2016年2月7日日曜日

トポロジー入門演習(第13回)

[場所1E103(月曜日4限)]

HPに行く.

今日は、連結性について少し解説しました。
ここで、まとめておきます.

連結な位相空間

集合 $X$ の部分集合 $U,V$ が互いに素とは、$U\cap V=\emptyset$ となることをいいます。
位相空間 $X$ の部分集合 $A\subset X$ が閉かつ開のとき、$A$ をclopen(クロオープン)といいます.

定義1(連結)
位相空間 $(X,\mathcal{O})$ が連結とは、$X$ が空ではない互いに素な開集合の和として $X=U\cup V$ と書けないときをいう.

よって、位相空間 $X$ が非連結であるとは、互いに素な空でない開集合 $U,V$ を使って、
$X=U\cup V$ となることをいう.


この定義からわかるとおり、空間が連結であることを示すには、背理法を使うことが多いです.
また、連結は、次の、(2),(3)のどれを使っても同じことです.


定理2
位相空間 $(X,\mathcal{O}$ に対して次は同値。
(1) $X$ は連結である.
(2) $X$ が空ではない互いに素な閉集合の和として $X=U\cup V$ とかけない.
(3) $X$ のclopen な部分集合 $A$ は $A=\emptyset $もしくは $A=X$ となる.

(証明) (1) と (2) の同値性の証明は簡単で、$U,V$ としてその補集合同士をとればよいです.
(3) から (1)
$U,V\subset X$ を空ではない互いに素な開集合で $X=U\cup V$ となったとき、
$U$ は、clopenであるから、$U=\emptyset$ もしくは、$U=X$ となりますが、どちらにしても、$U,V$ が空でないことに反します.
(1) から (3)
$A\subset X$ をclopen な部分集合とします.
このとき、$X=A\cup (X-A)$ とすると、$A,X-A$ は互いに素な開集合なので、仮定から、$A,X-A$ は空集合でないといけません.(証明終了)


連結性をいうには、
$X$ が2つの空ではない互いに素な開集合(もしくは閉集合)の和になることを仮定して矛盾を導くか、
clopenな部分集合もってきて、それが空集合か全体集合になることを示す.

というのが一般的です.


ここでは ${\mathbb R}$ が連結であることを示しておきます.

定理3(${\mathbb R}$ の連結性)
${\mathbb R}$ は通常の距離空間としての位相により連結である.

(証明) ${\mathbb R}$ が連結でないとする.このとき、空ではない互いに素な閉集合 $A,B$ を使って${\mathbb R}=A\cup B$ とできるとする.空ではないので、$a\in A$ と $b\in B$ を選ぶ.
また、$a<b$ であると仮定しておく.もしそうではなければ、$A,B$ の役割をいれかえておけばよい.

$[a, b]\cap A$ とし、この集合の中の上限を $c$ とする.$[a, b]\cap A$ も再び閉集合なので、
$c\in \text{Cl}([a,b]\cap A)=[a,b]\cap A$ となり、$c\in A$ がいえる.
$A\cap B=\emptyset $ であることと、上限であることから、$(c,b]\subset B$ となる.
また、$B$ も閉集合なので、$c\in \text{Cl}((c,b])\subset \text{Cl}(B)=B$
よって、$c\in B$ となる.よって、$c\in A\cap B$ となるので、$A,B$ が互いに素であることに反する.(証明終了)


また、${\mathbb R}$ の連結部分集合
定理4
${\mathbb R}$ の連結部分集合は、一点集合か、区間である.

(証明) 連結部分集合 $A$ が1点集合でも区間でもないとすると、$x,y\in A$ であって、
$x<z<y$ で、$z\not\in A$ となるような $z$ が存在します.もしそうではないとすると、一点か区間です.このとき、$B=(-\infty,a)\cap A$ と $C=(a,\infty)\cap A$ とすると、部分空間 $A$ は、
空ではない互いに素な開集合 $B,C$ の和になります.よって連結であることに矛盾します.(証明終了)


またつぎのような性質もあります.

定理5
位相空間 $X$ が連結であるための必要十分条件は、任意の2点 $p,q\in X$ に対して、その2点を含む連結集合 $A$ が存在することである.

(証明) 必要性は、$A=X$ としてとれば明らかです.
十分性について.$X$ が連結でないとします.このとき、空ではない互いに素な開集合 $U,V$ が存在して $X=U\cup V$ となったとします.このとき、 $p\in U,q\in V$ をとります.この $p,q$ に対してこの2点を含む連結集合を $A$ とします.このとき、$B=A\cap U$, $C=A\cap V$ とすると、$B,C$ は $A$ が連結開集合であることに反することになります.(証明終了)

教科書では、背理法を用いずに証明されていますね.(系16.9)

互いに素な集合 $B,C$ のうち、次のような概念を定義します.

定義6
$B,C$ が$\text{Cl}(B)\cap C=\emptyset$ かつ $B\cap \text{Cl}(C)=\emptyset $ を満たすとき、$B,C$ は離れた集合という.

つまり、お互い、点列を取っても近づけないという関係です.互いに素だからと言って離れた集合とは限りません.$(0,1),[1,2]$ は互いに素ですが、離れてはいません.互いに素な開集合は離れた集合です.

このとき、次がなりたちます  

定理7
位相空間 $X$ の部分集合 $A$  に対して、次が同値である.
(1) $A$ は連結
(2) $A=B\cup C$ となる任意の離れた集合 $B,C$ は $B=\emptyset $ もしくは $C=\emptyset$ である.
(3) $G,H$ を $A\subset G\cup H$ なる任意の離れた集合とする.このとき、$A\subset G$ もしくは $A\subset H$ となる.

 証明は、省略します.教科書の定理16.6です.
少し長くなったので続きはまた書きます.

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