2018年10月29日月曜日

トポロジー入門演習(第4回)

[場所1E202(月曜日4限)]

HPに行く

今回は、開集合、連続の性質について発表してもらいました。
後半は連続性についての問題でした。

開集合の性質
$A$ の内部の点 $x$ とは、
$x$ のある $\epsilon$-近傍が $A$ に包まれるような点
のことをでした。
数式を用いれば、
$\exists \epsilon>0$ に対して $N(x;\epsilon)\subset A$
となります。

また、

$A$ の閉包の点 $x$ とは、
$x$ の任意の$\epsilon$-近傍が $A$ と共通部分をもつような点
のことです。
数式を用いることで、
$\forall  \epsilon>0$ に対して $N(x;\epsilon)\cap  A\neq \emptyset$
となります。

よって、補集合 $A^c$ の内部は、
ある $\epsilon$-近傍が $A^c$ に包まれるような点です。
($\exists \epsilon>0$ に対して、$N(x;\epsilon)\subset A^c$)

その否定は、

任意の $\epsilon$-近傍が $A^c$ に包まれない点
($\forall \epsilon>0$ に対して、$N(x;\epsilon)\not\subset A^c$)

つまり、任意の $\epsilon$-近傍が $A$ と共通部分をもつ点ということで、
($\forall \epsilon>0$ に対して、$N(x;\epsilon)\cap A\neq \emptyset$)

これは、$A$ の閉包を表しているのに違いありません。

このことは、

$A$ の内部を $A^i$ で表し、閉包を $\bar{A}$ と表せば、

$((A^c)^i)^c=\bar{A}$
と言うことになります。

$\bar{A}\setminus A^i=A^f$ とすると、
$((A^c)^i)^c=\bar{A}=A^i\sqcup A^f$
となります。ここで、$\sqcup$ は交わりのない和集合を表します。

よって、全体集合を $X$ とすると、
$X=(A^c)^i\sqcup ((A^c)^i)^c =(A^c)^i\sqcup A^i\sqcup A^f$
となります。
$(A^c)^i=A^e$ とおき、$A$ の外部と呼ぶことにすれば、

全体集合 $X$ は
$A^i\sqcup A^f\sqcup A^e$ のような
3つの交わりのない集合の和集合としてかけることがわかります。

$A^i\sqcup A^f$ は $A$ の閉包で、$A^f\sqcup A^e$ は、$A^c$ の閉包となります。


今回説明してもらったことは、
$A$ の内部 $A^i$ とは、$A$ に包まれる最大の開集合である

ということと

$A$ の閉包 $\bar{A}$ とは、$A$ を包む最小の閉集合である
ということです。
内部と閉包をこのように言い換えることができます。

連続写像
連続関数の定義は1年生のころに習ったと思います。
1変数のときは、$\epsilon$-$\delta$ 論法を使ったやり方、
多変数のときは、任意の近づき方によってその(1次元での意味での)
極限が存在するということ。
これらのことについては、先週クラスセミナーでも話しましたし
その話はブログ(リンク)にも書きました。

このように連続性について、空間が違うと少し違った見方をしているようにみえます。
しかし、実はそれはどちらも距離空間の上の関数の連続性として同じ定義に基づくものです。
基礎となるのは $\epsilon$-$\delta$ 論法のときに出てきた極限の考え方です。

距離空間から距離空間への写像が連続であることの定義を
$\epsilon$-$\delta$ 論法を一般化して以下のように定義します。

$f:X\to Y$ が $x\in X$ で連続であるとは、

$\forall \epsilon>0$ に対して、ある $\delta>0$ が存在し、
$\forall y\in N(x;\delta)\Rightarrow f(y)\in N(f(x),\epsilon)$
が成り立つ。
($N(x;\delta)$ の記号は、$x$ での) $\delta$-近傍を表します。)

となります。
つまり、
$\forall \epsilon>0$ に対して、ある $\delta>0$ が存在し、
$f(N(x;\delta))\subset N(f(x),\epsilon)$
が成り立つ。

と書き直すことができます。

また、$f^{-1}$ を両辺にかけることで、
$N(x;\delta)\subset f^{-1}(N(f(x);\epsilon))$
と同値となります。

この性質は、$N(x;\delta)$ を包むような $x$ を含む集合は
$x$ の近傍である。
よって、$x\in X$ で連続であるとは、
$f^{-1}(N(f(x);\epsilon))$ が $x$ の近傍であることを意味します。

さらに、$N(f(x);\epsilon)\subset V$ は $f(x)$ の近傍となるので、

$x\in X$ で $f$ が連続であるとは、
$V$ を $f(x)$ の近傍とするとき、$f^{-1}(V)$ は $x$ の近傍である
ことである。

とかなり簡潔にかけることがわかります。
よって、

$f:X\to Y$ が連続であることと、

$Y$ の開集合 $U$ に対して $f^{-1}(U)$ は $X$ の開集合である

と言い換えることができます。

2018年10月24日水曜日

クラスセミナー(第3回)

[場所1E202(金曜日5限)]

HPに行く

今回はクラスセミナーで多変数関数の連続性・全微分可能性について
やりました。

多変数関数の連続
$z=f(x,y)$ という関数が $(a,b)$ で連続であるということは、
$(a,b)$ に向かう任意の道に沿っても $f(x,y)$ が連続であるということです。
$(a,b)$ を通る道とは、
連続関数 $x(t),y(t)$ に対して、$x(0)=a$ かつ $y(0)=b$ となるものを用いて
$(x(t),y(t))$ と書けるものをいいます。
このとき、$f(x(t),y(t))$ は実数上の実数値関数ですが、
上の任意の道において連続であるとは、この実数値関数が $t=0$ で連続であるということです。

つまり、
$z=f(x,y)$ という関数が $(a,b)$ で連続であるとは、
任意の $t=0$ で $x(0)=a$ かつ $y(0)=b$ となる連続関数 $x(t),y(t)$ に対して、
1次関数として $f(x(t),y(t))$ が連続となることを言います。

このとき、
$\lim_{(x,y)\to (a,b)}f(x,y)=f(a,b)$ と書きます。

例えば、
$f(x,y)=\begin{cases}\frac{x^3+y^3}{x^2+y^2}&(x,y)\neq (0,0)\\0&(x,y)=(0,0)\end{cases}$ が $(0,0)$ で連続であるということを示すには、
$x(t),y(t)$ で、$t=0$ で連続で、$x(0)=y(0)=0$ となる関数を任意に取ったときに、
$f(x(t),y(t))$ が $t=0$ 連続であることを示せば良いことになります。

そうすると、$r(t)=\sqrt{x(t)^2+y(t)^2}$ とすると、
$r(t)$ も連続な関数で、$t\to 0$ のとき $r(t)\to 0$ となります。
$|f(x(t),y(t))|=\frac{|x(t)^3+y(t)^3|}{r(t)^2}\le \frac{r(t)^3+r(t)^3}{r(t)^2}=2r(t)$
ここで、右辺は、$r(t)\to 0\ \ (t\to 0)$ であるので、
はさみうちの原理により、$f(x(t),y(t))\to 0\ \ (t\to 0)$ となります。

この証明をもっと簡略化すれば、以下のようにすることもできます。
$r=\sqrt{x^2+y^2}$ とするとき、$(x,y)\to(0,0)$ ならば、$r\to 0$ である。
よって、
$|f(x,y)|\le \frac{|x^3+y^3|}{r^2}\le \frac{|x^3|+|y^3|}{r^2}\le \frac{r^3+r^3}{r^2}=2r\to 0$
であるので、はさみうちの原理により、$f(x,y)\to 0$ であることがわかる。


他の例で、連続でないことを示すには、ある関数
$x(t),y(t)$ を取ったときに、$(a,b)$ で連続ではなくなることを示せばよい
ことになります。例えば、道を2通り取ったときに
そのとき、$f(x(t),y(t))$ は収束しても、その行き先が違うなどを
確かめることで、関数が不連続であること確かめることができます。
その例は、上のHPのリンクの中のクラスセミナー第3回のスライドにあります。


全微分可能性
$z=f(x,y)$ が $(x,y)=(a,b)$ で全微分可能であるとは、下の条件を満たすことです。
$f(x,y)=f(a,b)+m(x-a)+n(y-b)+o(\sqrt{(x-a)^2+(y-b)^2})$
を満たすような $m,n$ が存在することです。
これは、次のように言い換えることができます。

$\lim_{(x,y)\to (0,0)}\frac{f(x,y)-f(a,b)-m(x-a)-n(y-b)}{\sqrt{(x-a)^2+(y-b)^2}}=0$
となります。つまり、$\lim$ の中の関数が $(0,0)$ で連続であり、
$0$ に収束するということです。

つまり、やることは、収束するように、$m,n$ を選ぶことができるかということです。
もし選ぶことができるなら、特に、$m=\frac{\partial f}{\partial x}(a,b)$ であり、
$n=\frac{\partial f}{\partial y}(a,b)$ であることもわかります。

例として、$\frac{x^4+y^4}{x^2+y^2}$ が原点で全微分可能であることを
証明できます。上のHPのリンクのスライドを見てください。

また、上に例として出した $\frac{x^3+y^3}{x^2+y^2}$ は連続でしたが、
全微分可能ではないこともそこで示していますのでそちらを見てください。

概念の関係性
連続、全微分可能、偏微分可能、$C^1$ 級について
以下の論理関係が一般に成り立ちます。
$C^1$ 級とは、1階の偏導関数が全て連続であることです。

$C^1$ 級 $\Rightarrow$ 全微分可能 $\Rightarrow $ 連続
全微分可能 $\Rightarrow $ 偏微分可能

この矢印のいずれも逆は言えません。
また、連続であることと偏微分可能であることの間には論理的関係性はありません。
例えば、$f(x,y)=\begin{cases}\frac{xy}{x^2+y^2}&(x,y)\neq (0,0)\\0&(x,y)=(0,0)\end{cases}$ は偏微分可能ですが、連続ではありません。

2018年10月22日月曜日

トポロジー入門演習(第3回)

[場所1E202(月曜日4限)]

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今回は、開集合、閉集合についての演習についてやりました。

距離空間において以下を説明してもらいました。
(問題2-1) 開区間 $(a,b)$が開集合であること
(問題2-2)  $(a,b)\times (c,d)$ が開集合であること
(問題2-2) 1点集合が閉集合であること
(問題2-3) $U,V$ が開集合なら $U\cap V$ も開集合、$U_\lambda(\lambda\in \Lambda)$ なら $\cup_{\lambda\in \Lambda}U_\lambda$ も開集合
(問題2-4) $U$ が開集合であれば、$U^c$ は閉集合である。

とくに、1点が閉集合であることが特に困ったようです。
これらのことの証明は、定義に戻って議論することが重要です。

1点集合が閉集合であることだけここでやっておきます。
$(X,d)$ を距離空間とする。$p\in X$ に対して、$q\in X\setminus\{p\}$ に対して、
$\delta=d(p,q)$ とする。
$N(q;\delta)\subset X\setminus \{p\}$ であるから、$X\setminus \{p\}$ は開集合であることがわかる。

この証明の前に、以下が成り立っていたことに注意しておきます。

命題
距離空間の部分集合 $A\subset X$ をとる。
$\forall p\in A$ に対して、 $\epsilon$ が存在して $N(p;\epsilon)\subset A$ となることと、
$A$ が開集合であることは同値である。

(証明)
もし、$\forall p\in A\subset X$ に対して、$N(p;\epsilon)\subset A$ となるなら、
$a$ は $A$ の内点である。よって、$A\subset A^i$ である。
本来 $A^i\subset A$ であるので、$A=A^i$ であるので、$A$ は開集合である。
逆に $A$ が開集合であるとすると、$A=A^i$ であり、$\forall p\in A$ に
対して、$N(p;\epsilon)\subset A$ となることがわかる。

命題
閉集合の補集合は開集合である。

(証明)
$F$ を閉集合とする。
$a\in (F^c)$ とする。
$a$ は $F$ の触点ではないので $\epsilon >0$ が存在して、$N(a;\epsilon)\cap F=\emptyset$
である。
つまり、$N(a;\epsilon)\subset F^c$ である。
よって、$a$ は $F^c$ の内点であるから、$F^c\subset (F^c)^i$ となり、
$F^c=(F^c)^i$ であるから、$F^c$ は開集合である。


この命題は開集合の性質として基本的です。

2018年10月15日月曜日

トポロジー入門演習(第2回)

[場所1E202(月曜日4限)]

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トポロジー入門演習を行いました。
先週に引き続き、内点、内部、触点、閉包の演習を行いました。

$[0,1)$ の内部が $(0,1)$ であることを証明してもらいましたが、
時間内に終わったグループもありましたが、そうでないグループも
ありました。

距離空間の場合の内点の定義を再び書きます。
$(X,d)$ が距離空間の場合に、
部分集合 $A\subset X$ に対して、$a\in A$ が $A$ の内点であるとは、

ある$\epsilon>0$ が存在して、
$B_d(a;\epsilon)\subset A$ であること

です。また、内点の全体の集合を内部といいます。
ここで、$B_d(a;\epsilon)=\{x\in X|d(x,a)<\epsilon\}$ を表します。
同じものは、教科書では $N(a;\epsilon)$ と書いてあります。
下のように、${\mathbb R}^n$ における、定義 $B_n(x;\epsilon)=\{y\in {\mathbb R}^n|d(y,x)<\epsilon\}$ と混同しないようにしましょう。


たとえば、$[0,1)$ の内部は、$(0,1)$ ですが、
このことは、以下のようにして示すことができます。

$(0,1)$ のすべての点が $[0,1)$ の内点であることを示す必要があります。
$a\in (0,1)$ に対して、
$r=\min\{a,1-a\}$ とします。これは、$r$ は、$a$ の $[0,1)$ の端からの距離の
近い方の意味です。
そうすると、$r\le a$ かつ $r\le 1-r$ が成り立ちます。
このとき、$B_1(a;r)\subset[0,1)$ が成り立ちます。
この包含関係を証明すればよいが、そのためには $\forall b\in B_1(a;r)$ に対して $b\in [0,1)$
であることを証明すればよいです。

$a-r<b<a+r$ となります。
よって、
$b>a-r\le a-a=0$
かつ
$b<a+r\le a+1-a=1$ であるので、
$0<b<1$ つまり、$b\in [0,1)$ である。
よって、$B_1(a;r)\subset [0,1)$ であることがわかる。

ゆえに、$(0,1)$ の各点は、$[0,1)$ の内点であることがわかった。
では、$[0,1)$ の内点は、$[0,1)$ の部分集合なので、$0$ が内点でないことを示す
必要があります。

$a\in [0,1)$ が $[0,1)$ の内点でないとは、
内点の定義を否定すれば良いので、

$\forall \epsilon>0$ に対して $B_1(a,\epsilon)\not\subset [0,1)$ であること

となります。

$0\in [0,1)$ が内点ではないことを示します。
$\forall \epsilon>0$ に対して $b\in B_1(0,\epsilon)$ が存在して $b\not\in [0,1)$ となることを
示します。

$b$ を見つければ良いのですが、$b=-\frac{\epsilon}{2}$ を取れば、
$b\in B_1(0,\epsilon)$ であり、$-\frac{\epsilon}{2}<0$ なので、$b\not\in [0,1)$ となります。

よって、$0\in [0,1)$ は $[0,1)$ の内点ではないことになります。

ゆえに、$[0,1)^i=(0,1)$ であることがわかります。

この問題は1次元の場合(つまり ${\mathbb R}^1$)の話ですが、次の問題では、
2次元 ${\mathbb R}^2$ の場合の証明になります。

2018年10月12日金曜日

クラスセミナー(第2回)

[場所1E202(金曜日5限)]

HPに行く

テフ(tex or Latex)について書いておきます。
(注意:以下は、2018年度に行った筑波大学数学類のクラスセミナーやフレッシュマンセミナーで
行った内容をもとに書かれています。
これを読んでいる方は、現在の状況とは異なりますので注意してお読みください。)

テフは、数式や文章を書くためのソフトで、ほとんど全ての数学者は
テフを使って、論文を書いたり、発表のスライドを作ったりしています。

簡単に綺麗に数式を打つことができます。
数式の配置など自動で計算して出力してくれるので、
WordやPower Pointよりも自然な感じのファイルを短時間で
作ってくれます。

ただ、環境を整えるのが少々ハードルが高いこともあり、
最初はとっつきにくいですが、一度インストールしてしまえば、
いつでも綺麗な数式入り文章を書くことができます。
もちろん大学のレポートの作成などに使うことができます。

この文章は、大学のレポートをtexで書いて提出したい!!という
超意欲的な学生向けのもので、texの文章にかける(知識はなくてもいい)情熱と根性を
持ち合わせているかたにむいています。

その代わり、一度高みに登れば、超一流の研究者と同じ環境で数式いりの文章
作成をする環境を整えることができます。

インストール
MacWindowsにインストールには、

Windows なら、リンク などを見ながらやると良いと思います。
初心者向けに簡単インストールの方法も整備されており、
最近では、ボタン一つで少々時間がかかりますが
インストールをやってくれます。
Pathなどのややこしい設定などは不要になります。

Mac なら、こちら を利用するとよいと思います。

エディタ選び
texをインストールした後しなければならないことは、文生を書くための
エディタ(メモ帳などの文章作成ソフト)
を選ぶ必要があります。
確かに、windowsに入っているようなメモ帳でもtex作成が
できるようですが(コマンドプロンプトなどを立ち上げてやらなければ
ならない。

一つの方法は、デフォルトで入っているものを使うということです。
texworksというのがデフォルトで入っている場合が一般的ですので
それほど拘らなければそれを使うのがよいです。

その場合日本語環境が設定されていない場合がありますので、セットアップする必要があります。
https://texwiki.texjp.org/?TeXworks%2F設定
を参照してください。

他のエディタを選ぶ場合には、正解はありませんが、多くの選択肢があります。
私が使ったことのあるものは、
Winshellや、K2editorや、easytexなどです。

macの場合は多くの場合、texshopというものがあって一般的です。

texの設定の構築に断念した人には、
インターネットの環境があれば、Cloud Latexというサイトで、texで作成された
文章を作ってくれます。

すでにインストールした環境を
ウェブ上で作ってくれる上、もちろんpdfなどのファイルを
ダウンロードすることもできます。
サイトは Cloud Latex にあります

インストールの設定を頓挫した人はこちらを試してみるとよいかもしれません。

それではやってみよう

春学期に、サテライト室において日本語を使えるテフ環境を整えましたので、
それを用いれば、何かスライドをつくることができます。

texのコードの中身は特殊なプログラムによってできています。

まず、インターネット上にtexプログラムのコマンド集が多くあります。
たとえば、コマンド集 などがあります。
この中から、自分が出力したいコードや環境を探し出して
いろいろと試してみてください。
また、このコマンド集にないものを試したい場合はさらに検索すると、
styファイルをダウンロードして行う、少し高度なコマンドもいくつかよういされている
場合があります。


ここでは、春学期のページスライドを見てまずは基礎を学習しましょう。

テフのコードの中身はざっくりと

\documentclass[オプション]{文書クラス}
プリアンプル
\begin{document}
本文
\end{document}

のようになっています。

「オプション」と「文書クラス」ところには、には、文章
の種類を指定します。
例えば、
上のスライドの中には、オプションはなく、
\documentclass{article}
としています。日本語を打つ場合は、
\documentclass{jarticle}
とします。jをいれなくても日本語自体は打てます。

また、スライドを作りたい場合は、
春学期のページで書いたスライドの文章(リンク)にあるtexファイルというのを
クリックして中を見て見てください。
jsarticle
という文書クラスを使っています。

「プリアンプル」のところには、使いたいパッケージなどを入れます。
何を入れたら良いか(入れなければならないか)は、その場合ごとに変わってきます。
「本文」のところには、何か文章を入れるとその部分が文章になって出力されます。

[文字]
文字はエディターに直打ちすることにより、出力されます。
文字の大きさを変える場合は、
{\small 文字}

{\large 文字}
のように大きさを変えることができます。
\smallや \large は他にも大きさがあり、1
(サイト)にその大きさの違いが書かれていますので自分で調整してください。
太字にする場合は {\bf ...}
イタリックにする場合は {\it ...}
とします。

[数式]
$”と”$”によって数式を挟むと、数式モードになり、綺麗なTexの数式に
することができます。

数式のあらゆるコマンドは(リンク)などで勉強して作ってください。

例えば、
\int_0^{\infty}e^{-x^2}dx=\frac{\sqrt{\pi}}{2}
のように書いたものをドルマークでくくると、
$\int_0^{\infty}e^{-x^2}dx=\frac{\sqrt{\pi}}{2}$

のようになります。
ドルを1ではなく、2つ繋ぐと
$$\int_0^{\infty}e^{-x^2}dx=\frac{\sqrt{\pi}}{2}$$
のようにセンターよせになります。

[改行]
\\ のようにバックスラッシュを2個入れると、入れたところで文章は改行されます。

[環境]
Texには様々な環境が用意されています。
例えば、センターよせにしたい場合は、

$\verb|\begin{center}|$
文章や数式
$\verb|\end{center}|$

のようにして書くと、文章や数式の部分がセンターよせになります。

他によく使うのは、
$\verb|\begin{enumerate}|$
$\verb|\item|$
$\verb|\item|$
$\verb|\end{enumerate}|$
もあります。(番号付き)箇条書きになります。
$\verb|\begin{itemize}|$
$\verb|\item|$
$\verb|\item|$
$\verb|\end{itemize}|$
とすると、箇条書きだが、先頭が黒丸になります。

このように、\begin{...} と \end{..} によって、他に様々な環境にすることができます。
他の環境については、他のサイトなどでも書かれていますのでそちらを参照してください。

さらに詳しい使い方は、既存のtexファイルなどをどこかで手に入れるか、
コマンド集をみながら使い方を学習するとよいと思います。

2018年10月3日水曜日

トポロジー入門演習(第1回)

[場所1E202(月曜日4限)]

HPに行く

今日(10/1)からトポロジー入門演習の授業が始まりました。
大学2年生むけです。

この時間の前の時間にトポロジー入門の講義があり、それに付随する演習の授業です。
是非ともどちらも受講して、トポロジーについて理解を深めてください。

名前はトポロジーですが、内容は、位相空間について主にやります。

授業の形式はグループワークです。
グループワークでは、数学の内容を正しく理解するだけではなく、
  1. 人に正しくわかりやすく伝えること。
  2. 人の話が数学的に正しいかどうか判断すること。
  3. 人と問題を解決していくこと。
を養ってもらおうと思っています。
授業の最初に前回の復習を兼ねて詳しく解説し、解答は与えますが、
あとはグループ内で議論をしてもらいます。
必要に応じて私が議論に参加します。

また、今日やってみて授業時間内では到底考える時間は足りないと感じましたので、
割り当てられた問題は次回に必ず考えて持ってくる。
(答えを具体的に書いても良い。)を義務付けようと思います。

今日行ったことは、集合論の復習と ${\mathbb R}^n$ 内の部分集合の内点、内部、
触点、閉包です。一部距離空間という言葉も登場しました。


設定は、とりあえず、${\mathbb R}^n$ で、${\mathbb R}^n$ には
$d^{(n)}({\bf x},{\bf y})=\sqrt{(x_1-y_1)^2+\cdots +(x_n-y_n)^2}$
のようなユークリッド距離があり、それを用います。

また、$B_n({\bf x},r)=\{{\bf y}\in {\mathbb R}^n|d^{(n)}({\bf x},{\bf y})\le r\}$
を、$r$-開球体と言うことにする。

内点の定義
$A\subset {\mathbb R}^n$ を部分集合とする。

${\bf x}\in A$ が $A$ の内点であるとは、

ある$\epsilon>0$が存在して、$B_n({\bf x},\epsilon)\subset A$ となることをいう。

$A$ の内点全体の集合を $A^i$ と書いて、それを $A$ の内部という。

定義から、 $A^i\subset A$ となる。
また、$A^i=A$ となる部分集合 $A$ のことを開集合という。

触点の定義
$A\subset {\mathbb R}^n$ を部分集合とする。

${\bf x}\in {\mathbb R}^n$ が $A$ の触点であるとは、

任意の$\epsilon>0$が存在して、$B_n({\bf x},\epsilon)\cap A\neq \emptyset$ となることをいう。

$A$ の触点全体の集合を $\bar{A}$ と書いて、それを $A$ の閉包という。

定義から、 $A\subset \bar{A}$ となる。
また、$\bar{A}=A$ となる部分集合 $A$ のことを閉集合という。

境界点の定義
$A\subset {\mathbb R}^n$ を部分集合とする。

$\bar{A}\setminus A^i$ のことを $A$ の境界といい、$A^f$ とかく。
境界の点のことを境界点という。

上の内点、触点、内部、閉包、それと開集合と閉集合の定義をしっかりと
頭に叩き込んでください。
境界点については、内点と触点から導き出されます。


これらを求める問題を今回はやってもらいました。
一部持ち越したので、来週はそこからまたやってもらいます。

大事なことは、定義をしっかり身に付けることです。
中々わからないときはいろいろな問題を解いてみると次第にわかってきます。


この定義を読んでわかる通り、
内部、触点などの定義は ${\mathbb R}^n$ で行う必要などなく、
距離が定義されている集合であればなんでも定義可能です。
距離が定義されている集合を距離空間と言います。
ただ、距離といっても、``普通"の距離でないといけないので、
以下の条件を満たす必要があります。


距離空間の定義
$X$ を集合とする。関数 $d:X\times X\to {\mathbb R}_{\ge 0}$ が定義されており、
以下が成り立つとき、集合と関数の組み $(X,d)$ を距離空間と言います。

(1) $d(x,x)=0$ かつ、逆に $d(x,y)=0$ ならば $x=y$
(2) $d(x,y)=d(y,x)$
(3) $d(x,y)+d(y,z)\ge d(x,z)$  (三角不等式)