[場所1E501(月曜日5限)]
これは、7/8の外書輪講での授業の内容です。
今回は以下の定理を紹介してくれました。
シルベスターガレイの定理
平面上で同一直線上にない勝手な n 点をとる。
そのとき、その n 点のうちちょうど2点を含むような
平面上の直線が存在する。
(証明)
\mathcal{P} を平面上の n 点の集合とし、
\mathcal{L} を \mathcal{P} のうち少なくとも2点を通る
直線の集合とします。
\{(P,\ell)\in \mathcal{P}\times \mathcal{L}|P\not\in \ell\} となる集合のうち、
P から \ell への距離が最小のものをとります。
それを、(P_0,\ell_0) とします。
P_0 から \ell_0 への垂線の足を Q とします。
ここで、\ell_0 が3点以上の点を含むとします。
そのとき、そのうち2点 P_1, P_2 が Q を挟んで \ell 上の同じ側
にあるとしてきます。それらのうち1つが Q と一致しても構いません。
また、P_1 が Q と P_2 の間にあると仮定しましょう。
このとき、P_2 と P を結んだ直線を \ell_1 とおくと、
P_1 と \ell_1 との距離は、P と \ell_0 との距離より短くなっています。
れは、P と \ell_0 の距離が最小ということに反します。
故に、\ell_0 には2点以上の点を含まないことになります。
よって、シルベスターガレイの定理が導けました。
これによって、平面上の2 点には、
ちょうど2点を通る直線が存在することが示されました。
このことは平面であるから成り立ちますが、
他の空間では反例もあります。
また、次の定理も成り立ちます。
定理
平面上のn(\ge 3) 点集合 \mathcal{P} が一直線上に並んでいないとすると、
\mathcal{P} の点を2点以上含む直線の集合 \mathcal{L} は
|\mathcal{L}|\ge n である。
証明
帰納法で示します。
もし、n 点の場合が示されたとします。
|\mathcal{P}|=n+1 とします。
このとき、シルベスターガレイの
定理から、\ell_0\in \mathcal{L} が存在して、\ell_0 は
\mathcal{P} の点をちょうど2点含みます。
そのうち1点をQ として、\mathcal{P}'=\mathcal{P}\setminus \{Q\}
とし、\mathcal{L}' を \mathcal{P}' のうち2点以上含む
直線の全体とします。もし、\mathcal{P}' が1直線上に
乗らないとすると、帰納法の仮定から、|\mathcal{L}'|\ge n であり、
\ell_0\not\in \mathcal{L}' であり、
\mathcal{L}'\cup\{\ell_0\}\subset \mathcal{L} であるから、|\mathcal{L}|\ge n+1
を満たします。
もし \mathcal{P} が一直線上に乗るとすると、それらをP_1,P_2,\cdots, P_n とすると、
\overline{QP_i}\in \mathcal{L} であり、互いに異なるので、
|\mathcal{L}|=n+1 となり、この場合もやはり成り立ちます。
また、次の定理を示してもらいました。
定理
X を3点以上を持つ点の集合とします。
そのとき、A_1,\cdots A_m をX の真部分集合とします。
もし、X の各2点が、どこかの集合 A_i のみに
存在するとしたら、m\ge n である。
X 自身を取ってしまうと、その中に、任意の
2点が含まれますから m=1 でOKになってしまいます。
なので、真部分集合ということになります。
また、この設定の一例として、平面上の有限点集合 P に対して、
2点以上含む直線の集合 \mathcal{L}
があります。
(証明)
そのようなA_1,\cdots, A_m が存在したとして、
x\in X に対して x を含む A_i の数を r_x とします。
そのとき、仮定から、2\le r_x<m です。
今、x\in A_i=\{y_1,\cdots, y_k\} であるとすると、
\{x,y_j\} を含む集合は、A_1,\cdots, A_m の中から、ちょうど
A_{p_j} だけしかないので、それを並べることで、
A_{p_1},\cdots, A_{p_m} は重複はなく条件から r_x 以下しかありません。
よって、m\le r_x です。つまり、|A_i|\le r_x となります。
m<n と仮定しましょう。このとき、m|A_i|<nr_x であり、
x\in A_i に対して、m(n-|A_i|)>n(m-r_x) を満たします。
よって、
\{(x,A_i)\in X\times \{A_1,\cdots, A_m\}|x\not\in A_i\} という集合を考えると、
1=\sum_{x\in X}\frac{1}{n}=\sum_{x\in X}\sum_{A_i:x\not\in A_i}\frac{1}{n(m-r_x)}>\sum_{A_i}\sum_{x\not\in A_i}\frac{1}{m(n-|A_i|)}
=\sum_{i=1}^m\frac{1}{m}\sum_{x\in X:x\not\in A_i}\frac{1}{n-|A_i|}=\sum_{i=1}^m\frac{1}{m}=1
となり矛盾します。
よって、m\ge n であることがわかります。
(別証明)
この証明の別証明を隣接行列を用いて行うこともできます。
X=\{x_1,\cdots, x_n\} とし、A_1,\cdots A_m がそのような部分集合とします。
B=(b_{ij}) を
b_{ij}=\begin{cases}1&x_i\in A_j\\0&x_i\not\in A_j\end{cases}
とすると、
BB^t=\begin{pmatrix}r_{x_1}&1&\cdots&\cdots&1\\1&r_{x_2}&1&\cdots &1\\\cdots&\cdots&\cdots&\cdots&\cdots\\1&\cdots&\cdots &1&r_{x_n}\end{pmatrix}
=\begin{pmatrix}r_{x_1}-1&0&\cdots&\cdots&0\\0&r_{x_2}-1&0&\cdots &0\\\cdots&\cdots&\cdots&\cdots&\cdots\\0&\cdots&\cdots &0&r_{x_n}-1\end{pmatrix} +J
となります。ここで、J は全ての成分が 1 である行列です。
この行列 BB^t は正則行列です。
なぜなら、\forall x\in A_i となる i が唯1つしかないとすると、
そのような A_i は X と一致しないといけません。
よって、r_{x_{i}}>2 であることがわかります。
つまり、対角行列 D と J を用いて BB^t=D+J と書いたときに、
D の対角成分が全ての正の数ということになります。
この授業の第10回で書いたことと同じ議論をすることで、
BB^t は正定値行列ということになります。
特に、BB^t は正則行列となります。
故に、\text{rank}(BB^t)=n となり、
n=\text{rank}(BB^t)\le \text{rank}(B)\le \min\{n,m\}\le m
であるから、n\le m が成り立ちます。
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