2016年6月27日月曜日

線形代数続論演習(第9回)続き

[場所1E103(金曜日3限)]


HPに行く.



線形代数続論演習(第9回の続きです)


ジョルダンブロックの計算の仕方

どんな感じのものを計算すればいいかわかったと思うので、
授業でやった問題をもう一度やっておきます.

A-9-1(1)

$$A=\left(
\begin{array}{ccc}
 -2 & -9 & 0 \\
 1 & 4 & 0 \\
 -2 & -6 & 1 \\
\end{array}
\right)$$

のジョルダンブロックを求めます.固有値は全て$1$ ですので、まず、べきゼロ行列
$B=A-E$ を計算し、基本変形すると、

$$B=\left(
\begin{array}{ccc}
 -3 & -9 & 0 \\
 1 & 3 & 0 \\
 -2 & -6 & 0 \\
\end{array}
\right)\to \left(
\begin{array}{ccc}
 1 & 3 & 0 \\
 0 & 0 & 0 \\
 0 & 0 & 0 \\
\end{array}
\right)$$

となり、$\text{Ker}(B)=\langle\begin{pmatrix}-3\\1\\0\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\0\\1\end{pmatrix}\rangle$
となります.
次に、$\text{Ker}(B^2)$ を求めます.ここで、$B^2$ をそのまま計算するのは面倒なので、
簡約化した行列に、右から $B$ をかけることにします.
つまり、
$$\left(
\begin{array}{ccc}
 1 & 3 & 0 \\
 0 & 0 & 0 \\
 0 & 0 & 0 \\
\end{array}
\right)\left(
\begin{array}{ccc}
 -3 & -9 & 0 \\
 1 & 3 & 0 \\
 -2 & -6 & 0 \\
\end{array}
\right)=O$$

つまり、$B^2=O$ となることがわかります.つまり、$\text{Ker}(B^2)={\mathbb C}^3$ となります.

まず、$\text{Ker}(B^2)/\text{Ker}(B)$ の基底を求めます.
ここで、商空間の基底ですから、$\text{Ker}(B)$ の補空間の基底を求めれば十分です.
なので、${\bf v}=\begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix}$ とすると、$\text{Ker}(B^2)/\text{Ker}(B)$ の基底は、$\begin{bmatrix}1\\0\\0\end{bmatrix}$

となります.商空間のベクトルはこのブラケットの方のベクトルを用いることにします.

次に、単射

$$\text{Ker}(B^2)/\text{Ker}(B)\to \text{Ker}(B)$$

により、$\text{Ker}(B)$ の基底を求めます.

先ほど作った、${\bf v}$ から、$B{\bf v}=\begin{pmatrix}-3\\1\\-2\end{pmatrix}\in\text{Ker}(B)$

このとき、$\text{Ker}(B)$ のうち、$B{\bf v}$ 以外の基底を求めます.
つまり、$B{\bf v}$ の $\text{Ker}(B)$  の補空間の基底ということですから、

${\bf u}=\begin{pmatrix}-3\\1\\0\end{pmatrix}$ ということになります.
この、${\bf u}$ は補空間であれば何でも良いですが、ここではいちばんわかりやすい
ものを取っています.(基底の中で、いちばん最初のベクトルを取っただけ.)

よって、$\langle B{\bf v},{\bf u}\rangle$ は$\text{Ker}(B)$ の基底となります.よって、
この行列 $B$ のヤング図形は、

となります.つまり、$h_1=2$ で、$h_2=1$ となります.
つまり、この行列の場合、ジョルダンブロックは2つあることになります.
横一列目の2次元 $(B{\bf v},{\bf v})$ と
横二列目の1次元 $({\bf u})$ です.

ここで、$(B{\bf v},{\bf v},{\bf u})$ とおき、できた行列を $P$ とすると、

$$B(B{\bf v},{\bf v},{\bf u})=(B^2{\bf v},B{\bf v},B{\bf u})=(B{\bf v},{\bf v},{\bf u})\left(
\begin{array}{ccc}
 0 & 1 & 0 \\
 0 & 0 & 0 \\
 0 & 0 & 0 \\
\end{array}
\right)$$
となります.
つまり、$BP=P\left(
\begin{array}{ccc}
 0 & 1 & 0 \\
 0 & 0 & 0 \\
 0 & 0 & 0 \\
\end{array}
\right)$
です.よって、$P^{-1}BP=\left(
\begin{array}{ccc}
 0 & 1 & 0 \\
 0 & 0 & 0 \\
 0 & 0 & 0 \\
\end{array}
\right)$ となり、$B=A-E$ を戻せば、
$P^{-1}(A-E)P=P^{-1}AP-E=\left(
\begin{array}{ccc}
 0 & 1 & 0 \\
 0 & 0 & 0 \\
 0 & 0 & 0 \\
\end{array}
\right)$

なので、
$$P^{-1}AP=\left(
\begin{array}{ccc}
 1 & 1 & 0 \\
 0 & 1 & 0 \\
 0 & 0 & 1 \\
\end{array}
\right)$$

となります.よって、ジョルダンブロック行列
$\left(
\begin{array}{ccc}
 1 & 1  \\
 0 & 1
\end{array}
\right)$ と $(1)$

が出てきました.

A-9-1(2)

次の例は
$$\left(
\begin{array}{ccc}
 3 & 1 & -2 \\
 -1 & 1 & 1 \\
 2 & 1 & -1 \\
\end{array}
\right)$$

でした.これも固有値が全て1です.

$$B=A-E=\left(
\begin{array}{ccc}
 2 & 1 & -2 \\
 -1 & 0 & 1 \\
 2 & 1 & -2 \\
\end{array}
\right)$$

であり、簡約化して、$\text{Ker}(B)$ を求めると、

$$B\to \left(
\begin{array}{ccc}
 1 & 0 & -1 \\
 0 & 1 & 0 \\
 0 & 0 & 0 \\
\end{array}
\right)$$

であり、$\text{Ker}(B)=\langle\begin{pmatrix}1\\0\\1\end{pmatrix}\rangle$
となります.同じように、$B^2$ を簡約化した行列は、$\left(
\begin{array}{ccc}
 1 & 0 & -1 \\
 0 & 0 & 0 \\
 0 & 0 & 0 \\
\end{array}
\right)$

となります.よって、
$\text{Ker}(B^2)=\langle\begin{pmatrix}1\\0\\1\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix}\rangle$

となります.
また、行列のサイズは $n=3$ なので、$B^3=O$ となり、$d=3$ です.
つまり、$\text{Ker}(B^3)/\text{Ker}(B^2)$ の基底をまず求めます.
$$\langle\begin{pmatrix}1\\0\\1\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix}\rangle$$
の補空間なので、${\bf v}=\begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix}$ で十分です.

よって、ジョルダンブロックに適した基底は、$(B^2{\bf v},B{\bf v},{\bf v})$
となり、ヤング図形は

となります.$h_1=h_2=h_3=1$ であり、ジョルダンブロックは
一つだけです.
同じように、この基底によって、$B$ を表現すると、

$$P^{-1}BP=\left(
\begin{array}{ccc}
 0 & 1 & 0 \\
 0 & 0 & 1 \\
 0 & 0 & 0 \\
\end{array}
\right)$$

となり、$A$ の表現行列は、

$$P^{-1}AP=\left(
\begin{array}{ccc}
 1 & 1 & 0 \\
 0 & 1 & 1 \\
 0 & 0 & 1 \\
\end{array}
\right)$$

となります.

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