[場所1E101(水曜日4限)]
今日は
さらに、一つの項は
\frac{f_i(x)}{(x-a_i)^{r_i}}=\sum_{k=1}^{r_i}\frac{d_k}{(x-a_i)^{k}}
ここで、d_k はある実数.
のように分解することができますし、
\frac{f_{j+r}(x)}{(x^2+b_jx+c_j)^{s_j}}=\sum_{k=1}^{s_j}\frac{e_kx+f_k}{(x^2+b_jx+c_j)^{k}}
のようにさらに分解することができます.あとは、
\frac{e_kx+f_k}{(x^2+b_jx+c_j)^{k}}
の部分の積分ですが、一旦置換積分をして、
\frac{EX+F}{(X^2+1)^k}
としておいてから、さらに、
\frac{E}{2}\frac{2X}{(X^2+1)^k}+\frac{F}{(X^2+1)^k}
と分解します.
そして、それぞれは、 \int\frac{2X}{(X^2+1)^k}dX=-\frac{1}{k-1}\frac{1}{(X^2+1)^{k-1}}
となり、後半は、X=\tan t とおくことで、
dX=\frac{1}{\cos^2t}dt となり、
とすると、
\int\frac{dX}{(X^2+1)^k}=\int\frac{1}{(1+\tan^2t)^k}\frac{1}{\cos^2t}dt=\int\cos^{2k-2}tdt
となります.あとは、倍角の公式を使うか、漸化式を使って、計算することができるように
なります.
ちなみに、不定積分 \int \cos^{2n}tdt は、n<5 までは、以下のようになります.
\int \cos^2tdt=\frac{t}{2}+\frac{1}{4} \sin (2 t)
三角関数の積分
三角関数の積分ですが、\frac{f(\sin t,\cos t)}{g(\sin t, \cos t)} の形の式の場合の計算は、
必ず良く知っている形に帰着させることができます.
ここで、f(x,y),g(x,y) は x,y の多項式です.
演習でやっていた、
\int\frac{\sin t}{2+\cos t}dt などは、X=2+\cos t などとおいてやることによって、
\int\frac{1}{X}dX に帰着させることができます.
つまり、
\int\frac{f(\cos t)}{g(\cos t)}\sin tdt の形(や \sin と \cos の役割を入れ替えたもの)の積分は、X=\cos t などとおけばよいことになります.
また、\int \sin^ntdt や、先ほどもできた \int\cos^ndt は、漸化式を用いれば計算はすぐにできます.
そうでもないような場合で、手が思いつかないようなときは、
授業中説明をしましたが、
u=\tan\frac{t}{2} とおくというのが常套手段です.
du=\frac{dt}{2\cos^2\frac{t}{2}}=\frac{1}{2}\left(1+\tan^2\frac{t}{2}\right)dt=\frac{1}{2}(1+u^2)dt
となり、
dt=\frac{2du}{1+u^2}
が成り立ちます.また、
\sin t=2\sin \frac{t}{2}\cos \frac{t}{2}=2\tan\frac{t}{2}\cos^2\frac{t}{2}=\frac{2u}{1+u^2}
\cos t=2\cos^2 \frac{t}{2}-1=\frac{2}{1+u^2}-1=\frac{1-u^2}{1+u^2}
\frac{2}{1+u^2}=2\cos^2\frac{t}{2}=1+\cos t
のような変換をすることで、有理関数の積分に帰着させることができます.
例(積分定数は省略します)
\int\frac{1}{\sin t+\cos t}dt=\int\frac{1}{\frac{2u}{1+u^2}+\frac{1-u^2}{1+u^2}}\frac{2du}{1+u^2}
=-2\int\frac{1}{u^2-2u-1}du=-2\int\frac{du}{(u-1+\sqrt{2})(u-1-\sqrt{2})}
=-\frac{1}{\sqrt{2}}\int\left(\frac{1}{u-1-\sqrt{2}}-\frac{1}{u-1+\sqrt{2}}\right)du
=-\frac{\sqrt{2}}{2}\log\frac{u-1-\sqrt{2}}{u-1+\sqrt{2}}=-\frac{\sqrt{2}}{2}\log\frac{(u-1-\sqrt{2})^2}{u^2-2u-1}
=-\frac{\sqrt{2}}{2}\log\frac{u^2-2(1+\sqrt{2})u+3+2\sqrt{2}}{u^2-2u-1}
=-\frac{\sqrt{2}}{2}\log\left(1-\frac{2\sqrt{2}u-4-2\sqrt{2}}{u^2-2u-1}\right)
=-\frac{\sqrt{2}}{2}\log\left(1-\frac{\sqrt{2}\frac{2u}{1+u^2}-(2+\sqrt{2})\frac{2}{1+u^2}}{-\frac{1-u^2}{1+u^2}-\frac{2u}{1+u^2}}\right)
=-\frac{\sqrt{2}}{2}\log\left(1+\frac{\sqrt{2}\sin t-(2+\sqrt{2})(1+\cos t)}{\sin t+\cos t}\right)
=-\frac{\sqrt{2}}{2}\log\left(1+\sqrt{2}-\frac{2(1+\sqrt{2})\cos t+2+\sqrt{2}}{\sin t +\cos t}\right)
広義積分
広義積分は、無限区間の積分や開区間上の積分です.定義は、閉区間上の積分の
極限として計算しましょう.
例えば、
\int_a^\infty f(x)dx=\lim_{b\to \infty}\int_a^bf(x)dx
や、
\int_a^bf(x)dx=\lim_{c\to b-0}\int_a^cf(x)dx
のように定義します.後者は f(x) が x=b では定義されていないことが前提です.
このとき、閉区間 [a,c] 上の積分を近づけて [a,b) 上の積分にします.
気をつけることは、定義されている部分から近づくことです.
区間の端に正の意味で近づくのか、負の意味で近づくのか明確にしないと、
値が違ってくることがあります.
今日は
- 有理関数の積分
- 三角関数の積分
- 広義積分
などを行いました.
有理関数の積分
有理関数の積分
有理関数の積分は基本です.どんな場合でもできなければなりません.
プリントに書いた積分は、
\int\frac{2x+1}{(x-1)^3}dx=\int\left(\frac{2}{(x-1)^2}+\frac{3}{(x-1)^3}\right)dx=-\frac{2}{x-1}-\frac3{2(x-1)^2}+C
となりますが、この部分分数分解は、
一旦 t=x-1 とおいて、
\int\frac{2(t+1)+1}{t^3}dt=\int(2t^{-2}+3t^{-3})dt=-2t^{-1}-\frac{3}{2}t^{-2}+C
と変形したものと同じです.後で、t=x-1 を入れます.
有理式の扱いまとめ
プリントに書いた積分は、
\int\frac{2x+1}{(x-1)^3}dx=\int\left(\frac{2}{(x-1)^2}+\frac{3}{(x-1)^3}\right)dx=-\frac{2}{x-1}-\frac3{2(x-1)^2}+C
となりますが、この部分分数分解は、
一旦 t=x-1 とおいて、
\int\frac{2(t+1)+1}{t^3}dt=\int(2t^{-2}+3t^{-3})dt=-2t^{-1}-\frac{3}{2}t^{-2}+C
と変形したものと同じです.後で、t=x-1 を入れます.
有理式の扱いまとめ
実数を係数とする多項式 g(x) は
g(x)=(x-a_1)^{r_1}\cdots(x-a_n)^{r_n}(x^2+b_1x+c_1)^{s_1}\cdots(x^2+b_sx+c_s)^{s_m}
として、実数係数を持つ1次式 x-a_i と2次式 x^2+b_jx+c_j に分解することができます.
後者の2次式は虚数根をもつとします.
まず、有理式 \frac{f(x)}{g(x)} は f(x) を g(x) で割ってやることで、f(x) の次数が g(x) の次数を超えないようにしておきます.
そのようなとき、有理式 \frac{f(x)}{g(x)} は、
\sum_{i=1}^r\frac{f_i(x)}{(x-a_i)^{r_i}}+\sum_{j=1}^{s}\frac{f_{r+j}(x)}{(x^2+b_jx+c_j)^{s_j}}
g(x)=(x-a_1)^{r_1}\cdots(x-a_n)^{r_n}(x^2+b_1x+c_1)^{s_1}\cdots(x^2+b_sx+c_s)^{s_m}
として、実数係数を持つ1次式 x-a_i と2次式 x^2+b_jx+c_j に分解することができます.
後者の2次式は虚数根をもつとします.
まず、有理式 \frac{f(x)}{g(x)} は f(x) を g(x) で割ってやることで、f(x) の次数が g(x) の次数を超えないようにしておきます.
そのようなとき、有理式 \frac{f(x)}{g(x)} は、
\sum_{i=1}^r\frac{f_i(x)}{(x-a_i)^{r_i}}+\sum_{j=1}^{s}\frac{f_{r+j}(x)}{(x^2+b_jx+c_j)^{s_j}}
のように分解することができます.ここで、\deg(f_i(x))\le r_i-1 かつ \deg(g_j(x))\le 2s_j-1
となります.
さらに、一つの項は
\frac{f_i(x)}{(x-a_i)^{r_i}}=\sum_{k=1}^{r_i}\frac{d_k}{(x-a_i)^{k}}
ここで、d_k はある実数.
のように分解することができますし、
\frac{f_{j+r}(x)}{(x^2+b_jx+c_j)^{s_j}}=\sum_{k=1}^{s_j}\frac{e_kx+f_k}{(x^2+b_jx+c_j)^{k}}
のようにさらに分解することができます.あとは、
\frac{e_kx+f_k}{(x^2+b_jx+c_j)^{k}}
の部分の積分ですが、一旦置換積分をして、
\frac{EX+F}{(X^2+1)^k}
としておいてから、さらに、
\frac{E}{2}\frac{2X}{(X^2+1)^k}+\frac{F}{(X^2+1)^k}
と分解します.
そして、それぞれは、 \int\frac{2X}{(X^2+1)^k}dX=-\frac{1}{k-1}\frac{1}{(X^2+1)^{k-1}}
となり、後半は、X=\tan t とおくことで、
dX=\frac{1}{\cos^2t}dt となり、
とすると、
\int\frac{dX}{(X^2+1)^k}=\int\frac{1}{(1+\tan^2t)^k}\frac{1}{\cos^2t}dt=\int\cos^{2k-2}tdt
となります.あとは、倍角の公式を使うか、漸化式を使って、計算することができるように
なります.
ちなみに、不定積分 \int \cos^{2n}tdt は、n<5 までは、以下のようになります.
\int \cos^2tdt=\frac{t}{2}+\frac{1}{4} \sin (2 t)
\int\cos^4tdt=\frac{3 t}{8}+\frac{1}{4} \sin (2 t)+\frac{1}{32} \sin (4 t)
\
\int\cos^6tdt=\frac{5 t}{16}+\frac{15}{64} \sin (2 t)+\frac{3}{64} \sin (4 t)+\frac{1}{192} \sin (6 t)
\int\cos^8tdt=\frac{35 t}{128}+\frac{7}{32} \sin (2 t)+\frac{7}{128} \sin (4 t)+\frac{1}{96} \sin (6 t)+\frac{\sin (8 t)}{1024}
三角関数の積分
三角関数の積分ですが、\frac{f(\sin t,\cos t)}{g(\sin t, \cos t)} の形の式の場合の計算は、
必ず良く知っている形に帰着させることができます.
ここで、f(x,y),g(x,y) は x,y の多項式です.
演習でやっていた、
\int\frac{\sin t}{2+\cos t}dt などは、X=2+\cos t などとおいてやることによって、
\int\frac{1}{X}dX に帰着させることができます.
つまり、
\int\frac{f(\cos t)}{g(\cos t)}\sin tdt の形(や \sin と \cos の役割を入れ替えたもの)の積分は、X=\cos t などとおけばよいことになります.
また、\int \sin^ntdt や、先ほどもできた \int\cos^ndt は、漸化式を用いれば計算はすぐにできます.
そうでもないような場合で、手が思いつかないようなときは、
授業中説明をしましたが、
u=\tan\frac{t}{2} とおくというのが常套手段です.
du=\frac{dt}{2\cos^2\frac{t}{2}}=\frac{1}{2}\left(1+\tan^2\frac{t}{2}\right)dt=\frac{1}{2}(1+u^2)dt
となり、
dt=\frac{2du}{1+u^2}
が成り立ちます.また、
\sin t=2\sin \frac{t}{2}\cos \frac{t}{2}=2\tan\frac{t}{2}\cos^2\frac{t}{2}=\frac{2u}{1+u^2}
\cos t=2\cos^2 \frac{t}{2}-1=\frac{2}{1+u^2}-1=\frac{1-u^2}{1+u^2}
\frac{2}{1+u^2}=2\cos^2\frac{t}{2}=1+\cos t
例(積分定数は省略します)
\int\frac{1}{\sin t+\cos t}dt=\int\frac{1}{\frac{2u}{1+u^2}+\frac{1-u^2}{1+u^2}}\frac{2du}{1+u^2}
=-2\int\frac{1}{u^2-2u-1}du=-2\int\frac{du}{(u-1+\sqrt{2})(u-1-\sqrt{2})}
=-\frac{1}{\sqrt{2}}\int\left(\frac{1}{u-1-\sqrt{2}}-\frac{1}{u-1+\sqrt{2}}\right)du
=-\frac{\sqrt{2}}{2}\log\frac{u-1-\sqrt{2}}{u-1+\sqrt{2}}=-\frac{\sqrt{2}}{2}\log\frac{(u-1-\sqrt{2})^2}{u^2-2u-1}
=-\frac{\sqrt{2}}{2}\log\frac{u^2-2(1+\sqrt{2})u+3+2\sqrt{2}}{u^2-2u-1}
=-\frac{\sqrt{2}}{2}\log\left(1-\frac{2\sqrt{2}u-4-2\sqrt{2}}{u^2-2u-1}\right)
=-\frac{\sqrt{2}}{2}\log\left(1-\frac{\sqrt{2}\frac{2u}{1+u^2}-(2+\sqrt{2})\frac{2}{1+u^2}}{-\frac{1-u^2}{1+u^2}-\frac{2u}{1+u^2}}\right)
=-\frac{\sqrt{2}}{2}\log\left(1+\frac{\sqrt{2}\sin t-(2+\sqrt{2})(1+\cos t)}{\sin t+\cos t}\right)
=-\frac{\sqrt{2}}{2}\log\left(1+\sqrt{2}-\frac{2(1+\sqrt{2})\cos t+2+\sqrt{2}}{\sin t +\cos t}\right)
広義積分
広義積分は、無限区間の積分や開区間上の積分です.定義は、閉区間上の積分の
極限として計算しましょう.
例えば、
\int_a^\infty f(x)dx=\lim_{b\to \infty}\int_a^bf(x)dx
や、
\int_a^bf(x)dx=\lim_{c\to b-0}\int_a^cf(x)dx
のように定義します.後者は f(x) が x=b では定義されていないことが前提です.
このとき、閉区間 [a,c] 上の積分を近づけて [a,b) 上の積分にします.
気をつけることは、定義されている部分から近づくことです.
区間の端に正の意味で近づくのか、負の意味で近づくのか明確にしないと、
値が違ってくることがあります.
次回に広義積分の演習を本格的にやることになります.
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