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2017年4月26日水曜日

微積分I演習(数学類)(第2回)

[場所1E103(水曜日4限)]

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今日は、関数について以下の項目
  • 逆三角関数
  • 双曲線関数
  • 逆双曲線関数
  • 連続関数
についてやりました。

数列の収束について

先週の続きだったのですが、多くの人は有界単調増加な数列は収束することを
使ってできていました。

ただ、中には単調ではない数列もありました。

例えば、n^{\frac{1}{n}} は単調数列ではありませんが、収束します。
a_1=1,\ a_2=1.41421...,\ a_3=1.4425...,\ a_4=1.41421...
a_5=1.37973...,\ a_6=1.34801....\ a_7=1.32047....

となります。なんとなく、n\ge 3 の場合単調に減少して収束するようです。
数列が収束するには、a_nn が十分大きい部分で単調減少で、下から
有界であることを示せればよいことに注意しておきます。

つまり、a_n=n^{\frac{1}{n}} のとき、a_{n+1}^{n(n+1)}=(n+1)^n<n^{n+1}=a_n^{n(n+1)}
n\ge 3の場合に成り立つことを示せばよいことになります。

命題
n\ge 3 のとき、(n+1)^n<n^{n+1} が成り立つ。


(証明)
(n+1)^n=\sum_{k=0}^n{}_nC_kn^{n-k}
であり、{}_nC_k=\frac{n(n-1)\cdots(n-k+1)}{k(k-1)\cdots 2\cdot 1}\le\frac{n^k}{k!} であるので、
任意の k において
{}_nC_kn^{n-k}\le \frac{n^k}{k!}n^{n-k}=\frac{n^n}{k!}
となります。

よって、(n+1)^n\le n^n\sum_{k=0}^n\frac{1}{k!} となります。
今、n\ge 3 であるとすると、
\sum_{k=0}^n\frac{1}{k!}\le 2+\frac{1}{2}+\frac{1}{6}+\sum_{k=4}^n\frac{1}{k!}=2\frac{2}{3}+\sum_{k=4}^n1<n

ゆえに、(n+1)^n\le n^n\cdot n=n^{n+1} が成り立つ。



また、1+\frac{(-1)^n}{n} などの数列の収束をいう問題
もありましたが、次の定理を使いましょう。
証明はいまのところしません。

定理1
S_1,S_2{\mathbb N} の無限部分集合で、{\mathbb N}=S_1\cup S_2
であり、S_1\cap S_2=\emptyset を満たすとする。
a_n の部分数列 \{a_n|n\in S_1\}\{a_n|n\in S_2\} とする。
それを順番に並びかえた数列を b_n, c_n とする。
このとき、b_n,c_n がそれぞれ、単調減少数列、単調増加数列とする。
さらに、b_n\to \alpha, c_n\to \alpha とすると、a_n は収束する。


上の数列について、b_n=a_{2n}, c_n=a_{2n-1} とします。
b_n, c_n はそれぞれ、単調減少、単調増加です。
それぞれ、1が下限、上限なので、上の定理から数列は収束します。

上の定理から、以下の交代級数の収束に関する判定定理を上げておきます。
交代級数とは、級数 \sum_{n=1}^\infty a_n で、a_n の符号が交代的になる数列とします。
つまり、a_na_{n+1}<0 となる実数の数列です。

定理2
\sum_{n=1}^\infty a_n が交代級数とします。このとき、|a_n| が単調減少数列であるとすると、
\sum_{n=1}^\infty a_n は収束する。


a_1>0 としておきます。このとき、部分和の数列 \sum_{k=1}^{2n-1}a_k は単調減少で、\sum_{k=2}^{2n}a_k は単調増加数列であり、それらの収束先は|a_n| が単調減少なので一致します。よって、すぐ上の定理1から定理2が成り立ちます。

連続関数と数列の収束について
知られている連続関数を使って数列の収束をいうこともできます。

次の定理を使えば良いでしょう。

定理
f(x) を連続関数とする。このとき、a_n\to a であるなら、
f(a_n)\to f(a) がなりたつ。

例えば、a_n=\sqrt[n]{a}  \  \ a>0 とする。
このとき、a^x は連続関数です。また、
a_n=\frac{1}{n} は収束する数列であるから、a^{\frac{1}{n}}a^0=1 に収束する。



逆三角関数

三角関数 y=\sin x,\cos x,\tan x の逆関数を y=\text{Arcsin}(x), \text{Arccos}(x), \text{Arctan}(x) といいます。ただ、定義域は、前2つが -1\le x\le 1 で、最後は {\mathbb R} なのですが、値域は、-\frac{\pi}{2}\le y\le \frac{\pi}{2}, 0\le y\le \pi, {\mathbb R}となります。

授業中にグラフをざっくりと書いたのでここでは書きません。
今日は、\text{Arcsin}(x)=\text{Arccos}(2x) のような式を解きました。

これは、両辺を y とおいて、普通の三角関数に直して解きました。
このとき、x=\sin y かつ、2x=\cos y なので、x^2+4x^2=1 より、x=\frac{\pm 1}{\sqrt{5}} となります。
よって y=\text{Arcsin}(\frac{\pm1}{\sqrt{5}})=\pm\text{Arcsin}(\frac{1}{\sqrt{5}}) であり、
また、上の\text{Arccos}(x) の値域が非負の数だったから、y\ge 0 となります。
ゆえに、上の \pm1 はプラスの方だけということになり、
x=\frac{1}{\sqrt{5}} ということになります。

双曲線関数と逆双曲線関数
双曲線関数はあまり高校の頃には扱いませんが、ここは大学なので扱います。

\sinh(x)=\frac{e^x-e^{-x}}{2} 
\cosh(x)=\frac{e^x+e^{-x}}{2} 
\tanh(x)=\frac{\sinh(x)}{\cosh(x)} 
と定義されます。
このとき、
\cosh^2(x)-\sinh^2(x)=1 かつ、1-\tanh^2(x)=\frac{1}{\cosh^2(x)}
などの三角関数に似た関係式が成り立ちます。

この逆関数を \text{Arsinh}(x),  \text{Arcosh}(x), \text{Artanh}(x) と書きます。

それぞれの定義域は、{\mathbb R}, x\ge 1, {\mathbb R} となります。
また、今日やってもらったのは、\sinh(\text{Artanh}(x)) を簡単にするなどの問題です。

y=\text{Artanh}(x) とおきますと、x=\tanh(y) が成り立ち、\sinh(y) を計算するには、
\sinh(y)\tanh(y) の式に直さなければなりませんが、\sinh(y)=\frac{\tanh(y)}{\sqrt{1-\tanh^2(y)}} を使って直してやります。

連続関数

宿題に連続関数に関する問題をのせました。
また、実数の中の有理数の稠密性についての定理ものせました。
有理数の稠密性とは、以下の性質を満たすことです。

定理(有理数の稠密性)
任意の実数a,b\in {\mathbb R} (a<b)に対してある有理数 \gamma が存在して、
a<\gamma<b が成り立つ。

これを用いると、任意の実数 \alpha\in {\mathbb R} に対して、
\alpha に収束する有理数からなる数列 r_n が作れることを宿題に出しました。

ヒントも授業中に少し出しました。上の有理数の稠密性を使うと、そのような有理数列が作れることがわかります。
[\alpha-\frac{1}{2^n},\alpha+\frac{1}{2^n}] に含まれる有理数 r_n を構成します。

ここで、[s,t]\{x\in {\mathbb R}|s\le x\le t\} のことを指します。
また、そのようにとった r_n が収束することを示してください。



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