2016年2月5日金曜日

トポロジー入門演習(第12回)(ヒント集7)

[場所1E103(月曜日4限)]

HPに行く.

第11,12回の問題のヒント集

問題109
$f:X\to Y$ が連続で、$A\subset X$ ならば、$f$ を $A$ に制限した写像 $f_{A}:A\to Y$ も連続であることを示せ.

(略解答)
$f_A$ が連続であることを示すには、$U\subset Y$ に対して $f^{-1}_A(U)=f^{-1}(U)\cap A$ であることを示せ.

問題110
$f:X\to Y$が連続ならば、$g:X\to f(X)$を$X\ni x$に対し$g(x)=f(x)$により定めるとき、$g$は連続である.
また、$f=j\circ g$であり、ただし、$j:f(X)\to Y$は包含写像である.

(略解答)
$g$ が連続であることを示す.$f(X)\subset Y$ の開集合は、部分空間としての開集合である.
$U\subset f(X)$ を開集合とすると、$V\cap f(X)=U $ となる開集合 $V$ が存在し、$f^{-1}(V)=g^{-1}(U)$ である.

問題112
$f,g$ を位相空間 $X$ 上の連続関数、$D$を$X$において稠密な集合とする.
$D$ の各点において $f(x)=g(x)$ が成り立つならば、$X$ のすべての点に対して $f(x)=g(x)$ が成り立つことを示せ.

(略解答)
$y\in X$ で、$f(y)\neq g(y)$ となるとする.$|f(y)-g(y)|=\epsilon$ とする.
$f,g$ が連続であるので、任意の $x\in N$ に対して $|f(x)-f(y)|\le \epsilon/3$ かつ $|g(y)-g(x)|\le \epsilon/3$ となるような $y$ の近傍 $N$ が存在する.
$z\in N\cap D$ とする.
$$|f(y)-g(y)|= |f(z)-f(y)-(g(z)-g(y))|$$
$$\le |f(z)-f(y)|+|g(z)-g(y)|\le 2\epsilon/3$$


問題115
3次元ユークリッド空間${\mathbb R}^3$において、
$S^2=\{(x_1,x_2,x_3)\in {\mathbb R}^3|x_1^2+x_2^2+x_3^2=1\}$
とする.写像$f:{\mathbb R}^3-\{x_3=1\}\to {\mathbb R}^2$
を$f(x_1,x_2,x_3)=\left(\frac{x_1}{1-x_3},\frac{x_2}{1-x_3}\right)$とする.
この写像によって、${\mathbb R}^3$のどの部分が平面と同相になったか?
説明せよ.

(略解答)
長さが1の球面から一点を抜いたもの.

問題116
$\text{card}(C({\mathbb R}))=\frak{c}$であることを示せ.

(ヒント)
$C({\mathbb R})$ に定数関数が存在するので、
${\frak c}\le \text{card}(C({\mathbb R}))$ となる.
また、実数上の連続関数は ${\mathbb Q}$ からの連続関数によって一意に定まるから、
$\text{card}(C({\mathbb R}))\le \text{card}({\mathbb R}^{\mathbb Q})$ となる.
この右辺は連続濃度であることを示す.基数の指数法則を使え.

問題119
$X$ を位相空間とする.
関数 $f:X\to {\mathbb R}$ が連続であるための必要十分条件は任意の $c\in {\mathbb R}$ において $\{x\in X|f(x)<c\}$ と $\{x\in X|f(x)>c\}$ がどちらも開集合であることであることを示せ.

(ヒント)
必要性は明らか.十分性は、${\mathbb R}$ 上の開集合は、開区間を開基とするので、
開基の逆像が開集合であればよい.

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