[場所1E501(月曜日5限)]
これは6月17日の分の内容です。
今回は、ユークリッド空間 {\mathbb R}^n の中の n+1 点は
その間の距離をどのように決めたときに、その点達
は実際存在しうるか?
という問題です。
Miniature 6 では {\mathbb R}^2 の中の4点が存在するか?
という問題でしたから、今回の話とは独立です
問題意識は似ていますが、本質的に違った証明になります。
n+1 点は重複があっても良いですが、そのとき、
もし{\mathbb R}^n 上に乗っているとすると、すでに{\mathbb R}^n
のなかの n-1 次元アフィン空間 {\mathbb R}^{n-1} と同じもの
に乗っていなければならず、次元が落ちた状況で考えることになります。
平面では、三角不等式を満たす3点は必ず3点として存在します。
三角不等式は必要条件でもあるので、三角不等式は平面上に3点が存在するための
必要十分条件ということになります。
今回は一般にどうか?ということです。つまり高次元化されています。
{\mathbb R}^n の中の n+1 点の場合に、そのうちの任意の3点が三角不等式を満たす
ということも必要な条件なのですが、実はそれだけではないというのが
この問題の主題です。
定理は、実際以下のようになります。
定理
m_{ij} をi,j=0,1,\cdots, n とし、非負実数とし、m_{ij}=m_{ji}
とし、m_{ii}=0 とします。
このとき、ある{\bf p}_0,{\bf p}_1\cdots {\bf p}_n\in {\mathbb R}^{n} が存在して、
m_{ij}=||{\bf p}_i-{\bf p}_j|| であるための必要十分条件は、
g_{ij}=\frac{1}{2}(m_{0i}^2+m_{0j}-m_{ij}^2) として n\times n 行列 G=(g_{ij})
を構成したときに、G が半正定値であることと同値である。
行列は半正定値であるとは、その固有値が全て0以上の実数で
あることです。
この定理は、n+1 点の任意の3点に対して三角不等式を満たす
という条件より本質的に強い条件になっています。
G=(g_{ij}) が半正定値
であることは、G が対称行列であることもあり、
G=XX^t となる正方実行列 X が存在することと同値です。
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