前回の宿題について、
C-12-1
解答の流れ
対角化可能性について、レポートの解答に関してコメント
解答の流れ。
C-12-3
解答の流れ
和が直和になる事を示すには、${\bf v}_1\in W_\lambda,{\bf v}_2\in W_{\eta}$ を選んで、${\bf v}_1+{\bf v}_2=0$ となるとき ${\bf v}_1=0$ かつ ${\bf v}_2=0$ を示せばよいわけです.これは、$W_\lambda\cap W_\eta=\{{\bf 0}\}$ を示すことと同じです.
任意の ${\bf v}\in W_\lambda\cap W_\eta$ をとって、このベクトルが $F({\bf v})=\lambda{\bf v}$ かつ、$F({\bf v})=\eta{\bf v}$ を満たすから、$(\lambda-\eta){\bf v}=0$ をみたし、$\lambda\neq\eta$ であるから、${\bf v}=0$ が成り立つ.
レポートの解答に関するコメント
C-12-1
解答の流れ
- 実対称行列かどうか、チェック.違うので、とりあえず固有多項式を求めてみる.
(もしそうなら対角化可能.ユニタリー行列でも同じ.) - 固有多項式を求めてみると、$|tE-A|$ は3次多項式であり、相異なる3つの根をもつかどうか.チェック.違うので、固有空間の次元を求めてみる.
(もし相異なる固有値が多項式の次元分出てきたら対角化可能となる.) - 固有値は $2,-1$ であるので、それぞれ、固有空間 $W_{-1},W_2$ の次元を求める.
- 連立一次方程式を解いて、$\dim W_{-1}=1, \dim W_2=1$ ですので、$1+1\neq 3$ となり、対角化出来ないことになります.
対角化可能性について、レポートの解答に関してコメント
- 固有多項式が重解をもつからといって対角化できないとはかぎりません.
- 線形変換 $F:V\to V$ において、$W_{\lambda_1},W_{\lambda_2},\cdots,W_{\lambda_r}$ を固有空間とした時に、これらの次元の和がベクトル空間 $V$ の次元に等しくなることが $F$ の表現行列が対角化可能であるための必要十分条件です. $W_{\lambda_i}$ を定めている行列のランクの和ではありません.
- 最小多項式が重解をもたないことは対角化出来るための必要十分条件.
解答の流れ。
- $V$の基底を一つ選ぶ.($1,X,X^2$ で構わない)
- その基底に従った表現行列 $A$ を求める.
- 固有ベクトルからなる基底が存在するための必要十分条件がこの表現行列が対角化出来ることであることを確認。
- $A$ が対角化出来るかどうか判定する.
- まず、$A$ の固有多項式を計算する.
- この場合、$A$ の固有多項式は相異なる三つなので、対角化可能である.
- 固有ベクトルをそれぞれ求めれば、その3つが $V$ の基底となる.
- 数ベクトル空間に帰着させて連立方程式を求めるが、最後は$V$ の元に戻す.
例えば、基底 $1,X,X^2$ を選んだ時、数ベクトル空間に帰着させて解いたときに、$\begin{pmatrix}a_1\\a_2\\a_3\end{pmatrix}$ が答えとして出たとしても、すぐに答えとせず、$(1,X,X^2)\begin{pmatrix}a_1\\a_2\\a_3\end{pmatrix}=a_1+a_2X+a_3X^2$ と元のベクトルの表示に直しておく.
- $V$ の次元は3なのに一つのベクトルを挙げて基底だと言っているものが多数でした.
- $V$ の基底が $\begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\0\\1\end{pmatrix}$ だけだと思っている解答も多数でした.基底とは、$V$ を生成して、一次独立であれば何でも基底になります.しかも、数ベクトルであると勘違いしています.例えば、$\{X,1+X,1+X+X^2\}$ だって基底になりえます.
- $V$ は数ベクトル空間ではありませんのであたかも数ベクトルのような書き方はしないでください.一般のベクトルをある基底によって、数ベクトルと同じにみなすやり方(同型写像)があるというだけです.
- 最終的に何が基底になるのか明確に書かれていないものは△にしています
- 基底に沿って表現行列を求めることは皆よくできていました。
- 最後に $V$ の元にしていないものは△にしました.
C-12-3
解答の流れ
和が直和になる事を示すには、${\bf v}_1\in W_\lambda,{\bf v}_2\in W_{\eta}$ を選んで、${\bf v}_1+{\bf v}_2=0$ となるとき ${\bf v}_1=0$ かつ ${\bf v}_2=0$ を示せばよいわけです.これは、$W_\lambda\cap W_\eta=\{{\bf 0}\}$ を示すことと同じです.
任意の ${\bf v}\in W_\lambda\cap W_\eta$ をとって、このベクトルが $F({\bf v})=\lambda{\bf v}$ かつ、$F({\bf v})=\eta{\bf v}$ を満たすから、$(\lambda-\eta){\bf v}=0$ をみたし、$\lambda\neq\eta$ であるから、${\bf v}=0$ が成り立つ.
レポートの解答に関するコメント
- $W_\lambda+W_\eta=W_\lambda\oplus W_\eta$ であることは、定義から $W_\lambda\cap W_\eta=\{{\bf 0}\}$ を示すことと同値です.なので $W_\lambda\cap W_\eta=\{{\bf 0}\}$ を示してください.
- ベクトル空間に表現行列 $A$ を左から掛けるという表現が多く見られました.そもそも、表現行列はベクトルに掛けることはできません.
$({\bf v}_1,{\bf v}_2,\cdots,{\bf v}_n)$ などに$n\times n$ 行列を右から掛けることはできます.