[場所1E102(水曜日4限)]
配付プリント
HPに行く
今回は、曲面積についての演習を行いました.
曲面積
曲面
最初に曲面が何か?ということに答えておきます.
下の答えも完全ではない部分がありますが、ここでは、これで十分です.
曲面 S とは、S の各点において、接平面を持つような部分集合のことをいいます.
S の点 p の接平面 V とは p の近くで S にいくらでも近い平面のことを言います.
ここで、曲面は、{\mathbb R}^3 上に埋め込まれていると仮定しておきます.
つまり、p の近くで、2つのパラメータ表示が存在し、\{\varphi(u,v)\in {\mathbb R}^3|(u,v)\in E\}\subset{\mathbb R}^3 となります.
\varphi_u,\varphi_v が {\mathbb R}^3 で一次独立になっているとき、接平面をもつ
ということになります.
例えば、球面は、x=r\cos u, y=r\sin u\cos v, z=r\sin u\sin v とします.r\neq 0 は定数です.
つまり、
\varphi(u,v)=(r\cos u,r\sin u\cos v,r\sin u\sin v) とすると、
\varphi_u=(-r\sin u,r\cos u\cos v,r\cos u\sin v) であり、\varphi_v=(0,-r\sin u\sin v,r\sin u\cos v)
となります.
この2つのベクトルで張られるベクトル空間が接平面となります.
しかし、この2つが平面を作らない場合もあって、それは、
\varphi_u,\varphi_v が一次独立でない、つまり平行であるときです.
平行であるとると、まず第一座標をくらべて、r\sin u- 0\Leftrightarrow \sin u=0 となり、
(x,y,z)=(\pm r, 0, 0) となります.
この点以外では、”この表示”では\varphi_u,\varphi_v で張られる空間が接平面と
なります.
しかし、この2点 (\pm r, 0, 0) でも、別の表示を使うことにします.
例えば、(x,y,z)=(r\sin u\cos v, r\sin u\sin v,r\cos u) としますと、この座標で
\varphi_u,\varphi_v が接平面を作れないとすると、(0,0,\pm r) のみであり、
この点は、上の方法でパラメータ表示を使った場合は、接平面が存在していました.
もし、この2つのパラメータ表示でも接平面が作れないとすると、それは、
(\pm r,0,0)=(0,0,\pm r) となる点のはずですが、この等式は今は成り立っていませんので
そのような点がないことになります.
つまり、この2つの表示方法で球面全体を覆うことができたということになります.
なので、球面の各点において、接平面が作れることになりました.
ここでは、曲面論の授業ではありませんので、これ以上は突っ込みません.
で、本当の課題は、球面など、空間内に埋め込まれた曲面の面積を測る方法を
学ぶということでした.
曲面積の公式
上で書いたように、曲面が2つのパラメータの表示で書かれた方法ではなく、
関数の形で書かれた方法のときの場合の公式を与えました.
つまり、曲面が、z=f(x,y) のとき、つまり、空間内で、(x,y,f(x,y)) と書ける時、
曲面の曲面積 S は、
S=\int\int_D\sqrt{1+f_x^2+f_y^2}dxdy
と計算できます.ここで、D とは、この曲面が表す (x,y) の領域を表します.
例えば、
z=xy で、x^2+y^2\le r^2 であるような関数の曲面積は、
f_x=y,f_y=x とすると、曲面積 S は、
S=\int\int_D\sqrt{1+y^2+x^2}dxdy
であり、極座標表示を使うと、
S=\int_0^r\int_0^{2\pi}\sqrt{1+r^2}rdrd\theta=2\pi\int_0^r\sqrt{1+r^2}rdr
となり、さらに置換積分をして、\pi\int_1^{1+r^2}\sqrt{s}ds=\left[\frac{2}{3}s^{\frac{3}{2}}\right]_1^{1+r^2}
となり、S=\frac{2\pi}{3}((1+r^2)^{\frac{3}{2}}-1) となります.
おなじように、z=x^2+y^2 の場合は、
f_x=2x,f_y=2y なので、先ほどの計算を使うと、
S=\int\int_D\sqrt{1+4x^2+4y^2}dxdy=\int_0^r\int_0^{2\pi}\sqrt{1+4r^2}rdrd\theta
=\int_0^{2r}\int_0^{2\pi}\frac{s}{4}\sqrt{1+s^2}dsd\theta=\frac{2\pi}{4}\frac{1}{3}((1+4r^2)^{\frac{3}{2}}-1)
=\frac{\pi}{6}((1+4r^2)^{\frac{3}{2}}-1)
となります.
回転体の曲面積
回転体とは、(x,y)-平面の関数 y=f(x) において、そのグラフ(x,f(x)) をx-軸を
軸として、新しい z 軸と y 軸とで作られる yz-平面を使って回転させたものを
y=f(x) を x 軸に関して回転させた回転体といいます.
関数が [a,b] の閉区間上の場合、この回転体の表面積は、
2\pi\int_a^b|f(x)|\sqrt{1+f’(x)^2}dx
と計算できます.
例えば、球面は、\sqrt{1-x^2} なるグラフの回転体ですので
f(x)=\sqrt{1-x^2} を当てはめると、
f’(x)=-\frac{x}{\sqrt{1-x^2}} となり、
|f(x)|\sqrt{1+f’(x)^2}=\sqrt{1-x^2}\sqrt{1+\frac{x^2}{1-x^2}}=1
となるので、球面の表面積 S は、
S=2\pi\int_{-1}^1dx=4\pi
となります.
また、表面積は、無限区間でも、
y=e^{-x}\ (x\ge 0) なる関数の回転体であっても、
f’(x)=-e^{-x} とすると、
2\pi\int_0^\infty e^{-x}\sqrt{1+e^{-2x}}dx
となり、s=e^{-x} とすると、 ds=-e^{-x}dx より、dx=-\frac{ds}{s}
-2\pi\int_1^0 \sqrt{1+s^2}ds=2\pi\int_0^1\sqrt{1+s^2}ds と置換されます.
よって、s=\sinh (t) とすると、ds=\cosh(t)dt となり、
S=2\pi\int_0^{\text{Arsinh}(1)}\cosh^2(t)dt=2\pi\int_0^{\text{Arsinh}(1)}\frac{1+\cosh(2t)}{2}dt
=\pi\left[t+\sinh(t)\cosh(t)\right]_0^{\text{Arsinh}(1)}=\pi(\text{Arsinh}(1)+\sqrt{1+1})
=\pi(\sqrt{2}+\text{Arsinh}(1))
\text{Arsinh}(t)=\log(t+\sqrt{1+t^2}) なので、
S=\pi(\sqrt{2}+\log(1+\sqrt{2})) ともかけます.
今回の課題は、曲面積の公式を使って回転体の表面積の公式を導いてもらう
という課題でした.もうすでに出してもらったわけですが.
計算に必要なのは、h(x,y) (回転体の関数を f(x) と y で表したもの)と D の部分でした.
また、最後に y について積分する部分があります.
これから採点します.
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今回は、曲面積についての演習を行いました.
曲面積
曲面
最初に曲面が何か?ということに答えておきます.
下の答えも完全ではない部分がありますが、ここでは、これで十分です.
曲面 S とは、S の各点において、接平面を持つような部分集合のことをいいます.
S の点 p の接平面 V とは p の近くで S にいくらでも近い平面のことを言います.
ここで、曲面は、{\mathbb R}^3 上に埋め込まれていると仮定しておきます.
つまり、p の近くで、2つのパラメータ表示が存在し、\{\varphi(u,v)\in {\mathbb R}^3|(u,v)\in E\}\subset{\mathbb R}^3 となります.
\varphi_u,\varphi_v が {\mathbb R}^3 で一次独立になっているとき、接平面をもつ
ということになります.
例えば、球面は、x=r\cos u, y=r\sin u\cos v, z=r\sin u\sin v とします.r\neq 0 は定数です.
つまり、
\varphi(u,v)=(r\cos u,r\sin u\cos v,r\sin u\sin v) とすると、
\varphi_u=(-r\sin u,r\cos u\cos v,r\cos u\sin v) であり、\varphi_v=(0,-r\sin u\sin v,r\sin u\cos v)
となります.
この2つのベクトルで張られるベクトル空間が接平面となります.
しかし、この2つが平面を作らない場合もあって、それは、
\varphi_u,\varphi_v が一次独立でない、つまり平行であるときです.
平行であるとると、まず第一座標をくらべて、r\sin u- 0\Leftrightarrow \sin u=0 となり、
(x,y,z)=(\pm r, 0, 0) となります.
この点以外では、”この表示”では\varphi_u,\varphi_v で張られる空間が接平面と
なります.
しかし、この2点 (\pm r, 0, 0) でも、別の表示を使うことにします.
例えば、(x,y,z)=(r\sin u\cos v, r\sin u\sin v,r\cos u) としますと、この座標で
\varphi_u,\varphi_v が接平面を作れないとすると、(0,0,\pm r) のみであり、
この点は、上の方法でパラメータ表示を使った場合は、接平面が存在していました.
もし、この2つのパラメータ表示でも接平面が作れないとすると、それは、
(\pm r,0,0)=(0,0,\pm r) となる点のはずですが、この等式は今は成り立っていませんので
そのような点がないことになります.
つまり、この2つの表示方法で球面全体を覆うことができたということになります.
なので、球面の各点において、接平面が作れることになりました.
ここでは、曲面論の授業ではありませんので、これ以上は突っ込みません.
で、本当の課題は、球面など、空間内に埋め込まれた曲面の面積を測る方法を
学ぶということでした.
曲面積の公式
上で書いたように、曲面が2つのパラメータの表示で書かれた方法ではなく、
関数の形で書かれた方法のときの場合の公式を与えました.
つまり、曲面が、z=f(x,y) のとき、つまり、空間内で、(x,y,f(x,y)) と書ける時、
曲面の曲面積 S は、
S=\int\int_D\sqrt{1+f_x^2+f_y^2}dxdy
と計算できます.ここで、D とは、この曲面が表す (x,y) の領域を表します.
例えば、
z=xy で、x^2+y^2\le r^2 であるような関数の曲面積は、
f_x=y,f_y=x とすると、曲面積 S は、
S=\int\int_D\sqrt{1+y^2+x^2}dxdy
であり、極座標表示を使うと、
S=\int_0^r\int_0^{2\pi}\sqrt{1+r^2}rdrd\theta=2\pi\int_0^r\sqrt{1+r^2}rdr
となり、さらに置換積分をして、\pi\int_1^{1+r^2}\sqrt{s}ds=\left[\frac{2}{3}s^{\frac{3}{2}}\right]_1^{1+r^2}
となり、S=\frac{2\pi}{3}((1+r^2)^{\frac{3}{2}}-1) となります.
おなじように、z=x^2+y^2 の場合は、
f_x=2x,f_y=2y なので、先ほどの計算を使うと、
S=\int\int_D\sqrt{1+4x^2+4y^2}dxdy=\int_0^r\int_0^{2\pi}\sqrt{1+4r^2}rdrd\theta
=\int_0^{2r}\int_0^{2\pi}\frac{s}{4}\sqrt{1+s^2}dsd\theta=\frac{2\pi}{4}\frac{1}{3}((1+4r^2)^{\frac{3}{2}}-1)
=\frac{\pi}{6}((1+4r^2)^{\frac{3}{2}}-1)
となります.
回転体の曲面積
回転体とは、(x,y)-平面の関数 y=f(x) において、そのグラフ(x,f(x)) をx-軸を
軸として、新しい z 軸と y 軸とで作られる yz-平面を使って回転させたものを
y=f(x) を x 軸に関して回転させた回転体といいます.
関数が [a,b] の閉区間上の場合、この回転体の表面積は、
2\pi\int_a^b|f(x)|\sqrt{1+f’(x)^2}dx
と計算できます.
例えば、球面は、\sqrt{1-x^2} なるグラフの回転体ですので
f(x)=\sqrt{1-x^2} を当てはめると、
f’(x)=-\frac{x}{\sqrt{1-x^2}} となり、
|f(x)|\sqrt{1+f’(x)^2}=\sqrt{1-x^2}\sqrt{1+\frac{x^2}{1-x^2}}=1
となるので、球面の表面積 S は、
S=2\pi\int_{-1}^1dx=4\pi
となります.
また、表面積は、無限区間でも、
y=e^{-x}\ (x\ge 0) なる関数の回転体であっても、
f’(x)=-e^{-x} とすると、
2\pi\int_0^\infty e^{-x}\sqrt{1+e^{-2x}}dx
となり、s=e^{-x} とすると、 ds=-e^{-x}dx より、dx=-\frac{ds}{s}
-2\pi\int_1^0 \sqrt{1+s^2}ds=2\pi\int_0^1\sqrt{1+s^2}ds と置換されます.
よって、s=\sinh (t) とすると、ds=\cosh(t)dt となり、
S=2\pi\int_0^{\text{Arsinh}(1)}\cosh^2(t)dt=2\pi\int_0^{\text{Arsinh}(1)}\frac{1+\cosh(2t)}{2}dt
=\pi\left[t+\sinh(t)\cosh(t)\right]_0^{\text{Arsinh}(1)}=\pi(\text{Arsinh}(1)+\sqrt{1+1})
=\pi(\sqrt{2}+\text{Arsinh}(1))
\text{Arsinh}(t)=\log(t+\sqrt{1+t^2}) なので、
S=\pi(\sqrt{2}+\log(1+\sqrt{2})) ともかけます.
今回の課題は、曲面積の公式を使って回転体の表面積の公式を導いてもらう
という課題でした.もうすでに出してもらったわけですが.
計算に必要なのは、h(x,y) (回転体の関数を f(x) と y で表したもの)と D の部分でした.
また、最後に y について積分する部分があります.
これから採点します.
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