[数学1 クラス対象(金曜日5限)]
HPに行く.
第6回の続きです。
陰関数定理II は第5回で説明したので、そちらを見てください.
陰関数定理III
F(x,y,z)=G(x,y,z)=0 となる空間の内の曲線 L がx からの関数のグラフとして書けるかどうかという問題がこの場合の陰関数定理です.
L の各点において、曲線が2つの曲面 S_1=\{(x,y,z)|F(x,y,z)=0\}, S_2=\{(x,y,z)|G(x,y,z)=0\} の交差によって得られているとします.
また、S_1,S_2 は各点において接平面が存在するとしましょう.
つまり、関数 w=F(x,y,z),w=G(x,y,z) の勾配ベクトルに対して (F_x,F_y,F_z)\neq (0,0,0) かつ (G_x,G_y,G_z)\neq (0,0,0) が成り立ちます.
L の接方向 {\bf v} が x-方向と直交しなければ L が x- 軸からのグラフとしてかくことができます.
つまり、x-軸からみて、傾き無限大の関数のような形になっていなければいいのです.
勾配ベクトル (F_x,F_y,F_z) (G_x,G_y,G_z) はS_1,S_2 の垂直方向(法線方向)でもありますので、
L の接線方向ベクトル {\bf v} は
{\bf v}\cdot(F_x,F_y,F_z)=0
{\bf v}\cdot(G_x,G_y,G_z)=0
を満たします.
つまり、{\bf v} は (F_x,F_y,F_z) と(G_x,G_y,G_z) の外積と平行です.
3次元ベクトル {\bf x} と{\bf y} に対して外積 {\bf x}\times {\bf y} はある3次元ベクトルを
以下のように対応させます.
その外積ベクトル {\bf x}\times {\bf y} は、{\bf x},{\bf y} に両方直交するベクトルであって、
その長さが {\bf x} と {\bf y} で作られる平行四辺形の面積に等しいものです.
よって、{\bf v} はある実数 k を使って {\bf v}=k\cdot(F_x,F_y,F_z)\times (G_x,G_y,G_z)、
と書けます.
L が x-軸からの関数にならないとすると、{\bf v} は x-軸方向 {\bf e}_1=(1,0,0) と直交します.つまり、内積でいえば、
{\bf v}\cdot {\bf e}_1=0
{\bf e}_1\cdot((F_x,F_y,F_z)\times (G_x,G_y,G_z))=0
この左辺は
\det\begin{pmatrix}1&0&0\\F_x&F_y&F_z\\G_x&G_y&G_z\end{pmatrix}
なので、結局、
\det\begin{pmatrix}1&0&0\\F_x&F_y&F_z\\G_x&G_y&G_z\end{pmatrix}=\det\begin{pmatrix}F_y&F_z\\G_y&G_z\end{pmatrix}\neq 0 が成り立てば、 L=S_1\cap S_2 がx-軸からのグラフとしてかけることになります.
ここで使われた {\bf x}\cdot ({\bf y}\times {\bf z}) がその3つのベクトルを並べた 3\times 3 行列の行列式であるということは線形代数の知識です.教科書を見ましょう.
またその曲線 L の速度ベクトル を求めると、陰関数 y=f(x), z=g(x) として、
F(x,f(x),g(x)) を微分して、
F_x+F_y\cdot f'+F_z\cdot g'=0
G_x+G_y\cdot f'+G_z\cdot g'=0
として、これをf',g' の連立方程式と思って、
\begin{pmatrix}F_y&F_z\\G_y&G_z\end{pmatrix}\begin{pmatrix}f'\\g'\end{pmatrix}=-\begin{pmatrix}F_x\\G_x\end{pmatrix}\Leftrightarrow \frac{\partial(F,G)}{\partial(y,z)}\begin{pmatrix}f'\\g'\end{pmatrix}=-\begin{pmatrix}G_z&-F_z\\-G_y&F_y\end{pmatrix}\begin{pmatrix}F_x\\G_x\end{pmatrix}
ゆえに、
\frac{\partial(F,G)}{\partial(y,z)}\begin{pmatrix}f'\\g'\end{pmatrix}=-\begin{pmatrix}F_xG_z-F_zG_x\\F_yG_x-F_xG_y\end{pmatrix}=-\begin{pmatrix}\frac{\partial(F,G)}{\partial(x,z)}\\\frac{\partial(F,G)}{\partial(y,x)}\end{pmatrix}
よって\frac{\partial(F,G)}{\partial(y,z)} を割ってやって、f',g' がそれぞれプリントの式として求まります.
例1
簡単な例ですが、円柱を斜めに平面で切ったときにできる空中の楕円について考えます.
円柱 F=(x-a)^2+(y-b)^2-1=0 と、平面 G=z-cy=0
の満たす曲線斜めの楕円が x-軸からのグラフとして書けるためには、
\det\begin{pmatrix}2(y-b)&0\\-c&1\end{pmatrix}=2(y-b)\neq 0
であればよい.
よって y=b つまり、 (x,y,z)=(a\pm1,b,cb) のとき、以外では
曲線がグラフとしてかけます.
そのときのx 座標としての速度ベクトルは、
(1,-\frac{x-a}{y-b}, -\frac{c(x-a)}{y-b})
となります.
例2
他の例では、
F(x,y,z)=x^3+y^3+z^3, G(x,y,z)=x^2+y^2+z^2-1
とすると、
\frac{\partial(F,G)}{\partial(y,z)}=6yz(y-z)
であり、y\neq 0, z\neq 0, y\neq z のときx からの関数になっています.
具体的に求めると、
(x,y.z)=(\pm\frac{1}{\sqrt{2}},0,\mp\frac{1}{\sqrt{2}}),\ (\pm\frac{1}{\sqrt{2}},\mp\frac{1}{\sqrt{2}},0),\ (\pm\frac{\sqrt{3}\sqrt[3]{2}}{3},\pm\frac{\sqrt{3}}{3},\pm\frac{\sqrt{3}}{3})
の6点になります.
この6点では、曲線上を動いたとき、x 軸から垂直になっています.
言い換えれば、この曲線を x-軸に射影してできる曲線上の関数の臨界点が
この6点ということです.
またx-軸からの写像としての速度ベクトルは、
(1,-\frac{x(x-z)}{y(y-z)},-\frac{x(y-x)}{z(y-z)})
となり、分母を払ってやれば、接線方向のベクトルは、
(yz(y-z),-xz(x-z),-xy(y-x))
となります.
第6回の続きです。
陰関数定理II は第5回で説明したので、そちらを見てください.
陰関数定理III
F(x,y,z)=G(x,y,z)=0 となる空間の内の曲線 L がx からの関数のグラフとして書けるかどうかという問題がこの場合の陰関数定理です.
L の各点において、曲線が2つの曲面 S_1=\{(x,y,z)|F(x,y,z)=0\}, S_2=\{(x,y,z)|G(x,y,z)=0\} の交差によって得られているとします.
また、S_1,S_2 は各点において接平面が存在するとしましょう.
つまり、関数 w=F(x,y,z),w=G(x,y,z) の勾配ベクトルに対して (F_x,F_y,F_z)\neq (0,0,0) かつ (G_x,G_y,G_z)\neq (0,0,0) が成り立ちます.
L の接方向 {\bf v} が x-方向と直交しなければ L が x- 軸からのグラフとしてかくことができます.
つまり、x-軸からみて、傾き無限大の関数のような形になっていなければいいのです.
勾配ベクトル (F_x,F_y,F_z) (G_x,G_y,G_z) はS_1,S_2 の垂直方向(法線方向)でもありますので、
L の接線方向ベクトル {\bf v} は
{\bf v}\cdot(F_x,F_y,F_z)=0
{\bf v}\cdot(G_x,G_y,G_z)=0
を満たします.
つまり、{\bf v} は (F_x,F_y,F_z) と(G_x,G_y,G_z) の外積と平行です.
3次元ベクトル {\bf x} と{\bf y} に対して外積 {\bf x}\times {\bf y} はある3次元ベクトルを
以下のように対応させます.
その外積ベクトル {\bf x}\times {\bf y} は、{\bf x},{\bf y} に両方直交するベクトルであって、
その長さが {\bf x} と {\bf y} で作られる平行四辺形の面積に等しいものです.
よって、{\bf v} はある実数 k を使って {\bf v}=k\cdot(F_x,F_y,F_z)\times (G_x,G_y,G_z)、
と書けます.
L が x-軸からの関数にならないとすると、{\bf v} は x-軸方向 {\bf e}_1=(1,0,0) と直交します.つまり、内積でいえば、
{\bf v}\cdot {\bf e}_1=0
{\bf e}_1\cdot((F_x,F_y,F_z)\times (G_x,G_y,G_z))=0
この左辺は
\det\begin{pmatrix}1&0&0\\F_x&F_y&F_z\\G_x&G_y&G_z\end{pmatrix}
なので、結局、
\det\begin{pmatrix}1&0&0\\F_x&F_y&F_z\\G_x&G_y&G_z\end{pmatrix}=\det\begin{pmatrix}F_y&F_z\\G_y&G_z\end{pmatrix}\neq 0 が成り立てば、 L=S_1\cap S_2 がx-軸からのグラフとしてかけることになります.
ここで使われた {\bf x}\cdot ({\bf y}\times {\bf z}) がその3つのベクトルを並べた 3\times 3 行列の行列式であるということは線形代数の知識です.教科書を見ましょう.
またその曲線 L の速度ベクトル を求めると、陰関数 y=f(x), z=g(x) として、
F(x,f(x),g(x)) を微分して、
F_x+F_y\cdot f'+F_z\cdot g'=0
G_x+G_y\cdot f'+G_z\cdot g'=0
として、これをf',g' の連立方程式と思って、
\begin{pmatrix}F_y&F_z\\G_y&G_z\end{pmatrix}\begin{pmatrix}f'\\g'\end{pmatrix}=-\begin{pmatrix}F_x\\G_x\end{pmatrix}\Leftrightarrow \frac{\partial(F,G)}{\partial(y,z)}\begin{pmatrix}f'\\g'\end{pmatrix}=-\begin{pmatrix}G_z&-F_z\\-G_y&F_y\end{pmatrix}\begin{pmatrix}F_x\\G_x\end{pmatrix}
ゆえに、
\frac{\partial(F,G)}{\partial(y,z)}\begin{pmatrix}f'\\g'\end{pmatrix}=-\begin{pmatrix}F_xG_z-F_zG_x\\F_yG_x-F_xG_y\end{pmatrix}=-\begin{pmatrix}\frac{\partial(F,G)}{\partial(x,z)}\\\frac{\partial(F,G)}{\partial(y,x)}\end{pmatrix}
よって\frac{\partial(F,G)}{\partial(y,z)} を割ってやって、f',g' がそれぞれプリントの式として求まります.
例1
簡単な例ですが、円柱を斜めに平面で切ったときにできる空中の楕円について考えます.
円柱 F=(x-a)^2+(y-b)^2-1=0 と、平面 G=z-cy=0
の満たす曲線斜めの楕円が x-軸からのグラフとして書けるためには、
\det\begin{pmatrix}2(y-b)&0\\-c&1\end{pmatrix}=2(y-b)\neq 0
であればよい.
よって y=b つまり、 (x,y,z)=(a\pm1,b,cb) のとき、以外では
曲線がグラフとしてかけます.
そのときのx 座標としての速度ベクトルは、
(1,-\frac{x-a}{y-b}, -\frac{c(x-a)}{y-b})
となります.
例2
他の例では、
F(x,y,z)=x^3+y^3+z^3, G(x,y,z)=x^2+y^2+z^2-1
とすると、
\frac{\partial(F,G)}{\partial(y,z)}=6yz(y-z)
であり、y\neq 0, z\neq 0, y\neq z のときx からの関数になっています.
具体的に求めると、
(x,y.z)=(\pm\frac{1}{\sqrt{2}},0,\mp\frac{1}{\sqrt{2}}),\ (\pm\frac{1}{\sqrt{2}},\mp\frac{1}{\sqrt{2}},0),\ (\pm\frac{\sqrt{3}\sqrt[3]{2}}{3},\pm\frac{\sqrt{3}}{3},\pm\frac{\sqrt{3}}{3})
の6点になります.
この6点では、曲線上を動いたとき、x 軸から垂直になっています.
言い換えれば、この曲線を x-軸に射影してできる曲線上の関数の臨界点が
この6点ということです.
またx-軸からの写像としての速度ベクトルは、
(1,-\frac{x(x-z)}{y(y-z)},-\frac{x(y-x)}{z(y-z)})
となり、分母を払ってやれば、接線方向のベクトルは、
(yz(y-z),-xz(x-z),-xy(y-x))
となります.
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