[場所1E103(金曜日5限)]
HPに行く
manabaに行く
今回は、
宿題の解答を見ていて、気づいたことをかいておきます。
積分計算をしていて、ある関数が三角関数で置換することが予測されたとき、
$\sin x$ とおくより $\cos x$ を置いた方がよい場面も
あってその選択を間違えてしまうと、迷い道に入ってしまうことがあります。
言いたいことは、この分かれ道はあとでちゃんと簡単に合流できます。
ということです。
どういうことかというと、例えば、
$\int_0^1(1-x^2)^{\frac{n-1}{2}}dx$ を計算するのに、
$x=\sin t$ と置換すると、$dx=\cos tdt$ となり、
しかし、$\sin$ と $\cos$ は $\frac{\pi}{2}$ で対称な関数なので、
$t=\frac{\pi}{2}-x$ と置換してやることで、
すぐに $\sin$ を $\cos$ に変換してやることができます。
この変換を用いることで、
一般に $f(x)$ を連続関数(もっと一般に、積分できる関数でも)として、
$$\int_0^{\frac{\pi}{2}}f(\sin x)dx=\int_0^{\frac{\pi}{2}}f(\cos x)dx$$
が成り立ちます。
また、授業中出した問題の中で、宿題として出した問題に少々問題あったようです。
授業の中で質問を受けたので、ここで書いておきます。
$\int_0^1\frac{x^5dx}{1+x^7}$ をガンマ関数によって表せという問題ですが、
例えば、積分区間を変えて、$\int_0^\infty\frac{x^5dx}{1+x^7}$ という積分なら、
$\frac{1}{1+x^7}=t$ とおいてやることで、
$x^7=\frac{1-t}{t}$ となり、$dt=-\frac{7x^6}{(1+x^7)^2}dx=-7(\frac{1-t}{t})^{\frac{6}{7}}t^2dx$
$$\int_0^\infty\frac{x^5dx}{1+x^7}=-\frac{1}{7}\int_1^0(\frac{1-t}{t})^{\frac{5}{7}}t(\frac{t}{1-t})^{\frac{6}{7}}t^{-2}dt=\frac{1}{7}\int_0^1t^{\frac{-6}{7}}(1-t)^{-\frac{1}{7}}dt=\frac{1}{7}B\left(\frac{1}{7},\frac{6}{7}\right)=\frac{1}{7}\Gamma\left(\frac{1}{7}\right)\Gamma\left(\frac{6}{7}\right)=\frac{\pi}{7\sin \frac{\pi}{7}}$$
とすることができます。
しかし、この問題の場合 $0$ から $1$ までの積分ですから、そういうわけにも
行かなかったかと思います。
そういうわけで、以下のようにします。
$t=x^7$ と置換をします。このとき、$dt=7x^6dx=7t^{\frac{6}{7}}dx$ となり、
$$\int_0^1\frac{x^5}{1+x^7}dx=\frac{1}{7}\int_0^1\frac{t^{\frac{5}{7}}}{1+t}t^{-\frac{6}{7}}dt$$
$$=\frac{1}{7}\int_0^1t^{-\frac{1}{7}}\frac{1}{1+t}dt$$
となります。
ここで、$\frac{1}{1+t}=\sum_{n=0}^\infty\frac{(-1)^n}{2^{n+1}}(t-1)^n=\sum_{n=0}^\infty \frac{1}{2^{n+1}}(1-t)^n$ とします。
そうすると、
$$\frac{1}{7}\int_0^1t^{-\frac{1}{7}}\frac{1}{1+t}dt=\frac{1}{7}\int_0^1\sum_{n=0}^\infty\frac{1}{2^{n+1}} t^{-\frac{1}{7}}(1-t)^{n}dt$$
$$=\frac{1}{7}\sum_{n=0}^\infty\frac{1}{2^{n+1}}\int_0^1t^{-\frac{1}{7}}(1-t)^ndt=\frac{1}{7}\sum_{n=0}^\infty\frac{1}{2^{n+1}} B\left(\frac{6}{7},n+1\right)$$
とすることができます。
このように、無限個のベータ関数によってかけることはわかりましたが、実際、
有限個のベータ関数の和にかけるかどうかはよくわかりません。
またさらに、
$$\frac{1}{7}B\left(\frac{6}{7},n+1\right)=\frac{\Gamma(\frac{6}{7})\Gamma(n+1)}{7\Gamma(\frac{6}{7}+n+1)}$$
$$=\frac{n!\Gamma(\frac{6}{7})}{7(\frac{6}{7}+n)(\frac{6}{7}+n-1)\cdots \frac{6}{7}\Gamma(\frac{6}{7})}=\frac{n!7^{n}}{\prod_{k=0}^n(7k+6)}=\frac{(7n)!_7}{(7n+6)!_7}$$
とかけます。
ここで、多重階乗 $n!_k$ は $n!_k=n\cdot(n-k)!_k$
かつ $n!_k=n $ ($0<n\le k$)として帰納的に定義します。
つまり、$n!=n!_1$ で、$n!!=n!_2$ や $n!!!=n!_3$ を意味します。
よって、
$$\int_0^1\frac{x^5}{1+x^7}dx=\sum_{n=0}^\infty\frac{1}{2^{n+1}}\frac{(7n)!_7}{(7n+6)!_7}$$
とかけます。
ここでの大きな問題は、極限と積分の順序交換ですが、ここでは詳しく
述べないことにします。
交代級数定理
また、授業中に述べた交代級数の定理について少しいいまちがえたので
訂正します。正しくは、こうです。
定理
$a_n (n=0,1,2,...)$ が正項の数列とする。$a_n$ が単調減少しながら $0$ に収束するとする。
このとき、$\sum_{n=0}^\infty (-1)^na_n$ は収束する。
この定理の証明は授業中述べた通りです。
$s_n=\sum_{k=0}^na_k$ とすると、区間 $I_n=[s_{2n+1},s_{2n}]$ は、
$I_n\supset I_{n+1}$ を満たしながら $I_n$ の幅は $a_n$ の条件から
ゼロに収束していきます。
そのとき、求められる収束先の実数が交代級数の収束値ということになります。
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今回は、
- 微積分の総復習
を行いました。
宿題の解答を見ていて、気づいたことをかいておきます。
積分計算をしていて、ある関数が三角関数で置換することが予測されたとき、
$\sin x$ とおくより $\cos x$ を置いた方がよい場面も
あってその選択を間違えてしまうと、迷い道に入ってしまうことがあります。
言いたいことは、この分かれ道はあとでちゃんと簡単に合流できます。
ということです。
どういうことかというと、例えば、
$\int_0^1(1-x^2)^{\frac{n-1}{2}}dx$ を計算するのに、
$x=\sin t$ と置換すると、$dx=\cos tdt$ となり、
$$\int_0^{\frac{\pi}{2}}\cos^n dt$$
となります。
一方、$x=\cos t$ と置換すると、$dx=-\sin tdt$となり、
$$-\int_{\frac{\pi}{2}}^0\sin^n dt=\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin^n tdt$$
となり、置換の仕方を変えることで、$\sin$ と $\cos$ が逆になってしまいました。
となります。
一方、$x=\cos t$ と置換すると、$dx=-\sin tdt$となり、
$$-\int_{\frac{\pi}{2}}^0\sin^n dt=\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin^n tdt$$
となり、置換の仕方を変えることで、$\sin$ と $\cos$ が逆になってしまいました。
しかし、$\sin$ と $\cos$ は $\frac{\pi}{2}$ で対称な関数なので、
$t=\frac{\pi}{2}-x$ と置換してやることで、
すぐに $\sin$ を $\cos$ に変換してやることができます。
この変換を用いることで、
一般に $f(x)$ を連続関数(もっと一般に、積分できる関数でも)として、
$$\int_0^{\frac{\pi}{2}}f(\sin x)dx=\int_0^{\frac{\pi}{2}}f(\cos x)dx$$
が成り立ちます。
例えば、
$$\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin(\sin x)dx=\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin(\cos x)dx$$
なども示せるわけです。
また、授業中出した問題の中で、宿題として出した問題に少々問題あったようです。
授業の中で質問を受けたので、ここで書いておきます。
$\int_0^1\frac{x^5dx}{1+x^7}$ をガンマ関数によって表せという問題ですが、
例えば、積分区間を変えて、$\int_0^\infty\frac{x^5dx}{1+x^7}$ という積分なら、
$\frac{1}{1+x^7}=t$ とおいてやることで、
$x^7=\frac{1-t}{t}$ となり、$dt=-\frac{7x^6}{(1+x^7)^2}dx=-7(\frac{1-t}{t})^{\frac{6}{7}}t^2dx$
$$\int_0^\infty\frac{x^5dx}{1+x^7}=-\frac{1}{7}\int_1^0(\frac{1-t}{t})^{\frac{5}{7}}t(\frac{t}{1-t})^{\frac{6}{7}}t^{-2}dt=\frac{1}{7}\int_0^1t^{\frac{-6}{7}}(1-t)^{-\frac{1}{7}}dt=\frac{1}{7}B\left(\frac{1}{7},\frac{6}{7}\right)=\frac{1}{7}\Gamma\left(\frac{1}{7}\right)\Gamma\left(\frac{6}{7}\right)=\frac{\pi}{7\sin \frac{\pi}{7}}$$
とすることができます。
しかし、この問題の場合 $0$ から $1$ までの積分ですから、そういうわけにも
行かなかったかと思います。
そういうわけで、以下のようにします。
$t=x^7$ と置換をします。このとき、$dt=7x^6dx=7t^{\frac{6}{7}}dx$ となり、
$$\int_0^1\frac{x^5}{1+x^7}dx=\frac{1}{7}\int_0^1\frac{t^{\frac{5}{7}}}{1+t}t^{-\frac{6}{7}}dt$$
$$=\frac{1}{7}\int_0^1t^{-\frac{1}{7}}\frac{1}{1+t}dt$$
となります。
ここで、$\frac{1}{1+t}=\sum_{n=0}^\infty\frac{(-1)^n}{2^{n+1}}(t-1)^n=\sum_{n=0}^\infty \frac{1}{2^{n+1}}(1-t)^n$ とします。
そうすると、
$$\frac{1}{7}\int_0^1t^{-\frac{1}{7}}\frac{1}{1+t}dt=\frac{1}{7}\int_0^1\sum_{n=0}^\infty\frac{1}{2^{n+1}} t^{-\frac{1}{7}}(1-t)^{n}dt$$
$$=\frac{1}{7}\sum_{n=0}^\infty\frac{1}{2^{n+1}}\int_0^1t^{-\frac{1}{7}}(1-t)^ndt=\frac{1}{7}\sum_{n=0}^\infty\frac{1}{2^{n+1}} B\left(\frac{6}{7},n+1\right)$$
とすることができます。
このように、無限個のベータ関数によってかけることはわかりましたが、実際、
有限個のベータ関数の和にかけるかどうかはよくわかりません。
またさらに、
$$\frac{1}{7}B\left(\frac{6}{7},n+1\right)=\frac{\Gamma(\frac{6}{7})\Gamma(n+1)}{7\Gamma(\frac{6}{7}+n+1)}$$
$$=\frac{n!\Gamma(\frac{6}{7})}{7(\frac{6}{7}+n)(\frac{6}{7}+n-1)\cdots \frac{6}{7}\Gamma(\frac{6}{7})}=\frac{n!7^{n}}{\prod_{k=0}^n(7k+6)}=\frac{(7n)!_7}{(7n+6)!_7}$$
とかけます。
ここで、多重階乗 $n!_k$ は $n!_k=n\cdot(n-k)!_k$
かつ $n!_k=n $ ($0<n\le k$)として帰納的に定義します。
つまり、$n!=n!_1$ で、$n!!=n!_2$ や $n!!!=n!_3$ を意味します。
よって、
$$\int_0^1\frac{x^5}{1+x^7}dx=\sum_{n=0}^\infty\frac{1}{2^{n+1}}\frac{(7n)!_7}{(7n+6)!_7}$$
とかけます。
ここでの大きな問題は、極限と積分の順序交換ですが、ここでは詳しく
述べないことにします。
交代級数定理
また、授業中に述べた交代級数の定理について少しいいまちがえたので
訂正します。正しくは、こうです。
定理
$a_n (n=0,1,2,...)$ が正項の数列とする。$a_n$ が単調減少しながら $0$ に収束するとする。
このとき、$\sum_{n=0}^\infty (-1)^na_n$ は収束する。
この定理の証明は授業中述べた通りです。
$s_n=\sum_{k=0}^na_k$ とすると、区間 $I_n=[s_{2n+1},s_{2n}]$ は、
$I_n\supset I_{n+1}$ を満たしながら $I_n$ の幅は $a_n$ の条件から
ゼロに収束していきます。
そのとき、求められる収束先の実数が交代級数の収束値ということになります。
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