[場所1E103(月曜日4限)]
HPに行く.
だんだん問題を解く人がすくなって来ました.
皆さん忙しくて解く暇がないのではなくて、問題が難しくなってきているのだ
ということを、この前、学生から教えてもらいました.
ここでは、解かれていない問題について解説をしていきます.
以下はヒントもしくは略解です.
第2回の問題で残っている問題
問題11
$x\in A$ が $A$ の触点であるとします.
もし、$x\in A$ ならば、定義から $d(x,A)=0$ が成り立つ.
もし、$x\not\in A$ ならば、任意の整数 $n$ に対して、$U(x,1/n)\cap(A-\{x\})\neq \emptyset)$
なので、そのような点を $x_n$ とすると、点列 $\{x_n\}$ が得られます.
この点列は、$A$ の点列で、 $x$ に収束しますので、$d(x,A)=\inf\{d(x,a)|a\in A\}$
という定義から $d(x,A)=0$ となります.
もし、$d(x,A)=\inf\{d(x,a)|a\in A\}=0$ なら、
$A$ の点列で、$x$ に収束するものがとれます.
これは、$x\in A$ であれば、当然成り立ち、この条件から $A$ の集積点にもなります.
問題13
(d) $A$ の集積点全体を $A^d$ とする.$(1/m,1/n)$ の収束先として $(0,1/n)$ が構成できるので、$(0,1/n),(1/m,0)\in A^d$ となることはわかる.また、$(0,0)\in A^d$ となることも、任意の $\epsilon>0$ に対して、$1/n^2+1/n^2<1/\epsilon^2$ となる $n$ が存在することが言えれば、
そのような $(1/n,1/n)$ は $(0,0)$ に収束先として取れるので、$(0,0)\in A^d$ となる.
逆に、$A^d\subset \{(0,1/m),(1/n,0),(0,0)|n,m>0\}$ となることも示す必要があります.
$(0,0),(1/n,0),(0,1/m)$ 以外の点 $(p,q)\not\in A$ を取ったときに、$(p,q)$ は $A$ の点列では近づけないことを示してください.つまり、そのような $(p,q)$ のある近傍をとれば、$A$ の元
が一つも入らないことを示せばよいのです.簡単だと思います.
(e) 有理数が実数全体の中で稠密であることを言えばよいです.言い換えれば、全ての実数 $r$ は、その任意の近傍を取れば、必ず有理数が存在することをいえばよいわけです.$r$ の近傍の中にはある $\epsilon$ 近傍が存在しますので、$(r-\epsilon,r+\epsilon)$ のなかに有理数が含まれることを言えば十分です.
(f) $x$ が $A$ の触点であるとき、 $A$ の点か、任意の近傍 $U$ において、$U\cap(A-\{x\})\neq \emptyset$ であるかということですから、距離空間の場合、近傍として、任意の $n$ に対して、$U=U(x,1/n)$ をとることができますね.これから点列を作ることができるわけです.
$x$ に収束する点列 $A$ の点列 $\{x_n\}$ を取ったときに、任意の近傍 $U\cap (A-\{x\})$ に点を作ることができます.収束するという定義を思い出してください.
問題14
次の写像 $f$ が連続であることを示せ.ただし、${\mathbb R}^n$ には普通のユークリッド距離が入っているとする.$C(I)$ 上の距離は $d(\phi,\psi) = \sup\{|\phi(x)-\psi(x)||x\in I\}$ とする.
(d) 問題81にも同じ問題を作ってしまったようです。どちらかで結構です.
$\phi(x)\in C(I)$ とする. $f(\phi(x))$ の近傍 $U(f(\phi(x)),\epsilon)$ に対して、$C(I)$ の近傍 $U_d(\phi,\epsilon')$ が存在して、 $f(U_d(\phi,\epsilon'))\subset U(f(\phi(x)),\epsilon)$
が成り立つことを示せ.
$U_d(\phi,\epsilon')$ の任意の関数 $\psi$ は $d(\phi,\psi)<\epsilon'$ となるが、これを言い換えれば、$\sup\{|\phi(x)-\psi(x)|\}<\epsilon'$ であり、特に、任意の $x\in I$ に対して $|\phi(x)-\psi(x)|<\epsilon'$ が成り立つ.
(e) $d(x,A)$ が連続関数であることはつかってもよい.連続関数の加減乗除も連続関数であることは使ってもよい.任意の $x$ に対して $d(x,A)+d(x,B)=0$ とはならないことを示す必要がある.
(注意) 距離空間において、互いに交わらない空ではない閉集合 $A,B$ に対して、$d(A,B)=0$ となることはあるが、$d(x,A)=d(x,B)=0$ となることはない.
問題18
$\rho$ が $X$ の非アルキメデス距離関数ならば、$U(p, \epsilon)$ は $(X,\rho)$ の閉集合となることを示せ.
(ヒント)
$X-U(p,\epsilon)$ が開集合であることを示せばよいです.
$q\not\in U(p,\epsilon)$ をとってくると、$\rho(p,q)\ge \epsilon$ を満たします.
$\rho$ は非アルキメデス距離関数の三角不等式を使って、
$q$ を中心として $\epsilon$ より小さい任意の点は、$U(p,\epsilon)$ に含まれません.
第3回の問題で残っている問題
問題22(c)
順序位相とは、全順序集合 $(X,\le)$ に対して、この順序からくる位相 $\mathcal{O}_\le$ は
$$\mathcal{O}_{\le} = \{U \subset X|\forall x\in U,\exists a,b\in X \cup \{\pm\infty\}\text{に対して},x\in (a,b)\subset U\}$$
を満たすものとして定義されます.説明のしようがありませんが、定義に戻って示すだけだと思います.
問題24
(1),(2)はどちらも有限点集合です.この時点で点集合上にはまだ、位相が定義されていません.位相というのは、ある集合 $X$ 上に、その部分集合族を決めたものを言います.
部分集合族というのは、$X$ 上のいくつかの部分集合をいいます.
つまり、$X$ からいくつかの部分集合を定めた点集合ということになります.
それを $\mathcal{O}$ とかきます.$\mathcal{O}$ の中には $X$ の"定められた"部分集合が全て
入っています.
$\mathcal{O}$ を位相といい、$\mathcal{O}$ の任意の元を開集合といいます.
"定められた"というのは、こちらで定める場合もあるし、ある手続きによって自然に定められている場合もあります.
別の言葉でいえば、$X$ の部分集合全体を $\mathcal{P}(X)$ とかくとき、
$\mathcal{O}\subset \mathcal{P}(X)$ となります.
また、$\mathcal{O}$ は $\mathcal{P}(X)$ の任意の部分集合を選べばよいのではなく、いくつか条件があります.
それが、位相の条件
[1], 全体集合 $X$ と空集合は $\mathcal{O}$ に入れる.
[2] 任意の有限個の開集合の共通集合も $\mathcal{O}$ の中の開集合である.
[3] 任意個の開集合の和集合も $\mathcal{O}$ の中の開集合となる.
です.
いま、$\{1,2\}$ のべき集合は、 $\mathcal{P}(X)=\{\emptyset,\{1\},\{2\},\{1,2\}\}$ の4個元からなります.個の4個の元の中から選んで開集合全体 $\mathcal{O}$ を何か作ります.
なので、$\mathcal{O}$ の候補は $2^4=16$ 個あるはずです.
しかし、位相の条件がありますから、それよりはちいさくなるかも知れません.
実際、位相の条件 [1] から、$\emptyset\in \mathcal{O}$ であるし、$\{1,2\}\in \mathcal{O}$ でなければなりませんから、4個のうち2つは確定です.他の2個の $\mathcal{P}(X)$ の元が入るかどうかを考え、それが位相の条件[2],[3]を満足するかを考える必要があります.
さらに、この問題は、同相類を求めよという問題です.
そのようにして作られたいくつかの $\mathcal{O}_1,\mathcal{O}_2,\cdots$ の
うち、$X$ の変換(一対一写像)で、さらに、$\mathcal{O},\mathcal{O}'$ にもその写像によって一対一写像写像が作れたとき、同相といって、$(X,\mathcal{O})\cong (X,\mathcal{O}') $
と書きます.類というのは、同値類の類と同じ意味で、同相類を全て求めるということは
お互い同相ではないものを区別して全て求めなさいということです.
問題25
離散位相であることをいうには、任意の一点が開集合であることを言えば十分です.(問題26)
つまり、任意の点において、ある正の数 $\epsilon$ が存在して、距離 $\epsilon$ 以内にはその点
以外に点が存在しないことを言えばよいわけです.
また、距離空間では、任意の異なる2点の間の距離は正の数です.
問題26
位相空間X が離散空間であるためには, 一点集合がすべて開集合となることが必要十分であるこ
とを示せ.
(ヒント)
離散空間であるということは位相 $\mathcal{O}$ がべき集合 $\mathcal{P}(X)$ と一致するときを言います.なので、$\mathcal{O}$ の中に全ての一点集合が入っていないといけません.
一点集合が全て入っていれば十分であることを示す.
問題29
$(X,\mathcal{O})$ を位相空間とする.$(Y,\mathcal{O}_Y )$ をその部分空間とする.すべての $X$ の部分集合 $A$ に対して $\text{Int}_X(A) \cap Y$ が $Y$ の中で $A$ の内部になることと $Y$ が $X$ の中で開集合であることは同値であることを示せ.
(ヒント)
全ての部分集合 $A$ に対して、$\text{Int}_X(A) \cap Y=\text{Int}_Y(A)$
と
$Y$ が $X$ の開集合である.
が同値であることをを示す問題.
$A=Y$ とすると $Y$ が $X$ で開集合が導かれます.
逆は部分空間の定義と $\text{Int}(A)$ は $A$ に含まれる最大の開集合であることを使う.
問題30
$(X_1,d_1)$ および $(X_2, d_2)$ を距離空間とし、$\mathcal{O}_j$ を $d_j$ によって定まる距離位相とする.写像 $f : X_1 \to X_2$ について、$f$ が距離空間 $(X_1, d_1)$ から $(X_2,d_2)$ への連続写像であることと、$f$ が位相空間 $(X_1,\mathcal{O}_1)$ から $(X_2,O_2)$ への連続写像であることは、同等(同値)であることを確かめよ.
(ヒント)
距離空間として連続であるとは、任意の点 $x\in X_1$ に対して、任意の $\epsilon>0$ に対して、ある $\delta$ が存在して、$f(U(x,\delta))\subset U(f(x),\epsilon)$ が成り立つこと.
距離空間から定められる位相空間の任意の開集合の各点には、含まれる 開球 $U(p,\epsilon)$ が存在することを使う.
問題31,32
$X$ を任意の2(または3) 点集合上の位相空間とする.$x \in X$ に対して、$U_x$ を $x$ を含む最小の開集合とする.任意の $x, y \in X$ において、$y \in U_x$ となるとき、$x\le y$ と定義することで、$X$ 上の順序集合を明らかにせよ.
(ヒント)
問題23,24で得られた全ての位相において、$U_x$ を求め、その順序集合をハッセ図によって表す.
以前のこちらのブログ(←)に例や絵などを書きました.
HPに行く.
だんだん問題を解く人がすくなって来ました.
皆さん忙しくて解く暇がないのではなくて、問題が難しくなってきているのだ
ということを、この前、学生から教えてもらいました.
ここでは、解かれていない問題について解説をしていきます.
以下はヒントもしくは略解です.
第2回の問題で残っている問題
問題11
- $x\in A $が$A$ の触点であるための必要十分条件は、$d(x,A) = 0$ となることであることを示せ.
$x\in A$ が $A$ の触点であるとします.
もし、$x\in A$ ならば、定義から $d(x,A)=0$ が成り立つ.
もし、$x\not\in A$ ならば、任意の整数 $n$ に対して、$U(x,1/n)\cap(A-\{x\})\neq \emptyset)$
なので、そのような点を $x_n$ とすると、点列 $\{x_n\}$ が得られます.
この点列は、$A$ の点列で、 $x$ に収束しますので、$d(x,A)=\inf\{d(x,a)|a\in A\}$
という定義から $d(x,A)=0$ となります.
もし、$d(x,A)=\inf\{d(x,a)|a\in A\}=0$ なら、
$A$ の点列で、$x$ に収束するものがとれます.
これは、$x\in A$ であれば、当然成り立ち、この条件から $A$ の集積点にもなります.
問題13
- (d) $A = \{(1/m,1/n)|n,m\in {\mathbb Z},n,m > 0\}\subset {\mathbb R}^2$ を考える.${\mathbb R}^2$ には通常の距離が入っているとして、$A$ の集積点は、$(0, 1/n), (1/m; 0)$、および $(0, 0)$ と一致することを示せ.
ヒント:触点であれば、$A$ から距離零になる.つまり、いくらでも近い点が存在することを
示せ. - (e) 有理数全体の閉包は実数全体であることを示せ.
- (f) $(X, d)$ を距離空間とする.部分集合 $A\subset X$ に対して収束する $A$ の点列 $x_n$ の収束点 $x$ は $A$ の触点であることを示せ.
(d) $A$ の集積点全体を $A^d$ とする.$(1/m,1/n)$ の収束先として $(0,1/n)$ が構成できるので、$(0,1/n),(1/m,0)\in A^d$ となることはわかる.また、$(0,0)\in A^d$ となることも、任意の $\epsilon>0$ に対して、$1/n^2+1/n^2<1/\epsilon^2$ となる $n$ が存在することが言えれば、
そのような $(1/n,1/n)$ は $(0,0)$ に収束先として取れるので、$(0,0)\in A^d$ となる.
逆に、$A^d\subset \{(0,1/m),(1/n,0),(0,0)|n,m>0\}$ となることも示す必要があります.
$(0,0),(1/n,0),(0,1/m)$ 以外の点 $(p,q)\not\in A$ を取ったときに、$(p,q)$ は $A$ の点列では近づけないことを示してください.つまり、そのような $(p,q)$ のある近傍をとれば、$A$ の元
が一つも入らないことを示せばよいのです.簡単だと思います.
(e) 有理数が実数全体の中で稠密であることを言えばよいです.言い換えれば、全ての実数 $r$ は、その任意の近傍を取れば、必ず有理数が存在することをいえばよいわけです.$r$ の近傍の中にはある $\epsilon$ 近傍が存在しますので、$(r-\epsilon,r+\epsilon)$ のなかに有理数が含まれることを言えば十分です.
(f) $x$ が $A$ の触点であるとき、 $A$ の点か、任意の近傍 $U$ において、$U\cap(A-\{x\})\neq \emptyset$ であるかということですから、距離空間の場合、近傍として、任意の $n$ に対して、$U=U(x,1/n)$ をとることができますね.これから点列を作ることができるわけです.
$x$ に収束する点列 $A$ の点列 $\{x_n\}$ を取ったときに、任意の近傍 $U\cap (A-\{x\})$ に点を作ることができます.収束するという定義を思い出してください.
問題14
次の写像 $f$ が連続であることを示せ.ただし、${\mathbb R}^n$ には普通のユークリッド距離が入っているとする.$C(I)$ 上の距離は $d(\phi,\psi) = \sup\{|\phi(x)-\psi(x)||x\in I\}$ とする.
- (d) $f : (C(I); d) \to {\mathbb R}: f(\phi) =\int_0^1(f(t)dt$
- (e) 距離空間 $(X,d)$ において、$A,B$ を互いに素な空でない閉集合とする.このとき、
$$f(x)=\frac{d(x,A)}{d(x,A)+d(x,B)}$$
が成り立つことを示せ.
(d) 問題81にも同じ問題を作ってしまったようです。どちらかで結構です.
$\phi(x)\in C(I)$ とする. $f(\phi(x))$ の近傍 $U(f(\phi(x)),\epsilon)$ に対して、$C(I)$ の近傍 $U_d(\phi,\epsilon')$ が存在して、 $f(U_d(\phi,\epsilon'))\subset U(f(\phi(x)),\epsilon)$
が成り立つことを示せ.
$U_d(\phi,\epsilon')$ の任意の関数 $\psi$ は $d(\phi,\psi)<\epsilon'$ となるが、これを言い換えれば、$\sup\{|\phi(x)-\psi(x)|\}<\epsilon'$ であり、特に、任意の $x\in I$ に対して $|\phi(x)-\psi(x)|<\epsilon'$ が成り立つ.
(e) $d(x,A)$ が連続関数であることはつかってもよい.連続関数の加減乗除も連続関数であることは使ってもよい.任意の $x$ に対して $d(x,A)+d(x,B)=0$ とはならないことを示す必要がある.
(注意) 距離空間において、互いに交わらない空ではない閉集合 $A,B$ に対して、$d(A,B)=0$ となることはあるが、$d(x,A)=d(x,B)=0$ となることはない.
問題18
$\rho$ が $X$ の非アルキメデス距離関数ならば、$U(p, \epsilon)$ は $(X,\rho)$ の閉集合となることを示せ.
(ヒント)
$X-U(p,\epsilon)$ が開集合であることを示せばよいです.
$q\not\in U(p,\epsilon)$ をとってくると、$\rho(p,q)\ge \epsilon$ を満たします.
$\rho$ は非アルキメデス距離関数の三角不等式を使って、
$q$ を中心として $\epsilon$ より小さい任意の点は、$U(p,\epsilon)$ に含まれません.
第3回の問題で残っている問題
問題22(c)
- 順序位相 $(X;\mathcal{O} )$ は位相空間となることを確かめよ.
順序位相とは、全順序集合 $(X,\le)$ に対して、この順序からくる位相 $\mathcal{O}_\le$ は
$$\mathcal{O}_{\le} = \{U \subset X|\forall x\in U,\exists a,b\in X \cup \{\pm\infty\}\text{に対して},x\in (a,b)\subset U\}$$
を満たすものとして定義されます.説明のしようがありませんが、定義に戻って示すだけだと思います.
問題24
- 次の集合の上に定義される位相の同相類を求めよ.
(1) $\{1,2\}$
(2) $\{1,2,3\}$
(1),(2)はどちらも有限点集合です.この時点で点集合上にはまだ、位相が定義されていません.位相というのは、ある集合 $X$ 上に、その部分集合族を決めたものを言います.
部分集合族というのは、$X$ 上のいくつかの部分集合をいいます.
つまり、$X$ からいくつかの部分集合を定めた点集合ということになります.
それを $\mathcal{O}$ とかきます.$\mathcal{O}$ の中には $X$ の"定められた"部分集合が全て
入っています.
$\mathcal{O}$ を位相といい、$\mathcal{O}$ の任意の元を開集合といいます.
"定められた"というのは、こちらで定める場合もあるし、ある手続きによって自然に定められている場合もあります.
別の言葉でいえば、$X$ の部分集合全体を $\mathcal{P}(X)$ とかくとき、
$\mathcal{O}\subset \mathcal{P}(X)$ となります.
また、$\mathcal{O}$ は $\mathcal{P}(X)$ の任意の部分集合を選べばよいのではなく、いくつか条件があります.
それが、位相の条件
[1], 全体集合 $X$ と空集合は $\mathcal{O}$ に入れる.
[2] 任意の有限個の開集合の共通集合も $\mathcal{O}$ の中の開集合である.
[3] 任意個の開集合の和集合も $\mathcal{O}$ の中の開集合となる.
です.
いま、$\{1,2\}$ のべき集合は、 $\mathcal{P}(X)=\{\emptyset,\{1\},\{2\},\{1,2\}\}$ の4個元からなります.個の4個の元の中から選んで開集合全体 $\mathcal{O}$ を何か作ります.
なので、$\mathcal{O}$ の候補は $2^4=16$ 個あるはずです.
しかし、位相の条件がありますから、それよりはちいさくなるかも知れません.
実際、位相の条件 [1] から、$\emptyset\in \mathcal{O}$ であるし、$\{1,2\}\in \mathcal{O}$ でなければなりませんから、4個のうち2つは確定です.他の2個の $\mathcal{P}(X)$ の元が入るかどうかを考え、それが位相の条件[2],[3]を満足するかを考える必要があります.
さらに、この問題は、同相類を求めよという問題です.
そのようにして作られたいくつかの $\mathcal{O}_1,\mathcal{O}_2,\cdots$ の
うち、$X$ の変換(一対一写像)で、さらに、$\mathcal{O},\mathcal{O}'$ にもその写像によって一対一写像写像が作れたとき、同相といって、$(X,\mathcal{O})\cong (X,\mathcal{O}') $
と書きます.類というのは、同値類の類と同じ意味で、同相類を全て求めるということは
お互い同相ではないものを区別して全て求めなさいということです.
問題25
- 有限集合上の距離空間は離散空間であることを示せ.
離散位相であることをいうには、任意の一点が開集合であることを言えば十分です.(問題26)
つまり、任意の点において、ある正の数 $\epsilon$ が存在して、距離 $\epsilon$ 以内にはその点
以外に点が存在しないことを言えばよいわけです.
また、距離空間では、任意の異なる2点の間の距離は正の数です.
問題26
位相空間X が離散空間であるためには, 一点集合がすべて開集合となることが必要十分であるこ
とを示せ.
(ヒント)
離散空間であるということは位相 $\mathcal{O}$ がべき集合 $\mathcal{P}(X)$ と一致するときを言います.なので、$\mathcal{O}$ の中に全ての一点集合が入っていないといけません.
一点集合が全て入っていれば十分であることを示す.
問題29
$(X,\mathcal{O})$ を位相空間とする.$(Y,\mathcal{O}_Y )$ をその部分空間とする.すべての $X$ の部分集合 $A$ に対して $\text{Int}_X(A) \cap Y$ が $Y$ の中で $A$ の内部になることと $Y$ が $X$ の中で開集合であることは同値であることを示せ.
(ヒント)
全ての部分集合 $A$ に対して、$\text{Int}_X(A) \cap Y=\text{Int}_Y(A)$
と
$Y$ が $X$ の開集合である.
が同値であることをを示す問題.
$A=Y$ とすると $Y$ が $X$ で開集合が導かれます.
逆は部分空間の定義と $\text{Int}(A)$ は $A$ に含まれる最大の開集合であることを使う.
問題30
$(X_1,d_1)$ および $(X_2, d_2)$ を距離空間とし、$\mathcal{O}_j$ を $d_j$ によって定まる距離位相とする.写像 $f : X_1 \to X_2$ について、$f$ が距離空間 $(X_1, d_1)$ から $(X_2,d_2)$ への連続写像であることと、$f$ が位相空間 $(X_1,\mathcal{O}_1)$ から $(X_2,O_2)$ への連続写像であることは、同等(同値)であることを確かめよ.
(ヒント)
距離空間として連続であるとは、任意の点 $x\in X_1$ に対して、任意の $\epsilon>0$ に対して、ある $\delta$ が存在して、$f(U(x,\delta))\subset U(f(x),\epsilon)$ が成り立つこと.
距離空間から定められる位相空間の任意の開集合の各点には、含まれる 開球 $U(p,\epsilon)$ が存在することを使う.
問題31,32
$X$ を任意の2(または3) 点集合上の位相空間とする.$x \in X$ に対して、$U_x$ を $x$ を含む最小の開集合とする.任意の $x, y \in X$ において、$y \in U_x$ となるとき、$x\le y$ と定義することで、$X$ 上の順序集合を明らかにせよ.
(ヒント)
問題23,24で得られた全ての位相において、$U_x$ を求め、その順序集合をハッセ図によって表す.
以前のこちらのブログ(←)に例や絵などを書きました.
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