2015年10月10日土曜日

微積分II演習(第2回)

[場所1E103(金曜日5限)]

HPに行く.

今日は、面積の公式、内点、外点、境界点、関数の極限値、関数の連続性
についてやりました.

まずは、小テストについてすが、

$\arcsin x$ のテイラー展開を求めるために、$(1+t)^\alpha$ の
テイラー展開を求める必要がありました。

これを計算するためには、2項定理
$$(1+t)^\alpha=\sum_{n=0}^\infty \binom{\alpha}{n}t^n$$
を使いました.
ここで、 この係数は、$\binom{\alpha}{n}=\frac{\alpha(\alpha-1)\cdots(\alpha-n+1)}{n!}$
です.
今の場合、$\alpha=-\frac{1}{2}$ とすると、

$$\binom{-\frac{1}{2}}{n}=\frac{-\frac{1}{2}(-\frac{1}{2}-1)\cdots(-\frac{1}{2}-n+1)}{n!}=(-1)^n\frac{1\cdot3\cdot\cdots(2n-1)}{2^n\cdot n!}$$
$$=(-1)^n\frac{(2n-1)!!}{2^n\cdot n!}=(-1)^n\frac{(2n-1)!!}{2n!!}$$

ゆえに、$(1-x^2)^{-\frac{1}{2}}=\sum_{n=0}^\infty(-1)^n\frac{(2n-1)!!}{2^nn!}(-1)^nx^{2n}$
となるので、これを積分してやって、
$$\text{arcsin}(x)=\sum_{n=0}^\infty\frac{(2n-1)!!}{2^nn!}\frac{x^{2n+1}}{2n+1}$$
となります.

面積公式

平面上の極座標表示 $(x,y)=(r\cos\theta,r\sin\theta)$ された曲線
で囲まれた部分の面積
$$r=f(\theta)$$
を求めると、公式は、
$$\frac{1}{2}\int_0^{2\pi}f(\theta)^2d\theta$$
となります.

その証明は、微小量を$\theta$ を動かしたときにできる三角形領域の
面積が、$\frac{1}{2}r^2d\theta=\frac{1}{2}f(\theta)^2d\theta$ であるからです.

この公式を使って心臓形(カージオイドと呼ばれる図形の面積を求めました)


内点、外点、境界点
復習をすると、ある部分集合 $D\subset {\mathbb R}^2$ に対して、

$D$ の内点 $p$ とは、$p$ を中心としたある半径 $\epsilon$ の円盤
$U(p,\epsilon)$ が$D$ の中に含まれるときをいいます.

$p$ の外点 $p$ とは、 ある $p$ を中心とする半径 $\epsilon$ の円盤
$U(p,\epsilon)$ が、すべて $D$ に含まれていないことをいいます.

それ以外の点のことを境界点といいます.つまり、境界点 $p$ は、
任意の $\epsilon$ に対して、$D\cap U(p,\epsilon)\neq \emptyset$ となることである.

ちなみに、授業では、$\{(x,y)|x^2+y^2\le 1\}$ を $D$ としてその内点、
外点、境界点を求めましたが、
$D$ として、$\{(x,y)|x^2+y^2<1\}$ としても同じものが内点、外点、
境界点になります.

開集合と閉集合

部分集合 $D$ が閉集合であるとは、$D$ の全ての点が内点であるような集合のことです.
また、
部分集合 $D$ が閉集合であるとは、$D$ の補集合の全ての点が $D$ の外点であることをいいます.

2変数関数の極限について

$d((x,y),(a,b))=\sqrt{(x-a)^2+(y-b)^2}$ として2点 $(x,y),(a,b)$ の距離を定義
しておきます.

2変数関数の極限 $\lim_{(x,y)\to (a,b)}f(x,y)$ が存在する(収束する)とは、

ある数 $\alpha$ が存在して、任意の $\epsilon>0$ に対して、$d((x,y),(a,b))<\delta$ ならば、$|f(x,y)-\alpha|<\epsilon$
となるような $\delta>0$ が存在すること.

です.そのような$\alpha$ のことを
極限値といい、$\lim_{(x,y)\to (a,b)}f(x,y)=\alpha$ とかきます.

よって、極限が存在する(収束する)場合、 $\alpha$ は下に書くように、
$(a,b)$ への近づき方によりません.

極限の定義として、ユークリッド空間の場合(今の場合はそれにあたりますが)
には、点列収束、つまり、任意の $(a,b)$ に収束する点列 $(x_n,y_n)\ (n=1,2.,,)$ に対して、
$(x_n,y_n)$ がある一定の値に収束することと同値になります.

したがって、$\lim_{(x,y)\to (a,b)}f(x,y)$ が存在しないとは、

ある点列 $(x_n,y_n)$ に対して、
$f(x_n,y_n)$ が収束しないか、

点列に関しては収束しても、別の点列 $(x_n',y_n')\ \ (n=1,2,...)$ をとってくると、
$f(x_n,y_n)$ と$f(x_n',y_n')$ の収束値が違う

のどちらかを言えばよいわけです.


多変数の連続性について

2変数関数 $f(x,y)$ が $(a,b)$ で連続であるとは、
その点において、上の意味で極限が存在して、

$$\lim_{(x,y)\to (a,b)}f(x,y)=f(a,b)$$

がいえることをいいます.

よって、

$f(x,y)$ が $(a,b)$ が連続であることを示すためには、

点列収束で収束した値が、$f(a,b)$ に一致すればよい.
(点列連続という)が満たされればよいわけです.

ゆえに、まず、任意の点列をとること.

$d((x_n,y_n),(a,b))\to 0$ となる点列 $\{(x_n,y_n)|n=1,2,...\}$
は、任意の $(a,b)$ に収束する点列を一つ取っています.

この点列で議論すればよいことになります.


授業中にやった例をもう一度やると、

$(0,0)$ で連続な例

$$\frac{x^3+y^3}{x^2+y^2}$$
で、$(0,0)$ に収束する点列は、必ず、$(r_n\cos\theta_n,r_n\sin\theta_n)\ \ (r_n\to 0)$ と
極座標表示できます.
そうすると、$|f(x_n,y_n)|=r_n|\cos^3\theta_n+\sin^3\theta_n|\le 2r_n\to 0$
となり、$f(x_n,y_n)$ は $0$ に収束します.
よって、連続がいえます.

$(0,0)$ で不連続な例

$$\frac{x^2-y^2}{x^2+y^2}$$
これは、あらゆる近づき方で、極限が存在します.
そこで、近づき方を変えてみて、$x$ 軸に沿った近づき方、$y$ 軸に沿った近づき方を両方
考えてみると、その収束先が違うことが分かるでしょう.


ちなみに、授業中の最後の方で解いていた、
$\frac{\log\cos(xy)}{x^2+y^2}$ の連続性の問題ですが、

$\frac{\log\cos(z_n)}{z_n}\ \ (z_n\to 0)$ が収束すればよいです.
ロピタルの定理を用いれば、$f(z)=\frac{\log\cos(z)}{z}$ が収束する
ことを言えばよい.

$\lim_{z\to }\frac{\log\cos(z)}{z}=\lim_{z\to 0}\frac{-\tan z}{1}=0$

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