[場所1E103(月曜日4限)]
HPに行く.
連結性について少しまとめておきます.去年やった授業の中で、
間違って、弧状連結成分はいつでも閉集合と口走ったしまったような気がします.
(そうではありません)
ここで訂正しておきます.
また、有限点集合上の位相では、弧状連結と連結が同じということを
発表した人もいました.そのときは、証明がかなりややこしかったような気がします.
ここですっきりする証明を与えておきます.
有限点集合に関しては、以前(ココ)で少しまとめましたが、
そのときは、有限点空間の弧状連結性は、その有限点空間から作られるあるグラフ
の連結性と同値であることがすぐわかります.また、それは、すぐに、
有限点空間の連結性につながります.
連結成分と弧状連結成分
連結空間を定義しておきます.
連結(connected)
位相空間 $X$ が連結であるとは、
任意の $U\cap V=\emptyset$ となる開集合 $U,V$ に対して、
$X=U\cup V$ となるとすると、$U=\emptyset$ もしくは $V=\emptyset$ となる.
連結部分集合(connected component)
位相空間 $X$ の部分集合 $A$ が連結であるとは、
任意の互いに素な開集合 $U,V$ に対して、$A\subset U\cup V$ となるとき、
$A\cap U=\emptyset$ もしくは $A\cap V=\emptyset$ が成り立つ.
つまり、$A$ が $X$ の連結部分集合であることと $A$ が $X$ からくる相対位相
として連結空間であることは同値です.
ここで、次を示しておきます.
定理1
$A\subset X$ が連結部分集合ならば、$\text{Cl}(A)$ も連結な部分集合である.
(証明)
$A$ が連結であるとします.
また、$\text{Cl}(A)\subset U\cup V$ と被覆できるとします.
ただし、$U,V$ は $X$ の互いに素( $U\cap V= \emptyset$ )な開集合とします.
このとき、$\text{Cl}(A)\cap U=\emptyset$ もしくは、$\text{Cl}(A)\cap V=\emptyset$
であることを示せばよいことになります.
いま、$A\subset \text{Cl}(A)$ なので、$U\cup V$ は $A$ の被覆でもあります.
$A$ が連結であることから、$A\cap U=\emptyset$ もしくは、$A\cap V=\emptyset$ です.
いま、$A\cap U=\emptyset$ であると仮定します.
$\text{Cl}(A)$ は $A$ を含む最小の閉集合であることから、
$\text{Cl}(A)\subset U^c$ となります.よって、$\text{Cl}(A)\cap U=\emptyset$ となります.
$A\cap V=\emptyset$ であると仮定しても、同じ議論により、$\text{Cl}(A)\cap V=\emptyset$ よって、$\text{Cl}(A)$ も連結となります.$\Box$
$C(x)$ を $x$ を含む連結成分とします.$x$ の連結成分とは、$x$ を含む連結な集合の中で最大の部分集合として定義します.つまり、
$$C(x)=\cup\{A|\text{$A$ は $x$を含む連結部分集合}\}$$
です.$C(x)$ は連結であり、上で証明したことから、$\text{Cl}(C(x))$ も連結です.
しかし、$C(x)$ は $x$ を含む最大の連結集合なので、$\text{Cl}(C(x))\subset C(x)$ となります.一般に、$C(x)\subset \text{Cl}(C(x))$ なので、$C(x)=\text{Cl}(C(x))$ なので、$C(x)$ は閉集合となります.
よって、わかったことは、
定理2
任意の連結成分は閉集合.
しかし、一般に連結成分は開集合であるとは限りません.
例えば、${\mathbb Q}$ は通常の距離空間において、任意の有理数の連結成分は、一点のみからなりますが、この位相では、${\mathbb Q}$ は離散位相ではありません(任意の点の近傍は可算無限個の有理数を含む)ので連結成分は開集合ではありません.
弧状連結(path-connected)
位相空間 $X$ が弧状連結とは、任意の $a,b\in X$ に対して、ある連続写像 $[0,1]=I\to X$ が存在して、$f(0)=a$ かつ $f(1)=b$ となる.
すぐ分かることは、弧状連結であれば、連結であるということです.
位相空間 $X$ が弧状連結であり、連結でないとすると、
互いの素でない、空ではない開集合 $U,V$ によって、$X=U\cup V$ と書けます.
このとき、$a\in U$ かつ、$b\in V$ に対して、ある連続関数 $f:[0,1]\to X$ が存在して、
$f(0)=a$ かつ $f(1)=b$ となります.このとき、$[0,1]=f^{-1}(U)\cup f^{-1}(V)$ となり、
$f^{-1}(U)$, $f^{-1}(V)$ はどちらも開集合であり、空でないので、$[0,1]$ の連結性に矛盾します.よって、$X$ は連結となります.
弧状連結成分(path-connected component)
$C_p(x)=\{y\in X|f:[0,1]\to X (\text{連続}),f(0)=x,f(1)=y\}$ とおくと、$C_p(x)$ は弧状連結成分といいます.つまり、$x$ と道(path)で結ぶことができる最大の集合のことです.
連結成分は閉集合でしたが、弧状連結成分は閉集合とは限りません.
例えば、
$$S=\left\{\left(x,\sin\frac{1}{x}\right)\in {\mathbb R}^2|0<x\le 2\pi\right\}$$
の ${\mathbb R}^2$ での閉包は、
$$C=\left\{\left(x,\sin\frac{1}{x}\right)\in {\mathbb R}^2|0<x\le 2\pi\right\}\cup \{(0,y)\in {\mathbb R}^2|-1\le y\le 1\}$$
ですが、$S$ は連結ですが、弧状連結ではありません.
$S$ の中の弧状連結成分は、
$$S=\left\{\left(x,\sin\frac{1}{x}\right)\in {\mathbb R}^2|0<x\le 1\right\}$$
$$L=\{(0,y)\in {\mathbb R}^2|-1\le y\le 1\}$$
にわけられます.閉包をとったことから分かるように、$C$ は $S$ の中で、閉集合では
ありません.
$C$ のことを、トポロジストのサイン曲線といいます.
$C$ は連結だが、弧状連結ではない例として知られていますが、
連結だが、局所連結ではない例としても知られています.
局所連結(locally connected)
HPに行く.
連結性について少しまとめておきます.去年やった授業の中で、
間違って、弧状連結成分はいつでも閉集合と口走ったしまったような気がします.
(そうではありません)
ここで訂正しておきます.
また、有限点集合上の位相では、弧状連結と連結が同じということを
発表した人もいました.そのときは、証明がかなりややこしかったような気がします.
ここですっきりする証明を与えておきます.
有限点集合に関しては、以前(ココ)で少しまとめましたが、
そのときは、有限点空間の弧状連結性は、その有限点空間から作られるあるグラフ
の連結性と同値であることがすぐわかります.また、それは、すぐに、
有限点空間の連結性につながります.
連結成分と弧状連結成分
連結空間を定義しておきます.
連結(connected)
位相空間 $X$ が連結であるとは、
任意の $U\cap V=\emptyset$ となる開集合 $U,V$ に対して、
$X=U\cup V$ となるとすると、$U=\emptyset$ もしくは $V=\emptyset$ となる.
連結部分集合(connected component)
位相空間 $X$ の部分集合 $A$ が連結であるとは、
任意の互いに素な開集合 $U,V$ に対して、$A\subset U\cup V$ となるとき、
$A\cap U=\emptyset$ もしくは $A\cap V=\emptyset$ が成り立つ.
つまり、$A$ が $X$ の連結部分集合であることと $A$ が $X$ からくる相対位相
として連結空間であることは同値です.
ここで、次を示しておきます.
定理1
$A\subset X$ が連結部分集合ならば、$\text{Cl}(A)$ も連結な部分集合である.
(証明)
$A$ が連結であるとします.
また、$\text{Cl}(A)\subset U\cup V$ と被覆できるとします.
ただし、$U,V$ は $X$ の互いに素( $U\cap V= \emptyset$ )な開集合とします.
このとき、$\text{Cl}(A)\cap U=\emptyset$ もしくは、$\text{Cl}(A)\cap V=\emptyset$
であることを示せばよいことになります.
いま、$A\subset \text{Cl}(A)$ なので、$U\cup V$ は $A$ の被覆でもあります.
$A$ が連結であることから、$A\cap U=\emptyset$ もしくは、$A\cap V=\emptyset$ です.
いま、$A\cap U=\emptyset$ であると仮定します.
$\text{Cl}(A)$ は $A$ を含む最小の閉集合であることから、
$\text{Cl}(A)\subset U^c$ となります.よって、$\text{Cl}(A)\cap U=\emptyset$ となります.
$A\cap V=\emptyset$ であると仮定しても、同じ議論により、$\text{Cl}(A)\cap V=\emptyset$ よって、$\text{Cl}(A)$ も連結となります.$\Box$
$C(x)$ を $x$ を含む連結成分とします.$x$ の連結成分とは、$x$ を含む連結な集合の中で最大の部分集合として定義します.つまり、
$$C(x)=\cup\{A|\text{$A$ は $x$を含む連結部分集合}\}$$
です.$C(x)$ は連結であり、上で証明したことから、$\text{Cl}(C(x))$ も連結です.
しかし、$C(x)$ は $x$ を含む最大の連結集合なので、$\text{Cl}(C(x))\subset C(x)$ となります.一般に、$C(x)\subset \text{Cl}(C(x))$ なので、$C(x)=\text{Cl}(C(x))$ なので、$C(x)$ は閉集合となります.
よって、わかったことは、
定理2
任意の連結成分は閉集合.
しかし、一般に連結成分は開集合であるとは限りません.
例えば、${\mathbb Q}$ は通常の距離空間において、任意の有理数の連結成分は、一点のみからなりますが、この位相では、${\mathbb Q}$ は離散位相ではありません(任意の点の近傍は可算無限個の有理数を含む)ので連結成分は開集合ではありません.
弧状連結(path-connected)
位相空間 $X$ が弧状連結とは、任意の $a,b\in X$ に対して、ある連続写像 $[0,1]=I\to X$ が存在して、$f(0)=a$ かつ $f(1)=b$ となる.
すぐ分かることは、弧状連結であれば、連結であるということです.
位相空間 $X$ が弧状連結であり、連結でないとすると、
互いの素でない、空ではない開集合 $U,V$ によって、$X=U\cup V$ と書けます.
このとき、$a\in U$ かつ、$b\in V$ に対して、ある連続関数 $f:[0,1]\to X$ が存在して、
$f(0)=a$ かつ $f(1)=b$ となります.このとき、$[0,1]=f^{-1}(U)\cup f^{-1}(V)$ となり、
$f^{-1}(U)$, $f^{-1}(V)$ はどちらも開集合であり、空でないので、$[0,1]$ の連結性に矛盾します.よって、$X$ は連結となります.
弧状連結成分(path-connected component)
$C_p(x)=\{y\in X|f:[0,1]\to X (\text{連続}),f(0)=x,f(1)=y\}$ とおくと、$C_p(x)$ は弧状連結成分といいます.つまり、$x$ と道(path)で結ぶことができる最大の集合のことです.
連結成分は閉集合でしたが、弧状連結成分は閉集合とは限りません.
例えば、
$$S=\left\{\left(x,\sin\frac{1}{x}\right)\in {\mathbb R}^2|0<x\le 2\pi\right\}$$
の ${\mathbb R}^2$ での閉包は、
$$C=\left\{\left(x,\sin\frac{1}{x}\right)\in {\mathbb R}^2|0<x\le 2\pi\right\}\cup \{(0,y)\in {\mathbb R}^2|-1\le y\le 1\}$$
ですが、$S$ は連結ですが、弧状連結ではありません.
$S$ の中の弧状連結成分は、
$$S=\left\{\left(x,\sin\frac{1}{x}\right)\in {\mathbb R}^2|0<x\le 1\right\}$$
$$L=\{(0,y)\in {\mathbb R}^2|-1\le y\le 1\}$$
にわけられます.閉包をとったことから分かるように、$C$ は $S$ の中で、閉集合では
ありません.
$C$ のことを、トポロジストのサイン曲線といいます.
$C$ は連結だが、弧状連結ではない例として知られていますが、
連結だが、局所連結ではない例としても知られています.
局所連結(locally connected)
位相空間が局所連結であるとは、任意の $x\in X$ に対して、任意の近傍 $x\in U$ に対して、ある連結な近傍 $V$ が存在して、$x\in V\subset U$ となることである.
$x\in L$ において、$x$ の任意の近傍を取っても、その中に、連結な近傍を取ることはできません.
なので、連結でも、局所連結とは限りません.
もちろん、局所連結でも連結ではありません.最も簡単な例は
2点集合上の離散位相です.
定理3
$X$ が連結であるための必要十分条件は、任意の $x,y\in X$ に対して、ある連結部分集合 $U$ があって、$x,y\in U$ となることである.
(証明)
もし、$X$ が連結であるとすると、任意の $x,y$ に対して、$U=X$ とすることで条件が成り立ちます.逆に、$X$ が連結でないとすると、$A\cap B=\emptyset$ となる空でない開集合 $A,B$ が存在して、$X=A\cup B$ となります.$a\in A$ かつ $b\in B$ とします.
$U$ を $a,b$ を含む任意の部分集合とします.$U\subset A\cup B$ であり、$U\cap A\neq \emptyset$ であり、$U\cap B\neq \emptyset$ が成り立ちます.よって、$U$ は連結ではないことになります.よって、ある $a,b\in X$ が存在して、$a,b\in U$ となる連結部分集合 $U$ が存在しないことになります.よって、定理3が成り立ちます.$\Box$
この定理を用いると次が証明できます.
定理4
弧状連結な有限位相空間は連結.
(証明)
$X$ を有限点集合とします.任意の $x\in X$ に対して、$U(x)$ を $x$ を含む最小の開集合が存在します.このとき、最小性から $U(x)$ は $X$ の連結部分集合であることが証明できます.
任意の $a,b\in X$ が弧で結べるとします.
このとき、$f([0,1])=\{a,c_1,\cdots, c_n,b\}$ とすると、連結集合の連続像なので
$\{a,c_1,\cdots, c_n,b\}$ も連結.
ここで、$U(a)\cup U(c_1)\cup \cdots\cup U(c_n)\cup U(b)$ が連結であることを示します.
連結でないとすると、ある $x, y\in \{a,c_1,\cdots,c_n,b\}$ で、$x\in U$ かつ $y\in V$
となる互いに素な開集合で、$U\cup V=U(a)\cup U(c_1)\cup \cdots\cup U(c_n)\cup U(b)$
と分けられます.$x,y$ を両方含む $\{a,c_1,\cdots,c_n,b\}$ の任意の部分集合 $W$ は、
空でない互いに素な $W$ 上の相対位相としての開集合の和として、
$W=(W\cap U)\cup (W\cap V)$ とかけるので、$x,y$ を含む $f([0,1])$
の連結部分集合を見つけることができない.よって、定理3から $f([0,1])$ が非連結
であることになり矛盾します.
よって、$U(a)\cup U(c_1)\cup \cdots\cup U(c_n)\cup U(b)$ は $a,b$ を含む連結集合となります.
よって、定理3から、$X$ は連結. $\Box$
また、証明の中の $\{U(a)|a\in X\}$ は有限点空間 $X$ 上の開基を成し、
$\{U(a)\}$ は、$a$ での唯一つからなる近傍基となります.
定理4からすぐ分かる次の系を挙げておきます.
定理4からすぐ分かる次の系を挙げておきます.
系5
$X$ が連結であり、弧状連結でないとすると、$X$ の濃度は少なくとも無限である.
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