2015年1月27日火曜日

微積分II演習(第13回)

[数学1 クラス対象(金曜日5限)]

今日は
  • べき級数展開
  • 広義一様収束
について演習を行いました.
べき級数(テイラー)展開
 $\sum_{n=0}^\infty a_n(z-c)^n$ のような級数をべき級数と言います.また、ある関数をこのようなべき級数の形に書くこと意をべき級数展開(テイラー展開)といいます.
このべき級数は、収束するための $z$ の範囲があり、それを収束半径と言います.
つまり、$|z-c|<r$ である $z$ に対して絶対収束するような $r$ の上限のことを収束半径と言い、その値を $R$ とすると、アダマールの公式により、 
$\frac{1}{R}=\overline{\lim}_{n\to \infty}\sqrt[n]{|a_n|}$
と計算されます.
例題13-2(1)
アダマールの定理から
$f(z)=\sum_{n=0}^\infty\frac{(-1)^n}{2n+1}z^{2n+1}$
なる級数について収束半径を求めてみると、
$\lim_{n\to \infty}\sqrt[n]{\frac{1}{2n+1}}=1$
となり、収束半径が $1$ となることがわかります.また、この極限がわからなくても、
以下の方法があります.
不等式を用いた方法
$0<r<1$ となる任意の実数 $r$ をとり、$|z|<r$ に対して、
$\sum_{n=0}^\infty \frac{|z|^{2n+1}}{2n+1}=\sum_{n=0}^\infty \frac{r^{2n+1}}{2n+1}<\sum_{n=0}^\infty r^{2n+1}=\frac{r}{1-r^2}$
となり、$\sum_{n=0}^\infty \frac{r^{2n+1}}{2n+1}$ は部分和は有界な単調増加数列なので、収束することがわかります.つまり、$\sum_{n=0}^\infty \frac{(-1)^n}{2n+1}z^{2n+1}$ は $|z|<r$ なる領域で絶対収束します.
これは、$|z|<1$ となる任意の $z$ に対してこの級数が絶対収束することを意味します.
また、$z=1$ を入れてやると、$\sum_{n=1}^\infty\frac{(-1)^n}{2n+1}$ は絶対収束しません.
というのも、
$\sum_{n=0}^m \frac{1}{2n+1}>\sum_{n=0}^m\frac{1}{2n+2}=\frac{1}{2}\sum_{n=0}^m\frac{1}{n+1}\to \infty $
が成り立つからです.
よって、収束半径の定義は絶対収束する $|z|<r$ の上限なので、収束半径が $1$ となるのです.
(最後まで詰めれば、もし、$R>1$ であるとすると、$z=1$ で絶対収束しないことに矛盾し、$R<1$ であれば、$R<r<1$ なる実数をとれば$R<|z|<r$ なる $z$ において絶対収束することに矛盾する.よって、$R=1$ となる.)
ダランベールの方法
$|\frac{a_{n+1}z^{n+1}}{a_nz^n}|=\frac{2n+1}{2n+3}|z|\to |z|$
であり、$|z|<1$ で級数は絶対収束し、$|z|>1$ で級数は発散します.
よって、収束半径は $1$ となります.
このような場合、ダランベールの方法は簡単に計算できますね.
収束半径での一般論
前回も書きましたが、収束半径内においては、べき級数を関数項級数として考えれば、広義一様収束します.また、収束半径内においては、関数項級数は項別微積分ができ、できたべき級数も同じ収束半径を持ちます.
よって、このべき級数は、$|z|<1$ において、$f'(z)=\sum_{n=0}^\infty (-1)^nz^{2n}=\sum_{n=0}^\infty(-z^2)^n=\frac{1}{1-(-z^2)}=\frac{1}{1+z^2}$ が成り立ちます.
つまり、$f(0)=0$ を考慮すれば、$f(z)=\int_0^z\frac{dt}{1+t^2}$ がいえます.
いま、$x=\tan y$とすると、
$\text{Arctan}(x)$ は$\frac{d}{dx}\text{Arctan}(x)=\frac{1}{\frac{d(\tan y)}{dy}}=\frac{1}{\frac{1}{\cos^2y}}=\frac{1}{1+\tan^2y}=\frac{1}{1+x^2}$ であるから、
これを積分し、$\text{Arctan}(0)=0$ を代入すると、$\int_0^x\frac{dt}{1+t^2}=\text{Arctan}(x)$ が成り立ちます.よって、
$$\text{Arctan}(z)=\sum_{n=0}^\infty\frac{(-1)^n}{2n+1}z^{2n+1}$$
が成り立ちます.

例題13-1(3)
$\sum_{n=0}^\infty \frac{(z+1)^n}{2^{n+1}}$ の収束半径も、
ダランベールの方法により、級数の比をとると、
$|\frac{\frac{(z+1)^n}{2^{n+1}}}{\frac{(z+1)^n}{2^n}}|=\frac{|z+1|}2$
であり、$|\frac{z+1}{2}|<1$ であれば、絶対収束し、$|\frac{z+1}{2}|>1$ であれば、発散します.
よって、収束半径は $-1$ を中心として $2$ となります.
また、この級数は各点で、等比級数なので、この収束域において和をとることができて、
$$\sum_{n=0}^\infty \frac{(z+1)^n}{2^{n+1}}=\frac{1}{1-z}$$
となります.つまり、$\frac{1}{1-z}$ を $-1$ で級数展開をしたものだったのです.
$z=0$ で級数展開すると、$\sum_{n=0}^\infty z^n$ で、同じ関数ですが、級数展開する点
を変えると級数展開も違うものになり、
収束半径は展開した点から $\frac{1}{1-z}$ で無限になる点(極と言う)までの距離に等しくなります.
つまり
$0$ で展開すれば、$|1-0|=1$ が収束半径.
$-1$ で展開すれば、$|1-(-1)|=2$ が収束半径.
また、実は
$\sum_{n=0}^\infty \frac{(-1)^n}{2n+1}z^{2n+1}$ は$z=\pm1$ で絶対収束しませんが、 $[-1,1]$ で一様収束が言えます.
というのも、次の定理をここで紹介します.
連続な関数項級数が一様収束すれば極限は連続関数ですが、その逆(極限が連続なら一様収束しているか?)は一般的には成り立ちませんが、逆が成り立つ場合があるということです.
定理(ディニ)
あるコンパクト集合(有界閉集合) $K$ 上の連続関数列 $f_n(x)$ が $K$ の各点において単調増加(もしくは単調減少)であり、ある連続関数 $f(x)$ に各点収束しているなら、$f_n(x)$ は $K$ 上で一様収束する.
例えば、例題13-2(2) $\sum_{n=0}\frac{(2n+1)!!}{(2n)!!}\frac{z^{2n+1}}{2n+1}$ は $[-1,1]$ において、連続関数 $\text{Arcsin}(x)$ に各点収束します.
ちなみに、$\sum_{n=0}^\infty\frac{(2n-1)!!}{(2n)!!}\frac{1}{2n+1}$ が収束することは

$\frac{a_n}{a_{n+1}}=\frac{(2n+2)(2n+3)}{(2n+1)^2}=1+\frac{3}{2n}-\frac{2n+3}{n(4n^2+4n+1)}$ となり、
$-\frac{2n+3}{n(4n^2+4n+1)}=O(\frac{1}{n^2})$ となることはすぐわかりますのでガウスの
判定法を用いれば、収束が言えます.

よって、ディニの定理により、
$\sum_{n=0}^\infty\frac{(2n-1)!!}{(2n)!!}\frac{z^{2n+1}}{2n+1}$ は $[-1,1]$ で一様収束することがわかります.

$\sum_{n=0}^\infty\frac{(-1)^n}{2n+1}z^{2n+1}$ は各項は交代級数なので単調増加ではありませんが、部分和を $s_n(x)$ とし、$s_{2n+1},s_{2n}$ が単調増加であるので、それぞれディニの定理を用いれば、$s_n(x)$ が$[-1,1]$ で一様収束が言えます.


級数展開について
上の級数展開
$$\text{Arctan}(z)=\sum_{n=0}^\infty \frac{(-1)^n}{2n+1}z^{2n+1}$$
は実数で考えると、右辺は収束域が$|z|<1$ および、$z=\pm1$ であるのに対して、
左辺は、全実数に対応可能です.
これは何をしているのか.

これは、恒等式ですので、ある関数を2種類の表示の仕方をしていると考えることができます.しかし表示の仕方ゆえ、その表示に意味のある領域が決まっていると考えるとよいでしょう.
級数展開をすることは、ある関数をその点の周りにだけスポットライトを当てて見るようなものです.
このスポットライトを自在に動かしながら照らしていくと、関数の本来の定義域が見えてきます.しばしば複素平面上にも拡張可能です.そのスポットライトを複素領域に最大限に拡張してやったものはリーマン面と呼ばれる複素多様体になります.詳しくは3年生で習う関数論ですね.

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