[場所1E501(月曜日5限)]
これは7/1の外書輪講で行われた授業に基づいています。
ここでは多面体のオイラーの公式についての話をしてもらいました。
まず、グラフを考えます。
グラフとは、有限この頂点とその頂点を結ぶ有限この辺からなる幾何的対象物です。
各辺は必ずある頂点同士を結んでいないといけません。
規則としてはこれだけです。
このとき、オイラーは、以下の定理を発見しました。
もし、グラフが、平面上に、辺同士が互いに交わらないように描くことが
できたとすると、その頂点の数を n 、辺の数を e、
グラフで分割された平面の領域の数を f とするとき、
n-e+f=2
の関係式が成り立つ。
ここで、グラフで分割された領域として、無限のかなたに伸びる部分も
領域として数えます。
このオイラーの公式を用いると、ピックの公式を導けるので
それを証明してもらいました。
平面 {\mathbb R}^2 の上に等間隔に格子点 {\mathbb Z}^2 を用意し、
その点を適当に結んで下のような多角形
を作ったとします。下の多角形は一例です。
ピックの公式とは、以下の公式です。
ピックの公式
格子点を結んでできる多角形の面積は、
n_{\text{int}}+\frac{1}{2}n_{\text{bd}}-1
のように計算できます。
ここで、n_{\text{int}} は、多角形の内部にある点の個数であり、
n_{\text{bd}} は、多角形の辺上にある点の個数とします。
(オイラーの公式を用いたピックの公式の証明)
まず、内部に格子点を持たない三角形の面積が 1/2 であることを示します。
そのような三角形を基本三角形と呼ぶことにします。
ある基本三角形の頂点を{\bf p}_0,{\bf p}_1,{\bf p}_2としておきます。
また、平行移動をして、{\bf p}_0={\bf 0} としておきます。
このとき、{\bf 0},{\bf p}_1,{\bf p}_2,{\bf p}_1+{\bf p}_2
は内部に格子点を持たない平行四辺形です。
この平行四辺形を平行移動をして、平面全体を覆ったときに、
それらの平行移動をしてできる平行四辺形はみな、内部に頂点を
含みません。
頂点全て {\mathbb Z}^2 はどこかの平行四辺形の頂点になっています。
つまり、
(a,b)^t\in {\mathbb Z}^2 は必ず、{\bf p}_1 と{\bf p}_2 の
整数を係数にもつ1次結合によって、(a,b)^t=n{\bf p}_1+m{\bf p}_2 のように
書き表すことができます。
よって、(1,0)^t=n{\bf p}_1+m{\bf p}_2 と (0,1)^t=r{\bf p}_1+s{\bf p}_2
としたとき、
\begin{pmatrix}1&0\\0&1\end{pmatrix}=({\bf p}_1,{\bf p}_2)\begin{pmatrix}n&r\\m&s\end{pmatrix}
となります。
この行列式をとることで、1=\det({\bf p}_1,{\bf p}_2)\cdot \det\begin{pmatrix}n&r\\m&s\end{pmatrix}
となり、各行列の行列式は整数を成分に持つから、特に、\det({\bf p}_1,{\bf p}_2)=\pm1
でなければなりません。この左辺の絶対値はこの平行四辺形の面積
を表すから、{\bf 0},{\bf p}_1,{\bf p}_2 からなる基本三角形の
面積は 1/2 であることがわかりました。
よって、任意の基本三角形の面積は 1/2 であることがわかりました。
次に、任意の格子点を頂点とする多角形は、
多角形の n_{\text{int}} 個の内部の点と n_{\text{bd}} 個の
境界上の点を頂点を用いた、いくつかの三角形によって三角形分割をすることが
できることを用います。
ここで分割された三角形は、十分に辺を加えることによって、
基本三角形にしても良いことがわかります。
そうすると、平面がいくつかの基本三角形を面とするグラフによって
分割されることがわかります。n,e,f を上で定義したグラフの
頂点、辺、領域の数とします。
このとき、三角形の個数は f-1 個で、面積を A とすると、
上で示したことから、
A=\frac{1}{2}(f-1)
となります。
辺の中で、多角形の内部にあるものの個数を e_{\text{int}} とし、
境界にあるものの個数を e_{\text{bd}} とします。
また、三角形には3辺あるので、含まれる基本三角形全ての辺の
数を数えると、3(f-1)=2e_{\text{int}}+e_{\text{bd}}
となります。
また、辺の数の総数が e であるから、e=e_{\text{int}}+e_{\text{bd}}
が成り立ちます。
また、境界の頂点の個数は境界の辺の個数と一致するから、
n_{\text{bd}}=e_{\text{bd}} が成り立ちます。
オイラーの公式にこの等式を代入することで、
n_{\text{int}}-e_{\text{int}}+f=2
が成り立ち、上の式にもこの等式を代入することで、
3(f-1)=2e_{\text{int}}+n_{\text{bd}}
となります。
この2つのしきから e_{\text{int}} を消去することで、
2n_{\text{int}}+n_{\text{bd}}=f+1
が成り立ちます。
よって、
A=\frac{1}{2}(f-1)=\frac{1}{2}(2n_{\text{int}}+n_{\text{bd}}-2)=n_{\text{int}}+\frac{1}{2}n_{\text{bd}}-1
となり、ピックの公式を導けました。
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