2017年7月20日木曜日

微積分I演習(数学類)(第12回)

[場所1E103(水曜日4限)]

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今回は、
  • ガンマ関数
  • ベータ関数
についての演習を行いました。

ガンマ関数

ガンマ関数 $\Gamma(s)$ は、
$$\Gamma(s)=\int_0^\infty e^{-x}x^{s-1}dx$$
として定義されます。
この定義からすぐわかるように、$s>0$ においてこの積分は収束します。
$s\le 0$ ではこの積分 ($x=0$ での広義積分) は収束しません。

このとき、部分積分を使って、簡単に、

$$\Gamma(s+1)=s\Gamma(s)\ \ (\ast)$$
が成り立ち、また、$\Gamma(1)=1$ となるので、
$n\in {\mathbb N}$ であるとき、
$\Gamma(n)=(n-1)!$ であることがわかります。

また、$\Gamma(s)$ を $-1<s<0$ のときにも、$(\ast)$ の式を満たすような関数として
$\Gamma(s)=\frac{\Gamma(s+1)}{s}$ として定義しておけば、
右辺は定義されているので、このような範囲の $s$ に対しても一意的に
拡張することができます。おなじように、$-2<s<-1$ のときにも、値を定めることが
でき、$-n<s<-n+1$ のときに一般に、$\Gamma(s)$ の値を帰納的に定めることができます。

このような関数も $\Gamma(s)$ とかき、ガンマ関数と言います。
また、$\lim_{s\to 0}\Gamma(s)=\lim_{s\to 0}\frac{\Gamma(s+1)}{s}$
から、$s=0$ での値は無限に発散することがわかります。

$\Gamma(s)=\frac{\Gamma(s+1)}{s}$ を使えば、無限に発散する状況は、$s$ は負の整数
である場合と同じなので、この場合、同じく無限に発散します。

このように無限に発散する点のことを複素関数論では極(きょく)といいます。
つまり、実数関数としての $\Gamma(s)$ の極は、非正なる整数全体ということ
になります。

また、ガンマ関数の他の公式を書いておくと、
$$\Gamma(s)\Gamma(1-s)=\frac{\pi}{\sin \pi s}$$
があります。これは、ガンマ関数の無限積表示などから得られます。

ガンマ関数の無限積表示に関しては、

2015年微積分II演習(第10回)(リンク)
にも書きました。

ベータ関数

ベータ関数 $B(a,b)$ は、
$$B(a,b)=\int_0^1t^{a-1}(1-t)^{b-1}dt$$
として定義されます。

この関数は、重積分などを用いると、
$$B(a,b)=\frac{\Gamma(a)\Gamma(b)}{\Gamma(a+b)}$$
が成り立ちます。これは、重積分などを介して証明できますが、ここでは認めて
おくことにします。

そのとき、$\text{arcsin}(x)=\int_0^x\frac{1}{\sqrt{1-t^2}}dt$ なので、
$\frac{\pi}{2}=\text{arcsin}(1)=\int_0^1\frac{1}{\sqrt{1-x^2}}dx$ となります。

また、この右辺を計算すると、
$t=x^2$ とすると、

$\int_0^1\frac{1}{\sqrt{1-t}}\frac{dt}{2\sqrt{t}}=\frac{1}{2}\int_0^1\frac{dt}{\sqrt{t(1-t)}}=\frac{1}{2}B(\frac{1}{2},\frac{1}{2})$ となります。
よって、$B(\frac{1}{2},\frac{1}{2})=\pi$ が成り立ちます。

上の公式から、
$$B(\frac{1}{2},\frac{1}{2})=\frac{\Gamma(\frac{1}{2})\Gamma(\frac{1}{2})}{\Gamma(1)}=\Gamma(\frac{1}{2})^2$$
となり、
$$\Gamma(\frac{1}{2})=\sqrt{\pi}$$
がいえます。

この値と、公式 ($\ast$) から、
$\Gamma(\frac{2n-1}{2})$ ($n=1,2,...$) は$\sqrt{\pi}$ の有理数倍ということがわかります。

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