[物理2 クラス対象(金曜日4限)]
次元の計算
次元とは、基底の数でした.
最後にやっていたB-4-1(2)ですが、もう一度書きます.
W:=\{f(X)\in P({\Bbb C})_2|f(X)=f(1-X)\}
となるベクトル空間の次元を求める問題をやりました.
同じ問題はC問にも一つ入れました.
Xをいれても、1-X をいれても同じ多項式を探すわけですから、
X+1-X=1 や X^2+(1-X)^2=2X^2-2X+1 などはこの条件を満たします.
もちろん、X(1-X) も入れ替えても変わりません.
なので空集合ということはありません.
ベクトル f(X) を
f(X)=\begin{pmatrix}1&X&X^2\end{pmatrix}\begin{pmatrix}a_0\\a_1\\a_2\end{pmatrix}
と基底 \{1,X,X^2\} を使って表示しておきます.
a_0+a_1X+a_2X^2=a_0+a_1(1-X)+a_2(1-X)^2 なる式を整理すると、
a_1+a_2+2a_1X+2a_2X=0 となります.
係数を比べて、a_1+a_2=0 となります.比べる係数は2個ありますが
結局同じ式でした.
a_1+a_2=0 が連立方程式ですが、
一つしかありませんね.行列も1\times 3 行列で、(0\ \ 1\ \ 1)
となり、すでに簡約化されています.
先頭列でない a_0,a_2に文字 c_1,c_2 をいれて、
a_0=c_1,\ a_1=-c_2,\ a_2=c_2 とすると、
\begin{pmatrix}a_0\\a_1\\a_2\\\end{pmatrix}=c_1\begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix}+c_2\begin{pmatrix}0\\-1\\1\end{pmatrix}
となります.つまり、基底を使って元に戻せば、
W=\langle(1\ X\ X^2)\begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix},(1\ X\ X^2)\begin{pmatrix}0\\-1\\1\end{pmatrix}\rangle
=\langle 1, -X+X^2\rangle
となります.
これらが基底であることは、一次独立性は、この2つが平行でないこと、
一次結合性は、この連立方程式を解いて得られたベクトルの形であることから
明らかに成り立ちます.
ゆえに、\dim(W)=2 となります.
最初に言ったことを確認すれば、1 や、 -X+X^2=X(1-X)=\frac{X^2+(1-X)^2-1}{2}が
基底として入っていたわけです
一次独立なベクトルを最大数探すこと
いくつかのベクトルの中から一次独立なベクトルを探し出したり、一次関係を求めることが
あります.
まず、{\bf w}_1,\cdots,{\bf w}_m の中の一次独立なベクトルの最大数が r
であるとは、このなかに、r 個のベクトルが存在して、一次独立になっている.
さらに、任意の r+1 個のベクトルが一次従属であること
です.
そこで、
({\bf x}_1,\cdots,{\bf x}_m)=({\bf v}_1,\cdots,{\bf v}_n)({\bf a}_1\cdots{\bf a}_m)
と、ベクトル {\bf x}_1,\cdots,{\bf x}_m が基底 {\bf v}_1,\cdots,{\bf v}_n
を使って行列表示されているとします.(行列表示については前回のページを見てください.)
そうすると、{\bf x}_1,\cdots,{\bf x}_m と {\bf a}_1,\cdots,{\bf a}_m の一次関係は
同じになります.これを一次関係の同値性ということにします.
この意味なども前のページに書きました.
一次関係が同じということは、いくつかのベクトルたちに成り立つ一次関係式が
全て同じということです.(つまり対応する係数が同じ.)
とくに、いくつかのベクトルたちが一次独立であるという条件は同じです.
つまり、最大とれる一次独立なベクトルも同じということになります.
{\bf a}_1,\cdots,{\bf a}_m の中で一次独立なベクトルを取ればよいですが、
A=({\bf a}_1\cdots{\bf a}_m) を簡約化していって、
\begin{pmatrix} 1&0&-1&0&\cdots&\cdots\\0&1&1&0&\cdots&\cdots\\0&0&0&1&\cdots&\cdots\\ 0&\cdots&\cdots&0&\cdots&\cdots\\0&0&0&\cdots&0&1 \end{pmatrix}
となったとすれば、この、1番目、2番目、4番目、...,m番目が一次独立であることは
一目瞭然です.
行列を行で基本変形をしても、縦ベクトルにおいて一次関係の同値性が成り立ちます.
なぜかはこれの前のページに書きました.
簡約化する前の行列とした後の一次関係が同じなので、この1番目、2番目、4番目、...,m番目
は一次独立なベクトルを最大数取っていることになります.
さらに言えば、左から一次独立なベクトルを順々にとってもいます.
また、他の縦ベクトルの係数をみれば、3番目は、1番目の-1 倍と2番目の1倍を足したものに
等しいこともわかります.
よって、一次関係の同値性から {\bf a}_1,{\bf a}_2,{\bf a}_4,\cdots,{\bf a}_m が一次独立なもので最大なものであることも分かります.
宿題 C-4-2も一次独立の同値性を用いて一次独立なもの、また、一次関係を探してみてください.
数ベクトル空間でないベクトル空間の場合でも、まずは、基底を使って
行列表示してから行ってください.その縦ベクトルの中から、
一次独立なベクトルおよび、一次関係を探しましょう.
基底を延長すること
いくつかの一次独立なベクトルがあったときに、そのベクトルを延長して、基底
を作りだすことがあります.延長が存在することは教科書や講義で行っていると思います.
これを具体的に行いました.
まず、数ベクトル空間の場合に行います.
一次独立な数ベクトル
{\bf v}_1,{\bf v}_2,\cdots,{\bf v}_m があったときにそれを延長します.
そのとき、標準基底 {\bf e}_1,{\bf e}_2,\cdots,{\bf e}_n を使って、行列
A=({\bf v}_1{\bf v}_2\cdots{\bf v}_m{\bf e}_1{\bf e}_2\cdots,{\bf e}_n)
を考えます.
右の方には n\times n 単位行列があります.
やることは、一次独立なベクトルを最大数さがすことと同じです.
つまり、この行列を簡約化していって、一次独立なベクトルを探します.
簡約化してやると、一次独立なベクトルを左から順番にとっていくことになるから、この方法でいけば、
最初のm 個は必ずとることができます.
そのほかのn-m 個は標準基底の中からさがすことになります.
それを、{\bf e}_{j_1},\cdots,{\bf e}_{j_{n-m}} とすると、
{\bf v}_1,{\bf v}_2,\cdots,{\bf v}_m,{\bf e}_{j_1},\cdots,{\bf e}_{j_{n-m}}
が延長して作った V の基底ということになります.
一般のベクトル空間の一次独立なベクトルの場合も基底 \{{\bf v}_1,\cdots,{\bf v}_n\}
を一つ使って、ベクトルを行列 A と表示しておいてから、上のように単位行列 E をくっつけて
(AE) を簡約化を行ってください.
そうすると、一次独立な残りのベクトルがあぶりだされることになります.
注意として、付け加える基底は標準的なものでなくても、基底であれば
同じようにできます.
補空間
ベクトル空間 V とその部分ベクトル空間 W があったときに、V=W\oplus W'
となるような部分ベクトル空間 W' のことをW の補空間と言います.
記号 \oplus は直和を意味します.線形代数の講義では出てきたと思いますが、
演習ではまだです.(来週の予定)
要は、任意の V のベクトル {\bf v} が {\bf w}+{\bf u}\ \ {\bf w}\in W,\ {\bf u}\in W'
と一意的に分解できることを意味します.
一意性は、{\bf w}+{\bf u}={\bf w}'+{\bf u}' なら {\bf w}={\bf w'} かつ {\bf u}={\bf u}' といういみです.
このような補空間を求めるには、さっきのあぶりだしの方法を用います.
W が基底で {\bf w}_1,\cdots,{\bf w}_k 生成されているとして、基底を付け加えて
一次独立なベクトルを探した、残りの基底ベクトル \{{\bf w}_{k+1},\cdots,{\bf w}_n\}
で生成されたベクトル空間 W' が W の補空間に他なりません.
C-4-3 はこのように基底の延長をする問題なのですが、 W の方の
\langle \cdot,\cdot,\cdot\rangle は基底でかかれているわけではありませんので、
まずは、そちらから W の基底を探し出してから基底を延長して補空間の基底を
求めてください.
今日行ったことは、
- 次元の計算.
- 一次独立なベクトルの最大数.
- いくつかのベクトルから一次独立なベクトルを最大数探すこと.
- 基底を拡張すること
- 補空間
次元の計算
次元とは、基底の数でした.
最後にやっていたB-4-1(2)ですが、もう一度書きます.
W:=\{f(X)\in P({\Bbb C})_2|f(X)=f(1-X)\}
となるベクトル空間の次元を求める問題をやりました.
同じ問題はC問にも一つ入れました.
Xをいれても、1-X をいれても同じ多項式を探すわけですから、
X+1-X=1 や X^2+(1-X)^2=2X^2-2X+1 などはこの条件を満たします.
もちろん、X(1-X) も入れ替えても変わりません.
なので空集合ということはありません.
ベクトル f(X) を
f(X)=\begin{pmatrix}1&X&X^2\end{pmatrix}\begin{pmatrix}a_0\\a_1\\a_2\end{pmatrix}
と基底 \{1,X,X^2\} を使って表示しておきます.
a_0+a_1X+a_2X^2=a_0+a_1(1-X)+a_2(1-X)^2 なる式を整理すると、
a_1+a_2+2a_1X+2a_2X=0 となります.
係数を比べて、a_1+a_2=0 となります.比べる係数は2個ありますが
結局同じ式でした.
a_1+a_2=0 が連立方程式ですが、
一つしかありませんね.行列も1\times 3 行列で、(0\ \ 1\ \ 1)
となり、すでに簡約化されています.
先頭列でない a_0,a_2に文字 c_1,c_2 をいれて、
a_0=c_1,\ a_1=-c_2,\ a_2=c_2 とすると、
\begin{pmatrix}a_0\\a_1\\a_2\\\end{pmatrix}=c_1\begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix}+c_2\begin{pmatrix}0\\-1\\1\end{pmatrix}
となります.つまり、基底を使って元に戻せば、
W=\langle(1\ X\ X^2)\begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix},(1\ X\ X^2)\begin{pmatrix}0\\-1\\1\end{pmatrix}\rangle
=\langle 1, -X+X^2\rangle
となります.
これらが基底であることは、一次独立性は、この2つが平行でないこと、
一次結合性は、この連立方程式を解いて得られたベクトルの形であることから
明らかに成り立ちます.
ゆえに、\dim(W)=2 となります.
最初に言ったことを確認すれば、1 や、 -X+X^2=X(1-X)=\frac{X^2+(1-X)^2-1}{2}が
基底として入っていたわけです
一次独立なベクトルを最大数探すこと
いくつかのベクトルの中から一次独立なベクトルを探し出したり、一次関係を求めることが
あります.
まず、{\bf w}_1,\cdots,{\bf w}_m の中の一次独立なベクトルの最大数が r
であるとは、このなかに、r 個のベクトルが存在して、一次独立になっている.
さらに、任意の r+1 個のベクトルが一次従属であること
です.
そこで、
({\bf x}_1,\cdots,{\bf x}_m)=({\bf v}_1,\cdots,{\bf v}_n)({\bf a}_1\cdots{\bf a}_m)
と、ベクトル {\bf x}_1,\cdots,{\bf x}_m が基底 {\bf v}_1,\cdots,{\bf v}_n
を使って行列表示されているとします.(行列表示については前回のページを見てください.)
そうすると、{\bf x}_1,\cdots,{\bf x}_m と {\bf a}_1,\cdots,{\bf a}_m の一次関係は
同じになります.これを一次関係の同値性ということにします.
この意味なども前のページに書きました.
一次関係が同じということは、いくつかのベクトルたちに成り立つ一次関係式が
全て同じということです.(つまり対応する係数が同じ.)
とくに、いくつかのベクトルたちが一次独立であるという条件は同じです.
つまり、最大とれる一次独立なベクトルも同じということになります.
{\bf a}_1,\cdots,{\bf a}_m の中で一次独立なベクトルを取ればよいですが、
A=({\bf a}_1\cdots{\bf a}_m) を簡約化していって、
\begin{pmatrix} 1&0&-1&0&\cdots&\cdots\\0&1&1&0&\cdots&\cdots\\0&0&0&1&\cdots&\cdots\\ 0&\cdots&\cdots&0&\cdots&\cdots\\0&0&0&\cdots&0&1 \end{pmatrix}
となったとすれば、この、1番目、2番目、4番目、...,m番目が一次独立であることは
一目瞭然です.
行列を行で基本変形をしても、縦ベクトルにおいて一次関係の同値性が成り立ちます.
なぜかはこれの前のページに書きました.
簡約化する前の行列とした後の一次関係が同じなので、この1番目、2番目、4番目、...,m番目
は一次独立なベクトルを最大数取っていることになります.
さらに言えば、左から一次独立なベクトルを順々にとってもいます.
また、他の縦ベクトルの係数をみれば、3番目は、1番目の-1 倍と2番目の1倍を足したものに
等しいこともわかります.
よって、一次関係の同値性から {\bf a}_1,{\bf a}_2,{\bf a}_4,\cdots,{\bf a}_m が一次独立なもので最大なものであることも分かります.
宿題 C-4-2も一次独立の同値性を用いて一次独立なもの、また、一次関係を探してみてください.
数ベクトル空間でないベクトル空間の場合でも、まずは、基底を使って
行列表示してから行ってください.その縦ベクトルの中から、
一次独立なベクトルおよび、一次関係を探しましょう.
基底を延長すること
いくつかの一次独立なベクトルがあったときに、そのベクトルを延長して、基底
を作りだすことがあります.延長が存在することは教科書や講義で行っていると思います.
これを具体的に行いました.
まず、数ベクトル空間の場合に行います.
一次独立な数ベクトル
{\bf v}_1,{\bf v}_2,\cdots,{\bf v}_m があったときにそれを延長します.
そのとき、標準基底 {\bf e}_1,{\bf e}_2,\cdots,{\bf e}_n を使って、行列
A=({\bf v}_1{\bf v}_2\cdots{\bf v}_m{\bf e}_1{\bf e}_2\cdots,{\bf e}_n)
を考えます.
右の方には n\times n 単位行列があります.
やることは、一次独立なベクトルを最大数さがすことと同じです.
つまり、この行列を簡約化していって、一次独立なベクトルを探します.
簡約化してやると、一次独立なベクトルを左から順番にとっていくことになるから、この方法でいけば、
最初のm 個は必ずとることができます.
そのほかのn-m 個は標準基底の中からさがすことになります.
それを、{\bf e}_{j_1},\cdots,{\bf e}_{j_{n-m}} とすると、
{\bf v}_1,{\bf v}_2,\cdots,{\bf v}_m,{\bf e}_{j_1},\cdots,{\bf e}_{j_{n-m}}
が延長して作った V の基底ということになります.
一般のベクトル空間の一次独立なベクトルの場合も基底 \{{\bf v}_1,\cdots,{\bf v}_n\}
を一つ使って、ベクトルを行列 A と表示しておいてから、上のように単位行列 E をくっつけて
(AE) を簡約化を行ってください.
そうすると、一次独立な残りのベクトルがあぶりだされることになります.
注意として、付け加える基底は標準的なものでなくても、基底であれば
同じようにできます.
補空間
ベクトル空間 V とその部分ベクトル空間 W があったときに、V=W\oplus W'
となるような部分ベクトル空間 W' のことをW の補空間と言います.
記号 \oplus は直和を意味します.線形代数の講義では出てきたと思いますが、
演習ではまだです.(来週の予定)
要は、任意の V のベクトル {\bf v} が {\bf w}+{\bf u}\ \ {\bf w}\in W,\ {\bf u}\in W'
と一意的に分解できることを意味します.
一意性は、{\bf w}+{\bf u}={\bf w}'+{\bf u}' なら {\bf w}={\bf w'} かつ {\bf u}={\bf u}' といういみです.
このような補空間を求めるには、さっきのあぶりだしの方法を用います.
W が基底で {\bf w}_1,\cdots,{\bf w}_k 生成されているとして、基底を付け加えて
一次独立なベクトルを探した、残りの基底ベクトル \{{\bf w}_{k+1},\cdots,{\bf w}_n\}
で生成されたベクトル空間 W' が W の補空間に他なりません.
C-4-3 はこのように基底の延長をする問題なのですが、 W の方の
\langle \cdot,\cdot,\cdot\rangle は基底でかかれているわけではありませんので、
まずは、そちらから W の基底を探し出してから基底を延長して補空間の基底を
求めてください.
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