[場所1E103(金曜日3限)]
HPに行く.
今日は、
$$A=\left(
\begin{array}{ccc}
3 & 4 & 4 \\
-2 & -3 & -4 \\
1 & 2 & 3 \\
\end{array}
\right)$$
なる行列は、固有多項式は、$(t-1)^3$ となる行列です.
この行列のジョルダン基底を求めてみます.
まずやることは、重複度の分だけ
$$\text{Ker}(A-E)$$
$$\text{Ker}((A-E)^2)$$
$$\text{Ker}((A-E)^3)$$
を計算することです.このとき、
これらの連立一次方程式を解くと、
$$\left\langle\begin{pmatrix}2\\0\\-1\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\1\\-1\end{pmatrix}\right\rangle$$
$$\left\langle\begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\0\\1\end{pmatrix}\right\rangle$$
レポートなどを見ていると、ここで、$\begin{pmatrix}2\\0\\-1\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\1\\-1\end{pmatrix}$ を
ジョルダン基底のうちの2つとして取っている人がいます.
これはジョルダン基底になるかどうかまだわかりません.
まず、$\text{Ker}((A-E)^2)/\text{Ker}(A-E)$ の基底を取ってください.そうすると、
これは、$\text{Ker}((A-E)^2)$ の $\text{Ker}(A-E)$ の補空間の基底をとればよいですから、
$$\begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix}$$
をとれば十分です.これを、${\bf v}_1$ とおきます.このベクトルは、ジョルダン基底の一つになるものですが上の2つと合わせても、ジョルダン基底は作れません.
他のべクトルは、このベクトルに $A-E$ をかけて作ってください.
つまり、
$${\bf v}_2=(A-E){\bf v}_1=\begin{pmatrix}2\\-2\\1\end{pmatrix}$$
とおきます.
次に、最後の基底ですが、単射写像
$$\text{Ker}((A-E)^2)/\text{Ker}(A-E)\to \text{Ker}(A-E)$$
の像で割った空間の基底をとります.
この像は、$(A-E){\bf v}_1=\begin{pmatrix}2\\-2\\1\end{pmatrix}$
ですが、このベクトルの$\text{Ker}(A-E)$ での補空間の基底をとります.
そうすると、$\begin{pmatrix}2\\0\\-1\end{pmatrix}$ が補空間の基底としてとれると思います.この
ベクトルを、${\bf u}$ としたとき、
$$({\bf v}_2,{\bf v}_1,{\bf u})$$
が、漸くジョルダン基底となるのです.
実際、
$$(A-E)({\bf v}_2,{\bf v}_1,{\bf u})=({\bf 0},{\bf v}_2,{\bf 0})$$
となり、右辺を再び、この基底で書いてみると、
$$(A-E)({\bf v}_2,{\bf v}_1,{\bf u})=({\bf 0},{\bf v}_2,{\bf 0})=({\bf v}_2,{\bf v}_1,{\bf u})\left(
\begin{array}{ccc}
0 & 1 & 0 \\
0 & 0 & 0 \\
0 & 0 & 0 \\
\end{array}
\right)$$
となりますので、$E$ を項を移項して、
HPに行く.
今日は、
- ジョルダン標準形についての演習
を行いました.
ジョルダン標準形について一注
ジョルダン標準形とは、行列に依存した、ある(ジョルダン)基底をとることですが、
その基底の取り方を間違えている人がいます.
例えば、
$$A=\left(
\begin{array}{ccc}
3 & 4 & 4 \\
-2 & -3 & -4 \\
1 & 2 & 3 \\
\end{array}
\right)$$
なる行列は、固有多項式は、$(t-1)^3$ となる行列です.
この行列のジョルダン基底を求めてみます.
まずやることは、重複度の分だけ
$$\text{Ker}(A-E)$$
$$\text{Ker}((A-E)^2)$$
$$\text{Ker}((A-E)^3)$$
を計算することです.このとき、
これらの連立一次方程式を解くと、
$$\left\langle\begin{pmatrix}2\\0\\-1\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\1\\-1\end{pmatrix}\right\rangle$$
$$\left\langle\begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\0\\1\end{pmatrix}\right\rangle$$
$$\left\langle\begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\0\\1\end{pmatrix}\right\rangle$$
となります.これは、$(A-E)^2=O$ であることからこのようになります.
つまり、最小多項式は、$(t-1)^2$ です.
ジョルダン基底のうちの2つとして取っている人がいます.
これはジョルダン基底になるかどうかまだわかりません.
まず、$\text{Ker}((A-E)^2)/\text{Ker}(A-E)$ の基底を取ってください.そうすると、
これは、$\text{Ker}((A-E)^2)$ の $\text{Ker}(A-E)$ の補空間の基底をとればよいですから、
$$\begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix}$$
をとれば十分です.これを、${\bf v}_1$ とおきます.このベクトルは、ジョルダン基底の一つになるものですが上の2つと合わせても、ジョルダン基底は作れません.
他のべクトルは、このベクトルに $A-E$ をかけて作ってください.
つまり、
$${\bf v}_2=(A-E){\bf v}_1=\begin{pmatrix}2\\-2\\1\end{pmatrix}$$
とおきます.
次に、最後の基底ですが、単射写像
$$\text{Ker}((A-E)^2)/\text{Ker}(A-E)\to \text{Ker}(A-E)$$
の像で割った空間の基底をとります.
この像は、$(A-E){\bf v}_1=\begin{pmatrix}2\\-2\\1\end{pmatrix}$
ですが、このベクトルの$\text{Ker}(A-E)$ での補空間の基底をとります.
そうすると、$\begin{pmatrix}2\\0\\-1\end{pmatrix}$ が補空間の基底としてとれると思います.この
ベクトルを、${\bf u}$ としたとき、
$$({\bf v}_2,{\bf v}_1,{\bf u})$$
が、漸くジョルダン基底となるのです.
実際、
$$(A-E)({\bf v}_2,{\bf v}_1,{\bf u})=({\bf 0},{\bf v}_2,{\bf 0})$$
となり、右辺を再び、この基底で書いてみると、
$$(A-E)({\bf v}_2,{\bf v}_1,{\bf u})=({\bf 0},{\bf v}_2,{\bf 0})=({\bf v}_2,{\bf v}_1,{\bf u})\left(
\begin{array}{ccc}
0 & 1 & 0 \\
0 & 0 & 0 \\
0 & 0 & 0 \\
\end{array}
\right)$$
となりますので、$E$ を項を移項して、
$$A({\bf v}_2,{\bf v}_1,{\bf u})=({\bf 0},{\bf v}_2,{\bf 0})=({\bf v}_2,{\bf v}_1,{\bf u})\left(
\begin{array}{ccc}
1 & 1 & 0 \\
0 & 1 & 0 \\
0 & 0 & 1 \\
\end{array}
\right)$$
\begin{array}{ccc}
1 & 1 & 0 \\
0 & 1 & 0 \\
0 & 0 & 1 \\
\end{array}
\right)$$
となります.
ホモロジー
ホモロジーというのは、ここでの演習で出すには余りにも役不足といった感じです.
本当は、ベクトル空間に次数という概念があるような場合でないと全く意味をなしません.
しかし、実際ホモロジーを計算するとき、ほとんど線形代数のようなことをしますので、ここで敢えて名前だけ高級なものにして演習してもらいました.
ホモロジーについてのwikipediaにリンクを貼っておきます.
こちら(リンク)。
ホモロジーについてのwikipediaにリンクを貼っておきます.
こちら(リンク)。
ちなみに、ホモロジーというのは、数学を研究するには、知らない人はいないくらい、普通に出てくるものです.元々は、幾何的な立場で、定義されましたが、代数でも解析の文脈でも出てきます.例えば、多面体において、
面の数-辺の数+頂点の数
を計算した時に、どんな多面体でも(正多面体でなくても、一般の多面体に置いても)、2になるということを知っている人がいるかもしれませんが、どうして2になるのか?この2ってなんだろう?という疑問に全て答えてくれるのが、多面体を一般化した単体複体におけるホモロジーという概念です.
3年生以降で習うトポロジーA,Bなどの授業がそれに相当します.
それはさて置き、内容としては、以下のようなものです.
べきゼロ変換
$$d:V\to V$$
において$d\circ d=0$ つまり、数ベクトル空間では行列の2回積 $A^2$ がゼロ行列になるような写像とします.
このとき、いつでも、$\text{Im}(A)/\text{Ker}(A)$ となりますので、
$$\text{Im}(A)/\text{Ker}(A)$$
のようなベクトル空間を $(V,d)$ のホモロジーといいます.
ここでは、$H(V,d)$ と書くことにします.$H(V,d)$ は一つのベクトル空間の同型類を
表します.
ただの商空間の問題というだけではなく、このホモロジーの基底が
べきゼロ変換のジョルダンブロックにおいて、どのような部分を計算しているかという
ことを整理しておきます.まず、べきゼロ行列が $A^2=O$ となるとき、
ヤング図形は、高々2列のものになります.このとき、
ヤング図形のブロックのどの部分がホモロジーの基底になっているか?というと、
結論から言えば、上のようなヤング図形のうち、黄色の四角がホモロジーの基底となります.
ちなみに、$\text{Ker}(A)$ は、赤と黄色合わせた部分で、赤の部分は、$\text{Im}(A)$ ということになります.なので、
$$H(V,d)=\text{黄色の部分のベクトルで生成されるベクトル空間}$$
となります.
(赤$+$黄)/(赤)=黄色
と考えても良いです.
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