[場所1E103(金曜日3限)]
HPに行く.
今日は、
位相的に不変な量を用いたこのような考察は、
位相幾何学のちゃんとした証明方法です.
多面体のオイラー数は、$2-2g$ と計算できますが、この値の意味については
実は、多面体のホモロジーがその疑問に答えてくれます.
それについては、ここではしません.
$G(T_n)$ は、$T_n$ の動かす道筋考えるのではなく、動かした後の $T_n$ の移動先だけを考えるのです.
また、群の位数(サイズ)とは、群の集合としての数のことを言い、$|G|$ もしくは、
$\#G$ などと書きます.
双対な正多面体
正六面体群と正八面体群、正十二面体群と正二十面体群はそれぞれ同型ですが、
これは偶然ではありません.
実は、頂点と面を入れ替えるような操作があり、それらは互いに関係しあっています.
正 $n$ 面体を考えます.
一つの頂点に集まっている面の数が $x$ 個とします.
まず、その各面の重心に点をおき、隣り合う面に対して、対応する点どうしを
全て線分で結びます.
結んだ線分は、頂点の周りで正 $x$ 角形を作っているはずです.
正多面体の定義から、$x$ は頂点にはよりませんので線分で囲まれた多角形は、
全て正 $x$ 角形となります.
また、正 $n$ 面体の面の重心から出発する線分は、当然 $n$ 個あります.
つまり、面においた点から出ている辺の数は点によらず一定となります.
正 $x$ 角形を面とし、頂点(元々正 $n$ 角形の重心)から $n$ 個の
線が出ているような立体は、再び、正多面体となります.
面は正 $x$ 角形でできているので、できた立体は正 $x$ 面体となります.
なので、面においた頂点を辺として結んでできる立体は再び、
頂点の数と、面の数を入れ替えたような、相棒のような正多面体が必ず存在するという
ことになります.
このような正多面体の相棒同士の対応を正多面体の双対と言います.
正四面体の双対は、正四面体自身に戻ります.
正四面体は、面の数が、4つですが、頂点の数も4つですので、それらが
入れ替わっても、結局同じ正四面体が得られるからです.
他の $G(T_6)$, $G(T_8)$, $G(T_{12})$, $G(T_{20})$ に対する対称群への
同型写像についても、頂点、辺、面、軸(対角線など)などを使って、
HPに行く.
今日は、
- 線形代数の演習と
- 正多面体
- 群の表現
についてやりました。
多面体・正多面体について
多面体とは有限個の幾つかの面と辺と頂点によって構成された3次元空間に埋め込まれた
連結な立体で以下を満たすものを言います.
連結な立体で以下を満たすものを言います.
- 面とは平坦な幾つかの多角形の集まりであり、辺は幾つかの線分の集まり、また、頂点とは、幾つかの点の集まりとする.
- 任意の面は、幾つかの辺(線分)によって囲まれており、
- 任意の辺は、2つの頂点によって囲まれている.
- 任意の頂点は、ある辺の片方の先となる
ものをいい、
- 任意の辺が必ず、2つの面によって共有されている
とき、多面体は閉じていると言います.
ここでは多面体として、閉じたものだけを考えます.
正多面体とは、任意の面が正 $n$ 角形であり、任意の頂点に集まる面の数が頂点に
よらず一定であるようなものです.
オイラーの定理
多面体に対して次のような公式が成り立ちます.
定理(オイラー)
$v$ を頂点の数とし、$e$ を辺の数とし、$f$ を面の数とする多面体
が球面と同相であるとき、
$$v-e+f=2$$
が成り立つ.
一般に、多面体に含まれる頂点、辺、面に対して計算される、$v-e+f$ の値のことを
オイラー数と言います.
オイラー数と言います.
多面体 $X$ のオイラー数を $\chi(X)$ と書くことにします.
このオイラー数の定義は、もちろん球面と同相でなくても定義できます.
このオイラー数の定義は、もちろん球面と同相でなくても定義できます.
このオイラーの定理は、球面と同相な多面体のオイラー数はいつでも2であるということを主張しています.
球面と同相とは、多面体が $\{(x,y,z)\in{\mathbb R}^3|x^2+y^2+z^2=1\}$ に連続的な
全単射で写るということです.たとえば、正多面体は全て球面と同相です.
(同相の定義は、これでは、本当は大分曖昧ですが、本当に分かるようにやりだすと
位相の授業3回分くらいになってしまいます.)
(同相の定義は、これでは、本当は大分曖昧ですが、本当に分かるようにやりだすと
位相の授業3回分くらいになってしまいます.)
正多面体は角があったりしますが、風船のように膨らませれば、だいたい球面
と同じといえます.風船のように膨らませるような、連続変形を同相というのです.
また、一般の多面体は、球面と同相なような形ばかりとは限りません.
たとえば、ドーナツような形の多面体は球面と同相ではありません.
そのことを証明してみます.
ドーナツのような形の立体のことをドーナツと言わず、トーラスと言います.
トーラスの構成と、多面体の構造、オイラー数
トーラスと同相な多面体をつくってみます.
上部にカタカナのロのようなピースができますが、これでは、
多面体の構造にはなりませんので、ロを分割して、8個の正方形に区切り、
下部も同じようにしておきます.また、側面の正方形にも辺を加えることで、
多面体の構造にはなりませんので、ロを分割して、8個の正方形に区切り、
下部も同じようにしておきます.また、側面の正方形にも辺を加えることで、
下のような正多面体となります.このような多面体を $T$ とおきます.
この多面体の頂点、辺、面の様子を見ていきます.
辺に関しては、
上部の8個の四角形において24個あります.
頂点に関しては、
上部に16個、下部に16個あり、計32個の頂点があります.
上部に16個、下部に16個あり、計32個の頂点があります.
辺に関しては、
上部の8個の四角形において24個あります.
下部にも同じ数だけあります.また、側面の辺の数は12個で、
貫通された時にできた四角形の穴には、内側に4個の辺があります.
よって、計64個の辺があります.
よって、計64個の辺があります.
面に関しては、
上部の8個の四角形、下部の8個の四角形、
側面の12個の四角形、貫通した穴の内側の側面には4つの四角形があり、
計32個の面があります.
上部の8個の四角形、下部の8個の四角形、
側面の12個の四角形、貫通した穴の内側の側面には4つの四角形があり、
計32個の面があります.
よって、
頂点: $v=32$
辺:$e=64$
面:$f=32$
となります.このとき、上のオイラー数を計算してみると、
$$\chi(T)=32-64+32=0$$
となり、この多面体のオイラー数は$\chi(T)=0$ と計算できます.
上の球面のオイラー数と比べると、面白いことを言っています.
球面と同相な多面体のオイラー数はいつでも $2$ ですから、サイコロに穴を開けた多面体は、球面とは同相にはなりえないということが証明できたのです.
位相的に不変な量を用いたこのような考察は、
位相幾何学のちゃんとした証明方法です.
ここで、閉じた多面体のオイラー数の公式として、次の公式が成り立ちます.
中身の詰まった球面のことを球体ということにします.
定理(多面体のオイラー数の公式)
定理(多面体のオイラー数の公式)
球体に $g$ 個の穴を貫通させてできる立体の表面と同相な多面体 $X_g$ のオイラー数は、
$$\chi(X_g)=e -v+f=2-2g$$
となる.
オイラーの公式は、ちょうど、$g=0$ (球面と同相な多面体)のオイラー数の公式を
言っており、トーラスの例は、$g=1$ となる例を行っています.
言っており、トーラスの例は、$g=1$ となる例を行っています.
球体に $g=1$ 個の穴を貫通させてできた多面体とは、
ドーナツのような、別の例でいえば、一人乗りの浮き輪の表面のような形です.
$g$ この穴を開けたような多面体とは、$g$ 個の一つ穴空きドーナツの生地を
連結させて、揚げたようなもの、別の例でいえば、$g$ 人乗りの浮き輪の表面のようなものです.
連結させて、揚げたようなもの、別の例でいえば、$g$ 人乗りの浮き輪の表面のようなものです.
多面体が同相であれば、オイラー数は不変であり、そのオイラー数は、穴の数 $g$ を使って、$2-2g$ として計算できるということになります.
この $g$ のことを、多面体の種数と言います.
このオイラー数は、多面体の同相写像によって不変な量であり、
そのように、同相写像によって不変な多面体の量を(多面体の)位相不変量と言います.
逆に(連結な)多面体の同相類は、このオイラー数によって全て分類されます.
多面体のオイラー数は、$2-2g$ と計算できますが、この値の意味については
実は、多面体のホモロジーがその疑問に答えてくれます.
それについては、ここではしません.
正多面体群
正 $n$ 多面体を $T_n$ とします.
正多面体群 $G(T_n)$ とは、ユークリッド空間のある位置においた
$T_n$ を動かす群のことを言います.
$T_n$ を動かす群のことを言います.
つまり、正多面体群とは、$T_n$ を動かして、元の $T_n$ の位置にはめ戻す操作
全ての集合です.
全ての集合です.
ぴったりと頂点が頂点に、辺が辺にハマれば良いのであって、同じ頂点に戻す必要はありません、しかし、全く動かさない方法も中に入れておきます.
$G(T_n)$ は、$T_n$ の動かす道筋考えるのではなく、動かした後の $T_n$ の移動先だけを考えるのです.
例えば、$T_4$ の一つの頂点は、3つの三角形によって共有されていますが、
その頂点の対面の三角形の重心とその頂点を結ぶ直線を軸とする回転で、0度、120度、240度回転は、元の $T_4$ の位置にぴったりと動かした $T_4$ を合わせることができるので、$G(T_4)$ 元となります.また、それらは、相異なる元にもなります.
その頂点の対面の三角形の重心とその頂点を結ぶ直線を軸とする回転で、0度、120度、240度回転は、元の $T_4$ の位置にぴったりと動かした $T_4$ を合わせることができるので、$G(T_4)$ 元となります.また、それらは、相異なる元にもなります.
しかし、動かす方法を変えた、-120度、-240度回転は、それぞれ、240度、120度回転したものと結果同じなので、それらは区別しません.
つまり、群としての動きは、全部で、0度回転、120度回転、240度回転だけ考えれば良い
のです.
のです.
実は、$T_4$ の4つの頂点に番号をつけておいて、それらがどこに移るのか?
ということを分類したもの全体が、$G(T_4)$ となります.
つまり、頂点だけ見ていれば、その動かし方が完璧に分かるということを
意味しています.
つまり、頂点だけ見ていれば、その動かし方が完璧に分かるということを
意味しています.
これは、$\{1,2,3,4\}$ から、$\{1,2,3,4\}$ へのある全単射だとみなしても良いでしょう.
(この場合は、すべての $\{1,2,3,4\}$ 上の全単射が $G(T_4)$ の元とみなすことはできませんが...)
わかることは、$G(T_n)$ は有限集合だということです.
また、動かす方法を合成することで、$G(T_n)$ の積を考えることができます.
$T_n$ の逆の動かし方もありますから、逆元もあります.
つまり、$G(T_n)$ は群だということになります.
群について少し
群については、以前のブログ(リンク)に書きましたが、ここでももう一度紹介します.
群については、以前のブログ(リンク)に書きましたが、ここでももう一度紹介します.
群とは、ある集合に2項演算 $\cdot$ が定義されたもので、その演算において集合の中で、閉じている ($g,h\in G$ ならば、$g\cdot h\in G$ が成り立つ)ものを言います.また、次の条件を満たします.、
- $G$ の任意の元 $g,h,k$ に対して、 $(g\cdot h)\cdot k=g\cdot (h\cdot k)$ が成り立つ.
- 単位元 $e\in G$ が存在して、任意の $g\in G$ に対して、$g\cdot e=e\cdot g=g$ が成り立つ.
- 任意の $g\in G$ に対して、逆元 $g^{-1}$ が存在して、$g\cdot g^{-1}=g^{-1}\cdot =e$ となる.
2つの群 $G, H$ の間の写像 $f:G\to H$ が準同型であるとは、任意の $g,h\in G$ に対して、
$$f(g)\cdot f(h)=f(g\cdot h)$$
が成り立つことを言います.
準同型かつ、全単射な写像のことを、同型写像と言い、$G\cong H$ と書きます.
それらは、ベクトル空間の線形写像と、同型写像にあたる対象だと考えれば
良いでしょう.
良いでしょう.
また、群の位数(サイズ)とは、群の集合としての数のことを言い、$|G|$ もしくは、
$\#G$ などと書きます.
正多面体群の話に戻ると、プリントの問題にも書きましたが実は、
$G(T_4)\cong A_4$
$G(T_6)\cong S_4$
$G(T_8)\cong S_4$
$G(T_{12})\cong A_5$
$G(T_{20})\cong A_5$
となる同型があります.
$S_n$ は、$n$ 次対称群と言い、$\{1,2,\cdots, n\}$ の全単射の
$S_n$ は、$n$ 次対称群と言い、$\{1,2,\cdots, n\}$ の全単射の
なす群であり、全単射の合成を、群の積と定義されます.
また、位数は、$\#S_n=n!$ となります.(考えてみてください!ヒントは順列です.)
$A_n\subset S_n$ とは、全単射のうち、偶数個の互換によって書かれるもの全体を言います.$S_n$ の互換とは、2つの文字を入れ替え、その他の文字は変えないもの
を言います.
奇数個の互換の積と偶数個の互換の積は、ちょうど同じ数だけありますから、
$\#A_n=n!/2$ となります.
また、$A_n$ は $S_n$ の群の積として、閉じています.
このような部分集合のなす群を部分群と言います.
$\#A_n=n!/2$ となります.
また、$A_n$ は $S_n$ の群の積として、閉じています.
このような部分集合のなす群を部分群と言います.
上の、一つ目の同型は、$g\in G(T_4)$ に対して、4つの頂点 $\{1,2,3,4\}$ の行き先を
$\{n_1,n_2,n_3,n_4\}$ としたときに、 $S_4$ の元として
$$\begin{pmatrix}1&2&3&4\\n_1&n_2&n_3&n_4\end{pmatrix}$$
となるものを対応させることにすることで、
$A_4$ への同型写像が得られます.この時、奇数個の互換でかけるもの、例えば、$(1,2)$
(1の頂点と2の頂点を入れ替え、3,4の頂点を動かさない)となる
正四面体群の元は存在しません.1,2の頂点を入れようとすると、どうしても、3,4も入れ替えてしまうはずです.
双対な正多面体
正六面体群と正八面体群、正十二面体群と正二十面体群はそれぞれ同型ですが、
これは偶然ではありません.
実は、頂点と面を入れ替えるような操作があり、それらは互いに関係しあっています.
正 $n$ 面体を考えます.
一つの頂点に集まっている面の数が $x$ 個とします.
まず、その各面の重心に点をおき、隣り合う面に対して、対応する点どうしを
全て線分で結びます.
結んだ線分は、頂点の周りで正 $x$ 角形を作っているはずです.
正多面体の定義から、$x$ は頂点にはよりませんので線分で囲まれた多角形は、
全て正 $x$ 角形となります.
また、正 $n$ 面体の面の重心から出発する線分は、当然 $n$ 個あります.
つまり、面においた点から出ている辺の数は点によらず一定となります.
正 $x$ 角形を面とし、頂点(元々正 $n$ 角形の重心)から $n$ 個の
線が出ているような立体は、再び、正多面体となります.
面は正 $x$ 角形でできているので、できた立体は正 $x$ 面体となります.
なので、面においた頂点を辺として結んでできる立体は再び、
頂点の数と、面の数を入れ替えたような、相棒のような正多面体が必ず存在するという
ことになります.
このような正多面体の相棒同士の対応を正多面体の双対と言います.
正四面体の双対は、正四面体自身に戻ります.
正四面体は、面の数が、4つですが、頂点の数も4つですので、それらが
入れ替わっても、結局同じ正四面体が得られるからです.
実際、絵を描くか、正四面体を作ってみて、実験してみてください.
他の $G(T_6)$, $G(T_8)$, $G(T_{12})$, $G(T_{20})$ に対する対称群への
同型写像についても、頂点、辺、面、軸(対角線など)などを使って、
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