レポートを採点していますが、
連続であることを示す方法がわかっていないようです.
ほとんどの人が証明をかけていません.
今回の宿題にも関わりますので少し書き方を書いておきます.
2-1の問題でやりましょう.
宿題2-1
まず、特定の近づき方のみで連続であることを述べているのは論外です.
たとえば、x を 0 にしてから y を 0 にするという近づき方で
原点に近づくときと、
y を 0 に近づいてから x を 0 に近づくときに一致するからといって
連続であるとは限りません.
2-1の問題の証明
f(x,y)=\frac{xy\sin(xy)+(x^2+y^2)\cos(x^2+y^2)}{x^2+y^2}
が1に近づくことを証明します.
何を証明すれば良いかというと、任意の (0,0) に近づく点列 (x_n,y_n) を
とったときに、
|f(x_n,y_n)-1| の値が n を十分大きくしたときに限りなく 0 に近くなることを言えばよいです.
また、2項ありますので、それぞれ収束することを示すことで、極限の和の公式を使うこともできます.
\lim_{n\to \infty }(a_n+b_n)=\lim_{n\to \infty}a_n+\lim_{n\to \infty}b_n
です.
このとき、この和公式が成り立つには、それぞれが収束していないといけません.
ここで、(0,0) に近づく任意の点列を取ります.
それを、(x_n,y_n)=(r_n\cos\theta_n,r_n\sin\theta_n) とします.
そのとき、
今、第一項は、
|\frac{r_n^2\cos\theta_n\sin\theta_n\sin(r_n^2\cos\theta_n\sin\theta_n)}{r_n^2}|=|\cos\theta_n\sin\theta_n\sin(r_n^2\cos\theta_n\sin\theta_n)|
\le| \sin(r_n^2\cos\theta_n\sin\theta_n)| (*)
ここで、z_n=r_n^2\cos\theta_n\sin\theta_n とおくと、
n\to \infty により、z_n\to 0 になります.
証明すると、
|z_n|\le r_n^2\to 0 となるので、z_n\to 0 となります.
\sin が連続関数であることを使えば、
\sin(z_n)\to 0
がいえます.
よって、|\frac{r_n^2\cos\theta_n\sin\theta_n\sin(r_n^2\cos\theta_n\sin\theta_n)}{r_n^2}|\to 0
がいえる.今、任意の点列をとって収束が示されたので、
\lim_{(x,y)\to (0,0)}\frac{xy\sin(xy)}{x^2+y^2}\to 0 が示された.
また、第2項目は、
\frac{(x^2+y^2)\cos(x^2+y^2)}{x^2+y^2}=\cos(x^2+y^2) であり、
\cos(x^2+y^2) は原点で連続です.
\cos 関数も x^2+y^2 関数も連続なので、その合成関数も連続
よって、極限も存在し、
\lim_{(x,y)\to (0,0)}\cos(x^2+y^2)=1 となる.
よって上の和公式により、\lim_{(x,y)\to (0,0)}\frac{xy\sin(xy)+(x^2+y^2)\sin(x^2+y^2)}{x^2+y^2}=1
となる.
よって連続の流れとしては、
任意の点列をとる.
(x_n,y_n)=(r_n\cos\theta_n,r_n\sin\theta_n) とする.
関数 |f(x_n,y_n)-a| がいくらでも小さい(0に近い)数列 A_n で抑えられることを示す.
つまり、|f(x_n,y_n)-a|\le A_n
たとえば、A_n=r_n や、 3r_n^2 などなど.
よって、f(x_n,y_n)\to a がいえる.
任意の点列をとっていたので、
\lim_{(x,y)\to (0,0)}f(x,y)\to a がいえる.
です.
今回の宿題にも連続性を示す箇所があるのでこのページを参考に証明を考えて下さい.
さらに、例題を追加します.
別の例題
f(x,y)=\frac{3x^2y+y^3}{x^2+y^2}
が原点でも連続であることの証明。
原点以外での連続性は、連続関数の和、積、商、合成ですので連続です.
原点での連続性を示します.
(0,0) に収束する点列 (x_n,y_n)=(r_n\cos\theta_n,r_n\sin\theta_n) とします.
この点列は、原点に収束しますので、r_n\to 0 です.
このとき、
|f(x_n,y_n)|=|\frac{3r_n^3(\cos^2\theta_n\sin\theta_n+\sin^3\theta_n)}{r^2_n}|
\le r_n|3\cos^3\theta_n\sin\theta+\sin^3\theta_n|
(ここでのポイントは絶対値をとることです。
絶対値を取らないと、たとえ右辺が 0 に収束するとしても、f(x_n,y_n) の値が負の数に向かっているというだけで、収束するともそうでないとも言っていません.
ですので、絶対値は必ずです.)
続けます.三角不等式を使うと、
\le r_n|3\cos^3\theta_n\sin\theta+\sin^3\theta_n|\le r_n(3|\cos^2\theta_n\sin\theta|+|\sin^3\theta_n|)\le 4r_n
となります.
(ここでのポイントは、右辺を何でもよいから、収束する数列で抑えることです.その際、余分な\theta_n などの収束に無関係なものが排除できるとよいです.)
よって、r_n\to 0 ですので、
|f(x_n,y_n)|\to 0 がいえます.このことから、\lim_{n\to \infty}f(x_n,y_n)=0
がいえます。
よって、任意の 0 に収束する点列 (x_n,y_n) に対して f(x_n,y_n) が収束するので、f(x,y) の (0,0) への極限が存在して、
\lim_{(x,y)\to (0,0)}f(x,y)=0
となります。
連続であることを示す方法がわかっていないようです.
ほとんどの人が証明をかけていません.
今回の宿題にも関わりますので少し書き方を書いておきます.
2-1の問題でやりましょう.
宿題2-1
まず、特定の近づき方のみで連続であることを述べているのは論外です.
たとえば、x を 0 にしてから y を 0 にするという近づき方で
原点に近づくときと、
y を 0 に近づいてから x を 0 に近づくときに一致するからといって
連続であるとは限りません.
2-1の問題の証明
f(x,y)=\frac{xy\sin(xy)+(x^2+y^2)\cos(x^2+y^2)}{x^2+y^2}
が1に近づくことを証明します.
何を証明すれば良いかというと、任意の (0,0) に近づく点列 (x_n,y_n) を
とったときに、
|f(x_n,y_n)-1| の値が n を十分大きくしたときに限りなく 0 に近くなることを言えばよいです.
また、2項ありますので、それぞれ収束することを示すことで、極限の和の公式を使うこともできます.
\lim_{n\to \infty }(a_n+b_n)=\lim_{n\to \infty}a_n+\lim_{n\to \infty}b_n
です.
このとき、この和公式が成り立つには、それぞれが収束していないといけません.
ここで、(0,0) に近づく任意の点列を取ります.
それを、(x_n,y_n)=(r_n\cos\theta_n,r_n\sin\theta_n) とします.
そのとき、
今、第一項は、
|\frac{r_n^2\cos\theta_n\sin\theta_n\sin(r_n^2\cos\theta_n\sin\theta_n)}{r_n^2}|=|\cos\theta_n\sin\theta_n\sin(r_n^2\cos\theta_n\sin\theta_n)|
\le| \sin(r_n^2\cos\theta_n\sin\theta_n)| (*)
ここで、z_n=r_n^2\cos\theta_n\sin\theta_n とおくと、
n\to \infty により、z_n\to 0 になります.
証明すると、
|z_n|\le r_n^2\to 0 となるので、z_n\to 0 となります.
\sin が連続関数であることを使えば、
\sin(z_n)\to 0
がいえます.
よって、|\frac{r_n^2\cos\theta_n\sin\theta_n\sin(r_n^2\cos\theta_n\sin\theta_n)}{r_n^2}|\to 0
がいえる.今、任意の点列をとって収束が示されたので、
\lim_{(x,y)\to (0,0)}\frac{xy\sin(xy)}{x^2+y^2}\to 0 が示された.
また、第2項目は、
\frac{(x^2+y^2)\cos(x^2+y^2)}{x^2+y^2}=\cos(x^2+y^2) であり、
\cos(x^2+y^2) は原点で連続です.
\cos 関数も x^2+y^2 関数も連続なので、その合成関数も連続
よって、極限も存在し、
\lim_{(x,y)\to (0,0)}\cos(x^2+y^2)=1 となる.
よって上の和公式により、\lim_{(x,y)\to (0,0)}\frac{xy\sin(xy)+(x^2+y^2)\sin(x^2+y^2)}{x^2+y^2}=1
となる.
よって連続の流れとしては、
任意の点列をとる.
(x_n,y_n)=(r_n\cos\theta_n,r_n\sin\theta_n) とする.
関数 |f(x_n,y_n)-a| がいくらでも小さい(0に近い)数列 A_n で抑えられることを示す.
つまり、|f(x_n,y_n)-a|\le A_n
たとえば、A_n=r_n や、 3r_n^2 などなど.
よって、f(x_n,y_n)\to a がいえる.
任意の点列をとっていたので、
\lim_{(x,y)\to (0,0)}f(x,y)\to a がいえる.
です.
今回の宿題にも連続性を示す箇所があるのでこのページを参考に証明を考えて下さい.
さらに、例題を追加します.
別の例題
f(x,y)=\frac{3x^2y+y^3}{x^2+y^2}
が原点でも連続であることの証明。
原点以外での連続性は、連続関数の和、積、商、合成ですので連続です.
原点での連続性を示します.
(0,0) に収束する点列 (x_n,y_n)=(r_n\cos\theta_n,r_n\sin\theta_n) とします.
この点列は、原点に収束しますので、r_n\to 0 です.
このとき、
|f(x_n,y_n)|=|\frac{3r_n^3(\cos^2\theta_n\sin\theta_n+\sin^3\theta_n)}{r^2_n}|
\le r_n|3\cos^3\theta_n\sin\theta+\sin^3\theta_n|
(ここでのポイントは絶対値をとることです。
絶対値を取らないと、たとえ右辺が 0 に収束するとしても、f(x_n,y_n) の値が負の数に向かっているというだけで、収束するともそうでないとも言っていません.
ですので、絶対値は必ずです.)
続けます.三角不等式を使うと、
\le r_n|3\cos^3\theta_n\sin\theta+\sin^3\theta_n|\le r_n(3|\cos^2\theta_n\sin\theta|+|\sin^3\theta_n|)\le 4r_n
となります.
(ここでのポイントは、右辺を何でもよいから、収束する数列で抑えることです.その際、余分な\theta_n などの収束に無関係なものが排除できるとよいです.)
よって、r_n\to 0 ですので、
|f(x_n,y_n)|\to 0 がいえます.このことから、\lim_{n\to \infty}f(x_n,y_n)=0
がいえます。
よって、任意の 0 に収束する点列 (x_n,y_n) に対して f(x_n,y_n) が収束するので、f(x,y) の (0,0) への極限が存在して、
\lim_{(x,y)\to (0,0)}f(x,y)=0
となります。
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