[場所1E103(金曜日3限)]
HPに行く.
今日は、
HPに行く.
今日は、
- 2次形式の分類
- 2次曲線の分類
を行いました.私も、少し慌てて説明したせいか、よくわからなかったかもしれません.
そして少し面倒くさい感じの章だったので、よく本なども読んでください.
ちなみに、宿題に出した最初の問題は、教科書にある問題と同じです.
2次形式の分類
2次形式とは、$ax^2+2bxy+cy^2$ のような形の式のことです.
ここで、$a,b\in {\mathbb R}$ です.
これは、変数が $x,y$ の場合で、変数が $n$ 個ある場合もそのような式が考えられます.
例えば、3 変数の場合は、$ax^2+by^2+cz^2+2dxy+2eyz+2fzx$ のようになります.
この式は、斉次式とも言います.つまり、それぞれの項が全て同じ次数の式ということです.
この式は、対称行列を使って、
$$\begin{pmatrix}x&y\end{pmatrix}\begin{pmatrix}a&b\\b&c\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}$$
$$\begin{pmatrix}x&y&z\end{pmatrix}\begin{pmatrix}a&d&f\\d&b&e\\f&e&c\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x\\y\\z\end{pmatrix}$$
のように書かれます.このような式は、${\bf x}\in {\mathbb R}^n$ 平面上の関数として考えることができます.
関数の形は、その曲値、曲がり方などがわかると良いですが、正則行列 $P$ を使って、${\bf x}=P{\bf x}'$
のように基底の変換をすることで、関数の形を簡単にします.
この時、関数は、${}^t{\bf x}A{\bf x}$ から、${}^t(P{\bf x}')A(P{\bf x}')={}^t{\bf x}'({}^tPAP){\bf x}$
となります.
このような、${\mathbb R}^n$ の基底を変換してから同じになるような2次形式を同値と言います.
つまり、$A\sim {}^tPAP$ なる同値関係によって対称行列を同じとみなすことになります.
ここでも、同値類の概念が役に立ちます.
非同値な2次形式がどれほどあるか?という問題は、シルベスターの慣性の法則により
符号によって完全に、分類されます.
つまり、
$$\{\text{対称行列}\}/A\sim {}^tPAP\iff \{(p,q)\in{\mathbb Z}_{\ge 0}^2|p+q\le n\}$$
$$A\leftrightarrow \text{sgn}(A)$$
がいえます.
よって、対称行列の符号を計算すれば、その対称行列がどのような行列に同値であるかということがわかることになります.
単なる固有多項式の計算です.
2次曲線の表示と例
2次曲線とは、平面上の曲線で、
$ax^2+2bxy+cy^2+2dx+2ey+f=0$ を満たす解全体のことです.
先ほどの2次形式に比べて、1次の項や、0次の項もあります.
アファイン変換
このような式をアファイン変換というもので分類をしていきいます.
アファイン変換とは、正則変換(可逆な線形変換のこと)と、平行移動を加えた
変換のことです.
つまり、${\bf x}\mapsto P{\bf x}+{\bf d}$ なる変換で、正則変換に加えて、平行移動 ${\bf d}$ も加わっています.
このような変換は、行列で書くと、
$$\begin{pmatrix}{\bf x}\\1\end{pmatrix}\mapsto \begin{pmatrix}P&{\bf d}\\0&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}{\bf x}\\1\end{pmatrix}$$
と書くことができます.つまり、アファイン変換も何らかの正則行列によって
書くことができるということです.アファイン変換の逆もアファイン変換です.
2次曲線・曲面の2次形式としての表示
上の2次曲線を1次元増やしたような書き方をすると、
$$\begin{pmatrix}{}^tx&y&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}a&b&d\\b&c&e\\d&e&f\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x\\y\\1\end{pmatrix}=0$$
となります.
一般に、
$$\begin{pmatrix}{\bf x}&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}A&{\bf u}\\{}^t{\bf u}&C\end{pmatrix}\begin{pmatrix}{\bf x}\\1\end{pmatrix}=0\hspace{2cm}(\ast)$$
の形をしています.これを2次曲線の2次形式表示ということにします.
$A$ はある $n\times n$ 正方行列で、${\bf v}$ は ${\mathbb R}^n$ のベクトルです.$C$ は定数項ということになります.
この式を上のアファン変換を通して標準形に持っていくことがここでの課題です.
例を通してやってみます.
例1
$x^2-2y^2+2x+2y=0$
直交行列 $P$ は${}^tPP=E$ であるから、この同値は、${}^tPAP=P^{-1}AP$ となることに注意します.
$A=\begin{pmatrix}1&\frac{1}{2}\\\frac{1}{2}&-1\end{pmatrix}$
を変換します.
$A\to {}^tPAP$ をして、対角行列にします.
$A$ の固有値は、$\pm\frac{\sqrt{5}}{2}$ となります.$a=\frac{\sqrt{5}}{2}$ と置くことにすると、固有ベクトルは、
$\begin{pmatrix}1\\2a-2\end{pmatrix},\begin{pmatrix}1\\-2a-2\end{pmatrix}$
となります.よって、直交行列を
$$P=\begin{pmatrix}\frac{1}{\sqrt{10-8a}}&\frac{1}{\sqrt{10+8a}}\\\frac{2a-2}{\sqrt{10-8a}}&\frac{-2a-2}{\sqrt{10+8a}}\end{pmatrix}$$
と置くことで、
$P^{-1}AP=\begin{pmatrix}a&0\\0&-a\end{pmatrix}$
となります.
また、その他の係数は、
$\begin{pmatrix}P^{-1}&0\\0&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}A&{\bf x}\\{}^t{\bf x}&f\end{pmatrix}\begin{pmatrix}P&0\\0&1\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}P^{-1}AP&P^{-1}{\bf x}\\{}^t{\bf x}P&f\end{pmatrix}$
となります.よって、直交変換によって、2次曲線は、
$$\begin{pmatrix}a&0&\frac{1}{\sqrt{10-8a}}\\0&-a&\frac{1}{\sqrt{10+8a}}\\\frac{1}{\sqrt{10-8a}}&\frac{1}{\sqrt{10+8a}}&0\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}X&{\bf w}\\{}^t{\bf w}&f\end{pmatrix}$$
の形になります.ここで、平行移動をします.(要するに平方完成ですが.)
わざわざ、アフィン変換を使って書くと、
$$\begin{pmatrix}x\\y\\1\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}1&0&-\frac{1}{a\sqrt{10-8a}}\\0&1&\frac{-1}{a\sqrt{10+8a}}\\0&0&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x'\\y'\\1\end{pmatrix}\hspace{1cm}(\dagger)$$
となります.これを以下示します.
(正則変換なしで)平行移動 ${\bf a}\to {\bf a}+{\bf v}$ だけを書いてみると、
$\begin{pmatrix}E&0\\{}^t{\bf v}&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}X&{\bf w}\\{}^t{\bf w}&f\end{pmatrix}\begin{pmatrix}E&{\bf v}\\0&1\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}X&X\cdot{\bf v}+{\bf w}\\{}^t{\bf v}\cdot X+{}^t{\bf w}&{}^t{\bf v}\cdot X\cdot {\bf v}+2{\bf w}\cdot{\bf v}+f\end{pmatrix}$
となるので、$X=\begin{pmatrix}a&0\\0&-a\end{pmatrix}$, ${\bf w}=\begin{pmatrix}\frac{1}{\sqrt{10-8a}}\\\frac{1}{\sqrt{10+8a}}\end{pmatrix}$,
としておけば、$X\cdot {\bf v}+{\bf w}=0$ となる、${\bf v}$ を求めると、
$${\bf v}=-X^{-1}{\bf w}=\begin{pmatrix}-\frac{1}{a\sqrt{10-8a}}\\\frac{1}{a\sqrt{10+8a}}\end{pmatrix}$$
となり、$(\dagger)$ が成り立つのです.
この変換により、定数項は、
$\begin{pmatrix}-\frac{1}{a\sqrt{10-8a}}&\frac{1}{a\sqrt{10+8a}}\end{pmatrix}\begin{pmatrix}a&0\\0&-a\end{pmatrix}\begin{pmatrix}-\frac{1}{a\sqrt{10-8a}}\\\frac{1}{a\sqrt{10+8a}}\end{pmatrix}+2\begin{pmatrix}\frac{1}{\sqrt{10-8a}}\\\frac{1}{\sqrt{10+8a}}\end{pmatrix}\cdot \begin{pmatrix}-\frac{1}{a\sqrt{10-8a}}\\\frac{1}{a\sqrt{10+8a}}\end{pmatrix}=-\frac{5}{4}$
となります.ゆえに、求める2次曲線は、
$\frac{\sqrt{5}}{2}x^2-\frac{\sqrt{5}}{2}y^2-\frac{5}{4}=0$
と同値になります.よって、この例は、双曲線ということになります.
2次曲線の分類
2次形式表示 ($\ast$) の中の $A$ が正則のとき
一般に、最初の2次形式表示の段階で、2次の係数の部分 $A$ が正則であれば、
固有値は、正の数か負の数に分けられ、その数によって、2次曲線の場合は、
(正、正) もしくは、(負、負)なら楕円
(正、負)なら双曲線
となります.(負、負)の場合は、全体にマイナス1倍をかけることで(正、正)の
式に帰着されます.
ただし、特殊な場合、
前者の場合、
$x^2+y^2=0$ の形なら、1点、
$x^2+y^2=c<0$ の形なら、空集合
後者の場合、
$x^2-y^2=0$ の形なら、1点で交わる2直線
の場合がありえます.
2次曲面の場合は、
(正、正、正)もしくは、(負、負、負)なら、楕円面(球面に標準化される)
$(a,b,c,d)$ を全て正の数とすると、
$ax^2+by^2-cz^2=d$ なら、一葉双曲面
$ax^2-by^2-cz^2=d$ なら、二葉双曲面
となります.
これらの2次曲面の名前については、教科書に図入りで乗っているので、
そちらを参照してください.
他のパターンはマイナス1倍をしてやることで、これらのどれかに帰着されます.
もちろん、曲線と同じように、退化したもの(円錐曲面や、空集合)になることはあります.
2次形式表示 ($\ast$) の中の $A$ が非正則のとき
2次形式表示、 $\begin{pmatrix}A&{\bf u}\\{}^t{\bf u}&C\end{pmatrix}$ のうち、$A$ に固有値が $0$ のものがあるとき、直交行列によって対角化してやると、対角成分に $0$ のものが現れます.
このとき、2次形式表示が $\begin{pmatrix}a&0&d\\0&0&e\\d&e&f\end{pmatrix}$
となるとき、平行移動(平方完成)によって、消せるのは、$d$ の部分だけです.
よって2次形式表示は、 $\begin{pmatrix}a&0&0\\0&0&e\\0&e&f\end{pmatrix}$
に帰着します.
$e\neq 0$ であれば、
さらに、2番目の成分 $y$ において、$y$ を $y-\frac{f}{2e}$ に置き換えれば、$f$ の成分も消すことができます.
このとき、2次形式表示は、
$$\begin{pmatrix}a&0&0\\0&0&e\\0&e&0\end{pmatrix}$$
とできます.
これは、$ax^2+2ey=0$ という放物線になります.
同じように、いくつか、一次の項が残っていても、定数項丸ごと消して、1次の項一つにすることができます.
つまり、あるアファイン変換で、
2次形式表示
$$\begin{pmatrix}a&0&0&0\\0&0&0&b\\0&0&0&c\\0&b&c&f\end{pmatrix}$$
を
$$\begin{pmatrix}a&0&0&0\\0&0&0&\beta\\0&0&0&0\\0&\beta&0&0\end{pmatrix}$$
と変換することができます.
この変換は、教科書に書いてあるので、そちらを参照してください.
$e=0$ つまり、1次の項が一つも残らなかった場合、
$\begin{pmatrix}a&0&0\\0&0&0\\0&0&f\end{pmatrix}$
なりますが、この時、これ以上は簡単にならなくて、式としては、
$ax^2+f=0$ や、$ax^2+by^2+f=0$ なるさらに
退化した形になります.
この場合、
状況により、より複雑ですが、
$ax^2+f=0$ をまとめると、$x^2=F$ とかけますが、その時、
$F<0$ なら空集合、
$F=0$ なら一直線、
$F>0$ なら、平行な2直線
となります.
この標準形のための流れ
その結果、以下の3種類にまとめられます.
${\mathbb R}^n$ の中の2次式の0点集合(2次式$=0$ の集合という意味)
は以下の3種類に分けられます.
(I) $\pm x^2_1\pm x_2^2+\cdots\pm x_r^2=f$ ($0<r\le n$)
(II) $\pm x^2_1\pm x_2^2+\cdots\pm x_r^2=\beta x_{r+1}$ ($0<r<n$)
となります.
そして少し面倒くさい感じの章だったので、よく本なども読んでください.
ちなみに、宿題に出した最初の問題は、教科書にある問題と同じです.
2次形式の分類
2次形式とは、$ax^2+2bxy+cy^2$ のような形の式のことです.
ここで、$a,b\in {\mathbb R}$ です.
これは、変数が $x,y$ の場合で、変数が $n$ 個ある場合もそのような式が考えられます.
例えば、3 変数の場合は、$ax^2+by^2+cz^2+2dxy+2eyz+2fzx$ のようになります.
この式は、斉次式とも言います.つまり、それぞれの項が全て同じ次数の式ということです.
この式は、対称行列を使って、
$$\begin{pmatrix}x&y\end{pmatrix}\begin{pmatrix}a&b\\b&c\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}$$
$$\begin{pmatrix}x&y&z\end{pmatrix}\begin{pmatrix}a&d&f\\d&b&e\\f&e&c\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x\\y\\z\end{pmatrix}$$
関数の形は、その曲値、曲がり方などがわかると良いですが、正則行列 $P$ を使って、${\bf x}=P{\bf x}'$
のように基底の変換をすることで、関数の形を簡単にします.
この時、関数は、${}^t{\bf x}A{\bf x}$ から、${}^t(P{\bf x}')A(P{\bf x}')={}^t{\bf x}'({}^tPAP){\bf x}$
となります.
このような、${\mathbb R}^n$ の基底を変換してから同じになるような2次形式を同値と言います.
つまり、$A\sim {}^tPAP$ なる同値関係によって対称行列を同じとみなすことになります.
ここでも、同値類の概念が役に立ちます.
非同値な2次形式がどれほどあるか?という問題は、シルベスターの慣性の法則により
符号によって完全に、分類されます.
つまり、
$$\{\text{対称行列}\}/A\sim {}^tPAP\iff \{(p,q)\in{\mathbb Z}_{\ge 0}^2|p+q\le n\}$$
$$A\leftrightarrow \text{sgn}(A)$$
がいえます.
よって、対称行列の符号を計算すれば、その対称行列がどのような行列に同値であるかということがわかることになります.
単なる固有多項式の計算です.
2次曲線の表示と例
2次曲線とは、平面上の曲線で、
$ax^2+2bxy+cy^2+2dx+2ey+f=0$ を満たす解全体のことです.
先ほどの2次形式に比べて、1次の項や、0次の項もあります.
アファイン変換
このような式をアファイン変換というもので分類をしていきいます.
アファイン変換とは、正則変換(可逆な線形変換のこと)と、平行移動を加えた
変換のことです.
つまり、${\bf x}\mapsto P{\bf x}+{\bf d}$ なる変換で、正則変換に加えて、平行移動 ${\bf d}$ も加わっています.
このような変換は、行列で書くと、
$$\begin{pmatrix}{\bf x}\\1\end{pmatrix}\mapsto \begin{pmatrix}P&{\bf d}\\0&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}{\bf x}\\1\end{pmatrix}$$
と書くことができます.つまり、アファイン変換も何らかの正則行列によって
書くことができるということです.アファイン変換の逆もアファイン変換です.
2次曲線・曲面の2次形式としての表示
上の2次曲線を1次元増やしたような書き方をすると、
$$\begin{pmatrix}{}^tx&y&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}a&b&d\\b&c&e\\d&e&f\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x\\y\\1\end{pmatrix}=0$$
一般に、
$$\begin{pmatrix}{\bf x}&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}A&{\bf u}\\{}^t{\bf u}&C\end{pmatrix}\begin{pmatrix}{\bf x}\\1\end{pmatrix}=0\hspace{2cm}(\ast)$$
の形をしています.これを2次曲線の2次形式表示ということにします.
$A$ はある $n\times n$ 正方行列で、${\bf v}$ は ${\mathbb R}^n$ のベクトルです.$C$ は定数項ということになります.
この式を上のアファン変換を通して標準形に持っていくことがここでの課題です.
例を通してやってみます.
例1
$x^2-2y^2+2x+2y=0$
$x^2-2y^2+2x+2y=(x+1)^2-2(y-\frac{1}{2})^2-\frac{1}{2}$
ですので、$x'=x+1, y'=y-\frac{1}{2}$ とすれば、
$(x')^2-2(y')^2=\frac{1}{2}$ となり、この2次曲線は、双曲線になることがわかります.
例2
ですので、$x'=x+1, y'=y-\frac{1}{2}$ とすれば、
$(x')^2-2(y')^2=\frac{1}{2}$ となり、この2次曲線は、双曲線になることがわかります.
例2
$x^2+xy-y^2+2x=0$
この例は授業中にやったのですが、少し不備があったので、ここでやり直しました.
(そうしたら、かなり複雑になってしまいました.)
この例は授業中にやったのですが、少し不備があったので、ここでやり直しました.
(そうしたら、かなり複雑になってしまいました.)
行列を使って書くと、
$$(x,y,1)\begin{pmatrix}1&\frac{1}{2}&1\\\frac{1}{2}&-1&0\\1&0&0\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x\\y\\1\end{pmatrix}=0$$
となります.
ここで、この式を直交変換(ユークリッド変換)を使って変形します.
これは、合同変換とも言います.ここでは、原点中心の回転と原点を通る直線による裏返しです.
$A=\begin{pmatrix}1&\frac{1}{2}\\\frac{1}{2}&-1\end{pmatrix}$
を変換します.
$A\to {}^tPAP$ をして、対角行列にします.
$A$ の固有値は、$\pm\frac{\sqrt{5}}{2}$ となります.$a=\frac{\sqrt{5}}{2}$ と置くことにすると、固有ベクトルは、
$\begin{pmatrix}1\\2a-2\end{pmatrix},\begin{pmatrix}1\\-2a-2\end{pmatrix}$
となります.よって、直交行列を
$$P=\begin{pmatrix}\frac{1}{\sqrt{10-8a}}&\frac{1}{\sqrt{10+8a}}\\\frac{2a-2}{\sqrt{10-8a}}&\frac{-2a-2}{\sqrt{10+8a}}\end{pmatrix}$$
と置くことで、
$P^{-1}AP=\begin{pmatrix}a&0\\0&-a\end{pmatrix}$
となります.
また、その他の係数は、
$\begin{pmatrix}P^{-1}&0\\0&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}A&{\bf x}\\{}^t{\bf x}&f\end{pmatrix}\begin{pmatrix}P&0\\0&1\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}P^{-1}AP&P^{-1}{\bf x}\\{}^t{\bf x}P&f\end{pmatrix}$
となります.よって、直交変換によって、2次曲線は、
$$\begin{pmatrix}a&0&\frac{1}{\sqrt{10-8a}}\\0&-a&\frac{1}{\sqrt{10+8a}}\\\frac{1}{\sqrt{10-8a}}&\frac{1}{\sqrt{10+8a}}&0\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}X&{\bf w}\\{}^t{\bf w}&f\end{pmatrix}$$
の形になります.ここで、平行移動をします.(要するに平方完成ですが.)
わざわざ、アフィン変換を使って書くと、
$$\begin{pmatrix}x\\y\\1\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}1&0&-\frac{1}{a\sqrt{10-8a}}\\0&1&\frac{-1}{a\sqrt{10+8a}}\\0&0&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x'\\y'\\1\end{pmatrix}\hspace{1cm}(\dagger)$$
となります.これを以下示します.
(正則変換なしで)平行移動 ${\bf a}\to {\bf a}+{\bf v}$ だけを書いてみると、
$\begin{pmatrix}E&0\\{}^t{\bf v}&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}X&{\bf w}\\{}^t{\bf w}&f\end{pmatrix}\begin{pmatrix}E&{\bf v}\\0&1\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}X&X\cdot{\bf v}+{\bf w}\\{}^t{\bf v}\cdot X+{}^t{\bf w}&{}^t{\bf v}\cdot X\cdot {\bf v}+2{\bf w}\cdot{\bf v}+f\end{pmatrix}$
となるので、$X=\begin{pmatrix}a&0\\0&-a\end{pmatrix}$, ${\bf w}=\begin{pmatrix}\frac{1}{\sqrt{10-8a}}\\\frac{1}{\sqrt{10+8a}}\end{pmatrix}$,
としておけば、$X\cdot {\bf v}+{\bf w}=0$ となる、${\bf v}$ を求めると、
$${\bf v}=-X^{-1}{\bf w}=\begin{pmatrix}-\frac{1}{a\sqrt{10-8a}}\\\frac{1}{a\sqrt{10+8a}}\end{pmatrix}$$
となり、$(\dagger)$ が成り立つのです.
この変換により、定数項は、
$\begin{pmatrix}-\frac{1}{a\sqrt{10-8a}}&\frac{1}{a\sqrt{10+8a}}\end{pmatrix}\begin{pmatrix}a&0\\0&-a\end{pmatrix}\begin{pmatrix}-\frac{1}{a\sqrt{10-8a}}\\\frac{1}{a\sqrt{10+8a}}\end{pmatrix}+2\begin{pmatrix}\frac{1}{\sqrt{10-8a}}\\\frac{1}{\sqrt{10+8a}}\end{pmatrix}\cdot \begin{pmatrix}-\frac{1}{a\sqrt{10-8a}}\\\frac{1}{a\sqrt{10+8a}}\end{pmatrix}=-\frac{5}{4}$
となります.ゆえに、求める2次曲線は、
$\frac{\sqrt{5}}{2}x^2-\frac{\sqrt{5}}{2}y^2-\frac{5}{4}=0$
と同値になります.よって、この例は、双曲線ということになります.
2次曲線の分類
2次形式表示 ($\ast$) の中の $A$ が正則のとき
一般に、最初の2次形式表示の段階で、2次の係数の部分 $A$ が正則であれば、
固有値は、正の数か負の数に分けられ、その数によって、2次曲線の場合は、
(正、正) もしくは、(負、負)なら楕円
(正、負)なら双曲線
となります.(負、負)の場合は、全体にマイナス1倍をかけることで(正、正)の
式に帰着されます.
ただし、特殊な場合、
前者の場合、
$x^2+y^2=0$ の形なら、1点、
$x^2+y^2=c<0$ の形なら、空集合
後者の場合、
$x^2-y^2=0$ の形なら、1点で交わる2直線
の場合がありえます.
2次曲面の場合は、
(正、正、正)もしくは、(負、負、負)なら、楕円面(球面に標準化される)
$(a,b,c,d)$ を全て正の数とすると、
$ax^2+by^2-cz^2=d$ なら、一葉双曲面
$ax^2-by^2-cz^2=d$ なら、二葉双曲面
これらの2次曲面の名前については、教科書に図入りで乗っているので、
そちらを参照してください.
もちろん、曲線と同じように、退化したもの(円錐曲面や、空集合)になることはあります.
2次形式表示 ($\ast$) の中の $A$ が非正則のとき
2次形式表示、 $\begin{pmatrix}A&{\bf u}\\{}^t{\bf u}&C\end{pmatrix}$ のうち、$A$ に固有値が $0$ のものがあるとき、直交行列によって対角化してやると、対角成分に $0$ のものが現れます.
このとき、2次形式表示が $\begin{pmatrix}a&0&d\\0&0&e\\d&e&f\end{pmatrix}$
となるとき、平行移動(平方完成)によって、消せるのは、$d$ の部分だけです.
よって2次形式表示は、 $\begin{pmatrix}a&0&0\\0&0&e\\0&e&f\end{pmatrix}$
に帰着します.
$e\neq 0$ であれば、
さらに、2番目の成分 $y$ において、$y$ を $y-\frac{f}{2e}$ に置き換えれば、$f$ の成分も消すことができます.
このとき、2次形式表示は、
$$\begin{pmatrix}a&0&0\\0&0&e\\0&e&0\end{pmatrix}$$
とできます.
これは、$ax^2+2ey=0$ という放物線になります.
つまり、あるアファイン変換で、
2次形式表示
$$\begin{pmatrix}a&0&0&0\\0&0&0&b\\0&0&0&c\\0&b&c&f\end{pmatrix}$$
を
$$\begin{pmatrix}a&0&0&0\\0&0&0&\beta\\0&0&0&0\\0&\beta&0&0\end{pmatrix}$$
と変換することができます.
この変換は、教科書に書いてあるので、そちらを参照してください.
$e=0$ つまり、1次の項が一つも残らなかった場合、
$\begin{pmatrix}a&0&0\\0&0&0\\0&0&f\end{pmatrix}$
なりますが、この時、これ以上は簡単にならなくて、式としては、
$ax^2+f=0$ や、$ax^2+by^2+f=0$ なるさらに
退化した形になります.
この場合、
状況により、より複雑ですが、
$ax^2+f=0$ をまとめると、$x^2=F$ とかけますが、その時、
$F<0$ なら空集合、
$F=0$ なら一直線、
$F>0$ なら、平行な2直線
となります.
この標準形のための流れ
- 直交変換によって、$xy$ の係数を消す.3変数の場合は、$yz,zx$ も消す
- 平方完成によって、$x,y$ を消す.場合によっては、$x$ だけを消す.
- 消えなかった一次の係数をまとめる.
その結果、以下の3種類にまとめられます.
${\mathbb R}^n$ の中の2次式の0点集合(2次式$=0$ の集合という意味)
は以下の3種類に分けられます.
(I) $\pm x^2_1\pm x_2^2+\cdots\pm x_r^2=f$ ($0<r\le n$)
(II) $\pm x^2_1\pm x_2^2+\cdots\pm x_r^2=\beta x_{r+1}$ ($0<r<n$)
(III) $\pm x^2_1\pm x_2^2+\cdots\pm x_r^2=0$ ($0<r\le n$)
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