2017年6月22日木曜日

微積分I演習(物理学類)(第9回)

[場所1E103(金曜日5限)]

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今回は、

  • 有理関数の積分
についてやりました。

有理関数の積分

有理関数とは、多項式 $f(x), g(x)\neq 0$ を使って、
$$\frac{f(x)}{g(x)}$$
として書かれる関数です。

今、多項式は、実数係数とします。

$g(x)$ は、実数係数をもつ多項式は、実数の範囲で、必ず

$$a(x-\alpha_1)^{r_1}\cdots (x-\alpha_k)^{r_k}(x^2+c_1x+d_1)^{s_1}\cdots (x^2+c_lx+d_l)^{s_l}$$

のように因数分解できます。ここで、2次式は必ず虚数解をもちます。


また、有理関数 $\frac{f(x)}{g(x)}$ は部分分数として、

$$\frac{A}{(x-\alpha_i)^t}\text{ や }\frac{Cx+D}{(x^2+c_jx+d_j)^u}$$
の和に分解できることを以下のようにして見ることができます。

ここで、以下の事実が成り立ちます。



定理
既約な多項式 $g_1(x),g_2(x)$ に対して、
定数多項式 $1$ に対して、
$1=a(x)g_1(x)+b(x)g_2(x)$ なる係数多項式 $a(x),b(x)$ が存在する。
$g_1(x)$, $g_2(x)$ が実数係数多項式であれば、$a(x),b(x)$ も実数係数多項式である。

$g_1(x), g_2(x)$ が $n$ 次多項式かつ、$m$ 次多項式であれば
$a(x)$ と $b(x)$ は $m$ 次, $n$ 次多項式とできる。
$a(x), b(x)$ の係数は実は、ある行列式(終結式を含む)によって書くことができる。



とくに、任意の $h(x)$ に対して、 $h(x)=h_1(x)g_2(x)+h_2(x)g_1(x)$ を満たすようにして
$h_1,h_2$ が作れるからです。
これを用いることで、

$$\frac{h(x)}{g_1(x)g_2(x)}=\frac{h_1(x)}{g_1(x)}+\frac{h_1(x)}{g_2(x)}$$
となる分解を作ることができます。
$h_1(x)=h(x)a(x)$ で、$h_2(x)=h(x)b(x)$ とすればよいわけです。

よって、これを繰り返して、それ以上分解できない成分ごとにまとめておきます。


その成分が $\frac{p(x)}{(x-\alpha_i)^{r_i}}$ であるとすると、
$p(x)$ の次数は $r_i$ より小さくなります。さらに、

$$p(x)=e_0+e_1(x-\alpha_i)+e_2(x-\alpha_i)^2+\cdots e_{r_i}(x-\alpha_i)^{r_{i}}$$
として展開することで、

$$\frac{p(x)}{(x-\alpha_i)^{r_i}}=\frac{e_0+e_1(x-\alpha_i)+e_2(x-\alpha_i)^2+\cdots e_{r_i-1}(x-\alpha_i)^{r_{i}-1}}{(x-\alpha_i)^{r_i}}$$
$$=\frac{e_0}{(x-\alpha_i)^{r_i}}+\frac{e_1}{(x-\alpha_i)^{r_i-1}}+\cdots+\frac{e_{r_i-1}}{x-\alpha_i}$$
となります。

$$\frac{q(x)}{(x^2+c_jx+d_j)^{s_j}}$$
の場合も同じ理由で、

$$\frac{f_jx+g_j}{(x^2+c_jx+d_j)^{u}}$$
となる多項式の和に分解できます。
つまり、分子はそれぞれ、定数か1次式とできることがわかりました。


ここで、$u$ を正の整数とします。このとき、その成分を求めてみると
$$\int\frac{dx}{(x-a)^u}=\begin{cases}\log (x-a)&u=1\\\frac{1}{-u+1}\frac{1}{(x-a)^{u-1}}&u\neq 1\end{cases}+C$$
$$\int\frac{Cx+D}{(x^2+cx+d)^u}dx=\frac{C}{2}\int\frac{2x+c}{(x^2+cx+d)^u}dx+\int\frac{D-\frac{cC}{2}}{(x^2+cx+d)^u}dx$$
$$=\frac{C}{2}\int\frac{1}{t^u}dt+(D-\frac{cC}{2})\int\frac{1}{(x^2+cx+d)^u}dx$$
ここで、
前半は、対数関数もしくはベキ関数となり、
後半部分、は以下のようになります。

$$\int\frac{1}{(x^2+cx+d)^u}dx$$
を計算します。
まず、分母の中身、$x^2+cx+d$ を平方完成すると、
$x^2+cx+d=\frac{\Delta^2}{4}(X^2+1)$ とすることができます。
ここで、$\Delta=\sqrt{4d-c^2}\in {\mathbb R}$ かつ、
$X=\frac{2}{\Delta}\left(x+\frac{c}{2}\right)$ となります。

よって、$dX=\frac{2}{\Delta}dx$

$$\int\frac{1}{(x^2+cx+d)^u}dx=\frac{1}{2}\int\frac{\Delta}{\frac{\Delta^{2u}}{2^{2u}}(X^2+1)^u}dX$$
$$=\left(\frac{2}{\Delta}\right)^{2u-1}\int\frac{dX}{(X^2+1)^u}$$

ゆえに、あとは、$\int\frac{dX}{(X^2+1)^u}$ を積分できればよいですが、
$X=\tan \theta$ とすれば、
$$\int\frac{dX}{(1+X^2)^u}=\int\cos^{2u-2}\theta d\theta$$
として三角関数の積分に帰着されます。

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