[場所1E103(金曜日5限)]
$y=2x$ が $x=a$ で連続であること.
次に、
実際、$0<\delta<-a+\sqrt{a^2+\epsilon}$ なる実数は存在します.
上と合わせれば、$\delta<\min(-a+\sqrt{a^2+\epsilon},2a)$ なる $\delta$ をとってこれば
よいのです.
よって、そのような $\delta$ をとってこれば、$|x-a|<\delta$ ならば、$|x^2-a^2|<\epsilon$
を満たすように取れます.
授業では、2次不等式の時点で、$\delta<a+\sqrt{a^2+\epsilon}$ とやってしまって、
$\delta=a$ としてしまった気がします.
$a<0$ ではどのようになるか?
$\delta<-2a$ となるような $\delta$ をとれば、
$$-2a-\delta<|x+a|<-2a+\delta$$
となり、$|x^2-a^2|<\delta(-2a+\delta)<\epsilon$ を満たす $\delta>0$ が取れるか
という問題になります.
このように連続性を $\epsilon-\delta$ を使って定義に戻るのは
大変ですから、来週以降からは、少し違った形で連続性を扱っていきます.
しかし、このように、$\epsilon-\delta$ でも議論できることは重要です.
微分法
微分法についてはあまりやりませんでしたが、春学期にやった、
積の微分法、合成関数の微分法、逆関数の微分法、などなどは
当たり前に使えておく必要があります.
今日は、逆三角関数さんに登場してもらって逆関数の微分法の復習をしました.
テイラー(マクローリン)展開の方法
テイラー展開とは関数をべき級数の無限和を使って書くことですが、
$f(x)=\frac{1}{1-x}$ などの関数は、$n$回微分を計算し、マクローリン展開の
公式に当てはめればよいでしょう.
マクローリン展開は $x=0$ でのテイラー展開のことです.
実際、$f(x)$ がマクローリン展開できるとすると、その形は、任意の $n$ に対して、
$f(x)=\sum_{k=0}^n\frac{f^{(k)}(0)}{k!}x^k+O(x^{n+1})$ となります.
スモールオーを使って書けば、
$f(x)=\sum_{k=0}^n\frac{f^{(k)}(0)}{k!}x^k+o(x^{n})$ となります.
ラージオーの意味は、$O(h(x))$ は、$h(x)$ と同程度の速さで収束(or発散)する関数のことです.
スモールオーの方は、$O(h(x))$ は、$h(x)$ より速い速さで収束(or発散)する関数のことです.
このラージオーやスモールオーはランダウの記号と呼ばれ、
私がちょうど一年前に書いた、
こちらや、こちらにかきました.
広義積分
広義積分とは、範囲に無限大を含むような積分や、関数が発散するような点を含むような
範囲での積分のことです.
通常の積分に極限操作を込みで行ったものと考えれば考えやすいかもしれません.
たとえば、
$\int_0^\infty e^{-x}dx$ などですが、考えるときは、$\lim_{a\to \infty}\int_0^ae^{-x}dx$
などと極限操作を切り離して、
$\lim_{a\to\infty}[-e^{-x}]_0^a=\lim_{a\to\infty}(-e^{-a}+1)=1$
となるわけです.
広義積分の収束について
広義積分はむやみに設定しても収束しないことがあることはわかると思います.
収束発散を示す方法は今日説明しました.
$\int_1^\infty\frac{dx}{x^s}$ や$\int_0^1\frac{dx}{x^s}$ の収束発散を使うのでした.
つまり、この収束発散の様子を使って、応用するのです.
最後に残ってしまった問題をやります.
$\int_0^1\frac{dx}{\sqrt{x+1}-1}$ でした.
$\frac{1}{x}$ との大小を比較すると、実は、
$\frac{1}{\sqrt{1+x}-1}>\frac{1}{x}\Leftrightarrow x>\sqrt{1+x}-1\Leftrightarrow \sqrt{1+x}>1$
となり、この不等式が成り立つのです.
この両方に積分をしてやることで、
$\int_0^1\frac{dx}{\sqrt{1+x}-1}>\int_0^1\frac{dx}{x}=\lim_{a\to 0}[\log x]_a^1$
となりますが、右辺は発散するので、当然左辺も発散します.
よって、広義積分 $\int_0^1\frac{dx}{\sqrt{1+x}-1}$ は発散します.
面積について
面積についてやろうと思っていたのですが、時間がありませんでした.
宿題の2番目についてですが、アステロイドで囲まれる面積を求める問題で、
アステロイドをパラメータ表示してやればできると思います.
来週やる小テストは、宿題の類題(教科書にあるもの)の中から
出す予定です.
HPに行く.
2015年度秋学期に筑波大学の物理類1年生向けに行った微積分II演習の内容を
このブログ上で書いていきたいと思います。授業中に変なことを言ったりすることもありますので、その訂正とかです.
去年も同じ授業を数学類向けに行い、そのときの様子もブログに残してありますので、
横のカテゴリーから「微積分II演習(2014)」を探して参照してみてください.
ちなみに、今日行った授業の1年前のバージョンは
http://motochans.blogspot.jp/2014/10/ii1_4.html
2015年度秋学期に筑波大学の物理類1年生向けに行った微積分II演習の内容を
このブログ上で書いていきたいと思います。授業中に変なことを言ったりすることもありますので、その訂正とかです.
去年も同じ授業を数学類向けに行い、そのときの様子もブログに残してありますので、
横のカテゴリーから「微積分II演習(2014)」を探して参照してみてください.
ちなみに、今日行った授業の1年前のバージョンは
http://motochans.blogspot.jp/2014/10/ii1_4.html
にあります.
また、今学期の手習い塾はまだ時間が決まっていないそうですが、直に始まると
思います.
さて、
今日は前期の復習をしました.
関数の連続性の復習
関数 が $x=a$ で連続であるとは、
任意の $\epsilon>0$ に対して、ある $\delta>0$ が存在して、
$|x-a|<\delta$ を満たす任意の $x$ に対して、$|f(x)-f(a)|<\epsilon$ が成り立つ.
ということです.
つまり、どんな実数 $\epsilon>0$ に対しても、「何か」を満たすような
$\delta>0$ がとれますよ.
ということを言っています.
どうしてそのことが、関数の連続性を言うのかについては、
少しだけ数学の深い内容ですし、
春学期にやっている(?)と思うので省略します.
気になる人は自分で考えてみてください.
きっとわかると思います.
この授業ではその手順の方を教えました.
授業でやった通りのことをここでもやってみます.
また、今学期の手習い塾はまだ時間が決まっていないそうですが、直に始まると
思います.
さて、
今日は前期の復習をしました.
関数の連続性の復習
関数 が $x=a$ で連続であるとは、
任意の $\epsilon>0$ に対して、ある $\delta>0$ が存在して、
$|x-a|<\delta$ を満たす任意の $x$ に対して、$|f(x)-f(a)|<\epsilon$ が成り立つ.
ということです.
つまり、どんな実数 $\epsilon>0$ に対しても、「何か」を満たすような
$\delta>0$ がとれますよ.
ということを言っています.
どうしてそのことが、関数の連続性を言うのかについては、
少しだけ数学の深い内容ですし、
春学期にやっている(?)と思うので省略します.
気になる人は自分で考えてみてください.
きっとわかると思います.
この授業ではその手順の方を教えました.
授業でやった通りのことをここでもやってみます.
$y=2x$ が $x=a$ で連続であること.
まず、任意に $\epsilon>0$ を取ります.
次に $\delta>0$ を「何か」を満たすようにうまくとる必要がありますが、
あとで $\delta$ を考える都合上先に進みます.
何を満たす $\delta$ が必要かというと、
任意の $|x-a|<\delta$ に対して、$|2x-2a|<\epsilon$ を満たす.
ような $\delta>0$ です.
式変形すると、$|x-a|<\delta$ ならば、$2|x-a|<\epsilon$ を満たすものです.
そのような $\delta$ は $\delta\le \frac{\epsilon}2$ であればよいはずです.
よってそのような $\delta$ はいくらでも取れますから、$y=2x$ は
$x=a$ で連続であることがわかります.
よってそのような $\delta$ はいくらでも取れますから、$y=2x$ は
$x=a$ で連続であることがわかります.
次は
$y=x^2$ の $x=a$ での連続性を示します.
$y=x^2$ の $x=a$ での連続性を示します.
最初に、$\epsilon>0$ を取ってきます.
次に、
$|x-a|<\delta$ ならば、$|x^2-a^2|<\epsilon$ を満たすように
$\delta>0$ が取れるかという問題です.
最初の条件は、$a-\delta<x<a+\delta$ ですから、$2a-\delta<x+a<2a+\delta$
となり、もし、$a>0$ と仮定すれば、$\delta<2a$ を満たすように $\delta$ をとって
おくことができます.
$2a-\delta<|x+a|<2a+\delta$ がいえます.
よって、
$|x^2-a^2|<(2a+\delta)\delta<\epsilon$
を満たすようにとるためには、2次不等式 $\delta^2+2a\delta-\epsilon<0$ を満たすように
$\delta$ が取れれば十分です.
実際これを解いて、
$$-a-\sqrt{a^2+\epsilon}<\delta<-a+\sqrt{a^2+\epsilon}$$
をみたすような、$\delta>0$をとってこれば、
$(2a+\delta)\delta<\epsilon$ を満たし、$|x^2-a^2|<\epsilon$ を満たします.
最初の条件は、$a-\delta<x<a+\delta$ ですから、$2a-\delta<x+a<2a+\delta$
となり、もし、$a>0$ と仮定すれば、$\delta<2a$ を満たすように $\delta$ をとって
おくことができます.
$2a-\delta<|x+a|<2a+\delta$ がいえます.
よって、
$|x^2-a^2|<(2a+\delta)\delta<\epsilon$
を満たすようにとるためには、2次不等式 $\delta^2+2a\delta-\epsilon<0$ を満たすように
$\delta$ が取れれば十分です.
実際これを解いて、
$$-a-\sqrt{a^2+\epsilon}<\delta<-a+\sqrt{a^2+\epsilon}$$
をみたすような、$\delta>0$をとってこれば、
$(2a+\delta)\delta<\epsilon$ を満たし、$|x^2-a^2|<\epsilon$ を満たします.
実際、$0<\delta<-a+\sqrt{a^2+\epsilon}$ なる実数は存在します.
上と合わせれば、$\delta<\min(-a+\sqrt{a^2+\epsilon},2a)$ なる $\delta$ をとってこれば
よいのです.
よって、そのような $\delta$ をとってこれば、$|x-a|<\delta$ ならば、$|x^2-a^2|<\epsilon$
を満たすように取れます.
授業では、2次不等式の時点で、$\delta<a+\sqrt{a^2+\epsilon}$ とやってしまって、
$\delta=a$ としてしまった気がします.
$a<0$ ではどのようになるか?
$\delta<-2a$ となるような $\delta$ をとれば、
$$-2a-\delta<|x+a|<-2a+\delta$$
となり、$|x^2-a^2|<\delta(-2a+\delta)<\epsilon$ を満たす $\delta>0$ が取れるか
という問題になります.
このように連続性を $\epsilon-\delta$ を使って定義に戻るのは
大変ですから、来週以降からは、少し違った形で連続性を扱っていきます.
しかし、このように、$\epsilon-\delta$ でも議論できることは重要です.
微分法
微分法についてはあまりやりませんでしたが、春学期にやった、
積の微分法、合成関数の微分法、逆関数の微分法、などなどは
当たり前に使えておく必要があります.
今日は、逆三角関数さんに登場してもらって逆関数の微分法の復習をしました.
テイラー(マクローリン)展開の方法
テイラー展開とは関数をべき級数の無限和を使って書くことですが、
$f(x)=\frac{1}{1-x}$ などの関数は、$n$回微分を計算し、マクローリン展開の
公式に当てはめればよいでしょう.
マクローリン展開は $x=0$ でのテイラー展開のことです.
実際、$f(x)$ がマクローリン展開できるとすると、その形は、任意の $n$ に対して、
$f(x)=\sum_{k=0}^n\frac{f^{(k)}(0)}{k!}x^k+O(x^{n+1})$ となります.
スモールオーを使って書けば、
$f(x)=\sum_{k=0}^n\frac{f^{(k)}(0)}{k!}x^k+o(x^{n})$ となります.
スモールオーの方は、$O(h(x))$ は、$h(x)$ より速い速さで収束(or発散)する関数のことです.
このラージオーやスモールオーはランダウの記号と呼ばれ、
私がちょうど一年前に書いた、
こちらや、こちらにかきました.
広義積分
広義積分とは、範囲に無限大を含むような積分や、関数が発散するような点を含むような
範囲での積分のことです.
通常の積分に極限操作を込みで行ったものと考えれば考えやすいかもしれません.
たとえば、
$\int_0^\infty e^{-x}dx$ などですが、考えるときは、$\lim_{a\to \infty}\int_0^ae^{-x}dx$
などと極限操作を切り離して、
$\lim_{a\to\infty}[-e^{-x}]_0^a=\lim_{a\to\infty}(-e^{-a}+1)=1$
となるわけです.
広義積分の収束について
広義積分はむやみに設定しても収束しないことがあることはわかると思います.
収束発散を示す方法は今日説明しました.
$\int_1^\infty\frac{dx}{x^s}$ や$\int_0^1\frac{dx}{x^s}$ の収束発散を使うのでした.
つまり、この収束発散の様子を使って、応用するのです.
最後に残ってしまった問題をやります.
$\int_0^1\frac{dx}{\sqrt{x+1}-1}$ でした.
$\frac{1}{x}$ との大小を比較すると、実は、
$\frac{1}{\sqrt{1+x}-1}>\frac{1}{x}\Leftrightarrow x>\sqrt{1+x}-1\Leftrightarrow \sqrt{1+x}>1$
となり、この不等式が成り立つのです.
この両方に積分をしてやることで、
$\int_0^1\frac{dx}{\sqrt{1+x}-1}>\int_0^1\frac{dx}{x}=\lim_{a\to 0}[\log x]_a^1$
となりますが、右辺は発散するので、当然左辺も発散します.
よって、広義積分 $\int_0^1\frac{dx}{\sqrt{1+x}-1}$ は発散します.
面積について
面積についてやろうと思っていたのですが、時間がありませんでした.
宿題の2番目についてですが、アステロイドで囲まれる面積を求める問題で、
アステロイドをパラメータ表示してやればできると思います.
来週やる小テストは、宿題の類題(教科書にあるもの)の中から
出す予定です.
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