[場所1E103(金曜日3限)]
HPに行く.
今日は
計算の方は、こちらに書きました.
広義固有空間
広義固有空間については、演習ではやりませんでしたが、ここではひとつだけ
定理をかいておきます.
A を正方行列とし、固有多項式\Phi_A(t) を
(t-\lambda_1)^{m_1}\cdots(t-\lambda_r)^{m_r}
とします.ただし、\{\lambda_1,\cdots,\lambda_r\} を相異なる固有値の集合とします.
このとき、固有空間 V_{\lambda_i} の次元は m_i 以下ですが、
V_{(\lambda_i)}=\{{\bf v}|\text{十分大きい $n$ に対して }(A-\lambda_iE)^n{\bf v}=0 \}
とおきます.これを広義固有空間といいます.
このとき、以下の定理が成り立ちます.
定理
V_{\lambda_i}\subset V_{(\lambda_i)} であり、固有空間は広義固有空間の部分空間であり、
\dim V_{(\lambda_i)}=m_i
となる.
ジョルダンブロックの求め方
広義固有空間に対してジョルダンブロックを求める方法です.
今日は固有値が1つしかない場合を扱いました.
ここでは、固有値はすべて1だとします.
このとき、ケーリーハミルトンの定理から、A-E はべきゼロ行列になります.
つまり、ある正の整数 n があって、(A-E)^n は ゼロ行列になります.
このべきゼロ行列を B とします.
考えたいのは、E, B, B^2,\cdots がどのような行列になるかということですが、
さらに、それらの行列の核つまり、\text{Ker}(B^i)=\{{\bf v}\in{\mathbb C}^n|B^i{\bf v}=0\}
がどうなるかということです.
\text{Ker}(B),\text{Ker}(B^2),\text{Ker}(B^3),\cdots,\text{Ker}(B^d) は
部分空間の列として、
\text{Ker}(B)\subset\text{Ker}(B^2)\subset\text{Ker}(B^3)\subset\cdots\subset\text{Ker}(B^d)={\mathbb C}^n
が成り立ちます.ここで、d とは、B^{d-1}\neq O だが、B^d=O となるような数です.
この部分ベクトル空間の列は、B^i をかけて消えるベクトルは、B^{i+1} かけても消えるということを意味しています.
また、ベクトルにB を掛けるという写像により、
\text{Ker}(B^{i})\to \text{Ker}(B^{i-1}) となる線形写像が作れます.
なぜかというと、{\bf v}\in \text{Ker}(B^i) とすると、定義から、B^i({\bf v})=0 であり、
B^{i-1}(B{\bf v})=0 と書き直せ、B{\bf v} は、\text{Ker}(B^{i-1}) となるからです.
まとめれば、
\text{Ker}(B^{i})\ni {\bf v}\mapsto B{\bf v}\in \text{Ker}(B^{i-1})
となります.
一般の商空間において
ここで、一旦商空間の話をします.
線形写像 f: V\to V' があったとき、それが、商空間同士の写像
\tilde{f}:V/W\to V'/W' を誘導することにします.
誘導するとは、\tilde{f} が \tilde{f}([{\bf v}])=[f({\bf v})] となる写像のことです.
W\to W' ならば、誘導した写像 \tilde{f}:V/W\to V'/W' が存在する.
が成り立ちます.
誘導できるかどうかはということは、V/W のゼロベクトルが V'/W' のゼロベクトルに移るということです.V/W において [{\bf v}] がゼロベクトルであるとは、
{\bf v}\in W であることです.
よって、W の任意の元が f によって、V'/W' のゼロ元つまり W' の元に移ることが必要です.
よって、f:V\to V' であり、V の部分空間 W と V' の部分空間 W' において、
W\to W' があるなら、V/W\to V'/W' が存在することになります.
f^{-1}(W')\subset W なら、誘導した写像が単射.
言いかえれば、f({\bf v})\in W' なら、{\bf v}\in W であることを意味します.
このとき、\tilde{f}:V/W\to V'/W' は単射になります.
どうしてかというと、\tilde{f}([{\bf v}])=[f({\bf v})]=0\in V'/W' であるとすると、
f({\bf v})\in W' であるが、条件から、{\bf v}\in W' となり、[{\bf v}]=0\in V/W
となるからです.
要するに、\tilde{f}([{\bf v}])=0 ならば [{\bf v}]=0 となりますので \tilde{f} は単射です.
ここで、話を元に戻します.
上の写像 \text{Ker}(B^{i-1})\to \text{Ker}(B^{i-2})
と、上の包含関係 \text{Ker}(B^i)\subset\text{Ker}(B^{i+1}) とから、
\text{Ker}(B^2)/\text{Ker}(B)\to \text{Ker}(B)
\text{Ker}(B^3)/\text{Ker}(B^2)\to \text{Ker}(B^2)/\text{Ker}(B)
\cdots
\text{Ker}(B^d)/\text{Ker}(B^{d-1})\to \text{Ker}(B^{d-1})/\text{Ker}(B^{d-2})
なる誘導写像が存在することになります.
写像は全て B を掛けるという写像です.つまり、
[{\bf v}]\mapsto [B{\bf v}]
という写像です.
B{\bf v}\in \text{Ker}(B^{i-1}) ならば、B^{i-1}B{\bf v}=B^i{\bf v}=0
なので、{\bf v}\in\text{Ker}(B^i)
となりますので、この写像は全て単射ということになります.
ここで、
h_1=\dim (\text{Ker}(B))
h_2=\dim(\text{Ker}(B^2)/\text{Ker}(B))
h_3=\dim(\text{Ker}(B^3)/\text{Ker}(B^2))
\cdots
h_d=\dim(\text{Ker}(B^d)/\text{Ker}(B^{d-1}))
とおきますと、上記の単射性から、
h_1\ge h_2\ge h_3\ge\cdots \ge h_d
また、上の増大列から、この次元の全ての和は、行列のサイズ n
と一致します.
また、この減少列を下のような図形で表します.
この縦の箱の数をそれぞれ数えると h_i であり、一つ一つの箱は、基底の一つのベクトルが対応します.
また、この箱の数を全て足すと行列のサイズ n になります.
{\mathbb C}^n の基底をこのような階段状の箱に詰めたものだと考えることができます.
上の単射写像は、右の箱から左の箱への対応に対応しており、単射ということは、右の箱には B の掛け算で、隣の箱が必ず対応するということを意味しています.
しかし、一番左端に来た場合は、次の B の掛け算では消えていしまいます.
上のような箱ならば、横一列目は、左から、
B^{d-1}{\bf v}_1,B^{d-2}{\bf v}_1,\cdots, B^2{\bf v}_1,B{\bf v}_1,{\bf v}_1
となります.次は同じように、
B^{d-1}{\bf v}_2,B^{d-2}{\bf v}_2,\cdots, B^2{\bf v}_2,B{\bf v}_2,{\bf v}_2
HPに行く.
今日は
- 固有値が一つしかない場合のジョルダンブロック分解
計算の方は、こちらに書きました.
広義固有空間
広義固有空間については、演習ではやりませんでしたが、ここではひとつだけ
定理をかいておきます.
A を正方行列とし、固有多項式\Phi_A(t) を
(t-\lambda_1)^{m_1}\cdots(t-\lambda_r)^{m_r}
とします.ただし、\{\lambda_1,\cdots,\lambda_r\} を相異なる固有値の集合とします.
このとき、固有空間 V_{\lambda_i} の次元は m_i 以下ですが、
V_{(\lambda_i)}=\{{\bf v}|\text{十分大きい $n$ に対して }(A-\lambda_iE)^n{\bf v}=0 \}
とおきます.これを広義固有空間といいます.
このとき、以下の定理が成り立ちます.
定理
V_{\lambda_i}\subset V_{(\lambda_i)} であり、固有空間は広義固有空間の部分空間であり、
\dim V_{(\lambda_i)}=m_i
となる.
ジョルダンブロックの求め方
広義固有空間に対してジョルダンブロックを求める方法です.
今日は固有値が1つしかない場合を扱いました.
ここでは、固有値はすべて1だとします.
このとき、ケーリーハミルトンの定理から、A-E はべきゼロ行列になります.
つまり、ある正の整数 n があって、(A-E)^n は ゼロ行列になります.
このべきゼロ行列を B とします.
考えたいのは、E, B, B^2,\cdots がどのような行列になるかということですが、
さらに、それらの行列の核つまり、\text{Ker}(B^i)=\{{\bf v}\in{\mathbb C}^n|B^i{\bf v}=0\}
がどうなるかということです.
\text{Ker}(B),\text{Ker}(B^2),\text{Ker}(B^3),\cdots,\text{Ker}(B^d) は
部分空間の列として、
\text{Ker}(B)\subset\text{Ker}(B^2)\subset\text{Ker}(B^3)\subset\cdots\subset\text{Ker}(B^d)={\mathbb C}^n
が成り立ちます.ここで、d とは、B^{d-1}\neq O だが、B^d=O となるような数です.
この部分ベクトル空間の列は、B^i をかけて消えるベクトルは、B^{i+1} かけても消えるということを意味しています.
また、ベクトルにB を掛けるという写像により、
\text{Ker}(B^{i})\to \text{Ker}(B^{i-1}) となる線形写像が作れます.
なぜかというと、{\bf v}\in \text{Ker}(B^i) とすると、定義から、B^i({\bf v})=0 であり、
B^{i-1}(B{\bf v})=0 と書き直せ、B{\bf v} は、\text{Ker}(B^{i-1}) となるからです.
まとめれば、
\text{Ker}(B^{i})\ni {\bf v}\mapsto B{\bf v}\in \text{Ker}(B^{i-1})
となります.
一般の商空間において
ここで、一旦商空間の話をします.
線形写像 f: V\to V' があったとき、それが、商空間同士の写像
\tilde{f}:V/W\to V'/W' を誘導することにします.
誘導するとは、\tilde{f} が \tilde{f}([{\bf v}])=[f({\bf v})] となる写像のことです.
まず、
が成り立ちます.
誘導できるかどうかはということは、V/W のゼロベクトルが V'/W' のゼロベクトルに移るということです.V/W において [{\bf v}] がゼロベクトルであるとは、
{\bf v}\in W であることです.
よって、W の任意の元が f によって、V'/W' のゼロ元つまり W' の元に移ることが必要です.
よって、f:V\to V' であり、V の部分空間 W と V' の部分空間 W' において、
W\to W' があるなら、V/W\to V'/W' が存在することになります.
f^{-1}(W')\subset W なら、誘導した写像が単射.
言いかえれば、f({\bf v})\in W' なら、{\bf v}\in W であることを意味します.
このとき、\tilde{f}:V/W\to V'/W' は単射になります.
どうしてかというと、\tilde{f}([{\bf v}])=[f({\bf v})]=0\in V'/W' であるとすると、
f({\bf v})\in W' であるが、条件から、{\bf v}\in W' となり、[{\bf v}]=0\in V/W
となるからです.
要するに、\tilde{f}([{\bf v}])=0 ならば [{\bf v}]=0 となりますので \tilde{f} は単射です.
ここで、話を元に戻します.
上の写像 \text{Ker}(B^{i-1})\to \text{Ker}(B^{i-2})
と、上の包含関係 \text{Ker}(B^i)\subset\text{Ker}(B^{i+1}) とから、
\text{Ker}(B^2)/\text{Ker}(B)\to \text{Ker}(B)
\text{Ker}(B^3)/\text{Ker}(B^2)\to \text{Ker}(B^2)/\text{Ker}(B)
\cdots
\text{Ker}(B^d)/\text{Ker}(B^{d-1})\to \text{Ker}(B^{d-1})/\text{Ker}(B^{d-2})
なる誘導写像が存在することになります.
写像は全て B を掛けるという写像です.つまり、
[{\bf v}]\mapsto [B{\bf v}]
という写像です.
B{\bf v}\in \text{Ker}(B^{i-1}) ならば、B^{i-1}B{\bf v}=B^i{\bf v}=0
なので、{\bf v}\in\text{Ker}(B^i)
となりますので、この写像は全て単射ということになります.
ここで、
h_1=\dim (\text{Ker}(B))
h_2=\dim(\text{Ker}(B^2)/\text{Ker}(B))
h_3=\dim(\text{Ker}(B^3)/\text{Ker}(B^2))
\cdots
h_d=\dim(\text{Ker}(B^d)/\text{Ker}(B^{d-1}))
とおきますと、上記の単射性から、
h_1\ge h_2\ge h_3\ge\cdots \ge h_d
また、上の増大列から、この次元の全ての和は、行列のサイズ n
と一致します.
また、この減少列を下のような図形で表します.
この縦の箱の数をそれぞれ数えると h_i であり、一つ一つの箱は、基底の一つのベクトルが対応します.
また、この箱の数を全て足すと行列のサイズ n になります.
{\mathbb C}^n の基底をこのような階段状の箱に詰めたものだと考えることができます.
上の単射写像は、右の箱から左の箱への対応に対応しており、単射ということは、右の箱には B の掛け算で、隣の箱が必ず対応するということを意味しています.
しかし、一番左端に来た場合は、次の B の掛け算では消えていしまいます.
上のような箱ならば、横一列目は、左から、
B^{d-1}{\bf v}_1,B^{d-2}{\bf v}_1,\cdots, B^2{\bf v}_1,B{\bf v}_1,{\bf v}_1
となります.次は同じように、
B^{d-1}{\bf v}_2,B^{d-2}{\bf v}_2,\cdots, B^2{\bf v}_2,B{\bf v}_2,{\bf v}_2
となり、最後は、
B{\bf y}, {\bf y}
この横一列の部分は一つのジョルダンブロックの基底となります.
例えば、この基底により、B の表現行列がどうなるかというと、
B(B^{d-1}{\bf v}_1,B^{d-2}{\bf v}_1,\cdots, B^2{\bf v}_1,B{\bf v}_1,{\bf v}_1)
=(B^{d-1}{\bf v}_1,B^{d-2}{\bf v}_1,\cdots, B^2{\bf v}_1,B{\bf v}_1,{\bf v}_1)\left( \begin{array}{ccccc} 0 & 1 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 & 0 \\ \vdots & \vdots & \ddots & \ddots & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 0 & 1 \\ 0 & 0 & 0 & 0 & 0 \\ \end{array} \right)
B(B^{d-1}{\bf v}_1,B^{d-2}{\bf v}_1,\cdots, B^2{\bf v}_1,B{\bf v}_1,{\bf v}_1)
=(B^{d-1}{\bf v}_1,B^{d-2}{\bf v}_1,\cdots, B^2{\bf v}_1,B{\bf v}_1,{\bf v}_1)\left( \begin{array}{ccccc} 0 & 1 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 & 0 \\ \vdots & \vdots & \ddots & \ddots & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 0 & 1 \\ 0 & 0 & 0 & 0 & 0 \\ \end{array} \right)
よって、両辺に E を掛けたものを足して、A にしてみると
A(B^{d-1}{\bf v}_1,B^{d-2}{\bf v}_1,\cdots, B^2{\bf v}_1,B{\bf v}_1,{\bf v}_1)
A(B^{d-1}{\bf v}_1,B^{d-2}{\bf v}_1,\cdots, B^2{\bf v}_1,B{\bf v}_1,{\bf v}_1)
=(B^{d-1}{\bf v}_1,B^{d-2}{\bf v}_1,\cdots, B^2{\bf v}_1,B{\bf v}_1,{\bf v}_1)\left(
\begin{array}{ccccc}
1 & 1 & 0 & 0 & 0 \\
0 & 1 & 1 & 0 & 0 \\
\vdots & \vdots & \ddots & \ddots & 0 \\
0 & 0 & 0 & 1 & 1 \\
0 & 0 & 0 & 0 & 1 \\
\end{array}
\right)
目標のジョルダンブロックが出てきました.
次は実際に計算をしてみます.
次の計算ブログに行く
目標のジョルダンブロックが出てきました.
次は実際に計算をしてみます.
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