PSL(2,7) という群について説明します.
体{\mathbb F}_7 について
まず、{\mathbb F}_7 を \{0,1,...,6\} からなる集合であり、その上の足し算や掛け算を普通の整数としての足し算や掛け算をしておいてから、7 で割った余りをとって得られるものとします.
0 は足し算における単位元ですが、掛け算において零元の役割を果たしています.
足し算だけ見れば、{\mathbb F}_7 は {\mathbb Z}/7{\mathbb Z} という巡回群と同型です.今は、積の構造も入っています.巡回群や群の定義、群の同型などは、ここに書きました.
また、{\mathbb F}_7 は割り算の構造も入っています.分数を取るのではなく、{\mathbb F}_7 の中で積の逆の操作ができるということです.
つまり、0 以外の元 0<a<7 をとってくると、その数は、7 と互いに素です.なので、ある整数x,y が存在して、ax-7y=1 とすることができます.
つまり、{\mathbb F}_7 での等式 ax=1 を得ることができます.よって、x が a の逆元となります.
よって、{\mathbb F}_7 の世界では、
1\cdot 1=1,\ \ 2\cdot 4=1,\ \ 3\cdot5=1
が成り立ちます.
よって、零元 0 以外の数において逆元が存在します.
このような性質をもつ集合を体といいます.
線形代数で出てくる、{\mathbb C} や {\mathbb R} は複素数体や実数体と呼ばれ、同じ性質を持っていました.ここでは元の個数が有限個の有限体ということになります.
記号の約束として、{\mathbb F}_7^\times として、逆元を持つものだけを考えた集合をさすことにします.
PSL(2,7) について
PSL(2,7) は
PSL(2,7)=\left\{\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}|a,b,c,d\in{\mathbb F}_7,ad-bc=1\right\}\Big/-I
として定義されます.I は単位行列 \begin{pmatrix}1&0\\0&1\end{pmatrix} を意味します.
2\times 2行列の各成分が {\mathbb F}_7 になっているもので、行列式が 1 であり、但し、スラッシュの後の意味は、行列全体の-I倍は無視したものを考えるということです.
無視するという同値関係 \sim を結ぶとすると、A\in PSL(2,7) においては、
A\sim -A
となります.つまり、PSL(2,7) においては、任意の行列 A に対して、-A は A と同値(同じ)だとして扱っていきます.
この群は、普通の行列の積によって群になっています.この群の位数はどうなるかというと、
-I 倍を無視しないとするときの集合 SL(2,7) の半分のはずです.どうしてかというと、SL(2,7) の元は、-I 倍してやると、必ず、各成分が -1 倍された別の元 SL(2,7) の元に移るからです.
SL(2,7) の元の個数(位数)を求めます.
\begin{pmatrix}x&a\\b&y\end{pmatrix}\ \ \ (x\neq 0)
\begin{pmatrix}0&a\\b&y\end{pmatrix}
公式を整理しておけば、
[a_n,...]=[0,0,a_n,...]
[...,a_{1}]=[...,a_1,0,0]
[...,a_{i+1},0,a_{i-1},...]=[...,a_{i+1}+a_{i-1},....]
[...,a_{i+1},a_{i},...]=[...,a_{i+1}\pm1,\pm1,a_{i-1}+\pm1,....]
体{\mathbb F}_7 について
まず、{\mathbb F}_7 を \{0,1,...,6\} からなる集合であり、その上の足し算や掛け算を普通の整数としての足し算や掛け算をしておいてから、7 で割った余りをとって得られるものとします.
0 は足し算における単位元ですが、掛け算において零元の役割を果たしています.
足し算だけ見れば、{\mathbb F}_7 は {\mathbb Z}/7{\mathbb Z} という巡回群と同型です.今は、積の構造も入っています.巡回群や群の定義、群の同型などは、ここに書きました.
また、{\mathbb F}_7 は割り算の構造も入っています.分数を取るのではなく、{\mathbb F}_7 の中で積の逆の操作ができるということです.
つまり、0 以外の元 0<a<7 をとってくると、その数は、7 と互いに素です.なので、ある整数x,y が存在して、ax-7y=1 とすることができます.
つまり、{\mathbb F}_7 での等式 ax=1 を得ることができます.よって、x が a の逆元となります.
よって、{\mathbb F}_7 の世界では、
1\cdot 1=1,\ \ 2\cdot 4=1,\ \ 3\cdot5=1
が成り立ちます.
よって、零元 0 以外の数において逆元が存在します.
このような性質をもつ集合を体といいます.
線形代数で出てくる、{\mathbb C} や {\mathbb R} は複素数体や実数体と呼ばれ、同じ性質を持っていました.ここでは元の個数が有限個の有限体ということになります.
記号の約束として、{\mathbb F}_7^\times として、逆元を持つものだけを考えた集合をさすことにします.
PSL(2,7) について
PSL(2,7) は
PSL(2,7)=\left\{\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}|a,b,c,d\in{\mathbb F}_7,ad-bc=1\right\}\Big/-I
として定義されます.I は単位行列 \begin{pmatrix}1&0\\0&1\end{pmatrix} を意味します.
2\times 2行列の各成分が {\mathbb F}_7 になっているもので、行列式が 1 であり、但し、スラッシュの後の意味は、行列全体の-I倍は無視したものを考えるということです.
無視するという同値関係 \sim を結ぶとすると、A\in PSL(2,7) においては、
A\sim -A
となります.つまり、PSL(2,7) においては、任意の行列 A に対して、-A は A と同値(同じ)だとして扱っていきます.
この群は、普通の行列の積によって群になっています.この群の位数はどうなるかというと、
-I 倍を無視しないとするときの集合 SL(2,7) の半分のはずです.どうしてかというと、SL(2,7) の元は、-I 倍してやると、必ず、各成分が -1 倍された別の元 SL(2,7) の元に移るからです.
SL(2,7) の元の個数(位数)を求めます.
\begin{pmatrix}x&a\\b&y\end{pmatrix}\ \ \ (x\neq 0)
\begin{pmatrix}0&a\\b&y\end{pmatrix}
という形を別に考えてやると、前者の方は、任意のa,b\in {\mathbb F}_7 とx\in{\mathbb F}_7^\times に対してy がただひとつ定まります.xy=1+ab となる等式を満たす y をは一意的に見つけられます.
次に後者は、y は{\mathbb F}_7 の何でもよく、a,b の方は、ab=-1 が成り立たなければなりませんので、a\in {\mathbb F}_7^\times を持ってこれば、b の方は一意に決まります.
まとめると、、前者の形の行列は、7\times 7\times 6 個あり、後者の形の行列は、7\times 6 個あります.
これらを足して、294+42=336 となります.
ゆえに、PSL(2,7) の位数はその半分の 168 となります.
PSL(2,7) の群の表示
さて、群の位数がわかったところで、この群がわかったわけではありません.その全体としての群の構造が大事なのです.
まず、SL(2,7) の生成元は、
S=\begin{pmatrix}1&1\\0&1\end{pmatrix},\ \ T=\begin{pmatrix}0&-1\\1&0\end{pmatrix}
です.よって、同値関係を入れた PSL(2,7) もそうです.
このとき、実際計算をしてやることで、
S^7=I,\ \ T^2=I,\ \ (ST)^3=I
がいえます.ここで、I と書いたのは、SL(2,7) において、-I 倍を無視して書かれています.実際の 2\times 2 行列の計算においては、この計算は -I になるかもしれません.
最後の等式は、STS=TS^{-1}T と書くこともできます.
この、S,T を何回か繰り返しかけることで全ての PSL(2,7) を表すことができるのですが、
その表示がこのページの最終目標です.
まず、T^2=I や STS=TS^{-1}T を使えば、
TS^{a_n}TS^{a_{n-1}}\cdots TS^{a_1}
と書き表すことができます.これを単に [a_n,a_{n-1},\cdots,a_1] と書くことにします.
S^7=I がありますので、この a_i は0 から 6 までの整数とすることができます.
また、この数 n のことを表示の長さということにします.
公式を整理しておけば、
[a_n,...]=[0,0,a_n,...]
[...,a_{1}]=[...,a_1,0,0]
[...,a_{i+1},0,a_{i-1},...]=[...,a_{i+1}+a_{i-1},....]
[...,a_{i+1},a_{i},...]=[...,a_{i+1}\pm1,\pm1,a_{i-1}+\pm1,....]
がいえます.
まず、[a_1] は (1,1) 成分が 0 となり、(2,1) 成分が 1 となる 7 この行列です.
つまり、
\begin{pmatrix}0&-1\\1&a_1\end{pmatrix}
となります.
次に、[a_2,a_1] は、(1,1) 成分が 6=-1 になる行列で、
\begin{pmatrix}1&-a_1\\a_2&a_1a_2-1\end{pmatrix}\sim \begin{pmatrix}-1&a_1\\-a_2&-a_1a_2+1\end{pmatrix}
となり、(a_1,a_2) が違えば、別の行列を表すことになります.
つまり、この形の行列は全部で 7\times 7=49 個あることになります.
これでもまだ、7+49=56 なので、長さが 3 の表示も考える必要があります.
[a_3,b,a_1] とすると、
b=0 とすると、上の公式を用いて、[a_1+a_3] に一致します.
b=\pm1 とすると、上の公式から、[a_1\mp1,a_2,\mp1] となり、
長さが 2 のものに帰着します.
よって、新しく現れる元は、b=2,3,4,5 に限ります.
b=2 のとき、
TS^{a_3}TS^2TS^{a_1}=\begin{pmatrix}-2&-2a_1+1\\2a_3-1&\ast\end{pmatrix}
となり、
b=3 のとき、
TS^{a_3}TS^3TS^{a_1}=\begin{pmatrix}-3&-3a_1+1\\3a_3-1&\ast\end{pmatrix}
となり、これは、今まで表示しなかった新しいものです.
また、\ast のところは、他の 3つの係数から自動的に決まります.
a_1, a_3 は何でもよいですから、この2つのパターンで 49\times 2 の元が表示できました.
またb=4,5 の場合は 成分が {\mathbb F}_7 であることから、上の b=3,2の場合にそれぞれ帰着します.
これによって、56+98=154 となり、さらにまだ表示されていないもの14あります.
それは、\begin{pmatrix}0&-2\\3&\ast\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0&-4\\5&\ast\end{pmatrix}
という形です.この \ast のところは {\mathbb F}_7 の任意の元を入れることができるので、丁度14個あります.
これらの元は、長さ4の
[0,4,2,a_1]
と
[0,5,3,a_1]
として表示することができます.
よって、これで、PSL(2,7) の元は全て長さ 4 までの数列によって表すことができました.
まとめ
まとめると、PSL(2,7) の全ての元は、
[a_1],[a_2,a_1],[a_3,2,a_1],[a_3,3,a_1],[0,4,2,a_1],[0,5,3,a_1]
と表示できることがわかります.
もう一度総数を計算してやると、
7+7\times 7+7\times 7\times 2+7+7=168
となります.
実は、この群は、有限群をいくらかの単純なブロックの積み上げとして分けたときの基本ピースの一つです.つまり、単純群です.また、5次の交代群の次に位数が高い非可換単純群でもあります.単純群であることはここでは証明しません.
頭のリハビリに成りました。多謝。室谷
返信削除読んでいただきありがとうございます。
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