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2017年1月6日金曜日

微積分II演習(化学類)(第9回)

[場所1E102(水曜日4限)]

配付プリント
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今回も重積分を行いました.
いつも、重積分は何回かやっても素通りしてしまったり、応用ばかりやってしまうので
今回は基本に立ち返ってもう一度やり直しました.

前回のプリントの採点をしていて
T を原点 (\pi,\pi),(\pi,-\pi) を頂点とする三角形に対して、
\int\int_Tx^2\sin(y-x)dxdy=2\int_0^{\pi}\left(\int_{y}^{\pi}x^2\sin(y-x)dx\right)dy
となるような解答が多数ありました.

図形 Tx 軸により線対称なので、重積分も2倍だと思ったのでしょうか?


領域 D が平面上の対称軸に対して対称であり、関数がその軸に対して
対称な場合、その積分値は片側の積分の2倍になる.

例えば、下の三角形 Dx 軸に関して対称です.
この三角形の上側の三角を D_1 とし、下側の三角を D_2 とします.


さらに、 x 軸に関して関数が対称であるとします.
関数が x 軸に関して対称であるとは、f(x,-y)=f(x,y) つまり、
つまり、線によって対称な点同士で、同じ値をとる関数ということです.
このとき、
\int\int_Tf(x,y)dxdy=2\int\int_{D_1}f(x,y)dxdy=2\int\int_{D_2}f(x,y)dxdy

となります.つまり、\int\int_{D_1}f(x,y)dxdy=\int\int_{D_2}f(x,y)dxdy
であるということです.
具体的に上のような対称な関数として、f(x,y)=y^2 を使って計算をしてみます.

\int\int_{D_1}y^2dxdy=\int_0^{\pi}\left(\int_{y}^{\pi}y^2dx\right)dy=\int_0^{\pi}\left[y^2x\right]_y^{\pi}dy=\int_0^{\pi}y^2(\pi-y)dy
=\left[\frac{\pi}{3}y^3-\frac{y^4}{4}\right]_0^{\pi}=\frac{\pi^4}{3}-\frac{\pi^4}{4}=\frac{\pi^4}{12}
であり、下側の三角形の積分は
\int\int_{D_2}y^2dxdy=\int_{-\pi}^{0}\left(\int_{-y}^{\pi}y^2dx\right)dy=\int_{-\pi}^0\left[y^2x\right]_y^{\pi}dy=\int_{-\pi}^0y^2(\pi+y)dy
=\left[\frac{\pi y^3}{3}+\frac{y^4}{4}\right]_{-\pi}^0=\frac{\pi^4}{3}-\frac{\pi^4}{4}=\frac{\pi^4}{12}
となります.よって値は等しくなります.

図形も、関数もこのように対称ではなければ、このようなことは普通起こりません.
今計算した例は、図形と関数が両方対称だったので等しくなりました.

問題9-1
また、[1,2]\times [x,-x] が表すものは長方形か、台形か?という変な問題を
作りました.何が言いたいのか?と思うかもしれませんが、
実際、[1,2]\times [-x,x] のような記号を使っている人がいました.

[1,2] から好きな実数と、[-x,x] から好きな実数を選んでペアにするわけだから、
[1,2]\times [-x,x] は、長方形ではないでしょうか?

つまり、\{(a,b)|-1\le a\le 1,-x\le b\le x\} です.
x[1,2]x 座標を表すなんてどこにも書いてありません.

なので、 x は定数です.

たとえば、x が第一座標を表して、台形みたいにしたいのなら、
\{(x,y)\in {\mathbb R}^2|1\le x\le 2,-x\le y\le x\} と書かないといけません.

このようにすると、平面上の台形を表します.

しかし、[1,2]\times [-x,x] はどう頑張っても台形には見えません。
長方形にしかみえません。

問題9-2
(1) は普通に極座標で計算をすればよいですが、
(2) は変数変換をした方が良いですね.u=x+yv=x-y などと置くのが定番ですが.
このようにすると、領域がどのように変化するか考えましょう.

まずは、どのような図形に移るか、図形を描いてみるところから始めてください.
問題9-1(2) のように、図形をまず、描く問題を最初に持ってこればよかったかもしれません.図がかけたら、ヤコビアンを計算します.計算するのは、\frac{\partial(x,y)}{\partial(u,v)} であって、\frac{\partial (u,v)}{\partial (x,y)} でないようにしましょう.

また、行列式がうまく計算できるかどうかわかりませんが、
スカラー倍( s 倍)の行列 sA の行列式は、  s^n\det(A) であることに気をつけて下さい.

ここで、nA の行列のサイズです.

2\times 2 のサイズの行列の場合、 \det(s\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix})=s^2\det\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}
となります.

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