2018年1月30日火曜日

トポロジー入門演習(第15回)

[場所1E202(月曜日4限)]

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最終回は

  • 連結性
連結

とりあえず定義をしておきます。

定義(連結)
位相空間 $(X,\mathcal{O})$ が連結であるとは、
2つの空でない開集合 $U_1,U_2$ によって、$X=U_1\cup U_2$ かつ $U_1\cap U_2=\emptyset$
のように $X$ を覆う被覆が存在しないことをいう。

連結性は開集合の非存在を使って定義されています。
なので、連結性をしますのに存在しないことを言うのに
背理法を使って、「もし連結でなかったら」という仮定をおいて、
何か矛盾を引き出して、連結と結論づけることが多いです。

非連結とは、そのような空ではない開集合が存在するときをいいます。

もし、$X$ が非連結なら、$U_1,U_2$ が両方開集合なので、$U_1,U_2$ は閉集合にも
なっており、つまり、$U_1,U_2$ は開かつ閉となります。
開かつ閉の集合のことをclopenと言ったりします。

つまり、連結であるとは、$X$ にclopenな空ではない部分集合が存在すると、
それは、$X$ 自身になるといってもよいです。

また、$A\subset X$ が連結部分集合であるとは、$A$ に入る相対位相に関して、
$(A,\mathcal{O}_X|_A)$ が連結であるという定義です。
書き直せば、
$A\subset X$ が連結部分集合であるとは、
$X$ の開集合 $U_1,U_2$ で、$A\subset U_1\cup U_2$ かつ、$A\cap (U_1\cap U_2)=\emptyset$
かつ、$A\cap U_1\neq \emptyset$ かつ $A\cap U_2=\emptyset$ を満たす
ような、$U_1,u_2$ は存在しない

となります。


例えば、${\mathbb R}$ は連結ですが、$(0,1)\cup (1,2)$ は連結ではありません。

証明
${\mathbb R}$ が連結でないとすると、
空ではない $U_1,U_2$ が開集合で、${\mathbb R}=U_1\cup U_2$ かつ、$U_1\cap U_2=\emptyset$ となるようなものが存在します。
$U_1\neq\emptyset$ かつ $U_2\neq \emptyset $ となります。

いま、$x_i\in U_i$ とします。$x_1<x_2$ が成り立つとして構いません。
ここで、$(-\infty ,x_2]\cap U_1$ は空集合ではないので、$\sup((-\infty ,x_2]\cap U_1)$ が
存在し、それを、$y$ とおきましょう。

$(-\infty ,x_2]\cap U_1$ は閉集合なので、$y\in U_1$ が成り立ちます。
一方、$[y,x_2]\cap U_2$ は閉集合で、$x_2$ を含むので、空ではありません。
よって、任意の正の$\epsilon>0$ に対して、$[y,y+\epsilon)\cap U_2\neq \emptyset$ なので、
$y\in \bar{U}_2$ であり、$U_2$ は閉集合でもあったので、$y\in U_2$ となります。
よって、$y\in U_1\cap U_2$ となるので、$U_1\cap U_2=\emptyset$ であることに反します。

よって、${\mathbb R}$ が連結であることになります。

$X=(0,1)\cup (1,2)$とすると、$U_1=(0,1),U_2=(1,2)$ とすると、
確かに、$U_i$ は空ではない開集合になっており、$X=U_1\cup U_2$ かつ、$U_1\cap U_2=\emptyset$
を満たしています。


連結な空間の連続像が連結であることなどは、定義に戻ってやればできます。

連結性の別のヴァリエーションをしておきます。
定義(弧状連結)
$X$ が弧状連結であるとは、
$\forall p,q\in X$ に対して、連続写像 $f:[0,1]\to X$ が存在して、$f(0)=p$ かつ $f(1)=q$ 
となることを言います。

つまり、任意の2点が $[0,1]$ 閉区間によるパスによって結ぶことができる
ときをいいます。なんとなく繋がっている直感にあう定義ですね。

しかし、弧状連結と連結は違う概念です。
弧状連結であれば、連結ですが、逆は一般には言えません。

その有名なものは、トポロジストのサインカーブというやつで、

$X=\{(x,\sin\frac{1}{x})|0<x\le 1\}\cup\{(0,y)|-1\le y\le 1\}$
として、$X$ に ${\mathbb R}^2$ の相対位相を入れておきます。
実際描いてみると、$x=0$ の付近で激しく振動しています。

この位相空間は連結ですが、$(0,0)$ と$(1,\sin (1))$ をパスで結ぶことはできません。

また、$x\in X$ を含む連結な部分集合の最大のものを $x$ の連結成分といい、
$C(x)$ と表します。$C(x)$ は一般に閉集合なのですが、それを示すのに、
$A$ が連結な部分集合なら、$\bar{A}$ および、$A\subset B\subset \bar{A}$ となる
任意の部分集合 $B$ が連結であることを示すことができます。

これは、課題15-3にヒントを載せましたのでそれに沿って証明してみてください。

最後に、${\mathbb R}\setminus {\mathbb Q}$ が連結でないことと、
${\mathbb R}^2\setminus {\mathbb Q}^2$ が連結であることを定義に沿って導いてください。

後者は弧状連結性を示せば十分ですね。



トポロジー入門演習(第14回)

[場所1E202(月曜日4限)]

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今回は、

  • 小テスト
  • コンパクト化
についての内容でした。

小テストについての解答は、第15回に配るスライドにありますので
そちらを見てください。試験期間の日 2/5にも授業&小テストを行います。

最後の小テストですので頑張って挑んでください。

しかし、今回の小テストはあまりできはよくありませんでした。

コンパクト化
コンパクト化とは、位相空間 $X$ にいくつか点を付与してコンパクトにすることをいいます。
例えば、1点を付け加えてコンパクトにすることを1点コンパクト化といいます。

$(X,\mathcal{O})$ を位相空間とし、$X$ に属さない点を $a$ とし、$\alpha X=X\cup\{a\}$ とします。
このとき、$\alpha X$ に位相 $\mathcal{O}_{\alpha X}$ を次のように入れます。

$\mathcal{O}_{\alpha X}$ は $\alpha X$ のべき集合の部分集合で、
$U\in \mathcal{O}_{\alpha X}$ であるとは、以下を満たすもののことをいいます。
$a\not\in U$ の場合は、$U\in \mathcal{O}$ であること。
$a\in U$ の場合は、$X\setminus U$ は $X$ においてコンパクト
このようにして得られた位相、$(\alpha X,\mathcal{O}_{\alpha X})$ のことを
$X$ の1点コンパクト化といいます。

実際、1点コンパクト化 $\alpha X$ はコンパクト空間になります。
$\{U_\lambda|\lambda\in \Lambda\}$ を $\alpha X$ の開被覆
とします。このとき、$a\in U_\lambda$ を一つ選びます。
このとき、$X\setminus U_\lambda$ はコンパクトなので、$\{U_\lambda|\lambda\in \Lambda\}\setminus U_\lambda$
は $X\setminus U_\lambda$ の開被覆であり、その有限部分被覆 $\{U_{\lambda_1},\cdots, U_{\lambda_n}\}$ 
が存在して、$X\setminus U_\lambda\subset \cup_{i=1}^ nU_{\lambda_i}$
となります。よって $X=\cup_{i=1}^ nU_{\lambda_i}\cup U_{\lambda}$
が $\{\mathcal{U}_\lambda|\lambda\in \Lambda\}$ の有限部分被覆
になります。よって $\alpha X$ はコンパクト。

他にもコンパクト化の種類はありますが、ここではこれ以上は扱いません。

1点コンパクト化は、最も簡単でシンプルなコンパクト化で、
空間 $X$ のコンパクトでない部分を一点に凝縮したような形をしています。

なので、たとえば、${\mathbb R}$ の1点コンパクト化は、
${\mathbb R}$ の無限遠点で結んで円周のような形をしているはずです。
つまり、${\mathbb R}^2$ の中の単位円と同相になっていると思われます。

コンパクト化としての単位円

なので、今回の課題14-2はそれを実際やってみようということなのです。
この場合、$(0,1)$ は ${\mathbb R}$ と同相なので、有界領域 $(0,1)$ の方で
やってみます。

まずは、${\mathbb S}^1$ を単位円として、閉区間 $[0,1]$ の $\{0,1\}$ 同一視して
得られる等化空間として記述します。

$[0,1]/\{0,1\}$ を、$[0,1]$ に入る同値関係として
 $t\sim s$
$\Leftrightarrow$
$ t,s\in (0,1) $ において $t=s$、
もしくは $t,s\in \{0,1\}$
と定義します。この商集合を $[0,1]/\{0,1\}$ 上に、自然な射影
$h:[0,1]\to [0,1]/\{0,1\}$ からくる全射によって $h:[0,1]/\{0,1\}$ に商位相を入れます。
これを商空間といいました。とくに、$h$ は連続です。

14-2-1
$f(t)=(\cos t,\sin t)$ とし、$g:[0,1]/\{0,1\}\to {\mathbb S}^1$ をうまく定めて、
$f=g\circ h$ が成り立っていることを示してください。

14-2-2
この $g$ が連続であることを示しましょう。そのために、以前やった課題8-4-1
を使ってください。

14-2-3
$[0,1]$ はコンパクトであることは認めて、その像であることからコンパクトを
いいましょう。

14-2-4
${\mathbb S}^1$ はハウスドルフであることは、ハウスドルフ空間の直積空間は
ハウスドルフであること。任意の部分集合は相対位相に関してハウスドルフである
ことを使いましょう。

14-2-5
課題13-4-3を思い出しましょう。$X$ がコンパクト、$Y$ がハウスドルフのとき、
$f:X\to Y$ が連続全単射であれば....

14-2-6
$[0,1]/\{0,1\}$ が $(0,1)$ の一点コンパクト化になっていることを
言えば良いわけです。

まずは、写像 $\varphi:\alpha (0,1)=(0,1)\cup \{p\}\to [0,1]/\{0,1\}$ を作りましょう。
このとき、$\mathcal{O}_{\alpha(0,1)}=\mathcal{O}(h)$ であるこを示しましょう。

$\mathcal{O}_{\alpha(0,1)}$ は、$(0,1)$ の開集合になっているものか、
もしくは、$p\in U$ であって、$(0,1)\setminus U$ が $(0,1)$ においてコンパクトになっているものです。

前者は、すぐ $\mathcal{O}_{\alpha(0,1)}\subset \mathcal{O}(h)$ の性質を満たすことがわかります。
後者については、まず $U$ を、$U=((0,1)\setminus F)\cup \{p\}$ と表しておきます。
ここで、$F$ は $(0,1)$ でのあるコンパクト集合。

ここで、$\varphi$ によって、$U$ は、$((0,1)\setminus F)\cup \{[0]\}$ に写ります。
$F$ は、$(0,1)$ の部分集合で、$\varphi$ はこの領域において恒等写像です。

なので、同じ $F$ を用いました。また、$[0]$ は $0$ の属する $[0,1]/\{0,1\}$ の
同値類です。このとき、$((0,1)\setminus F)\cup \{[0]\}$ がこの商空間において開集合かどうかですが、
商空間が開集合かどうかは、自然な写像で引き戻して開集合になっているかどうかです。

ゆえに、$h^{-1}(((0,1)\setminus F)\cup\{[0]\})=((0,1)\setminus F)\cup\{0,1\}=[0,1]\setminus F$ であり、この補集合をとると、
$F\subset [0,1]$ が得られます。$F$ はコンパクト空間の中のコンパクト集合なので、閉集合。
ゆえに、$h^{-1}(((0,1)\setminus F)\cup\{[0]\})$ は開集合なので、$((0,1)\setminus F)\cup\{[0]\}$ は開集合。

これで、$(\alpha (0,1),\mathcal{O}_{\alpha(0,1)})\to ([0,1]/\{0,1\},\mathcal{O}(h))$ が開写像である(つまり、$\mathcal{O}_{\alpha(0,1)}\subset \mathcal{O}(h)$ )ことがわかりました。

あとは、逆も同じように成り立つことをいうか、再び、13-4-3を使うかして同相を示しましょう。

トポロジー入門演習(第13回)

[場所1E202(月曜日4限)]

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今回は

  • コンパクト空間
についてやりました。

まず、$X$ の部分集合族 $\{U_\lambda|\lambda\in \Lambda\}$ が
$A\subset X$ の被覆であるとは、
$A\subset \cup_{\lambda\in \Lambda}U_\lambda$
となるようなもののことをいいます。
特に、被覆は $\mathcal{P}(X)$ の部分集合です。
すべての $U_\lambda$ を $A$ と共通部分を取って
$\{U_\lambda\cap A|\lambda\in \Lambda\}$ を考えることで、
$A$ の被覆を $A$ での開集合によって覆ったものと考えることもできます。

被覆 $\{U_\lambda|\lambda\in \Lambda\}$ のすべてが開集合であるとき、
この被覆は開被覆であるといいます。

また、$\{U_\lambda|\lambda\in \Lambda\}$ を $A$ の被覆とし、
$\{U_\lambda|\lambda\in \Lambda'\}$ がその部分被覆であるとは、
これが $A$ の被覆であって、$\Lambda’$ は $\Lambda$ の部分集合であることをいいます。
また、$A$ の有限被覆とは、$A$ の被覆 $\{U_\lambda|\lambda\in \Lambda\}$ で、$\Lambda$ が有限集合のものをいいます。

コンパクトの定義を書いておきます。

定義(コンパクト)
$\{U_\lambda|\lambda\in \Lambda\}$ を任意の $X$ の開被覆とする。このとき、$\{U_\lambda|\lambda\in \Lambda\}$ は、有限部分被覆をもつ。

例えば、以下の定理があります。

定理1
連続写像 $f:X\to Y$ とする。このとき、$A\subset X$ がコンパクトとする。
このとき、$f(A)\subset Y$ はコンパクトである。

定理2
コンパクト集合の閉部分集合は、コンパクト集合。


定理1の証明です。
$\{U_\lambda|\lambda\in \Lambda\}$ を $f(A)$ の開被覆とします。
つまり、$f(A)\subset \cup_{\lambda\in \Lambda} U_\lambda$ となる
$Y$ の開集合、$U_\lambda$ がとれます。
$A\subset f^{-1}(f(A))\subset f^{-1}(\cup_{\lambda\in \Lambda} U_\lambda)=\cup_{\lambda\in \Lambda}f^{-1}(U_\lambda)$
$A$ はコンパクトであるので、$A$ の開被覆 $\{f^{-1}(U_\lambda)\}$  は、有限部分被覆が存在して、$A\subset \cup_{i=1}^nf^{-1}(U_{\lambda_i})$ となる。

よって、$f(A)\subset \cup_{i=1}^nU_{\lambda_i}$ となり、$\{U_{\lambda_i}|i=1,\cdots, n\}$
は、$\{U_{\lambda}|\lambda\in \Lambda\}$ の部分開被覆となります。
よって、$f(A)$ はコンパクト.



定理2の証明です。
$X$ をコンパクトとする。$A\subset X$ を閉集合とします。
$\{U_\lambda|\lambda\in \Lambda\}$ を$A$ の開被覆とします。
このとき、$\{U_\lambda|\lambda\in \Lambda\}\cup\{X\setminus A\}$ は
$X$ の開被覆となります。$X$ はコンパクトなので、
有限部分被覆が存在して、$\{U_{\lambda_i}|i=1,...,n\}\cup\{X\setminus A\}$ 
は、$X$ の被覆となります。
よって、$\{U_{\lambda_i}|i=1,...,n\}$ は $A$ の被覆となります。
つまり、$A$ はコンパクト。

${\mathbb R}$ はコンパクトではないが、任意の有限な閉区間 $[a,b]$ は
コンパクトになります。

以下ではこれを示しておきましょう。

$\{(n,n+2)|n\in  {\mathbb Z}\}$ は${\mathbb R}$ の開被覆となりますが、
この被覆のどの有限部分被覆をとっても、有界集合しか覆えません。
とくに、その有限部分被覆は ${\mathbb R}$を覆うことができないので
${\mathbb R}$ はコンパクトではない。

$[a,b]$ のコンパクト性を示します。
$\{U_\lambda|\lambda\in \Lambda\}$ を$[a, b]$ の任意の被覆としましょう。
とくに、$U_\lambda$ は${\mathbb R}$ の開集合で、
$[a,b]\subset \cup_{\lambda\in \Lambda}U_\lambda$
となります。

$a\le x\le b$ として、$[a,b]$ の部分集合 $A$ を、
$[a,x]$ が有限個の $\{U_\lambda|\lambda\in \Lambda\}$ の
部分被覆で覆えるような $x$ の集合とします。
つまり、$A$ は
$$A=\{x|[a,x]\text{は有限個の $U_\lambda$ によって覆える}\}$$
として定義します。
$x=a$ とすると、明らかになりたつので、$A$ は空集合ではありません。
いま、$\sup(A)=z<b$ とすると、$z\in U_\lambda$ を満たす
$\lambda\in \Lambda$ が存在します。また、
ある $\epsilon>0$ で、$z-\epsilon\in U_\lambda$ となるような実数が
存在します。このとき、$[a,z-\epsilon]$ は有限部分被覆が存在するので、それを
$U_{\lambda_1},\cdots, U_{\lambda_n}$ とすると、
$U_{\lambda_1},\cdots, U_{\lambda_n},U_\lambda$ は、$[a,z]$ の
有限部分被覆となります。
いま、$U_\lambda$ は開集合なので、$z+\delta\le b$ として、
$[z,z+\delta]\subset U_\lambda$
であり、$U_{\lambda_1},\cdots, U_{\lambda_n},U_\lambda$ は
$[a,z+\delta]$ の有限部分被覆でもあることになります。
これは $\sup(A)=z$ であることに矛盾します。
ゆえに、$z=b$ が満たされ、$[a,b]$ には $\{U_\lambda|\lambda\in \Lambda\}$
の有限部分被覆が見つかることになります。
(証明終了)

系1
${\mathbb R}$ の任意の有界閉集合はコンパクトである。

$A$ を ${\mathbb R}$ の任意の有界閉集合とします。
このとき、$A\subset [a,b]$ となる $a,b$ が存在し、
$[a,b]$ はコンパクトだったから、$A$ はコンパクト集合の中の閉集合であるから
コンパクト。


系2
${\mathbb R}$ のコンパクトな部分集合 $A$ は、有界閉集合である。

$\forall a\in A$ に対して、$\{B_d(a,r)|r>0\}$
は、$A$ の開被覆であるが、$A$ がコンパクトであることから、
正の実数 $r_1,\cdots, r_n$ が存在して、
$\{B_d(a,r_i)|i=1,...,n\}$ が $A$ の被覆になる。
しかし、実際、$r_1,\cdots, r_n$ のうち最大のものを $r$ とすると、$A$
は $B_d(a,r)$ によって被覆されます。
ゆえに、$A$ は有界。

$\forall a\in{\mathbb R}\setminus A$ としましょう。
このとき、$\{\overline{B_d(a,r)}^c|r>0\}$ は $A$ の開被覆。
($c$ は補集合の $c$ 。)
$A$ はコンパクトなので、有限個の $r_1,\cdots, r_n$ が存在して、
$\{\overline{B_d(a,r_i)}^c|i=1,...,n\}$ は $A$ の開被覆になります。
実際、$r_1,...,r_n$ のうちの最小のものを $r$ とすると、$\overline{B_d(a,r)}^c$
は $A$ を被覆します。つまり、$A\subset \overline{B_d(a,r)}^c$ であるから
とくに、$A\cap B_d(a,r)=\emptyset$ となります。
よって、$A$ の補集合の任意の点 $a$ は、
$B_d(a,r)\subset A^c$ となる開近傍をもつので、
$A^c$ は開集合。つまり、$A$ は閉集合となります。

この証明は、${\mathbb R}$ だけでなく、一般の距離空間で成り立ちます。

また、${\mathbb R}$ においては、
$A\subset {\mathbb R}$ がコンパクトであることと有界閉集合であることは
同値です。

2018年1月20日土曜日

トポロジー入門演習(第12回)

[場所1E202(月曜日4限)]

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今回は分離公理についてやりました。

ここで最低限知っていて欲しいことは、

  • ハウスドルフの定義
  • 正則空間の定義
  • 正規空間の定義
です。もちろん、空間のどのような性質なのかも、理解する必要があります。
  • 離散空間は正規空間
  • 距離空間は正規空間
であることも知る必要があります。

ハウスドルフ空間は $T_2$ 空間とも呼ばれます。
正則空間は $T_3$ と $T_2$ を仮定した空間です。
また、

正規空間は $T_4$ と $T_2$ を仮定した空間です。

このとき、定義からすぐに、
正規空間 $\Rightarrow$ 正則空間 $\Rightarrow$ ハウスドルフ空間

という関係があります。
しかし、
$T_4\Rightarrow T_3 \Rightarrow T_2$
とはならないので、気をつけてください。

$T_2,T_3,T_4$ がどのような条件かというと、以下のようなものです。
$X$ は位相空間で、$\mathcal{O}$ をその位相とします。

($T_2$) 
$\forall p,q\in X$ に対して、$U,V\in \mathcal{O}$ が存在して、
$p\in U, q\in V$ かつ $U\cap V=\emptyset$ を満たす。

($T_3$) 
$\forall p\in X$ かつ任意の閉集合 $F\subset X$ に対して、$U,V\in \mathcal{O}$ が存在して、
$p\in U, F\subset V$ かつ $U\cap V=\emptyset$ を満たす。

($T_4$) 
任意の閉集合 $E,F\subset X$ に対して、$U,V\in \mathcal{O}$ が存在して、
$E\in U, F\in V$ かつ $U\cap V=\emptyset$ を満たす。

となります。
ハウスドルフ、つまり、$T_2$ の条件を満たせば、一点が閉集合となりますので
自然に正規なら正則、正則ならハウスドルフが満たされるということになります。

距離空間 $X$ がハウスドルフになるということとも、
一般的な照明を与えておくと、任意の閉集合 $F,G$ で $E\cap F=\emptyset$ に対して、
$U=\{x|d(x,E)<d(x,F)\}$
$V=\{x|d(x,E)>d(x,F)\}$
とおいて、開集合を作るという定番の方法があります。
このとき、示さなければならないのは、$E\subset U, F\subset V$ かつ、
$U,V$ が開集合であり、$U\cap V=\emptyset$ であることになります。

そのとき、$d(x,E)$ や $d(x,F)$ が $X$ 上の連続関数であることを使いましょう。
その証明は、この授業の最初の方で与えました。

ちなみに、2つの閉集合 $E,F$ で、共通部分を持たないものが、$d(E,F)=0$ 
となることはあります。片方が 1点の場合は、そのようなことはなく、$x\not\in E$ であれば、$d(x,E)>0$ となります。

同値性の示し方

$(A\Rightarrow B)$  $\Leftrightarrow $ $(C\Rightarrow D)$ 

のような同値性の証明の仕方を書いておきます。
多くの人が証明方法を間違えていました。

右向き $\Rightarrow$

$C$ を仮定する。このとき、$C$ からくる命題 $C’$ が $A$ の仮定を満たす。
よって、$C’$ は $B$ の性質をもつ。ゆえに、$D$ が成り立つ。


左向き $\Leftarrow$

$A$ を仮定する。このとき、$A$ からくる命題 $A’$ が $C$ の仮定を満たす。
よって、$A’$ は $D$ の性質をもつ。ゆえに、$B$ が成り立つ。

のように証明するのです。
間違えているひとは、例えば、右向き $\Rightarrow$ を示すのに、まず、$A$ を
仮定して証明を始めていることです。これは全く違います。
$A$ の仮定をいくら変形して、$C\Rightarrow D$ のような命題は生み出されません。

まずは、証明をしたい$(C\Rightarrow D)$ の部分の $C$ を仮定するのです。


応用として、$T_4$ 空間が、$F\subset U$ となる任意の閉集合と開集合にたいして、
開集合 $V $が存在して、$F\subset V\subset \bar{V}\subset U$ であることが同値であるなど
の命題を示すことができます。
他に、  (課題12-3) など


$T_4$

$\Rightarrow $  

($F\subset U$ となる任意の閉集合と開集合がある。$\Rightarrow$ 開集合 $V $が存在して、$F\subset V\subset \bar{V}\subset U$ である)  (*)


を示します。
$T_4 $ の命題は、

$E,F$ が閉集合で、$E\cap F=\emptyset $
$ \Rightarrow $
開集合 $U,V$ が存在して、$E\subset U$ かつ $F\subset V$ かつ $U\cap V=\emptyset$

という命題です。

まず、仮定するのは、
$F\subset U$ となる任意の閉集合と開集合がある。です。

このとき、$F$ と $U^c$ はどちらも閉集合で、$F\cap U^c=\emptyset$ を満たします。

これで $T_4$ の最初の仮定が揃いました。
よって、$T_4$ を使って、ある開集合 $V,W$ が存在して、
$F\subset V$ かつ $U^c\subset W$ かつ $V\cap W=\emptyset$ が成り立ちます。

いま、$W^c\subset U$ で、$W^c$ は閉集合です。
なので、$V\subset W^c$ から、$V$ を含む最小の閉集合 $\bar{V}$ は、$\bar{V}\subset W^c$
となるはずです。

ゆえに、$F\subset V\subset \bar{V}\subset W^c\subset U$ となり、(*) が導かれました。

逆も同じようにやってください。

ゾルゲンフライ直線の正規性
および、ゾルゲンフライ平面の非正規性

ゾルゲンフライ直線が正規性についての問題も載せました。
これは、誘導にきっちり乗っていけば解けるはずです。

この問題を出したのは、正規空間の直積は正規とはならないことがあるという
例でよく使われます。

以前、ゾルゲンフライ平面についてやりましたが、
この空間は、内部に、非可算濃度の離散部分空間が含まれていました。

このことから、ゾルゲンフライ平面は第二可算ではないことがわかりました。
(2つの第二可算な空間の直積集合も第二可算といってもよい。)

ゾルゲンフライ平面は可分な空間(稠密な可算部分集合をもつ)であるので、
それ上の連続関数のなす空間は実は可算空間です。(稠密な部分集合で一致する
2つの連続関数は一致するから)

しかし、内部に非可算離散集合を含む集合は、その部分集合上での
連続関数は非可算無限個あります。

ここで、正規性を使うと、正規空間というのは、任意の閉集合上の連続関数は
空間全体に拡張するという性質を持ちます。(ティーチェの拡張定理)
なので、今の場合、この非可算無限個の連続関数が空間全体に拡張しないといけません。

しかし、拡張した結果、ゾルゲンフライ平面上では高々可算個の連続関数
しかないのだから、矛盾を持ちます。

よって、ゾルゲンフライ平面は正規ではなくなります。

このティーチェの拡張定理が示すように、正規性というのは
位相空間のグローバルな性質を反映したものだといます。

一方、正則空間というのは、閉近傍全体が基本近傍系となる(課題12-3)ように、ローカルな
位相空間の性質を表しているともいえます。

2018年1月10日水曜日

トポロジー入門演習(第11回)

[場所1E202(月曜日4限)]

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昨年最後のトポロジー入門演習は、ゾルゲンフライ平面についてと、
円周の商位相と相対位相との一致についてやりました。

ゾルゲンフライ平面
ゾルゲンフライ平面とは、ゾルゲンフライ直線の2つの直積として与えられます。

つまり、$\{[a,b)\times [c,d)|a,b,c,d\in {\mathbb R}\}$ を開基とする位相空間
ということになります。このとき、問題は、

第一可算公理を満たす.
相対位相として非可算離散位相となる部分空間を含む.
第二可算公理を満たさない.

を挙げておきました。

ゾルゲンフライ直線は、$[a,b)$ を開基とする位相空間と定義します。
よって、ゾルゲンフライ平面は、$[a,b)\times [c,d)$ を開基とする
位相空間となります。

ゾルゲンフライ平面が第一可算公理を満たすことは、

$\{[a,a+1/n)\times [c,c+1/n)\in N((a,c)|n\in {\mathbb N})\}$ が基本近傍系になる
ことを示せばよい。

(証明)
$(a,c)\in {\mathbb R}^2$ に対して、$U\in N((a,c))$ とすると、
$[a,b)\times [c,d)\subset N((a,c))$ となる基底が存在し、$[a,b)\times [c,d)\subset U$ となります。
また、$a+1/n<b$ かつ $c+1/n<d$ となる$n$ が存在するので、$[a,a+1/n)\times [c,c+1/n)\subset [a,b)\times [c,d)\subset U$ となり、

$\{[a,a+1/n)\times [c,c+1/n)\in N((a,c)|n\in {\mathbb N})\}$ が基本近傍系になる。
が基本近傍系となります。

${\mathbb R}^2$ に、$x+y=0$ となる部分空間は、非可算な離散空間であります。

第二可算公理を満たさないことは、
第二可算公理を満たす空間の任意の部分空間も第二可算公理を満たすこと(*)
からわかります。

(*) の証明は、
$\mathcal{B}$ を $X$ の可算開基とします。
このとき、$A\subset X$ の開基として、$\mathcal{B}|_A=\{B\cap A|B\in \mathcal{B}\}$
として求められる。$\mathcal{B}|_A$ が可算であることは明らかとして、
開基であることは、$U$ を $A$ の開集合とします。
このとき、$U$ は $X$ の開集合 $V$ を用いて $V\cap A$ と書かれます。
$\mathcal{B}$ は $X$ の開基であることから、$V=\cup_{\lambda\in\Lambda}B_\lambda$
となります。$B_\lambda\in \mathcal{B}$ です。

ゆえに、$U=A\cap(\cup_{\lambda\in\Lambda}B_\lambda)=\cup(A\cap_\lambda B_\lambda)$
となります。 ゆえに、$\mathcal{B}|_A$ は $A$ の開基となります。

いま、ゾルゲンフライ平面は、$x+y=0$ となる部分空間は、第二可算公理を
満たさないので、ゾルゲンフライ平面も第二可算公理を満たしません。

また、$y=0$ となる直線は、ゾルゲンフライ直線となり、この直線も第二可算公理を
満たさないので、ゾルゲンフライ平面も第二可算公理を満たさないと証明してもよいです。

円周の相対位相として位相と商空間としての位相
単位円 ${\mathbb S}^1$ を${\mathbb R}^2$ の相対位相として位相を入れる。
一方、${\mathbb S}^1$ において、${\mathbb R}\to {\mathbb S}^1$ を
$\theta\mapsto (\cos\theta,\sin\theta)$ として定義される商写像からなる商空間
としての位相(商位相)を入れます。

この2つの位相が一致することを示します。
それぞれ、$\mathcal{O}_1,\mathcal{O}_2$ とします。

どちらも、${\mathbb S}^1$ 上の開区間 $\{(\cos\theta,\sin\theta)\in {\mathbb R}^2|a<\theta<b\}$
を開基とする位相であることを示せばよいことになります。

$U\in \mathcal{O}_1$ とする。$p\in U$ とすると、$U={\mathbb S}^1\cap V$ となる
${\mathbb R}^2$ の開集合 $V$ が存在します。
$p\in V$ において、$p\in B_d(p,\epsilon)$ をとり、$\epsilon$ を十分小さくとると、$B_d(p,\epsilon)\cap {\mathbb S}^1$ は、上記の${\mathbb S}^1$ 上の開区間となる。それは開集合なので、$\mathcal{O}_1$ は
${\mathbb S}^1$ 上の開区間が開基となります。

商位相 $\mathcal{O}_2$ は、$U\in \mathcal{O}_1$ に対して $pr:{\mathbb R}\to {\mathbb S}^1$ としたときに、
$pr^{-1}(U)$ が ${\mathbb R}$ の開集合となるものとして定義されます。
$p\in U$ に対して、$\forall q\in pr^{-1}(p)$ が $q\in(a,b)\subset pr^{-1}(U)$ となります。
$(a,b)$ は開区間。
よって、$pr((a,b))$ は、$b-a\ge 2\pi$ であるかどうかによって
${\mathbb S}^1$ もしくは、${\mathbb S}^1$ 上の開区間となります。
ゆえに、$p\in pr((a,b))\subset U$ なので、やはり、$\mathcal{O}_2$ も
${\mathbb S}^1$ 上の開区間を開基とする位相となります。