[場所1E103(水曜日4限)]
HPに行く.
今日は、
表現行列
線形写像 f:V\to W の表現行列とは、V と W の基底 \{{\bf v}_1,\cdots,{\bf v}_n\}
\{{\bf w}_1,\cdots,{\bf w}_n\} を両方用意したときに、f({\bf v}_j) を基底で一次結合表示します.このとき、
f({\bf v}_j)=\sum_{i=1}^ma_{ij}{\bf w}_i
となったときにできる行列 A=(a_{ij}) を f のこれらの基底に関する表現行列といいます.
例えば、f=\partial+x:{\mathbb C}[x]_2\to {\mathbb C}[x]_3
の表現行列を計算します.
\partial は多項式を微分する写像で、x はx をかける写像とします.
基底を \{1,x,x^2\} \{1,x,x^2,x^3\} とし、基底の行き先を計算すると、
f(1)=x,f(x)=1+x^2, f(x^2)=2x+x^3
このベクトルを、基底 \{1,x,x^2,x^3\} の基底でかくと、
(f(1),f(x),f(x^2))=(1,x,x^2,x^3)\begin{pmatrix}0&1&0\\1&0&2\\0&1&0\\0&0&1\end{pmatrix}
よって、f(a+bx+cx^2) の行き先を 1,x,x^2,x^3 で書いたときの成分表示は
\begin{pmatrix}0&1&0\\1&0&2\\0&1&0\\0&0&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}a\\b\\c\end{pmatrix}
となります.
線形性があるので、a+bx+cx^2 の像が何であるかは計算を再びしなくても、
b+(a+2c)x+bx^2+cx^3 とすぐにわかります.
基底の変換による表現行列の変化
({\bf v}_1',\cdots,{\bf v}_n')=({\bf v}_1,\cdots,{\bf v}_n)P
({\bf w}_1',\cdots,{\bf w}_m')=({\bf w}_1,\cdots,{\bf w}_m)Q
と、基底を変換したとき、
\{{\bf v}_1,\cdots,{\bf v}_n\}, \{{\bf w}_1,\cdots,{\bf w}_m\}
による表現行列を A とすると、
\{{\bf v}_1',\cdots,{\bf v}_n'\}, \{{\bf w}_1',\cdots,{\bf w}_m'\}
による表現行列は、Q^{-1}AP となります.
今回の宿題は、
2\times 2 行列 A の多項式が作る線形空間です.
なので、V の基底は E,A,A^2,A^3,... が基底となります、
A にはケイリーハミルトンの定理がありますので、 E,A,A^2,.... には
関係式があります.
商空間
商空間については、このブログ上でいくつか書きました.
ベクトル空間の商空間
ベクトル空間の準同型定理
商空間 V/W の書き方として、[{\bf v}] もしくは、{\bf v}+W と2種類あります.
授業では、[{\bf v}] の書き方に統一しました.
V={\mathbb C}[x]_2 とし、
W=\langle 1+x+x^2\rangle とします.
そのとき、V/W の基底として、[1],[x] が取れることを示します.
一次独立性
商空間の和、スカラー倍の定義から、
c[1]+d[x]=[c+dx]=[0]
とすると、c+dx=e(1+x+x^2) となるスカラー e が存在します.
よって、両辺を比べて e=0, c=d=0 となり、[1],[x] 、が一次独立であることがわかる.
任意の V/W の元がこの2つの元の一次結合で書けるかどうか
任意の V/W の元は [c+dx+ex^2] とかけます.
c+dx+ex^2=(c-e)+(d-e)x+e(1+x+x^2)
よって、
[c+dx+ex^2]=[(c-e)+(d-e)x+e(1+x+x^2)]=[(c-e)+(d-e)x]=(c-e)[1]+(d-e)[x]
となり、全ての V/W の元は一次結合でかけました.
よって、[1],[x] は V/W の基底ということが分かりました.
同じことを {\bf v}+W の書き方で書けば、
一次独立性
c(1+W)+d(x+W)=(c+dx)+W となり、この元が V/W の元として {\bf 0} であるとき、
(c+dx)+W=W が成り立つ.
これは、c+dx\in W であることを意味しており、
c+dx=e(1+x+x^2) となるような e となる {\mathbb C} が存在する.
よって、係数を比べて、c=d=0 となる.
任意の V/W の元がこの2つの元の一次結合で書けるかどうか
V/W の任意の元は、a+bx+cx^2+W とかけ、
c(1+x+x^2)\in W であるので、
(a+bx+cx^2)+W=(a+bx+cx^2-c(1+x+x^2))+W=a-c+(b-c)x+W=((a-c)+W)+((b-c)x+W)=(a-c)(1+W)+(b-c)(x+W)
が成り立つ.
よって、任意の V/W の元は、 1+W と x+W の一次結合でかけました.
このような計算は、高校数学のときもたしかにありました.
例えば、
\alpha を x^2+x+1=0 の解とするとき、
(1) \alpha^3 を \alpha の式で求めなさい
(2) \alpha+1 を計算しないさい
(3) \alpha^{100} を計算しなさい.
などの問題があったと思いますが、今では、この問題は、V={\mathbb C}[x] において、
W=\{(1+x+x^2)f(x)\in V|f(x)\in {\mathbb C}[x]\}
による部分空間の商空間 V/W を考えます.
このとき、x^n\in V を W の部分空間で代表元で取り替えてその指数を小さくして、V/W の基底である 1,x の一次結合で書くということになります.
商空間では
一応コメントしておくと、商空間では、代表の元のとりかたによって、
ゼロベクトルの表示の仕方が変わることがあります.
例えば、V={\mathbb C}[x]_2 のとき、 W=\langle 1-x^2,x+x^2\rangle
としておき、V/W とすると、W の元は全て V/W のゼロベクトルを表しますから、
[1-x^2]=[0] や [x+x^2]=[0] も成り立ちますが、これらを足した元も [1+x]=0 となります.
一般に、[a+bx-(a-b)x^2] も全て V/W においてゼロベクトルになります.
よって、1+x-x^2 と 2x は、{\mathbb C}[x]_2 においては線形独立ですが、
V/W においては、[1+x-x^2]=[x]=\frac{1}{2}[2x] となり、線形従属となります.
、
宿題(C-9-2)の問題について
W の元をあるベクトルで生成する形に直しておきます.
補空間の基底をとります.補空間の基底の取り方は、線形代数II演習(第5回)でやりました.
その基底 {\bf v}_1,{\bf v}_2 が V/W において [{\bf v}_1],[{\bf v}_2] が基底となることを示してください.
また、\dim(V/W)=\dim(V)-\dim(W) なる次元公式もありますので、
任意の元が、いくつかのべくトルの線形結合で書けるかどうかについての議論は
サボれることがあります。
上の例でいえば、[1],[x] が線形独立であることがわかれば、
2=\dim(\langle[1],[x]\rangle)\le \dim(V/W)=\dim(V)-\dim(W)=3-1=2
となり、部分空間の次元が全体の次元と一致するので、\langle[1],[x]\rangle=V/W となります.
これは、V/W の任意の元が [1],[x] の一結合で書けることがわかります.
HPに行く.
今日は、
- 表現行列の続きと、
- 商空間
表現行列
線形写像 f:V\to W の表現行列とは、V と W の基底 \{{\bf v}_1,\cdots,{\bf v}_n\}
\{{\bf w}_1,\cdots,{\bf w}_n\} を両方用意したときに、f({\bf v}_j) を基底で一次結合表示します.このとき、
f({\bf v}_j)=\sum_{i=1}^ma_{ij}{\bf w}_i
となったときにできる行列 A=(a_{ij}) を f のこれらの基底に関する表現行列といいます.
例えば、f=\partial+x:{\mathbb C}[x]_2\to {\mathbb C}[x]_3
の表現行列を計算します.
\partial は多項式を微分する写像で、x はx をかける写像とします.
基底を \{1,x,x^2\} \{1,x,x^2,x^3\} とし、基底の行き先を計算すると、
f(1)=x,f(x)=1+x^2, f(x^2)=2x+x^3
このベクトルを、基底 \{1,x,x^2,x^3\} の基底でかくと、
(f(1),f(x),f(x^2))=(1,x,x^2,x^3)\begin{pmatrix}0&1&0\\1&0&2\\0&1&0\\0&0&1\end{pmatrix}
よって、f(a+bx+cx^2) の行き先を 1,x,x^2,x^3 で書いたときの成分表示は
\begin{pmatrix}0&1&0\\1&0&2\\0&1&0\\0&0&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}a\\b\\c\end{pmatrix}
となります.
線形性があるので、a+bx+cx^2 の像が何であるかは計算を再びしなくても、
b+(a+2c)x+bx^2+cx^3 とすぐにわかります.
基底の変換による表現行列の変化
({\bf v}_1',\cdots,{\bf v}_n')=({\bf v}_1,\cdots,{\bf v}_n)P
({\bf w}_1',\cdots,{\bf w}_m')=({\bf w}_1,\cdots,{\bf w}_m)Q
と、基底を変換したとき、
\{{\bf v}_1,\cdots,{\bf v}_n\}, \{{\bf w}_1,\cdots,{\bf w}_m\}
による表現行列を A とすると、
\{{\bf v}_1',\cdots,{\bf v}_n'\}, \{{\bf w}_1',\cdots,{\bf w}_m'\}
による表現行列は、Q^{-1}AP となります.
今回の宿題は、
2\times 2 行列 A の多項式が作る線形空間です.
なので、V の基底は E,A,A^2,A^3,... が基底となります、
A にはケイリーハミルトンの定理がありますので、 E,A,A^2,.... には
関係式があります.
商空間
商空間については、このブログ上でいくつか書きました.
ベクトル空間の商空間
ベクトル空間の準同型定理
商空間 V/W の書き方として、[{\bf v}] もしくは、{\bf v}+W と2種類あります.
授業では、[{\bf v}] の書き方に統一しました.
V={\mathbb C}[x]_2 とし、
W=\langle 1+x+x^2\rangle とします.
そのとき、V/W の基底として、[1],[x] が取れることを示します.
一次独立性
商空間の和、スカラー倍の定義から、
c[1]+d[x]=[c+dx]=[0]
とすると、c+dx=e(1+x+x^2) となるスカラー e が存在します.
よって、両辺を比べて e=0, c=d=0 となり、[1],[x] 、が一次独立であることがわかる.
任意の V/W の元がこの2つの元の一次結合で書けるかどうか
任意の V/W の元は [c+dx+ex^2] とかけます.
c+dx+ex^2=(c-e)+(d-e)x+e(1+x+x^2)
よって、
[c+dx+ex^2]=[(c-e)+(d-e)x+e(1+x+x^2)]=[(c-e)+(d-e)x]=(c-e)[1]+(d-e)[x]
となり、全ての V/W の元は一次結合でかけました.
よって、[1],[x] は V/W の基底ということが分かりました.
同じことを {\bf v}+W の書き方で書けば、
一次独立性
c(1+W)+d(x+W)=(c+dx)+W となり、この元が V/W の元として {\bf 0} であるとき、
(c+dx)+W=W が成り立つ.
これは、c+dx\in W であることを意味しており、
c+dx=e(1+x+x^2) となるような e となる {\mathbb C} が存在する.
よって、係数を比べて、c=d=0 となる.
任意の V/W の元がこの2つの元の一次結合で書けるかどうか
V/W の任意の元は、a+bx+cx^2+W とかけ、
c(1+x+x^2)\in W であるので、
(a+bx+cx^2)+W=(a+bx+cx^2-c(1+x+x^2))+W=a-c+(b-c)x+W=((a-c)+W)+((b-c)x+W)=(a-c)(1+W)+(b-c)(x+W)
が成り立つ.
よって、任意の V/W の元は、 1+W と x+W の一次結合でかけました.
このような計算は、高校数学のときもたしかにありました.
例えば、
\alpha を x^2+x+1=0 の解とするとき、
(1) \alpha^3 を \alpha の式で求めなさい
(2) \alpha+1 を計算しないさい
(3) \alpha^{100} を計算しなさい.
などの問題があったと思いますが、今では、この問題は、V={\mathbb C}[x] において、
W=\{(1+x+x^2)f(x)\in V|f(x)\in {\mathbb C}[x]\}
による部分空間の商空間 V/W を考えます.
このとき、x^n\in V を W の部分空間で代表元で取り替えてその指数を小さくして、V/W の基底である 1,x の一次結合で書くということになります.
商空間では
一応コメントしておくと、商空間では、代表の元のとりかたによって、
ゼロベクトルの表示の仕方が変わることがあります.
例えば、V={\mathbb C}[x]_2 のとき、 W=\langle 1-x^2,x+x^2\rangle
としておき、V/W とすると、W の元は全て V/W のゼロベクトルを表しますから、
[1-x^2]=[0] や [x+x^2]=[0] も成り立ちますが、これらを足した元も [1+x]=0 となります.
一般に、[a+bx-(a-b)x^2] も全て V/W においてゼロベクトルになります.
よって、1+x-x^2 と 2x は、{\mathbb C}[x]_2 においては線形独立ですが、
V/W においては、[1+x-x^2]=[x]=\frac{1}{2}[2x] となり、線形従属となります.
、
宿題(C-9-2)の問題について
W の元をあるベクトルで生成する形に直しておきます.
補空間の基底をとります.補空間の基底の取り方は、線形代数II演習(第5回)でやりました.
その基底 {\bf v}_1,{\bf v}_2 が V/W において [{\bf v}_1],[{\bf v}_2] が基底となることを示してください.
また、\dim(V/W)=\dim(V)-\dim(W) なる次元公式もありますので、
任意の元が、いくつかのべくトルの線形結合で書けるかどうかについての議論は
サボれることがあります。
上の例でいえば、[1],[x] が線形独立であることがわかれば、
2=\dim(\langle[1],[x]\rangle)\le \dim(V/W)=\dim(V)-\dim(W)=3-1=2
となり、部分空間の次元が全体の次元と一致するので、\langle[1],[x]\rangle=V/W となります.
これは、V/W の任意の元が [1],[x] の一結合で書けることがわかります.
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