2019年1月24日木曜日

トポロジー入門演習(第14回)

[場所1E202(月曜日4限)]

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今回は授業中、コンパクトについて一部説明をしました。
ここではコンパクトについて超基本的なことのみ書いています。

$X$ を集合とします。
$\mathcal{U}\subset \mathcal{P}(X)$ が被覆であるとは、$X=\cup\,\mathcal{U}$ となるものをいいます。
また、$(X,\mathcal{O})$ を位相空間とします。
$\mathcal{U}\subset \mathcal{O}$ かつ $X=\cup\,\mathcal{U}$ を満たすとき、$\mathcal{U}$ を開被覆といいます。
被覆 $\mathcal{U}$ が有限個の部分集合となるとき、
$\mathcal{U}$ を有限被覆といいます。
$\mathcal{U}$ が被覆であり、$\mathcal{V}\subset \mathcal{U}$ かつ、
$X=\cup\,\mathcal{V}$ となるとき、$\mathcal{V}$ を $\mathcal{U}$ の部分被覆という。
また、部分集合 $A\subset X$ の(開)被覆とは、$A\subset \cup\,\mathcal{U}$ となる
$X$ の(開)集合族のことを言います。
これは $A$ での部分位相空間がコンパクト空間であることと同値です。

コンパクト空間
位相空間 $(X,\mathcal{O})$ がコンパクトであるとは、
任意の開被覆 $\mathcal{U}$ に対して、その有限部分被覆 $\mathcal{V}$ が
存在することをいう。

この部分被覆は開集合からなるので、開被覆となります。

コンパクト空間の例は、閉区間 $[0,1]$ があります。

閉区間がコンパクトであることの証明

その証明は、以下のようにします。
背理法として、$[0,1]$ のある開被覆 $\mathcal{U}$ に対して、
$\mathcal{U}$ のどの有限部分被覆も $[0,1]$ を覆えない、
つまり、$\mathcal{U}'$ を $\mathcal{U}'\subset \mathcal{U}$ となる
任意の有限集合とします。
このとき、$\cup\,\mathcal{U}\neq [0,1]$ を満たします。
もし、$[0,1]=[0,1/2]\cup[1/2,1]$ とすると、そのどちらかは $\mathcal{U}$
において、有限部分被覆を持ちません。
もし、どちらも有限部分被覆を持ったとすると、それらの和集合をとることで
$[0,1]$ に $\mathcal{U}$ の有限部分被覆を持つことになってしまいます。

よって、有限部分被覆を持たない方の区間を $[a_1,b_1]$ とします。
つまり、$[a_1,b_1]$ は $\mathcal{U}$ の有限部分被覆を持ちません。

また、$[a_1,b_1]=[a_1,\frac{a_1+b_1}{2}]\cup[\frac{a_1+b_1}{2},b_1]$ としたとき、
$[a_1,\frac{a_1+b_1}{2}]$, $[\frac{a_1+b_1}{2},b_1]$ のどちらかには
$\mathcal{U}$ の有限部分被覆を持ちません。
というのも、もし持ったとすると、それら2つの和集合をとることで、
$[a_1,b_1]$ において $\mathcal{U}$ の有限部分被覆を持ってしまいます。
これは仮定に反します。

よって、有限部分被覆を持たない方 $[a_2,b_2]$ とします。
これを続けることで、$[0,1]\supset [a_1,b_1]\supset [a_2,b_2]\supset \cdots $
のように直径が0に収束するような区間の縮小列を作ることができます。
この区間のいずれも、$[a_n,b_n]$ において、$\mathcal{U}$ の
有限部分被覆を持ちません。

ここで、区間縮小法の原理により、$\cap_{n=1}^\infty[a_n,b_n]$ は1点からなり、
それを $x$ とします。$x\in U\in \mathcal{U}$ を選ぶと、$U$ は開集合であるから、
$(x-\epsilon,x+\epsilon)\subset U$ となる $\epsilon>0$ を見つけることができます。
さらに、数列 $\{a_n\}$ と $\{b_n\}$ は、$a_n\to x$ かつ $b_n\to x$ を満たす
数列であるから、ある $n\in {\mathbb N}$ が存在して、
$a_n,b_n\in (x-\epsilon,x+\epsilon)$ を満たします。
よって、$[a_n,b_n]\subset (x-\epsilon,x+\epsilon)\subset U\in \mathcal{U}$
であるから、これは、$[a_n,b_n]$ において、$\mathcal{U}$  の有限部分被覆を持たないことに反します。
よって、$[0,1]$ がコンパクトということになります。

他の例としては、有限集合などもコンパクトの例ですし、
コンパクト空間の直積もコンパクトになります。
直積によって性質が保存されますが、この性質は、コンパクト集合の族が無限個あっても成り立ちます(チコノフの定理)。
例えば、カントール集合は、$\{0,1\}^{\mathbb N}$ (2点集合の自然数個の積空間)
 と同相ですから、カントール集合もコンパクトということになります。
ただ、この時間では、有限直積しか習っていませんので、無限直積にに関しては
この段階ではまだでてきていません。

一般に、コンパクト集合の中の閉集合はコンパクトですから、$C\subset [0,1]$ を
3進カントール集合とすると、$C$ は閉集合ですから、$C$ がコンパクト
ということもできます。

コンパクト集合の閉集合がコンパクトであることは、容易に示すことができます。
(証明)
$A\subset X$ をコンパクト空間 $X$ の中の閉集合
とします。この時、$X\setminus A$ は開集合であるから、$A$ の任意の開被覆を $\mathcal{U}$
とする時、$\mathcal{U}\cup\{X\setminus A\}$ は $X$ の開被覆です。
$X$ のコンパクト性から、$\mathcal{U}$ の有限集合 $\mathcal{V}$ が存在して、
$\{X\setminus A\}\cup \mathcal{V}$ が $X$ を覆うことになります。
よって、$\mathcal{V}$ は $A$ の被覆になっており、$\mathcal{U}$
の部分被覆が存在することになります。
よって、$A$ はコンパクト。

連結性
位相空間 $(X,\mathcal{O})$ が連結であることの定義は、
$X$ が、$X=U\cup V$ かつ $U\cap V=\emptyset$ を満たす空ではない開集合 $U,V$ が
存在しないことを言います。

もし $X$ が連結でないとすると、ある2つの空ではない開集合
 $U,V$ が存在して、$X=U\cup V$ かつ $U\cap V=\emptyset$ となります。
よって、$U$ は開集合かつ閉集合となります。
$V$ もそうです。

よって、位相空間が連結であることは以下のように言い表すこともできます。
$X$ が連結であるとは、$X$ の開かつ閉集合 $U$ が存在したとすると、
$U=X$ もしくは、$U=\emptyset$ である。

つまり、位相空間が連結であることは、開かつ閉集合が2種類しかないことを意味します。

また、部分集合 $A\subset X$ が連結であるとは、$A$ が部分位相空間として
連結であることを指します。

基本的な性質としては、以下のものが挙げられます。
連結集合の連続像が連結。

つまり、$f:X\to Y$ が連続写像であり、$A\subset X$ が連結集合であれば、
$f(A)$ も $Y$ の連結集合となります。

また、連結集合の例で言えば、${\mathbb R}$ は
連結であるし、$[0,1]$ も連結となります。

${\mathbb R}$ が連結であることの証明は今回のプリントで
ヒント付きで出しましたので解いてみてください。

トポロジー入門演習(第13回)

[場所1E202(月曜日4限)]

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今回はハウスドルフ空間について書いておきます。
分離公理というのは、いくつかありますが、この授業ではハウスドルフ空間
を扱います。

ハウスドルフ空間
とは、$\forall p,q\in X$ に対して、ある開集合 $U,V$ が存在して、
$p\in U$, $q\in V$ かつ $U\cap V=\emptyset$ を満たすときをいう。

$p,q\in X$ に対して、$p\in U$ かつ $q\in V$ かつ $U\cap V=\emptyset$ であるような
$U,V$ が存在することを、$p,q$ が 開集合で分離するといいます。

ハウスドルフ空間の定義は、開基や近傍などの定義と比べてとても
わかりやすいものですね。
分離するの意味もよくわかります。

ハウスドルフ空間の例は距離位相空間です。
$(X,d)$ を距離空間とします。
距離位相空間 $(X,\mathcal{O}_d)$ がハウスドルフ空間であることを
示しましょう。

$x,y\in X$ を異なる2点とします。
このとき、$\delta=d(x,y)$ とすると、条件から$\delta>0$ が成り立ちます。
$B(x,\frac{\delta}{2})$, $B(y,\frac{\delta}{2})$ は
開集合で、$x,y$ を含みます。
また、
$B(x,\frac{\delta}{2})\cap B(y,\frac{\delta}{2})=\emptyset$
となります。
もし、$\neq \emptyset$ とすると、
$z\in B(x,\frac{\delta}{2})\cap B(y,\frac{\delta}{2})$
とする。三角不等式と$z\in B(x,\frac{\delta}{2})$, $z\in  B(y,\frac{\delta}{2})$
このとき、$\delta>d(x,z)+d(z,y)\ge \delta $ となり、$\delta>\delta$ は満たされないので、
矛盾します。

よって、
$B(x,\frac{\delta}{2})\cap B(y,\frac{\delta}{2})=\emptyset$
となります。

よって、距離位相空間はハウスドルフ空間になります。
つまり、ハウスドルフ空間は距離位相空間よりは弱い条件です。
距離位相空間でなくてもハウスドルフ空間となるものがあります。
また、距離空間において1点は閉集合でしたが、ハウスドルフ空間
でも1点集合は閉集合です。

位相空間 $(X,\mathcal{O})$ がハウスドルフ空間と同値な条件を挙げておきます。
・積空間 $X\times X$ の中の対角集合 $\Delta=\{(x,x)|x\in X\}$ は閉集合である。
・$\forall x\in X$ に対して $\{x\}=\cap_{V\in \mathcal{N}(x)}\bar{V}$ を満たす。
ここで、$\mathcal{N}(x)$ を $x$ の近傍全体の集合(近傍系)とします。

1つ目の同値関係は簡単に証明できるので、2つ目を示しておきます。
$(X,\mathcal{O})$ がハウスドルフ空間とします。
このとき、$\forall x\in X$ に対して、$\forall y\in X\setminus \{x\}$ に
対して、ある開集合 $U,V$ が存在して、$x\in U$ かつ $y\in V$ かつ $U\cap V= \emptyset$
を満たします。$x\in U\subset V^c$ であり、$V^c$ は閉集合であるので、
$V^c$ は $x$ での閉近傍となります。
というのも、$x$ の近傍とは、$x$ を含む開集合がその
内部に包まれるものをいいますが、$x\in U$ が開集合として $V^c$ に包まれ
ているので、$V^c$ は $x$ の閉近傍ということになります。
$y\not\in V^c$ であるので、
$y\not\in \cap_{V\in \mathcal{N}(x)}\bar{V}$ となります。
$\cap_{V\in \mathcal{N}(x)}\bar{V}$ には $x$ 以外の点は含まれないので
$\{x\}=\cap_{V\in \mathcal{N}(x)}\bar{V}$
を満たします。

逆に、$\forall x\in X$ に対して
$\{x\}=\cap_{V\in \mathcal{N}(x)}\bar{V}$
を満たすとします。
$y\in X\setminus\{x\}$ とします。
このとき、$y\not\in \cap_{V\in \mathcal{N}(x)}\bar{V}$ です。
よって、ある $\bar{V}$ が存在して、$y\not\in \bar{V}$ を満たします。
$\bar{V}$ は閉近傍である($x$ は$\bar{V}$ の内点である)ので、
ある開集合 $U$ が存在して、$x\in U\subset \bar{V}$ が存在します。
また、$(\bar{V})^c$ は開集合で、条件から、$y\in (\bar{V})^c$ を満たします。

よって、$U$ と $(\bar{V})^c$ は $x,y$ を分離する開集合なので、
$(X,\mathcal{O})$ はハウスドルフ空間となります。


以上より、閉近傍全体の共通集合が1点になるようにしなければならないかは
上の証明を見ればわかりますが、
$\{x\}=\cap_{V\in \mathcal{N}(x)}V$ の条件ではどうか?
と思うかもしれません。
この条件はハウスドルフ空間とは同値にはなりません。
ハウスドルフ空間より弱い条件になります。
この条件は、1点が閉集合となる条件( $T_1$ 公理といいます。)と同値となります。
これは自分で証明してみてください。
ちなみに、ハウスドルフ空間は $T_2$ 公理を満たす空間のことです。

$T_1$ 公理は分離公理の一種ですが、以下のように書き直すことができます。

異なる2点 $p,q\in X$ があったときに、
$p\in U$ かつ $q\not\in U$ となる開集合 $U$ が存在し、
$p\not\in V$ かつ $q\in V$ となる開集合 $V$ が存在する。

ハウスドルフ空間とは違うのは、上の $U,V$ は、$U\cap V=\emptyset$ を満たすとは
限らないということです。

トポロジー入門演習(第12回)

[場所1E202(月曜日4限)]

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今回は積空間について書いておきます。
"積"とは、直積集合の積のことです。
つまり、位相空間がいくつかあったときにその直積集合上に
位相を考えます。
つまり、$(X_i,\mathcal{O}_i)$ $i=1,2,\cdots, n$ を有限個の位相空間
とするとき、$\prod_{i=1}^nX_i=X_1\times \cdots \times X_n$ 上の位相を積位相と言います。

積空間
$(X_i,\mathcal{O}_i)$ $i=1,2,\cdots, n$ を有限個の位相空間とします。
このとき、$\mathcal{B}=\{U_1\times\cdots \times  U_n|U_i\in \mathcal{O}_i\}$ を開基とする
$\prod_{i=1}^nX_i$ 上の位相がただ一つ定まり、
それを $\prod_{i=1}^nX_i$  上の積位相と言います。
その空間を $\prod_{i=1}^n(X_i,\mathcal{O}_i)$ とかきます。
また、$\prod_{i=1}^n(X_i,\mathcal{O}_i)=(\prod_{i=1}^nX_i,\prod_{i=1}^n\mathcal{O}_i)$
とも書くことにします。
この位相空間を積位相空間と言います。

この $\prod_{i=1}^n\mathcal{O}_i$ の書き方は、集合論としての $\prod$ の意味と
違うので注意してください。
つまり、$U\in \prod_{i=1}^n\mathcal{O}_i$ であるとは、
上の $\mathcal{B}$ の部分集合 $\mathcal{B}_U$ が存在して、
$U=\cup\mathcal{B}_U$ となることとして定義されています。
$\prod_{i=1}^nX_i$ の方は通常の直積集合の意味です。

集合論としての $\prod_{i=1}^n\mathcal{O}_i$ を考えると、$U_i\in \mathcal{O}_i$
に対して、 $(U_1,\cdots, U_n)$ という元の集まりになってしまいます。

このように積位相を定義すると、わかることは、$\text{pr}_{i}:\prod_{i=1}^nX_i\to X_i$
を自然な射影( $\Leftrightarrow (x_1,\cdots, x_n)\mapsto x_i$ )として定義したとき、
$\text{pr}_i$ が連続になります。

(証明) $U_i\in \mathcal{O}_i$ とすると、$\text{pr}_i^{-1}(U_i)=X_1\times \cdots \times X_{i-1}\times  U_i\times X_{i+1}\times \cdots \times X_n$ であり、
これは、$\mathcal{B}$ の元であり、特に開集合です。
よって、開集合の逆像が開集合となったので、$\text{pr}_i$ は連続となります。


例えば、${\mathbb R}^2$ 上に、
$({\mathbb R},\mathcal{O}_{d^{(1)}})$ の2つの積位相 $({\mathbb R},\mathcal{O}_{d^{(1)}})\times ({\mathbb R},\mathcal{O}_{d^{(1)}})$ を定めることが
できます。つまり、$({\mathbb R}^2,\prod_{i=1}^2\mathcal{O}_i)$ です。
ここで、$\mathcal{O}_i=\mathcal{O}_{d^{(1)}}$ です。

一方、$\mathcal{O}_{d^{(2)}}$ として位相を入れることができます。

ここで、$d^{(n)}((x_1,\cdots, x_n),(y_1,\cdots, y_n))=\sqrt{(x_1-y_1)^2+\cdots+(x_n-y_n)^2}$
と定義をしています。

$({\mathbb R}^2,\prod_{i=1}^2\mathcal{O}_i)$ の開集合は、
$\mathcal{B}=\{U\times V|U,V\in \mathcal{O}_{d^{(1)}}\}$ のいくつかの和集合で表される
もの全体です。

$\mathcal{O}_{d^{(2)}}$ は、
$\mathcal{B}_2=\{B(x,r)|x\in {\mathbb R}^2,r>0\}$ を開基とする位相です。
ここで、$B(x,r)=\{y\in {\mathbb R}^2|d^{(2)}(x,y)<r\}$ とします。
つまり、$r$-開球体です。

命題
$({\mathbb R},\mathcal{O}_{d^{(1)}})\times ({\mathbb R},\mathcal{O}_{d^{(1)}})$
は $({\mathbb R}^2,\mathcal{O}_{d^{(2)}})$ と同相である。

証明の方針は、$\prod_{i=1}^2\mathcal{O}_i=\mathcal{O}_{d^{(2)}}$ を
集合として等しいことを示せば良い。
$({\mathbb R}^2,\mathcal{O}_{d^{(2)}})$ の開基は $\mathcal{B}_2=\{B(x,r)|x\in {\mathbb R}^2,r>0\}$ です。
まずはこれを示しておきます。

(証明)
位相空間 $(X,\mathcal{O}_1)$ と $(X,\mathcal{O}_2)$ に
対して、$\mathcal{B}_1$, $\mathcal{B}_2$ をそれらの開基とします。
$\mathcal{O}_1=\mathcal{O}_2$ であるための必要十分条件は、
$\mathcal{B}_1\subset \mathcal{O}_2$ かつ
$\mathcal{B}_2\subset \mathcal{O}_1$ を満たすことです。

なぜかというと、
$\Rightarrow$ は、
$\mathcal{B}_1\subset \mathcal{O}_1=\mathcal{O}_2$
かつ、$\mathcal{B}_2\subset \mathcal{O}_2=\mathcal{O}_1$
で、すぐ成り立ちます。
$\Leftarrow$ は、
$U\in \mathcal{O}_1$ に対して、$\forall p\in U$ にたいして $U_p\subset U$ となる $U_p\in \mathcal{B}_1$ が成り立ちます。
$\mathcal{B}_1\subset \mathcal{O}_2$ であるので、$U_p\in \mathcal{O}_2$ であるので、
$U=\cup_{p\in U}U_p$ であるから、位相の条件から、$U\in \mathcal{O}_2$ が成り立つ。
よって、$\mathcal{O}_1\subset\mathcal{O}_2$ です。

$V\in \mathcal{O}_2$ とする。$\forall q\in V$ に対して $V_q\subset V$ となる $V_q\in \mathcal{B}_2$ が成り立ちます。
$\mathcal{B}_2\subset \mathcal{O}_1$ であるので、$V_q\in \mathcal{O}_1$ であるので、
$V=\cup_{q\in V}V_q$ であるから、位相の条件から、$V\in \mathcal{O}_1$ が成り立つ。
よって、$\mathcal{O}_2\subset\mathcal{O}_1$ です。
よって、$\mathcal{O}_1=\mathcal{O}_2$      $\Box$


上の命題の証明に入りましょう。
まず、$\mathcal{B}_2\subset \prod_{i=1}^2\mathcal{O}_i$ であることを示します。
$B(x,r)=\{y|d^{(1)}(x,y)<\epsilon\}$ とします。
このとき、$\forall y\in B(x,r)$ に対して、$B(y,r')\subset B(x,r)$ となる $r'$ が
存在します。$y=(y_1,y_2)$ として、$B(y_1,\frac{r'}{\sqrt{2}})\times B(y_2,\frac{r'}{\sqrt{2}})\subset B(y,r')$ であるので、
$y\in B(y_1,\frac{r'}{\sqrt{2}})\times B(y_2,\frac{r'}{\sqrt{2}})\subset B(x,r)$ が成り立ちます。
$B(y_1,\frac{r'}{\sqrt{2}})\times B(y_2,\frac{r'}{\sqrt{2}})\in \mathcal{B}$ であるので
$B(x,r)$ は、$\prod_{i=1}^2\mathcal{O}_i$ に含まれる開集合となります。
つまり、$\mathcal{B}_2\subset \prod_{i=1}^2\mathcal{O}_i$ が成り立ちます。

次に、$\mathcal{B}\subset \mathcal{O}_{d^{(2)}}$ であることを示します。
$U\times V\in \mathcal{B}$ とします。
このとき、$U,V\in \mathcal{O}_{d^{(1)}}$ であるから、
$\forall (x,y)\in U\times V$ に対して、$B(x,r)\subset U$ かつ $B(y,r)\subset V$ となる
$r>0$ が存在します。
よって、$B(x,r)\times B(y,r)\subset U\times V$ となります。
また、$B(x,r)\times B(y,r)$ に対して、$B((x,y),r)\subset B(x,r)\times B(y,r)$
となります。
よって、$B((x,y),r)\subset U\times V$ となります。
つまり、$U\times V\in \mathcal{O}_{d^{(2)}}$ となります。