2015年12月21日月曜日

トポロジー入門演習(ヒント集4)

[場所1E103(月曜日4限)]

HPに行く.

問題69
$(X,{\frak T}_X)$, $(Y,{\frak T}_Y)$を位相空間とする.写像$(X,{\frak T}_X)\to (Y,{\frak T}_Y)$がある.次の条件は同値であることを示せ.
(1)  $f$は$(X,{\frak T}_X)$から$(Y,{\frak T}_Y)$への連続写像である.
(2)  $Y$の任意の開集合$H$に対して$f^{-1}(H)$が$X$の開集合である.
(3)  $Y$の任意の閉集合$K$に対して$f^{-1}(K)$が$X$の閉集合である.

(略解答)
(1) から (2) $f$ が連続であるとは、任意の $x\in X$ と任意の $f(x)$ の任意の近傍 $U$ において、ある $x$ の近傍 $V$ が存在して、$f(V)\subset U$ となること.
これは、(2) を意味している.なぜか?
(2) から (3) 補集合をとって考えよ.
(3) から (1) 任意の $f(x)$ とその近傍 $V$ において、$V$ に含まれる $f(x)$ の開近傍をとって(3)の条件を使うことで、$x$ に開近傍で、$V$ に写されるものが取れる. 

問題70
$(X,{\frak T}_X)$, $(Y,{\frak T}_Y)$ を位相空間とする.
写像 $(X,{\frak T}_X)\to (Y,{\frak T}_Y)$ がある.
次の条件は同値であることを示せ.
(1) $f$ は $(X,{\frak T}_X)$ から $(Y,{\frak T}_Y)$ への連続写像である.
(2) $A\subset X$ に対し、$f(\text{Cl} A)\subset \text{Cl}f(A)$ ここで、Clはそれぞれの位相空間における閉包である.
(3) $Y$ の一つの開基 $\beta$ に関する各開集合 $W$ に対し、$f^{-1}(W)$ は $X$ の開集合である.

(略解答)
(1) から (2) :$y$ が $f(A)$ の閉包であることは、任意の $y$ の近傍 $V$ に対して、$V\cap f(A)\neq \emptyset$ であることを言えばよい.
(1) と (3) の同値性: 開基の性質(全ての開集合は開基に含まれる開集合の幾つかの和集合である)を使えば自明にできる.
(2) から 問題70の(3) :$y\in V$ を閉近傍とし、$f^{-1}(V)=:A$ が閉集合であることを示す.つまり $\text{Cl}(A)=A$ を示せばよい.

(注)
配ったプリントでは、(2) の条件が $A\subset Y$ となっていましたが、正しくは、$A\subset X$ ですのでご注意 を.

問題71
$\beta$ を位相空間 $(X,{\frak T})$ の開基とする.
$\beta\cap Y=\{B\cap Y|B\in \beta\}$ は部分空間 $(Y,{\frak T}\cap Y)$ の開基となることを示せ.

(ヒント)
開基の定義と部分空間の位相の定義を思い出せ.

問題76
(引用:$X$ を位相空間 $A\subset X$ とし、$G$ は $X$ の開集合であるとする.
このとき、$\text{Cl}(A\cap G)\supset \text{Cl}(A)\cap G$ が成り立つことを示せ.
特に、 $A\cap G =\emptyset\Rightarrow \text{Cl}(A)\cap G=\emptyset $
を示せ.)
は $G$ が開集合でないと成り立たない.そのような例を挙げよ.

(略解答)
$A$ として開集合で、その集積点が $G$ に含まれるようにすればよい.


問題77
$X$を集合とする.$X$ の各部分集合 $A$ に対し $X$ の部分集合 $u(A)$ を対応させる写像$u:\rho(X)\to \rho(X)$($\rho(X)$ は $X$ のべき集合)があって
$A,B$ を $X$ の任意の部分集合とするとき、次の4条件を満たすものとする.
(i) $A\subset u(A)$
(ii) $u(u(A))=u(A)$
(iii) $u(A\cup B)=u(A)\cup u(B)$
(iv) $u(\emptyset)=\emptyset$
このとき、${\frak T}=\{X-A|A\in\rho(X),u(A)=A\}$ は $X$ の一つの位相となり、この位相空間 $(X,{\frak T})$ における閉包 $\text{Cl}(A)$ は $u(A)$ と一致する.

(略解答)
${\frak T}$ が位相となることを示せ.
$B$ が $A$ の閉包であるとは、任意の $x\in B$ と任意の近傍 $U$ に対して、$U\cap A\neq \emptyset$ となること.$x\in u(A)$ となる任意の $x$ に対して、ある $x$ の開集合 $U$ が存在して、$U\cap A=\emptyset$ であるとすると矛盾することを示す.
 $U$ は開集合なので、この補空間をとると、$u(B)=B$ となる閉集合となる.
いま、$x\not\in B$ なので、$x$ は $A^c$ に入ることになって矛盾.

(注)問題文で、${\frak T}$ の定義に $u(A)=A$ であることが抜けていました.
修正したプリントはホームページの方にアップしました.
問題78
位相空間 $(X,{\frak T})$が近傍系 ${\mathcal U}=\{{\mathcal U}(x)|x\in X\}$ によって
定められている場合、 $y\in Y$ に対して、
$${\mathcal U}(y)\cap Y=\{U\cap Y|U\in {\mathcal U}(y)\}$$
とおけば、$\mathcal{V}=\{\mathcal{U}(y)\cap Y|y\in Y\}$ は $Y$ の近傍系となり、この近傍の
定める $Y$ の位相は ${\frak T}$ によって定められる $Y$ 上の相対位相と一致することを示せ.


(ヒント)
これが $Y$ の近傍系であることはすぐに確かめられる.また、相対位相は、任意の $Y$ の開集合 $V$ は、$X$ の開集合 $U$ を使って、$V=U\cap Y$ とかけることを使う.

0 件のコメント:

コメントを投稿