2017年1月1日日曜日

トポロジー入門演習(第10回)

[場所1E103(月曜日4限)]

HPに行く.

今回はゾルゲンフライ直線について解いた人がいました.
ゾルゲンフライ直線は、実数直線 ${\mathbb R}$ の位相で、通常の距離位相より、
強く、$[a,b)$ を開集合として認める位相をいいます.
正確には、このような半開区間をベース(開基)とするような、数直線上の位相のことです.

ゾルゲンフライ直線は、第一可算かつ可分を満たすが、
第2可算を満たさない空間です.

よって距離化できない空間となります.
距離空間であれば、可分と第2可算であることは同値となるからです.

また、ゾルゲンフライ直線はリンデレフです.
(ここでは証明はしませんが.)

定理1
ゾルゲンフライ直線は正則空間.
(証明)
$F$ を閉集合、$p$ をそれに入らない任意の点とする.
このとき、$F$ が閉集合であることから、$[p,c)$ なる実数 $c$ で、
$[p,c)\cap F=\emptyset $ となるものが存在します.

また、任意の $q\in F$ に対して、$[q,c_q)$ として、$[q,c_q)\cap [p,c)=\emptyset$ となる
$c_q$ 実数が存在する.
$\cup_{q\in F}[q,c_q)=V$ とすると $V$ は開集合かつ、$F\subset V$ で、$V\cap [p,c)=\emptyset$ なので、
ゾルゲンフライ直線は正則.$\Box$

さらに言えば、同じ証明をゾルゲンフライ直線の正規性について行うことができるので、ゾルゲンフライ直線は正規ですが、実は、ゾルゲンフライ直線はリンデレフなので、
前回書いたこと(正則リンデレフなら正規)からゾルゲンフライ直線が正規空間
であることが分かり、前回の定理4から、ゾルゲンフライ直線はパラコンパクトで
あることもわかります.


正規列

前回、正規性と被覆の基本的な関係性について述べましたが、実際被覆の言葉で
正規性や距離化可能を特徴づける事ができます.

そのために、被覆の正規列という概念が必要となります.

星型集合
$\mathcal{U}$ を被覆とします.
任意の部分集合 $A\subset X$ に対して、$\text{St}(A,\mathcal{U}):=\cup\{V\in\mathcal{U}|A\cap V\neq\emptyset\}$ を星型集合といいます.
また、$\mathcal{U}^\ast=\{\text{St}(U,\mathcal{U})|U\in \mathcal{U}\}$ や
$\mathcal{U}^\Delta=\{\text{St}(x,\mathcal{U})|x\in X\}$ とかきます.

$\Delta$-細分、重心細分、星型細分
被覆 $\mathcal{V}$ に対して、$\mathcal{U}^\Delta<\mathcal{V}$ なる被覆 $\mathcal{U}$ を $\mathcal{V}$ の$\Delta$-細分、もしくは、重心細分といい、
$\mathcal{U}^\ast<\mathcal{V}$ なる、被覆 $\mathcal{U}$ のことを $\mathcal{V}$ の星型細分といいます.

普通の細分 $\mathcal{V}<\mathcal{U}$ より、星型細分 $\mathcal{V}^\ast<\mathcal{U}$ の方が星型集合をとってもどこかの被覆に入るわけなので、細かくなり具合がより強くなっています.

一般に、$\mathcal{U}^\Delta<\mathcal{U}^\ast$ であることはすぐ分かるので、$\mathcal{U}$ が $\mathcal{V}$ の星型細分であれば、$\Delta$-細分であることが分かります.


正規列、正規被覆
被覆の列 $\{\mathcal{U}_i|i\in {\mathbb N}\}$ が $\mathcal{U}_{i+1}^\ast<\mathcal{U}_i$ を満たすとき、この被覆の列を正規列といいます.

被覆 $\mathcal{V}$ に対して、
ある細分 $\mathcal{U}_1<\mathcal{V}$ があって、被覆の列 $\{\mathcal{U}_i\}$ が
正規列であるとき、被覆 $\mathcal{U}$ は正規であるといいます.


定理2
$T_1$ 空間が正規となるための必要十分条件は、任意の有限開被覆が正規となることである.


また、パラコンパクトとの関係を見ると

定理3
$T_2$ 空間がパラコンパクトであるための必要十分条件は、任意の開被覆が正規となることである.


この定理からすぐに、前回の $T_2$ パラコンパクトなら正規であるがいえます.
つまり、被覆の正規列の存在がその間の関係を精密化して表しているということになります.

距離化可能定理

距離化定理は、以下の定理が古典的に知られています.
定理4(ウリゾーンの距離化定理)
第2可算かつ正規なら距離化可能.

第2可算を仮定すれば、正則空間は正規空間なので、仮定として正規性は正則性まで
弱められることが分かります.また、距離空間では、第2可算であることは可分であることと
同値ですから、これは、可分距離空間のための距離化定理だということになります.
しかし、可分でない距離空間のための距離化定理もあります.

正規空間は距離空間にある意味近い存在だが、その間を第2可算という
可算性で補うことで埋められる.実際には距離空間のためには第2可算は必要ではないので
他によい性質があるはずである.との着想のもと、長田、スミルノフは以下の定理を
証明しています.

定理5(長田-スミルノフの距離化定理)
正則空間が距離化可能であるための必要十分条件は、$\sigma$-局所有限な開基をもつことである.

距離空間は正則なので、これは
距離化可能 $\Leftrightarrow$ 正則かつ $\sigma$-局所有限な開基をもつ
ということを言っています.この定理はウリゾーンの定理の適用範囲外であった可分でない場合も
含めた一般化された距離化可能定理といえます.

ここで、集合族が、$\sigma$-局所有限であるとは、局所有限な集合族を可算個集めてきた
集合族であることを意味します.つまり、局所有限な集合族 $\mathcal{V}_n\ (n\in{\mathbb N})$
であれば、$\cup_n\mathcal{V}_n$ は、$\sigma$-局所有限であるといえます.

つまり、局所有限であることについては、部分集合族 $\mathcal{V}_n$ の濃度については言及していないので、非可算個の濃度をもつ開基だとしても、$\sigma$-局所有限な開基を持てば距離化可能だということになります.

また、Alexandroff-Urysohn-Tukeyによる正規列を用いた距離化定理もあります.
こちらも結果としては驚くべきとは思いますが、条件として、定理4や5の正則性を
取り込んだためか、近傍基の特徴として、ある正規被覆列から得られるものをとる必要があり
定理5よりは条件がややこしくなっています.

定理6(Alexandroff-Urysohn-Tukey)
$T_1$ 空間が距離化可能であるための必要十分条件は、ある正規開被覆列 $\mathcal{U}_n$ が
存在して、各点 $x\in X$ において $\{\text{St}(x,\mathcal{U}_n)|n\in\mathcal{N}\}$ が近傍基となることである.

正規列を使わない条件であれば、以下の定理があります.

定理7
$T_1$ 空間が距離化可能であるための必要十分条件は、ある開被覆列 $\mathcal{U}_n$ が
存在して、各点 $x\in X$ において $\{\text{St}(\text{St}(x,\mathcal{U}_i),\mathcal{U}_j|i,j\in\mathcal{N}\}$ が近傍基となることである.


定理7は、定理7の条件から、定理6の正規列を作ることによって証明されます.

参考文献
  • 森田紀一, 位相空間論, 岩波全書

0 件のコメント:

コメントを投稿