[場所1E103(金曜日5限)]
今日は
回転体の表面積
- 曲面の表面積
- 回転体の体積
- 回転体の表面積
について行いました.最後に宿題の級数についてのコメントをかきます.
曲面の表面積
関数 $z=f(x,y)$としたときに、そのグラフ $\{(x,y,f(x,y))|x,y\in D\}$ の表面積は
$$\int\int_{D}\sqrt{1+f_x^2+f_y^2}dxdy$$
として計算できます.
一般に、パラメータ表示 $S(u,v)=(p(u,v),q(u,v),r(u,v))$ が与えられたときは、その表面積は、
$$\int\int_D||S_u\times S_v||dvdv$$
と計算できます.この積分の中身は、二つのベクトルの外積を表します.
外積の長さは、二つのベクトルが張る平行四辺形ですから、それを集めてこれば、丁度曲面の面積を与えることになるわけです.
ここで、$E=S_u\cdot S_u$ $F=S_u\cdot S_v$ $G=S_v\cdot S_v$ としてこの積分を変形すると、
外積の長さは、二つのベクトルが張る平行四辺形ですから、それを集めてこれば、丁度曲面の面積を与えることになるわけです.
ここで、$E=S_u\cdot S_u$ $F=S_u\cdot S_v$ $G=S_v\cdot S_v$ としてこの積分を変形すると、
$$\int\int_D\sqrt{EG-F^2}dvdv$$
のような形にまとまります.
この $E,F,G$ は曲面の第一基本量といいます.
ここまでの変形は、以前のブログの記事(←去年の微積分の授業のブログです)にかきました.
きになる人は自分で証明をやってみるとよいです.$S(u,v)=(x(u,v),y(u,v),z(u,v))$ としておくと、
$$S_u\times S_v=\left(\det\begin{pmatrix}y_u&y_v\\z_u&z_v\end{pmatrix},\det\begin{pmatrix}z_u&z_v\\x_u&x_v\end{pmatrix},\det\begin{pmatrix}x_u&x_v\\y_u&y_v\end{pmatrix}\right)$$
となります.この左辺の長さの2乗を計算してそれが、$EG-F^2$ となることを確かめて下さい.
授業中では、$x^2+y^2+z^2=1$ のうち $z>0$ の部分のうち、$x^2+y^2\le x$ にょって切り取られる部分の面積を求める問題でした.
この面積の計算は、
$z=\sqrt{1-x^2-y^2}$ として、
$z_x=\frac{-x}{\sqrt{1-x^2-y^2}}$
$z_y=\frac{-y}{\sqrt{1-x^2-y^2}}$
としたときに、
$$\int\int_{x^2+y^2\le x}\sqrt{1+(z_x)^2+(z_y)^2}dxdy$$
$$=\int\int_{x^2+y^2\le x}\sqrt{1+\frac{x^2}{1-x^2-y^2}+\frac{y^2}{1-x^2-y^2}}dxdy$$
$$=\int\int_{x^2+y^2\le x}\frac{1}{\sqrt{1-x^2-y^2}}dxdy$$
この $E,F,G$ は曲面の第一基本量といいます.
ここまでの変形は、以前のブログの記事(←去年の微積分の授業のブログです)にかきました.
きになる人は自分で証明をやってみるとよいです.$S(u,v)=(x(u,v),y(u,v),z(u,v))$ としておくと、
$$S_u\times S_v=\left(\det\begin{pmatrix}y_u&y_v\\z_u&z_v\end{pmatrix},\det\begin{pmatrix}z_u&z_v\\x_u&x_v\end{pmatrix},\det\begin{pmatrix}x_u&x_v\\y_u&y_v\end{pmatrix}\right)$$
となります.この左辺の長さの2乗を計算してそれが、$EG-F^2$ となることを確かめて下さい.
授業中では、$x^2+y^2+z^2=1$ のうち $z>0$ の部分のうち、$x^2+y^2\le x$ にょって切り取られる部分の面積を求める問題でした.
この面積の計算は、
$z=\sqrt{1-x^2-y^2}$ として、
$z_x=\frac{-x}{\sqrt{1-x^2-y^2}}$
$z_y=\frac{-y}{\sqrt{1-x^2-y^2}}$
としたときに、
$$\int\int_{x^2+y^2\le x}\sqrt{1+(z_x)^2+(z_y)^2}dxdy$$
$$=\int\int_{x^2+y^2\le x}\sqrt{1+\frac{x^2}{1-x^2-y^2}+\frac{y^2}{1-x^2-y^2}}dxdy$$
$$=\int\int_{x^2+y^2\le x}\frac{1}{\sqrt{1-x^2-y^2}}dxdy$$
となります.
ここで、$x=r\cos\theta$ $y=r\sin\theta$ のようにおけば、最後の式は、
$$\int_{\pi/2}^{\pi/2}\int_0^{\cos\theta}\frac{1}{\sqrt{1-r^2}}rdrd\theta$$
と変換されます.
よって、式変形から、
$$=-\frac{1}{2}\int_{\pi/2}^{\pi/2}\int_0^{\cos\theta}\frac{-2r}{\sqrt{1-r^2}}drd\theta$$
よって $s=1-r^2$ とおくと、
$$=-\frac{1}{2}\int_{-\pi/2}^{\pi/2}\int_1^{1-\cos^2\theta}s^{-\frac{1}{2}}dsd\theta$$
$$=-\frac{1}{2}\int_{-\pi/2}^{\pi/2}[2s^{\frac{1}{2}}]_1^{1-\cos^2\theta}d\theta$$
$$=-\frac{1}{2}\int_{-\pi/2}^{\pi/2}(2(1-\cos^2\theta)^{\frac{1}{2}}-2)d\theta$$
$$=-\frac{1}{2}\int_{-\pi/2}^{\pi/2}(2|\sin\theta|-2)d\theta$$
ここで、この被積分関数は、$\theta=0$ を境に対称だから、積分は $0$ から $\pi/2$ のものの2倍となり、以下のようになります.
$$=-\int_{0}^{\pi/2}(2\sin\theta-2)d\theta$$
$$=2[\cos\theta +\theta]_{0}^{\pi/2}=2(\frac{\pi}{2}-1)=\pi-2$$
となります.
曲面 $\sqrt{1-x^2-y^2}$ は上に凸(いわゆる凸曲面)ですから、底面の面積より、この曲面の面積の方が大きくなるはずです.つまり、底面の面積は、半径が 1/2 の円ですから、$\pi/4$ の面積を持ちます.
また、この上の曲面の面積は、$\pi-2$ となりますから、必然的に、
$$\pi-2>\pi/4$$
が成り立つことになります.この式を整理して、$\pi>\frac{8}{3}=2.666....$ なる評価式を得ることができます.
注意すべき点は、2乗の平方根を取るときに、絶対値をつけることです.
提出してもらった解答30枚のうち、できていたのは9枚だけでした.
他、多くは絶対値を取らずに $\pi$ と書いたもの、または、見当違いのものばかりでした.
ここで、$x=r\cos\theta$ $y=r\sin\theta$ のようにおけば、最後の式は、
$$\int_{\pi/2}^{\pi/2}\int_0^{\cos\theta}\frac{1}{\sqrt{1-r^2}}rdrd\theta$$
と変換されます.
よって、式変形から、
$$=-\frac{1}{2}\int_{\pi/2}^{\pi/2}\int_0^{\cos\theta}\frac{-2r}{\sqrt{1-r^2}}drd\theta$$
よって $s=1-r^2$ とおくと、
$$=-\frac{1}{2}\int_{-\pi/2}^{\pi/2}\int_1^{1-\cos^2\theta}s^{-\frac{1}{2}}dsd\theta$$
$$=-\frac{1}{2}\int_{-\pi/2}^{\pi/2}[2s^{\frac{1}{2}}]_1^{1-\cos^2\theta}d\theta$$
$$=-\frac{1}{2}\int_{-\pi/2}^{\pi/2}(2(1-\cos^2\theta)^{\frac{1}{2}}-2)d\theta$$
$$=-\frac{1}{2}\int_{-\pi/2}^{\pi/2}(2|\sin\theta|-2)d\theta$$
ここで、この被積分関数は、$\theta=0$ を境に対称だから、積分は $0$ から $\pi/2$ のものの2倍となり、以下のようになります.
$$=-\int_{0}^{\pi/2}(2\sin\theta-2)d\theta$$
$$=2[\cos\theta +\theta]_{0}^{\pi/2}=2(\frac{\pi}{2}-1)=\pi-2$$
となります.
曲面 $\sqrt{1-x^2-y^2}$ は上に凸(いわゆる凸曲面)ですから、底面の面積より、この曲面の面積の方が大きくなるはずです.つまり、底面の面積は、半径が 1/2 の円ですから、$\pi/4$ の面積を持ちます.
また、この上の曲面の面積は、$\pi-2$ となりますから、必然的に、
$$\pi-2>\pi/4$$
が成り立つことになります.この式を整理して、$\pi>\frac{8}{3}=2.666....$ なる評価式を得ることができます.
注意すべき点は、2乗の平方根を取るときに、絶対値をつけることです.
提出してもらった解答30枚のうち、できていたのは9枚だけでした.
他、多くは絶対値を取らずに $\pi$ と書いたもの、または、見当違いのものばかりでした.
回転体の表面積
回転体の表面積は、
回転体は $S(x,\theta)=(x,f(x)\cos\theta,f(x)\sin\theta)$ とパラメータ表示できます.
よって、$S_x=(1,f'(x)\cos\theta,f'(x)\sin\theta)$ かつ $S_\theta=(0,-f(x)\sin\theta,f(x)\cos\theta)$ となります.
上の第一基本量を計算すると、
$E=S_x\cdot S_x=1+f'(x)^2$, $F=S_x\cdot S_\theta=0$ $G=f(x)^2$ となります.
$\sqrt{EG-F^2}=\sqrt{(1+f'(x)^2)f(x)^2}=|f(x)|\sqrt{1+f'(x)^2}$
となります.
$E=S_x\cdot S_x=1+f'(x)^2$, $F=S_x\cdot S_\theta=0$ $G=f(x)^2$ となります.
$\sqrt{EG-F^2}=\sqrt{(1+f'(x)^2)f(x)^2}=|f(x)|\sqrt{1+f'(x)^2}$
となります.
これにより、回転面の面積は、
$$\int_a^b\int_0^{2\pi}|f(x)|\sqrt{1+f'(x)^2}d\theta dx=2\pi\int_a^b|f(x)|\sqrt{1+f'(x)^2}dx$$
となります.
例えば、$y=f(x)=\cosh(x)\ (-1\le x\le 1)$ の回転面の面積を求めると、
$f'(x)=\sinh(x)$ となり、公式から、
$$2\pi\int_{-1}^1|\cosh(x)|\sqrt{1+\sinh^2(x)}dx=2\pi\int_{-1}^1\cosh^2(x)dx$$
$$=\pi\int_{-1}^1(\cosh(2x)+1)dx$$
$$=\pi\left[\frac{\sinh(2x)}{2}+x\right]_{-1}^1=\pi\left(\frac{\sinh(2)-\sinh(-2)}{2}+2\right)$$
$$=\pi(\sinh(2)+2)$$
となります.
級数の収束
級数の収束については授業中にはやりませんでしたが、宿題には出しました.
級数が収束するための条件として、優級数法があります.
優級数法1
$\sum_{n=1}^\infty a_n$ が正項級数とします.
$a_n\le M_n$ なる級数 $\sum_{n=1}^\infty M_n$ が存在して、この級数 $\sum_{n=1}^\infty M_n$ が収束するなら、$\sum_{n=1}^\infty a_n$ も収束する.
また、発散についても、
優級数法2
$\sum_{n=1}^\infty a_n$ が正項級数とします.
$a_n\ge M_n$ なる正項級数 $\sum_{n=1}^\infty M_n$ が存在して、この級数 $\sum_{n=1}^\infty M_n$ が発散するなら、$\sum_{n=1}^\infty a_n$ も発散する.
例えば、$y=f(x)=\cosh(x)\ (-1\le x\le 1)$ の回転面の面積を求めると、
$f'(x)=\sinh(x)$ となり、公式から、
$$2\pi\int_{-1}^1|\cosh(x)|\sqrt{1+\sinh^2(x)}dx=2\pi\int_{-1}^1\cosh^2(x)dx$$
$$=\pi\int_{-1}^1(\cosh(2x)+1)dx$$
$$=\pi\left[\frac{\sinh(2x)}{2}+x\right]_{-1}^1=\pi\left(\frac{\sinh(2)-\sinh(-2)}{2}+2\right)$$
$$=\pi(\sinh(2)+2)$$
となります.
級数の収束
級数の収束については授業中にはやりませんでしたが、宿題には出しました.
級数が収束するための条件として、優級数法があります.
優級数法1
$\sum_{n=1}^\infty a_n$ が正項級数とします.
$a_n\le M_n$ なる級数 $\sum_{n=1}^\infty M_n$ が存在して、この級数 $\sum_{n=1}^\infty M_n$ が収束するなら、$\sum_{n=1}^\infty a_n$ も収束する.
また、発散についても、
優級数法2
$\sum_{n=1}^\infty a_n$ が正項級数とします.
$a_n\ge M_n$ なる正項級数 $\sum_{n=1}^\infty M_n$ が存在して、この級数 $\sum_{n=1}^\infty M_n$ が発散するなら、$\sum_{n=1}^\infty a_n$ も発散する.
が成り立ちます.
より大きい級数を持ってきて、それが収束することを示すか、
より、小さい級数を持ってきて、それが発散することを示すか
です.
これにより、$\sum_{n=1}^\infty a_n$ の収束発散を示すことができます.
ただ、不等式をうまく処理しないと、
大きすぎるものを持ってきて、
$\sum_{n=1}^\infty a_n<\sum_{n=1}^\infty M_n=\infty$
となってしまっては意味がありませんし、
小さすぎるものを持ってきて、
$\sum_{n=1}^\infty a_n>\sum_{n=1}^\infty M_n=C$ (有限の値)
などとなっても、$\sum_{n=1}^\infty a_n$ が発散するのか、収束するのか全くわかりません.収束すると、少なくとも $C$ より大きいということがわかるのみです.
また、宿題となっているものは、ダランベールの方法や、コーシーの方法では判別不可能ですので気をつけて下さい.
また、$\sum_{n=1}^\infty \frac{1}{n^2}$ の値はすでに分かっているものですが、その値が求まっているので収束するというのはなしです.
また、$\sum_{n=1}^\infty \frac{1}{n^2}$ の値はすでに分かっているものですが、その値が求まっているので収束するというのはなしです.
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