2015年1月11日日曜日

微積分II演習(第11回)

[数学1 クラス対象(金曜日5限)]

HPに行く.

今日は $n$次元球面の体積を計算しました.(途中になってしまいました.)

スカラー値の関数の線積分、面積分、体積積分についてもまとめました.
スカラー値関数とは単なる関数のことで、例えば3次元空間では、$f(x,y,z)$ のことです.

線積分はある曲線に沿った積分. 
$\int_CfdC=\int_{t_0}^{t_1}f(x(t),y(t))|C'(t)|dt$
面積分はある曲面に沿った積分.
$\int_SfdS=\int\int_Df(x(u,v),y(u,v),z(u,v))|S_u\times S_v|dudv$
体積積分はある立体に沿った積分.
$\int_VfdV=\int\int\int_Df(x(s,t,u),y(s,t,u),z(s,t,u),w(s,t,u))|V_s\wedge V_t\wedge V_u|dsdtdu$
$n$次元体積積分はある$n$次元対象に沿った積分.
$\int_VfdV=\int\int_Df(x(s,t,u,...),y(s,t,u,...),z(s,t,u,...),w(s,t,u,...),..)|V_s\wedge V_t\wedge V_u\wedge...|dsdtdu...$

この $|S_u\times S_v|dudv$ の部分は、平面 $S$ 上の微小区間で、$|S_u\times S_v|$ は $S$ 上の微小区間と、積分を実行する $(u,v)$-平面の微小区間の比を意味します.

高次元の極座標
 ${\Bbb R}^n$ の極座標は以下のようになります.
$$\begin{cases}
x_1=r\cos\theta_1\\
x_2=r\sin\theta_1\cos\theta_2\\
x_3=r\sin\theta_1\sin\theta_2\cos\theta_3\\
\cdots\\
x_{n-1}=r\sin\theta_1\cdots\sin\theta_{n-2}\cos\theta_{n-1}\\
x_n=r\sin\theta_1\cdots\sin\theta_{n-2}\sin\theta_{n-1}\end{cases}$$

これは、回転体を次々に考えることでちゃんとわかります.演習の授業でやりました。

とりあえず、演習の宿題を書くために宿題を書きます.
${\Bbb R}^4$ の中の 3次元球面 $S^3_r$ の体積を計算します.

$$S^n_r=\{(x_1,x_2,\cdots,x_{n+1})\in {\Bbb R}^{n+1}|x_1^2+x_2^2+\cdots+x_{n+1}^2=r^2\}$$
とします.また、球体の方も定義しておきます.
$$S^n_r=\{(x_1,x_2,\cdots,x_{n})\in {\Bbb R}^{n}|x_1^2+x_2^2+\cdots+x_{n}^2\le r^2\}$$

$$\begin{cases}
x=r\cos\theta_1\\
y=r\sin\theta_1\cos\theta_2\\
z=r\sin\theta_1\sin\theta_2\cos\theta_3\\
w=r\sin\theta_1\sin\theta_{2}\sin\theta_3
\end{cases}$$

としておきます.$S^3_r$ を計算します.
$V=(x,y,z,w)$ とします.それぞれのパラメータの偏微分を計算します.
$V_{\theta_1}=(x_{\theta_1},y_{\theta_1},z_{\theta_1},w_{\theta_1})$
$V_{\theta_2}=(x_{\theta_2},y_{\theta_2},z_{\theta_2},w_{\theta_2})$
$V_{\theta_3}=(x_{\theta_3},y_{\theta_3},z_{\theta_3},w_{\theta_3})$
としておきます.

さらに、
$$V_{\theta_1}\wedge V_{\theta_2}\wedge V_{\theta_3}=(X,Y,Z,W)$$
を次のように定義します.
$X=\begin{pmatrix}
y_{\theta_1}&z_{\theta_1}&w_{\theta_1}\\
y_{\theta_2}&z_{\theta_2}&w_{\theta_2}\\
y_{\theta_3}&z_{\theta_3}&w_{\theta_3}\\
\end{pmatrix}$
$Y=-\begin{pmatrix}
x_{\theta_1}&z_{\theta_1}&w_{\theta_1}\\
x_{\theta_2}&z_{\theta_2}&w_{\theta_2}\\
x_{\theta_3}&z_{\theta_3}&w_{\theta_3}\\
\end{pmatrix}$
$Z=\begin{pmatrix}
x_{\theta_1}&y_{\theta_1}&w_{\theta_1}\\
x_{\theta_2}&y_{\theta_2}&w_{\theta_2}\\
x_{\theta_3}&y_{\theta_3}&w_{\theta_3}\\
\end{pmatrix}$
$W=-\begin{pmatrix}
x_{\theta_1}&y_{\theta_1}&z_{\theta_1}\\
x_{\theta_2}&y_{\theta_2}&z_{\theta_2}\\
x_{\theta_3}&y_{\theta_3}&z_{\theta_3}\\
\end{pmatrix}$



このとき、$(3,3)$行列を次のように置きます.
$\begin{pmatrix}
V_{\theta_1}\cdot  V_{\theta_1}&V_{\theta_1}\cdot  V_{\theta_2}&V_{\theta_1}\cdot  V_{\theta_3}\\
V_{\theta_2}\cdot  V_{\theta_1}&V_{\theta_2}\cdot  V_{\theta_2}&V_{\theta_2}\cdot  V_{\theta_3}\\
V_{\theta_3}\cdot  V_{\theta_1}&V_{\theta_3}\cdot  V_{\theta_2}&V_{\theta_3}\cdot  V_{\theta_3}
\end{pmatrix}$

宿題-11-1は、
$|V_{\theta_1}\wedge V_{\theta_2}\wedge V_{\theta_3}|^2=X^2+Y^2+Z^2+W^2$
$$\det\begin{pmatrix}V_{\theta_1}\cdot  V_{\theta_1}&V_{\theta_1}\cdot  V_{\theta_2}&V_{\theta_1}\cdot  V_{\theta_3}\\V_{\theta_2}\cdot  V_{\theta_1}&V_{\theta_2}\cdot  V_{\theta_2}&V_{\theta_2}\cdot  V_{\theta_3}\\V_{\theta_3}\cdot  V_{\theta_1}&V_{\theta_3}\cdot  V_{\theta_2}&V_{\theta_3}\cdot  V_{\theta_3}\end{pmatrix}$$

に等しいことを示せ.

です.
また、この後ヤコビアンとの関係を授業では見ましたが、途中で混乱したのでここで整理しておきます.

$J=\begin{pmatrix}\cos\theta_1&\sin\theta_1\cos\theta_2&\sin\theta_1\sin\theta_2\cos\theta_3&\sin\theta_1\sin\theta_{2}\sin\theta_3\\x_{\theta_1}&y_{\theta_1}&z_{\theta_1}&w_{\theta_1}\\x_{\theta_2}&y_{\theta_2}&z_{\theta_2}&w_{\theta_2}\\x_{\theta_3}&y_{\theta_3}&z_{\theta_3}&w_{\theta_3}\\\end{pmatrix}$

この行列式 $|J|$ は
$|J|=X\cos\theta_1+Y\sin\theta_1\cos\theta_2+Z\sin\theta_1\sin\theta_2\cos\theta_3+W\sin\theta_1\sin\theta_{2}\sin\theta_3$
ですが、
$|J|=\sqrt{X^2+Y^2+Z^2+W^2}$ と等しくなります.
というのも
$|J|=(X,Y,Z,W)\cdot(\cos\theta_1,\sin\theta_1\cos\theta_2,\sin\theta_1\cos\theta_2,\sin\theta_1\sin\theta_{2}\sin\theta_3)$
です.
また、
$(\cos\theta_1,\sin\theta_1\cos\theta_2,\sin\theta_1\cos\theta_2,\sin\theta_1\sin\theta_{2}\sin\theta_3)$
は $\frac{V}{r}$ なので、$V$ の方向を向いています.
また、このベクトルは長さが $1$ であることは確認しておきましょう.

さらに、$(X,Y,Z,W)\cdot V_{\theta_1}=0$ かつ $(X,Y,Z,W)\cdot (V_{\theta_2})=0$ かつ $(X,Y,Z,W)\cdot V_{\theta_3}=0$ が成り立ちます.

何故かというと、
$(X,Y,Z,W)\cdot V_{\theta_i}=\det\begin{pmatrix}V_{\theta_i}\\V_{\theta_1}\\V_{\theta_2}\\V_{\theta_3}\end{pmatrix}$
が成り立ちます.
右辺を第1行に沿って展開してみてください.左辺が得られるはずです.
そして、$i=1,2,3$ のとき、右辺はいつでも $0$ になります.$(4,4)$ 行列に同じ行ベクトルが表れるからですが.

そうすると、$V_{\theta_1}$ と $V_{\theta_2}$ と $V_{\theta_3}$ は $S_r^3$ の3次元の接空間の方向を向いています.接空間の基底をなしています.
よって、$(X,Y,Z,W)$ は$S^3_r\subset {\Bbb R}^4$ の接平面に直交します.
つまり、$V$ に平行なわけです.

だから、内積の ${\bf u}\cdot {\bf v}=|{\bf u}||{\bf v}|\cos\theta$ の公式を用いて、
(今は$\theta=0$ です.)

$$|J|=(X,Y,Z,W)\cdot(\cos\theta_1,\sin\theta_1\cos\theta_2,\sin\theta_1\cos\theta_2,\sin\theta_1\sin\theta_{2}\sin\theta_3)=\sqrt{X^2+Y^2+Z^2+W^2}|\frac{V}{r}|=\sqrt{X^2+Y^2+Z^2+W^2}$$
となるわけです.

一般の場合も同じ定義の元
$|J|=\sqrt{X^2+Y^2+Z^2+\cdots}$
となることが予想されますね.

宿題-11-2は
一般の $n$ 次元の極座標のヤコビアンを計算してください.

帰納法で行うとよいと思います.
$S^{n-1}_r$ から回転体を作る方法から $S^n_r$ を作りましたが、
そのとき、ヤコビ行列がどのように増えたか見ることでヤコビアンを計算することができるはずです.

宿題-11-3は
同じ問題です.

前の問題はトーラスの表面積でしたが、今回は体積を計算してください.

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