Loading web-font TeX/Math/Italic

2019年10月14日月曜日

トポロジー入門(第1回)

[場所1E303,203(月曜日3,4限)]


今学期からトポロジー入門の授業をもつことになりました。
教科書は今のところ数理科学で連載している
「例題形式で探求する集合・位相」(第6章~)
です。

距離空間
今回は距離空間から始めました。
「例題形式で探求する集合・位相」でいえば、第6章の内容にあたります。
その前に集合の復習をしたのですが、それはここでは省略します。

定義[距離空間]
集合 X に対して、関数 d:X\times X\to {\mathbb R} が以下を満たすとき、
d距離関数という。
任意のx,y,z\in X に対して
(1) d(x,y)=0 \Leftrightarrow x=y
(2) d(x,y)=d(y,x)
(3) d(x,y)+d(y,z)\ge d(x,z)
である。

距離関数 d をもつ集合 (X,d)距離空間という。
(3)の不等式を三角不等式といいます。

数理科学では、
(1) \forall x,y\in X(d(x,y)\ge 0\land d(x,y)\to x=y)
と書いていますが、
この定義は間違っています。
この定義であると、d(x,x)=0 であることが示せません。

また、上の定義では d(x,y)\ge 0 であることは、
仮定されていませんが、
(2),(3)と、d(x,x)=0 であることから、
d(x,y)+d(y,x)=2d(x,y)\ge d(x,x)=0 であることから d(x,y)\ge 0
であることが示されます。
このことは数理科学のサポート情報にも載せました。
たまに、間違いを犯しているのでもしおかしいなと思ったら
このサポート情報をみてください。
また、サポート情報にもない場合は下のコメント欄やメールにて情報を
お寄せください。

開集合・閉集合
まず、開球体を定義します。

定義[開球体]
(X,d) を距離空間とする。
x\in X に対して、実数 r>0 に対して、r-開球体
B_d(x,r)=\{y\in X|d(x,y)<r\} と定義する。

つぎに、以下を定義します。

定義[開集合・閉集合]
(X,d) を距離空間とする。
U\subset X開集合であるとは、
\forall x\in U\exists \epsilon >0(B_d(x,\epsilon)\subset U) である。
F\subset X閉集合であるとは、
F^c が開集合であることである。


注意として、ある距離空間において、ある部分集合が開集合であるかどうかは、
その距離 d に依存し、集合だけに依存しません。

距離空間の例を与えておきます。

例1
{\mathbb R}^n にの2つ元
{\bf x}=(x_1,x_2,\cdots, x_n), {\bf y}=(y_1,y_2,\cdots y_n)
に対して d^n({\bf x},{\bf y})=\sqrt{\sum_{i=1}^n(x_i-y_i)^2}
と定義すると、距離関数 d:X\times X\to {\mathbb R}
が与えられます。この距離関数によって与えられる距離空間を
ユークリッド空間 ({\mathbb R}^n,d^n) といいます。

例2
集合 X に対して、d:X\times X\to {\mathbb R}
d(x,y)=\begin{cases}1&x\neq y\\0&x=y\end{cases}

と定義したとき、dX 上の距離関数となり、
(X,d)離散距離空間いいます。

これらが距離空間であることは、上の距離空間であるための条件を
確かめればよいですが、ここでは省略します。
証明は例えば数理科学の「例題形式で...」の記事を見てください。

例2では、任意の1点集合 \{x\}B_d(x,\frac{1}{2})
ですので開集合ですが、例1ではどんな1点集合も開集合にはなりません。

というのも、実数空間 ({\mathbb R},d^1) において、\forall x\in {\mathbb R}
対して、 B_d(x,\epsilon)\subset \{x\} である \epsilon
存在したとすると、x+\frac{\epsilon}{2}\in B_d(x,\epsilon)
であり、x+\frac{\epsilon}{2}\not\in \{x\} ですから、
B_d(x,\epsilon)\not\subset \{x\} となり矛盾します。
よって \{x\} は開集合ではありません。

0 件のコメント:

コメントを投稿