[場所1E102(水曜日4限)]
配付プリント
HPに行く
今回も重積分を行いました.
いつも、重積分は何回かやっても素通りしてしまったり、応用ばかりやってしまうので
今回は基本に立ち返ってもう一度やり直しました.
前回のプリントの採点をしていて
$T$ を原点 $(\pi,\pi),(\pi,-\pi)$ を頂点とする三角形に対して、
$$\int\int_Tx^2\sin(y-x)dxdy=2\int_0^{\pi}\left(\int_{y}^{\pi}x^2\sin(y-x)dx\right)dy$$
となるような解答が多数ありました.
図形 $T$ は $x$ 軸により線対称なので、重積分も2倍だと思ったのでしょうか?
領域 $D$ が平面上の対称軸に対して対称であり、関数がその軸に対して
対称な場合、その積分値は片側の積分の2倍になる.
例えば、下の三角形 $D$ は $x$ 軸に関して対称です.
この三角形の上側の三角を $D_1$ とし、下側の三角を $D_2$ とします.
さらに、 $x$ 軸に関して関数が対称であるとします.
関数が $x$ 軸に関して対称であるとは、$f(x,-y)=f(x,y)$ つまり、
つまり、線によって対称な点同士で、同じ値をとる関数ということです.
このとき、
$$\int\int_Tf(x,y)dxdy=2\int\int_{D_1}f(x,y)dxdy=2\int\int_{D_2}f(x,y)dxdy$$
となります.つまり、$\int\int_{D_1}f(x,y)dxdy=\int\int_{D_2}f(x,y)dxdy$
であるということです.
具体的に上のような対称な関数として、$f(x,y)=y^2$ を使って計算をしてみます.
$$\int\int_{D_1}y^2dxdy=\int_0^{\pi}\left(\int_{y}^{\pi}y^2dx\right)dy=\int_0^{\pi}\left[y^2x\right]_y^{\pi}dy=\int_0^{\pi}y^2(\pi-y)dy$$
問題9-2
(1) は普通に極座標で計算をすればよいですが、
(2) は変数変換をした方が良いですね.$u=x+y$ や $v=x-y$ などと置くのが定番ですが.
このようにすると、領域がどのように変化するか考えましょう.
まずは、どのような図形に移るか、図形を描いてみるところから始めてください.
問題9-1(2) のように、図形をまず、描く問題を最初に持ってこればよかったかもしれません.図がかけたら、ヤコビアンを計算します.計算するのは、$\frac{\partial(x,y)}{\partial(u,v)}$ であって、$\frac{\partial (u,v)}{\partial (x,y)}$ でないようにしましょう.
また、行列式がうまく計算できるかどうかわかりませんが、
スカラー倍( $s$ 倍)の行列 $sA$ の行列式は、 $s^n\det(A)$ であることに気をつけて下さい.
ここで、$n$ は $A$ の行列のサイズです.
$2\times 2$ のサイズの行列の場合、 $\det(s\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix})=s^2\det\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}$
となります.
配付プリント
HPに行く
今回も重積分を行いました.
いつも、重積分は何回かやっても素通りしてしまったり、応用ばかりやってしまうので
今回は基本に立ち返ってもう一度やり直しました.
前回のプリントの採点をしていて
$T$ を原点 $(\pi,\pi),(\pi,-\pi)$ を頂点とする三角形に対して、
$$\int\int_Tx^2\sin(y-x)dxdy=2\int_0^{\pi}\left(\int_{y}^{\pi}x^2\sin(y-x)dx\right)dy$$
となるような解答が多数ありました.
図形 $T$ は $x$ 軸により線対称なので、重積分も2倍だと思ったのでしょうか?
領域 $D$ が平面上の対称軸に対して対称であり、関数がその軸に対して
対称な場合、その積分値は片側の積分の2倍になる.
例えば、下の三角形 $D$ は $x$ 軸に関して対称です.
この三角形の上側の三角を $D_1$ とし、下側の三角を $D_2$ とします.
さらに、 $x$ 軸に関して関数が対称であるとします.
関数が $x$ 軸に関して対称であるとは、$f(x,-y)=f(x,y)$ つまり、
つまり、線によって対称な点同士で、同じ値をとる関数ということです.
このとき、
$$\int\int_Tf(x,y)dxdy=2\int\int_{D_1}f(x,y)dxdy=2\int\int_{D_2}f(x,y)dxdy$$
となります.つまり、$\int\int_{D_1}f(x,y)dxdy=\int\int_{D_2}f(x,y)dxdy$
であるということです.
具体的に上のような対称な関数として、$f(x,y)=y^2$ を使って計算をしてみます.
$$\int\int_{D_1}y^2dxdy=\int_0^{\pi}\left(\int_{y}^{\pi}y^2dx\right)dy=\int_0^{\pi}\left[y^2x\right]_y^{\pi}dy=\int_0^{\pi}y^2(\pi-y)dy$$
$$=\left[\frac{\pi}{3}y^3-\frac{y^4}{4}\right]_0^{\pi}=\frac{\pi^4}{3}-\frac{\pi^4}{4}=\frac{\pi^4}{12}$$
であり、下側の三角形の積分は
$$\int\int_{D_2}y^2dxdy=\int_{-\pi}^{0}\left(\int_{-y}^{\pi}y^2dx\right)dy=\int_{-\pi}^0\left[y^2x\right]_y^{\pi}dy=\int_{-\pi}^0y^2(\pi+y)dy$$
$$=\left[\frac{\pi y^3}{3}+\frac{y^4}{4}\right]_{-\pi}^0=\frac{\pi^4}{3}-\frac{\pi^4}{4}=\frac{\pi^4}{12}$$
となります.よって値は等しくなります.
図形も、関数もこのように対称ではなければ、このようなことは普通起こりません.
今計算した例は、図形と関数が両方対称だったので等しくなりました.
問題9-1
また、$[1,2]\times [x,-x]$ が表すものは長方形か、台形か?という変な問題を
作りました.何が言いたいのか?と思うかもしれませんが、
実際、$[1,2]\times [-x,x]$ のような記号を使っている人がいました.
$[1,2]$ から好きな実数と、$[-x,x]$ から好きな実数を選んでペアにするわけだから、
$[1,2]\times [-x,x]$ は、長方形ではないでしょうか?
つまり、$\{(a,b)|-1\le a\le 1,-x\le b\le x\}$ です.
$x$ は $[1,2]$ の $x$ 座標を表すなんてどこにも書いてありません.
なので、 $x$ は定数です.
たとえば、$x$ が第一座標を表して、台形みたいにしたいのなら、
$\{(x,y)\in {\mathbb R}^2|1\le x\le 2,-x\le y\le x\}$ と書かないといけません.
このようにすると、平面上の台形を表します.
しかし、$[1,2]\times [-x,x]$ はどう頑張っても台形には見えません。
長方形にしかみえません。
であり、下側の三角形の積分は
$$\int\int_{D_2}y^2dxdy=\int_{-\pi}^{0}\left(\int_{-y}^{\pi}y^2dx\right)dy=\int_{-\pi}^0\left[y^2x\right]_y^{\pi}dy=\int_{-\pi}^0y^2(\pi+y)dy$$
$$=\left[\frac{\pi y^3}{3}+\frac{y^4}{4}\right]_{-\pi}^0=\frac{\pi^4}{3}-\frac{\pi^4}{4}=\frac{\pi^4}{12}$$
となります.よって値は等しくなります.
図形も、関数もこのように対称ではなければ、このようなことは普通起こりません.
今計算した例は、図形と関数が両方対称だったので等しくなりました.
問題9-1
また、$[1,2]\times [x,-x]$ が表すものは長方形か、台形か?という変な問題を
作りました.何が言いたいのか?と思うかもしれませんが、
実際、$[1,2]\times [-x,x]$ のような記号を使っている人がいました.
$[1,2]$ から好きな実数と、$[-x,x]$ から好きな実数を選んでペアにするわけだから、
$[1,2]\times [-x,x]$ は、長方形ではないでしょうか?
つまり、$\{(a,b)|-1\le a\le 1,-x\le b\le x\}$ です.
$x$ は $[1,2]$ の $x$ 座標を表すなんてどこにも書いてありません.
なので、 $x$ は定数です.
たとえば、$x$ が第一座標を表して、台形みたいにしたいのなら、
$\{(x,y)\in {\mathbb R}^2|1\le x\le 2,-x\le y\le x\}$ と書かないといけません.
このようにすると、平面上の台形を表します.
しかし、$[1,2]\times [-x,x]$ はどう頑張っても台形には見えません。
長方形にしかみえません。
問題9-2
(1) は普通に極座標で計算をすればよいですが、
(2) は変数変換をした方が良いですね.$u=x+y$ や $v=x-y$ などと置くのが定番ですが.
このようにすると、領域がどのように変化するか考えましょう.
まずは、どのような図形に移るか、図形を描いてみるところから始めてください.
問題9-1(2) のように、図形をまず、描く問題を最初に持ってこればよかったかもしれません.図がかけたら、ヤコビアンを計算します.計算するのは、$\frac{\partial(x,y)}{\partial(u,v)}$ であって、$\frac{\partial (u,v)}{\partial (x,y)}$ でないようにしましょう.
また、行列式がうまく計算できるかどうかわかりませんが、
スカラー倍( $s$ 倍)の行列 $sA$ の行列式は、 $s^n\det(A)$ であることに気をつけて下さい.
ここで、$n$ は $A$ の行列のサイズです.
$2\times 2$ のサイズの行列の場合、 $\det(s\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix})=s^2\det\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}$
となります.
0 件のコメント:
コメントを投稿