が構成できるということです.
共役類が分解すること
ここで、前回 $PSL(2,7)$ の共役類を考えたとき、$[1],[6]$ は PSL(2,7) で共役であり、
確かに、$S_8$ で表示したときも、同じ共役類にいることがわかります.
(disjointな)巡回置換の積の書き方 $(\cdot,\cdot,\cdot)(\cdot,\cdot,\cdot)$ が一致していることからわかります.
一方、$[2],[5]$ は PSL(2,7) では共役ではありませんでした.(群PSL(2,7)についてIII)
しかし、$S_8$ にしてしまうと、共役になっています.
対称群 $S_8$ の中では位数7の元は巡回置換1つの形で書け、全て共役だからです.
これは、部分群 $\varphi(PSL(2,7))\subset S_8$ の中で共役であることと、
入っている大きな群において共役ということが、異なるということを意味しています
一般に、ある群における共役類 $C$ を、部分群の中で制限して共役類を
考えると、$C$ がいくつかの小さな共役類に分解します.
線形代数でやったように、有限体 ${\Bbb F}_7$ をスカラーとする有限体上の数ベクトル平面
${\Bbb F}_7^2$ を考えます.つまり、
$${\Bbb F}_7^2=\{(x,y)|x,y\in {\Bbb F}_7\}$$
となる集合です.平面といっても、有限個(49個)しか点がありません.
しかし、${\Bbb F}_7$ をスカラーとするベクトル空間であり、
${\Bbb C}^2$ や ${\Bbb R}^2$ と同じように、線形代数でやるベクトル空間の公理を
満たしています.
この ${\mathbb F}^2_7$ の 1次元部分空間は直線を意味しますが、これも有限集合です.
${\Bbb C}^2$ や ${\Bbb R}^2$ では1次元の部分空間は無数にありましたが、
${\Bbb F}_7^2$ の世界では、有限個しかありません.
書き出してみると、
$L_0=\{(0,0),(1,0),(2,0),(3,0),(4,0),(5,0),(6,0)\}$
$L_1=\{(0,0),(1,1),(2,2),(3,3),(4,4),(5,5),(6,6)\}$
$L_2=\{(0,0),(1,2),(2,4),(3,6),(4,1),(5,3),(6,5)\}$
$L_3=\{(0,0),(1,3),(2,6),(3,2),(4,5),(5,1),(6,4)\}$
$L_4=\{(0,0),(1,4),(2,1),(3,5),(4,2),(5,6),(6,3)\}$
$L_5=\{(0,0),(1,5),(2,3),(3,1),(4,6),(5,4),(6,2)\}$
$L_6=\{(0,0),(1,6),(2,5),(3,4),(4,3),(5,2),(6,1)\}$
$L_{\infty}=\{(0,0),(0,1),(0,2),(0,3),(0,4),(0,5),(0,6)\}$
の8本あり、これで全部です.
8本しかないということは以下のようにしてわかります.
原点を通る直線は、原点とそれ以外の点を一つ決め、それを直線で結ぶことで
ただ一つ決まります
の8本あり、これで全部です.
8本しかないということは以下のようにしてわかります.
原点を通る直線は、原点とそれ以外の点を一つ決め、それを直線で結ぶことで
ただ一つ決まります
任意の直線は ${\Bbb F}_7$ と線形同型ですので、一つの直線の中には7つの点が
含まれていることになります.
2つの異なる直線は原点でのみ共有点をもつので、
49-1を 原点以外の6点で割ればよいので、$49-1=6\cdot 8$ という計算から、
8本あるということになるのです.
${\Bbb F}_p^2$ の中には、原点を通る直線は、
$p^2-1=(p-1)(p+1)$ ですから、 $p+1$ 本あることになります.
文脈は異なりますが、このような算数の計算は、ここでやっていました.
このような直線全体のことを、$P^1(p)$ と書くことにします.今示したように、
$P^1(7)=\{L_0,L_1,L_2,L_3,L_4,L_5,L_6,L_\infty\}$
となります.これが今日動かしたい8点です.
平面 ${\Bbb F}_7^2$ 上の線形写像
平面 ${\Bbb F}_7^2$ 上の線形写像
つぎに、${\Bbb F}_7^2$ 上の線形写像を考えます.
$A=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}$ とすると、
$\begin{pmatrix}x,y\end{pmatrix}\in {\Bbb F}^2$ に対して、
$$A\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}$$
として行列を考えます.
係数は全て ${\Bbb F}_7$ です.
${\Bbb F}_7^2$ の線形写像の中で、行列式が $1$ なるもの全体を
$$SL(2,7)=\left\{\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}|ad-bc=1,a,b,c,d\in {\Bbb F}_7\right\}$$
とします.
集合は有限群です.
さらに、$\begin{pmatrix}6&0\\0&6\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}-1&0\\0&-1\end{pmatrix}$ なるスカラー行列は、$SL(2,7)$ の中で、
群をなし、${\Bbb Z}/2{\Bbb Z}$ と同型です.この ${\Bbb Z}/2{\Bbb Z}$ と同型な
群で割ったものを $PSL(2,7)$ と書きます.
線形写像によって直線全体がどう移るか
この位数168の群を使って先ほどの $P^1(7)$ (8点)を動かします(作用します).
$PSL(2,7)$ の生成元は、
$$S=\begin{pmatrix}1&1\\0&1\end{pmatrix},T=\begin{pmatrix}0&-1\\1&0\end{pmatrix}$$
で、$PSL(2,7)$ の中では、$S^7=E$、$T^2=E$、$(TS)^3=I$ が成り立ちました.
$PSL(2,7)$ が8点集合を動かすので、
$$\varphi:PSL(2,7)\to S_8$$
という写像によって、自然と、PSL(2,7) は対称群 $S_8$ の部分集合とみなすことができます.
対称群 $S_n$ というのは、$n$ 点を置換する群で、以前のブログ(←がリンクになっています
)
にもかいたことがあります.
対称群の書き方についてはそちらを参照してください.
話を戻すと、この写像 $\varphi$ は準同型写像です.
つまり、$\varphi(xy)=\varphi(x)\varphi(y)$ を満たす写像です.
さらに、単射にもなっています.
つまり、PSL(2,7)は $S_8$ の中の部分群ということになります.
$S_8$ の群の位数は40320で、PSL(2,7)は168ですので、PSL(2,7)は $S_8$ の中で
大分と小さい部分群だということになります.
$\varphi$ が単射であること
$\varphi$ が単射であることは、すぐにわかります.
8本全ての直線を動かさなうような $PSL(2,7)$ を求めればよいわけですから、
とくに、 $L_0$ と $L_\infty$ を動かしません.
これらを動かさないような $PSL(2,7)$ は、行列の成分を見れば分かるとおり、
対角行列しかありません.$PSL(2,7)$ 上の対角行列は、
$e=\begin{pmatrix}1&0\\0&1\end{pmatrix}$ か $\begin{pmatrix}2&0\\0&4\end{pmatrix}$ か $\begin{pmatrix}3&0\\0&5\end{pmatrix}$
の3つですが、$L_1$ も動かさないとなると、単位元 $e$ しかありません.
他は、$(1,1)$ を $(3,5)$ や $(2,4)$ に写し、$L_1$ 上の点 $(i,i)$ に戻ってきません.
よって、$\text{Ker}(\varphi)$ が単位元のみからなるので、$\varphi$ は単射であることが
わかりました.
いよいよPSL(2,7) を使って8点を動かしてみる
行列を使って、実際に、$L_0,L_1,\cdots,L_{\infty}\in P^1(7)$ を動かしてみましょう.
$$\varphi:PSL(2,7)\to S_8$$
という写像によって、自然と、PSL(2,7) は対称群 $S_8$ の部分集合とみなすことができます.
対称群 $S_n$ というのは、$n$ 点を置換する群で、以前のブログ(←がリンクになっています
)
にもかいたことがあります.
対称群の書き方についてはそちらを参照してください.
話を戻すと、この写像 $\varphi$ は準同型写像です.
つまり、$\varphi(xy)=\varphi(x)\varphi(y)$ を満たす写像です.
さらに、単射にもなっています.
つまり、PSL(2,7)は $S_8$ の中の部分群ということになります.
$S_8$ の群の位数は40320で、PSL(2,7)は168ですので、PSL(2,7)は $S_8$ の中で
大分と小さい部分群だということになります.
$\varphi$ が単射であること
$\varphi$ が単射であることは、すぐにわかります.
8本全ての直線を動かさなうような $PSL(2,7)$ を求めればよいわけですから、
とくに、 $L_0$ と $L_\infty$ を動かしません.
これらを動かさないような $PSL(2,7)$ は、行列の成分を見れば分かるとおり、
対角行列しかありません.$PSL(2,7)$ 上の対角行列は、
$e=\begin{pmatrix}1&0\\0&1\end{pmatrix}$ か $\begin{pmatrix}2&0\\0&4\end{pmatrix}$ か $\begin{pmatrix}3&0\\0&5\end{pmatrix}$
の3つですが、$L_1$ も動かさないとなると、単位元 $e$ しかありません.
他は、$(1,1)$ を $(3,5)$ や $(2,4)$ に写し、$L_1$ 上の点 $(i,i)$ に戻ってきません.
よって、$\text{Ker}(\varphi)$ が単位元のみからなるので、$\varphi$ は単射であることが
わかりました.
いよいよPSL(2,7) を使って8点を動かしてみる
行列を使って、実際に、$L_0,L_1,\cdots,L_{\infty}\in P^1(7)$ を動かしてみましょう.
$L_i$ は $(1,i)$ を通る直線、$L_\infty$ は $(0,1)$ を通る直線だから、
$$S\begin{pmatrix}1\\i\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}i+1\\i\end{pmatrix}$$
$$S\begin{pmatrix}0\\1\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}1\\1\end{pmatrix}$$
$$T\begin{pmatrix}1\\i\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}-i\\1\end{pmatrix}$$
となり、
$$S(L_0)=L_0,S(L_1)=L_4,S(L_2)=L_3,S(L_3)=L_6,S(L_4)=L_5,S(L_5)=L_2,S(L_6)=L_\infty,S(L_\infty)=L_1$$
つまり、$\varphi(S)=\begin{pmatrix}0&1&2&3&4&5&6&\infty\\0&4&3&6&5&2&\infty&1\end{pmatrix}=(1,4,5,2,3,6,\infty)$となり、
$$T(L_0)=L_\infty,T(L_1)=L_6,T(L_2)=L_3,T(L_3)=L_2,T(L_4)=L_5,T(L_5)=L_4,T(L_6)=L_1,T(L_\infty)=L_0$$
つまり、$\varphi(T)=\begin{pmatrix}0&1&2&3&4&5&6&\infty\\\infty&6&3&2&5&4&1&0\end{pmatrix}=(0,\infty)(1,6)(2,3)(4,5)$ となります.
群PSL(2,7) についての群の表示の仕方 $[a_n,a_{n-1},\cdots,a_1]$ を使って $[a_1]=TS^{a_1}$
を動かすと、以下のようになります.
$\varphi([0])=\begin{pmatrix}0&1&2&3&4&5&6&\infty\\\infty&6&3&2&5&4&1&0\end{pmatrix}=(0,\infty)(1,6)(2,3)(4,5)$ 位数2
$\varphi([1])=\begin{pmatrix}0&1&2&3&4&5&6&\infty\\\infty&5&2&1&4&3&0&6\end{pmatrix}=(0,\infty,6)(1,5,3)$ 位数3
$\varphi([2])=\begin{pmatrix}0&1&2&3&4&5&6&\infty\\\infty&4&1&0&3&2&6&5\end{pmatrix}=(0,\infty,5,2,1,4,3)$ 位数7
$\varphi([3])=\begin{pmatrix}0&1&2&3&4&5&6&\infty\\\infty&3&0&6&2&1&5&4\end{pmatrix}=(0,\infty,4,2)(1,3,6,5)$ 位数4
$\varphi([4])=\begin{pmatrix}0&1&2&3&4&5&6&\infty\\\infty&2&6&5&1&0&4&3\end{pmatrix}=(0,\infty,3,5)(1,2,6,4)$ 位数4
$\varphi([5])=\begin{pmatrix}0&1&2&3&4&5&6&\infty\\\infty&1&5&4&0&6&3&2\end{pmatrix}=(0,\infty,2,5,6,3,4)$ 位数7
$\varphi([6])=\begin{pmatrix}0&1&2&3&4&5&6&\infty\\\infty&0&4&3&6&5&2&1\end{pmatrix}=(0,\infty,1)(2,4,6)$ 位数3
を動かすと、以下のようになります.
$\varphi([0])=\begin{pmatrix}0&1&2&3&4&5&6&\infty\\\infty&6&3&2&5&4&1&0\end{pmatrix}=(0,\infty)(1,6)(2,3)(4,5)$ 位数2
$\varphi([1])=\begin{pmatrix}0&1&2&3&4&5&6&\infty\\\infty&5&2&1&4&3&0&6\end{pmatrix}=(0,\infty,6)(1,5,3)$ 位数3
$\varphi([2])=\begin{pmatrix}0&1&2&3&4&5&6&\infty\\\infty&4&1&0&3&2&6&5\end{pmatrix}=(0,\infty,5,2,1,4,3)$ 位数7
$\varphi([3])=\begin{pmatrix}0&1&2&3&4&5&6&\infty\\\infty&3&0&6&2&1&5&4\end{pmatrix}=(0,\infty,4,2)(1,3,6,5)$ 位数4
$\varphi([4])=\begin{pmatrix}0&1&2&3&4&5&6&\infty\\\infty&2&6&5&1&0&4&3\end{pmatrix}=(0,\infty,3,5)(1,2,6,4)$ 位数4
$\varphi([5])=\begin{pmatrix}0&1&2&3&4&5&6&\infty\\\infty&1&5&4&0&6&3&2\end{pmatrix}=(0,\infty,2,5,6,3,4)$ 位数7
$\varphi([6])=\begin{pmatrix}0&1&2&3&4&5&6&\infty\\\infty&0&4&3&6&5&2&1\end{pmatrix}=(0,\infty,1)(2,4,6)$ 位数3
となります.
この書き方でわかるように、$\varphi$ の像は全て、$S_8$ の偶置換の部分群
に入っていることもわかります.
偶置換とは、 $S_8$ の中で、偶数個の置換によって書かれているものです.
これらは自然に $S_8$ の部分群になり、普通 $A_8$ などとかかれ、交代群といいます.
$A_8\subset S_8$ は指数2の部分群で、位数は、$S_8$ の半分になります.
よって、
$$PSL(2,7)\hookrightarrow A_8$$
がいえました.
ちなみに、$A_8$ も単純群ですので、この部分群は、正規ではありません.
実際、PSL(2,7) はもう少し小さく7点を(忠実に)動かすことができます.
つまり、$PSL(2,7)\hookrightarrow S_7$ となります.
ある既約な7次方程式の解を使います.
忠実というのは、$PSL(2,7)\to S_n$ に、単射準同型が構成できるということです.
共役類が分解すること
ここで、前回 $PSL(2,7)$ の共役類を考えたとき、$[1],[6]$ は PSL(2,7) で共役であり、
確かに、$S_8$ で表示したときも、同じ共役類にいることがわかります.
(disjointな)巡回置換の積の書き方 $(\cdot,\cdot,\cdot)(\cdot,\cdot,\cdot)$ が一致していることからわかります.
一方、$[2],[5]$ は PSL(2,7) では共役ではありませんでした.(群PSL(2,7)についてIII)
しかし、$S_8$ にしてしまうと、共役になっています.
対称群 $S_8$ の中では位数7の元は巡回置換1つの形で書け、全て共役だからです.
これは、部分群 $\varphi(PSL(2,7))\subset S_8$ の中で共役であることと、
入っている大きな群において共役ということが、異なるということを意味しています
一般に、ある群における共役類 $C$ を、部分群の中で制限して共役類を
考えると、$C$ がいくつかの小さな共役類に分解します.
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