[場所1E102(水曜日4限)]
配付プリント
HPに行く
今回は定期テストを行いました.
前回の模擬テストを少し改良してつくりました.
5問あったので、それぞれを20点満点にして計算すると、
以下のような結果となりました.
平均76.1点
次の表は各問題の正答率です.
問題14-1
全微分可能であることの定義を問う問題と実際全微分可能であることを示す問題で、
形式は,13-1とは全く同じです.
定義は、
$$f(x,y)=f(a,b)+f_x(a,b)h+f_y(a,b)k+o(\sqrt{h^2+k^2})$$
となることです.ここで $h=x-a$ で、$k=y-b$ です.
もしくは、
$$f(x,y)=f(a,b)+\alpha h+\beta k+o(\sqrt{h^2+k^2})$$
となる $\alpha, \beta$ が存在するでもよいです.
また、$\frac{x^4+y^4}{x^2+y^2}$ が全微分可能であることは宿題でも出した
おなじみの関数です.
上の定義は、$\frac{f(x,y)=f(a,b)+f_x(a,b)h+f_y(a,b)k}{\sqrt{h^2+k^2}}\to 0$ であることを
示せばよいので、この左辺を $(a,b)=(0,0)$ の場合に計算をします.
$f_x(0,0)=\lim_{x\to 0}\frac{f(x,0)-f(0,0)}{x}=0$ であり、同じように、$f_y(0,0)=0$ がわかるので、
上の右辺は $f(x,y)$ と同じです.
全微分可能であることを示すには、$x=r\cos\theta, y=r\sin \theta$ とおいて、
$|\frac{x^4+y^4}{(x^2+y^2)^{\frac{3}{2}}}|=|r(\cos^4\theta+\sin^4\theta)|\le 2r\to 0$
となるので、結果全微分可能がいえます.
もっとも多かった間違い(1/3くらいの人は書いていた)は、
$\frac{x^4+y^4}{(x^2+y^2)^{\frac{3}{2}}}$ の連続性に帰着させてはいるものの、
なぜか、$(x,y)=(h,h)$ とおいて、収束性を示し、だから全微分可能であると書いていました.2変数関数の連続性とはどんな近づき方によっても連続が言えないといけません.
これでは近づき方を制限して考えてしまっています.
問題14-2
この問題もほぼ模擬テストと同じですが、(1) は微分ではなく偏微分をしている所が少し違います.
例えば、$\frac{\partial }{\partial u}(f(x(u,v),y(u,v))=f_x(x(u,v),y(u,v))x_u(u,v)+f_y(x(u,v),y(u,v))y_u(u,v)$
と計算されますが、
$\frac{\partial }{\partial u}(f(x(u,v),y(u,v))=f_x(x(u,v),y(u,v))x_u(u,v)$
のように計算している人がいました.
また、接平面の方程式ですが、
正しくは、
$z=f(a,b)+f_x(a,b)(x-a)+f_y(a,b)(y-b)$ ですが、
$f(a,b)-f_x(a,b)(x-a)+f_y(a,b)(y-b)=0$ や、
$f(a,b)-f_x(a,b)(x-a)+f_y(a,b)(y-b)=f(x,y)$ などと連立したような感じで
書いているひとがいました.
平面の方程式なので $x,y,z$ の一次式になるはずですが、
例えば、$x+y-2=\log(x^2+y^2-xy)$ などと、$\log$ の入った式が出てきてしまいます.
接平面の方程式は一次式であることをもっと強調すればよかったと思いました.
問題14-3
極値を求める問題で、大方できていましたが、間違えているひとは、
例えば、ヘッセ行列の行列式$=0$ が極値の方程式と勘違いしている人がしました.
つまり、$\det(H)=0$ としてまず計算を始めてしまっています.
正しくは $f_x(a,b)=f_y(a,b)=0$ が極値の候補となり、この方程式の解を
考えます.$f_x=4x^3-4y$ で $f_y=4y-4x$ となりますので、
その解は $(0,0),(\pm1,\pm1)$ となります.(複合同順)
また、その中で、ヘッセ行列 $\begin{pmatrix}f_{xx}&f_{xy}\\f_{yx}&f_{yy}\end{pmatrix}$ の行列式が正のものは極値を与えます.
それは $(\pm1,\pm1)$ の場合であり、さらに、$f_{xx}(\pm1,\pm1)>0$ であることから
極小であることがわかります.$(0,0)$ では、ヘッセ行列の行列式が負なので、
極値ではありません.
模擬テストではラグランジュの未定乗数法もやりましたが、テストでは省略しました.
問題14-4
積分の問題です.極座標変換をすれば良いですね.そうすると、
積分は、
$$\int_0^1\int_0^{2\pi}\frac{r^3\sin^2\theta}{\sqrt{1-r^2}}d\theta dr$$
となります.$\theta$ の方を先に積分をすると、
$\int_0^{2\pi}\sin^2\theta d\theta=\int_0^{2\pi}\frac{1-\cos2\theta}{2}d\theta=\left[\frac{\theta}{2}-\frac{\sin2\theta}4\right]_0^{2\pi}=\pi$ なので、
$$\pi\int_0^1\frac{r^3}{\sqrt{1-r^2}}dr$$
となり、$s=1-r^2$ とおくと、$dr=-2rdr$
$-\frac{\pi}{2}\int_1^0\frac{1-s}{\sqrt{s}}ds$ と計算できて、
$=\frac{\pi}{2}\int_0^1(s^{-\frac{1}{2}}-s^{\frac{1}{2}})ds=\frac{\pi}{2}\left[2s^{\frac{1}{2}}-\frac{2}{3}s^{\frac{3}{2}}\right]_0^1=\frac{2}{3}\pi$ となります.
問題14-5
配付プリント
HPに行く
今回は定期テストを行いました.
前回の模擬テストを少し改良してつくりました.
5問あったので、それぞれを20点満点にして計算すると、
以下のような結果となりました.
平均76.1点
最高点100点
最低点24点
次の表は各問題の正答率です.
問題 | 1 | 2(1,2) | 3 | 4 | 5 |
得点率(%) | 66.0 | 77.5, 78.0 | 87.2 | 83.8 | 88.2 |
問題14-1
全微分可能であることの定義を問う問題と実際全微分可能であることを示す問題で、
形式は,13-1とは全く同じです.
定義は、
$$f(x,y)=f(a,b)+f_x(a,b)h+f_y(a,b)k+o(\sqrt{h^2+k^2})$$
となることです.ここで $h=x-a$ で、$k=y-b$ です.
もしくは、
$$f(x,y)=f(a,b)+\alpha h+\beta k+o(\sqrt{h^2+k^2})$$
となる $\alpha, \beta$ が存在するでもよいです.
また、$\frac{x^4+y^4}{x^2+y^2}$ が全微分可能であることは宿題でも出した
おなじみの関数です.
上の定義は、$\frac{f(x,y)=f(a,b)+f_x(a,b)h+f_y(a,b)k}{\sqrt{h^2+k^2}}\to 0$ であることを
示せばよいので、この左辺を $(a,b)=(0,0)$ の場合に計算をします.
$f_x(0,0)=\lim_{x\to 0}\frac{f(x,0)-f(0,0)}{x}=0$ であり、同じように、$f_y(0,0)=0$ がわかるので、
上の右辺は $f(x,y)$ と同じです.
全微分可能であることを示すには、$x=r\cos\theta, y=r\sin \theta$ とおいて、
$|\frac{x^4+y^4}{(x^2+y^2)^{\frac{3}{2}}}|=|r(\cos^4\theta+\sin^4\theta)|\le 2r\to 0$
となるので、結果全微分可能がいえます.
もっとも多かった間違い(1/3くらいの人は書いていた)は、
$\frac{x^4+y^4}{(x^2+y^2)^{\frac{3}{2}}}$ の連続性に帰着させてはいるものの、
なぜか、$(x,y)=(h,h)$ とおいて、収束性を示し、だから全微分可能であると書いていました.2変数関数の連続性とはどんな近づき方によっても連続が言えないといけません.
これでは近づき方を制限して考えてしまっています.
問題14-2
この問題もほぼ模擬テストと同じですが、(1) は微分ではなく偏微分をしている所が少し違います.
例えば、$\frac{\partial }{\partial u}(f(x(u,v),y(u,v))=f_x(x(u,v),y(u,v))x_u(u,v)+f_y(x(u,v),y(u,v))y_u(u,v)$
と計算されますが、
$\frac{\partial }{\partial u}(f(x(u,v),y(u,v))=f_x(x(u,v),y(u,v))x_u(u,v)$
のように計算している人がいました.
また、接平面の方程式ですが、
正しくは、
$z=f(a,b)+f_x(a,b)(x-a)+f_y(a,b)(y-b)$ ですが、
$f(a,b)-f_x(a,b)(x-a)+f_y(a,b)(y-b)=f(x,y)$ などと連立したような感じで
書いているひとがいました.
平面の方程式なので $x,y,z$ の一次式になるはずですが、
例えば、$x+y-2=\log(x^2+y^2-xy)$ などと、$\log$ の入った式が出てきてしまいます.
接平面の方程式は一次式であることをもっと強調すればよかったと思いました.
問題14-3
極値を求める問題で、大方できていましたが、間違えているひとは、
例えば、ヘッセ行列の行列式$=0$ が極値の方程式と勘違いしている人がしました.
つまり、$\det(H)=0$ としてまず計算を始めてしまっています.
正しくは $f_x(a,b)=f_y(a,b)=0$ が極値の候補となり、この方程式の解を
考えます.$f_x=4x^3-4y$ で $f_y=4y-4x$ となりますので、
その解は $(0,0),(\pm1,\pm1)$ となります.(複合同順)
また、その中で、ヘッセ行列 $\begin{pmatrix}f_{xx}&f_{xy}\\f_{yx}&f_{yy}\end{pmatrix}$ の行列式が正のものは極値を与えます.
それは $(\pm1,\pm1)$ の場合であり、さらに、$f_{xx}(\pm1,\pm1)>0$ であることから
極小であることがわかります.$(0,0)$ では、ヘッセ行列の行列式が負なので、
極値ではありません.
模擬テストではラグランジュの未定乗数法もやりましたが、テストでは省略しました.
問題14-4
積分の問題です.極座標変換をすれば良いですね.そうすると、
積分は、
$$\int_0^1\int_0^{2\pi}\frac{r^3\sin^2\theta}{\sqrt{1-r^2}}d\theta dr$$
となります.$\theta$ の方を先に積分をすると、
$\int_0^{2\pi}\sin^2\theta d\theta=\int_0^{2\pi}\frac{1-\cos2\theta}{2}d\theta=\left[\frac{\theta}{2}-\frac{\sin2\theta}4\right]_0^{2\pi}=\pi$ なので、
$$\pi\int_0^1\frac{r^3}{\sqrt{1-r^2}}dr$$
となり、$s=1-r^2$ とおくと、$dr=-2rdr$
$-\frac{\pi}{2}\int_1^0\frac{1-s}{\sqrt{s}}ds$ と計算できて、
$=\frac{\pi}{2}\int_0^1(s^{-\frac{1}{2}}-s^{\frac{1}{2}})ds=\frac{\pi}{2}\left[2s^{\frac{1}{2}}-\frac{2}{3}s^{\frac{3}{2}}\right]_0^1=\frac{2}{3}\pi$ となります.
問題14-5
この問題はよくできていたように思います.
ガンマ関数に関する問題ですが、穴埋めにしました.
$\int_0^\infty e^{-x^2}dx$ を求めますが、
授業中なんどもやった変換ですが、$s=x^2$ とおきます.
そうすると、積分は、$\frac{1}{2}\int_0^\infty e^{-s}s^{-\frac{1}{2}}ds=\frac{1}{2}\Gamma(\frac{1}{2})$ となります.よって、$\Gamma(\frac{1}{2})$ が求まればよいですが、
それをベータ関数との関係式 $B(p,q)=\frac{\Gamma(p)\Gamma(q)}{\Gamma(p+q)}$ を用いて計算するというのがこの問題の主旨です.
よって、$\frac{\Gamma(\frac{1}{2})\Gamma(\frac{1}{2})}{\Gamma(1)}=B(\frac{1}{2},\frac{1}{2})$ となり、$B(\frac{1}{2},\frac{1}{2})=\int_0^1\frac{1}{\sqrt{t(1-t)}}dt$ となります.
あとはこの積分を実行するだけですが、置換する方法をもうこちらから与えました.
$t=\sin^2\theta$ とおけば、$\int_0^{\frac{\pi}{2}}2d\theta$ となることで
$B(\frac{1}{2},\frac{1}{2})=\pi$ がいえます.
また $\Gamma(1)=1$ であることから、$\Gamma(\frac{1}2)=\sqrt{\pi}$ がいえて、
$\int_0^\infty e^{-x^2}dx=\frac{\sqrt{\pi}}{2}$ がわかります.