2017年6月29日木曜日

微積分I演習(物理学類)(第10回)

[場所1E103(金曜日5限)]

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今回は、

  • 無理関数の積分
  • 広義積分の定義
無理関数の積分
無理関数とは、ルートを含むものだけを扱います。
また、ルートの中が2次式以下のものを扱います。

$\sqrt{ax+b}$ の変換の仕方
この場合は、$t=\sqrt{ax+b}$ とすればよいです。

例えば、

$\int \frac{1}{1+\sqrt{1+2x}}dx$ とすると、$t=\sqrt{1+2x}$ とすると、
$x=\frac{t^2-1}{2}$ であり、$dx=tdt$ であり、
$$\int \frac{1}{1+\sqrt{1+2x}}dx=\int\frac{t}{1+t}dt=\int\left(1-\frac{1}{1+t}\right)dt$$
$$=t-\log(1+t)+C=\sqrt{1+2x}-\log(1+\sqrt{1+2t})+C$$


$\sqrt{ax^2+bx+c}$ の変換の仕方
この場合、この2次式が実数解を持つ場合、虚数解を持つ場合で分けます。

実数解 $\alpha,\beta$ を持つ場合

$t=\sqrt{\frac{a(x-\beta)}{x-\alpha}}$ とおく。

$x=\frac{\alpha t^2-a\beta}{t^2-a}$ であり、$dx=\frac{2a(\alpha-\beta)t}{(t^2-a)^2}dt$ と計算できる。
$x-\alpha=\frac{\alpha t^2-a\beta}{t^2-a}-\alpha=\frac{\alpha t^2-a\beta-\alpha(t^2-a)}{t^2-a}=\frac{a(\alpha-\beta)}{t^2-a}$
$\sqrt{ax^2+bx+c}=t(x-\alpha)=\frac{a(\alpha-\beta)t}{t^2-a}$ であり、このように、
全て $t$ の有理式(有理関数の式)になります。

よって、$x,\sqrt{ax^2+bx+c}$ の有理式の積分は、$t$ の有理式の積分になります。


虚数解を持つ場合。($b^2-4ac<0$)

$\sqrt{ax^2+bx+c}=t-\sqrt{a}x$ 
とします。ここで、$a>0$ であることは仮定されます。というのも、$ax^2+bx+c=0$ 虚数解を持つので、
任意の $x$ に対して、$ax^2+bx+c$ は正の数もしくは負の数であり、今は、
実数値関数なので、$a>0$ となります。

このとき、$ax^2+bx+c=t^2-2\sqrt{a}tx+ax^2$ となります。
よって、
$$x=\frac{t^2-c}{2\sqrt{a}t+b},\ \ \frac{dx}{dt}=\frac{2 t(\sqrt{a} t+b)}{(2 \sqrt{a} t+b)^2}$$
$$t-x=\frac{t(\sqrt{a} t+b)}{2 \sqrt{a} t+b}$$
となります。これにより、
$$x,\sqrt{ax^2+bx+c}, \frac{dx}{dt}$$
はすべて $t$ の有理関数となります。

例えば、不定積分 $\int\frac{x^2}{\sqrt{1+x+x^2}}dx$ は、
$\sqrt{1+x+x^2}=t-x$ とおくと、
$x=\frac{t^2-1}{2t+1}$ で、$\frac{dx}{dt}=\frac{2(t^2+t+1)}{(2 t+1)^2}$ かつ $t-x=\frac{t^2+t+1}{2 t+1}$となりますので、
$$\int\frac{(\frac{t^2-1}{2t+1})^2}{\frac{t^2+t+1}{2t+1}}\cdot \frac{2(t^2+t+1)}{(2t+1)^2}dt=2\int\frac{(t^2-1)^2}{(2t+1)^3}dt$$
$$=\int\left(\frac{t}{4}-\frac{1}{4 (2 t+1)}+\frac{3}{2 (2 t+1)^2}+\frac{9}{8 (2 t+1)^3}-\frac{3}{8}\right)dt$$
$$=-\frac{3}{8}t+\frac{t^2}{8}-\frac{1}{8}\log(2t+1)-\frac{3}{2}\frac{1}{2t+1}-\frac{9}{16}\frac{1}{(2t+1)^2}+C$$
$$=\frac{2 t^4-4 t^3-9 t^2-11 t-5}{4(2 t+1)^2}-\frac{1}{8}\log(2t+1)+C$$
$$=\frac{(t^2+t+1)(2t^2-6t-5)}{4(2t+1)^2}-\frac{1}{8}\log(2t+1)+C$$
よって、この $t$ に $x+\sqrt{1+x+x^2}$ を代入すればよいということになります。

$$\log(2t+1)=\log(2x+1+2\sqrt{1+x+x^2})=\text{Arcsinh}\frac{2x+1}{\sqrt{3}}-\text{Arcsinh}\frac{1}{\sqrt{3}}+\log 3$$
です。
また、
$$\frac{1}{2t+1}=\frac{-1}{3}\left(2 \left(x-\sqrt{x^2+x+1}\right)+1\right)$$
となり、

$$\frac{(t^2+t+1)(2t^2-6t-5)}{4(2t+1)^2}$$
に$t=x+\sqrt{1+x+x^2}$ をいれて、$\log$ の部分と加えて整理してやると、

$$\frac{4x-6}{8}\sqrt{1+x+x^2}-\frac{1}{8}\text{Arcsinh}(\frac{1+2x}{\sqrt{3}})+C$$
となります。


広義積分の定義

広義積分は証明はせず、定義のみ行いました。
つまり、$f(x)$ が定義されていないような値が定積分の端点がくる場合の
計算を広義積分といい、例えば、$f(x)$ が $[a,b)$ で定義されており、
$b$ において定義されていないとします。
そのとき、
$$\int_a^bf(x)dx$$
の計算は、
$$\lim_{c\to b}\int_a^cf(x)dx$$
として行います。例えば無限区間の場合がその場合です。


$$\int_0^\infty\frac{1}{e^x+1}dx=\lim_{b\to \infty}\int_1^{e^b}\frac{1}{(t+1)t}dt$$
$$=\lim_{b\to \infty}\int_1^{e^b}\left(\frac{1}{t}-\frac{1}{t+1}\right)dt=\lim_{b\to 0}\left[\log t-\log(t+1)\right]_1^{e^b}=\lim_{b\to \infty}(\log\frac{e^b}{1+e^b}-\log\frac{1}{2})=\log 2$$
となります。

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