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2016年6月26日日曜日

微積分I演習(第9回)

[場所1E101(水曜日4限)]
今日は
  • 積分計算

を行いました.
リーマン積分についてや、リーマン積分可能などの定義については、
授業で行っていますので省略です.
感じとしては、積分可能のほうが、微分可能よりも条件としては緩やかです.
ただし、有限閉区間内ですが.
無限区間や、開区間上の積分はこのあとでやります.
そのような状況では、閉区間内の積分の極限としてえられます.

\int f(x)dx
f(x) の原始関数を求める操作を表し、その答えは
\int f(x)dx=F(x)+C
のようになります.求めた関数 F(x)原始関数といいます.
それに、積分定数 C がつきます.これは、定数関数を微分すると、0 であり、
積分定数だけ関数をずらしても、同じ関数 f(x) の原始関数となるからです.
このような積分を不定積分といいます.

F(x)f(x) の原始関数とすると、\int_a^bf(x)dx
\int_a^bf(x)dx=[F(x)]_a^b=F(b)-F(a)
のように計算したものとします.これを定積分といいます.

ここでは、積分の手法をおさらいしておきます.

部分積分

部分積分とは、\int_a^bf(x)g(x)dx の形の計算で
\int_a^bf(x)g(x)dx=[F(x)g(x)]_a^b-\int_a^bF(x)g'(x)dx
となります.ここで、F(x)f(x) の原始関数つまり F'(x)=f(x)
となる関数です.

部分積分法は要するに、積の微分法とみなされますが、一般に、

f(x)g(x) のうち
一方を微分していくと積分がやさしくなり、
もう一方を積分していっても積分がやさしくなる

ような積 f(x)g(x) になっている場合に役立ちます.

例えば、\int_0^{\pi/2}x^2\cos xdx のような積分計算では、x^2
微分し続けると定数にまでなりますので、こちらを微分することになります.
よって、

\int_0^{\pi/2}x^2\cos xdx=[x^2\sin x]_0^{\frac{\pi}{2}}-\int_0^{\frac{\pi}{2}}2x\sin xdx
=(\frac{\pi}{2})^2-2\left([-x\cos x]_0^{\frac{\pi}{2}}-\int_0^{\frac{\pi}{2}}(-\cos x)dx\right)=(\frac{\pi}{2})^2-2[\sin x]_0^{\frac{\pi}{2}}=\frac{\pi^2}{4}-2

と計算できます.

置換積分

これは、\int_a^bf(g(x))g'(x)dx のような積分を X=g(x) とおいて、dX=g'(x)dx と置き換えることで、
\int_a^bf(g(x))g'(x)dx=\int_{g(a)}^{g(b)}f(X)dX

として計算する方法です.合成関数の微分法をそのまま積分したような形と思えばよいでしょう.
例えば、

\int_0^{\frac{\pi}{4}}\frac1{\cos x}dx のような積分計算で、この場合、
\int_0^{\frac{\pi}{4}}\frac{\cos x}{1-\sin^2x}dx=\int_0^{\frac{1}{\sqrt{2}}}\frac{dX}{1-X^2}
置換されます.ここで、 X=\sin x とおいておけば、dX=\cos x dx となります.
あとは、有理関数の積分法で、テイラー展開のときにやった、部分分数分解を用いて、
以下のようにします.

\frac{1}{2}\int_0^{\frac{1}{\sqrt{2}}}\left(\frac{1}{1-X}+\frac{1}{1+X}\right)dX=\frac{1}{2}[-\log (1-X)+\log(1+X)]_0^{\frac{1}{\sqrt{2}}}
=\frac{1}{2}\left(-\log(1-\frac{1}{\sqrt{2}})+\log(1+\frac{1}{\sqrt{2}})\right)=\frac{1}{2}\log\frac{\sqrt{2}+1}{\sqrt{2}-1}=\log(1+\sqrt{2})
となります.また、\log(x+\sqrt{1+x^2})=\text{arsinh}(x) なので、この値は、\text{arsinh}(1) とも書かれます.
また、\text{artanh}(x)'=\frac{1}{1-x^2} ですので、この積分は、そのまま \text{artanh}(\frac{1}{\sqrt{2}}) と書いてもよいでしょう.
つまり、一般に、\int_{0}^x\frac{dt}{1-t^2}=\text{artanh}(x)=\frac{1}{2}\log\left(\frac{1+x}{1-x}\right) となります.

有理関数の積分

前回と同様、有理関数 \frac{f(x)}{g(x)} を積分するには、
f(x)g(x) で割っておいてそれを部分分数に展開をしてから積分をします.

そのとき、\frac{1}{(x-a)^n} のような項は、
n>1 の場合は、
\int\frac{1}{(x-a)^n}dx=-\frac1{n-1}\frac{1}{(x-a)^{n-1}}+C
であり、
n=1 の場合は、
\int\frac{1}{x-a}dx=\log(x-a)+C
と積分できます.

また、g(x) が複素根を持つ場合、必ず2次多項式までは実数の範囲で分解できますが、
それ以上は実数では分解はできません.
たとえば、それが、x^2+ax+b とします.x^2 の係数はわっておけば、1にできます.
つまり、\int\frac{dx}{x^2+ax+b} のような積分を考えます.
特に、この多項式は複素根を持つので、a^2-4b<0 となります.

この式を平方完成をして、(x+\frac{a}{2})^2+\frac{4b-a^2}{4} とできますが、
X=\frac{2}{\sqrt{4b-a^2}}(x+\frac{a}{2}) とおくと、このしきは、
\frac{4b-a^2}{4}(X^2+1) のようにすることができますので、積分は

\int\frac{dx}{x^2+ax+b}=\frac{2}{\sqrt{4b-a^2}}\int\frac{dX}{X^2+1}=\frac{2}{\sqrt{4b-a^2}}\text{arctan}(X)+C=\frac{2}{\sqrt{4b-a^2}}\text{arctan}\left(\frac{2}{\sqrt{4b-a^2}}(x+\frac{a}{2})\right)+C
となります.
また、
\frac{x+1}{x^2+1} のように、分子が1次式が残る場合は、
\frac{1}{2}\frac{2x}{x^2+1}+\frac{1}{x^2+1}
のように、分解して、

\frac{1}{2}\log(x^2+1)+\text{arctan}(x)+C

となります.
このようにして、実係数の有理関数はこのようにして全て計算することができるようになります.

三角関数の逆関数の積分

他に積分できるものとして、以下のものもあります.
他に、指数関数や三角関数、対数関数などありますが、ここでは省略します.

\int\frac{dx}{\sqrt{1-x^2}}=\arcsin x+C
\int\frac{dx}{\sqrt{1+x^2}}=\text{arcsinh} x+C
他に、\int\sqrt{1-x^2}dx\int\sqrt{1+x^2}dx などもありますが、
これらは、x=\sin tx=\sinh t などで置換して見てください.
計算することができます.





\frac{1}{(x+2)(x^2+1)} を積分します.
まず、部分分数分解し、積分できる形に直すと、

\frac{1}{5}\frac{1}{x+2}-\frac{1}{10}\frac{2x}{x^2+1}+\frac{2}{5}\frac{1}{x^2+1}

となります.よって、
この積分は、
\int\frac{dx}{(x+2)(x^2+1)}=\frac{1}{5} \text{log}(2+x)-\frac{1}{10} \text{log}(1+x^2)+\frac{2}{5} \text{arctan}(x)
となります.

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