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2016年12月12日月曜日

トポロジー入門演習(第7回)

[場所1E103(月曜日4限)]

HPに行く.

先日手習い塾にいきましたら、
問題3-21を解いている人が多かったので、ここでもう一度やっておきます。

ここに、簡単な問題の解答を載せていくので、発表ゼロの人はまずはこちらから解き始めて(発表し始めて)ください.
今回は、(3,4,5),(6,7) の問題を一つずつ紹介しました.

問題3-21
X を距離空間とする.A の内点 x を、x を中心とした A に含まれる \epsilon-球が存在することと定義し、 A の内部 A^\circA の内点全体とする.また、 A の触点(任意の \epsilon>0 に対して U_\epsilon(x)\cap A\neq \emptyset となる点全体)を \bar{A}A の閉包という.このとき、以下のそれぞれに答えよ.
(1)  A^\circ は、A に含まれる最大の開集合であることを示せ.
(2) \bar{A}A を含む最小の閉集合であることを示せ.

つまり、A^\circ=\{x\in X|\text{ ある }\epsilon>0\text{ に対して }U_{\epsilon}(x)\subset A\}
となる集合とすると、(1) は、A^\circA に含まれる開集合であり、それが、A に含まれるものの中で、最小であるということを示せということです.


(1) についてやると、まず、A^\circA の部分集合であることは、x\in A^\circ に対して、x\in U(x,\epsilon)\subset A となることから明らかです.次に A^\circ が開集合であることを示します.A^\circ が開集合であることは、A^\circ の任意の点 x に対して U(x,\epsilon)\subset A^\circ を満たすような \epsilon>0 が存在することです.

条件から、U(x,\epsilon)\subset A となる \epsilon>0 は存在するのだから、
あとは、そのような U(x,\epsilon)\subset A^\circ となることを示せばよいことになります.

しかし、U(x,\epsilon) が開集合であることを使えば、
任意の y\in U(x,\epsilon) に対して、ある \delta が存在して、U(y,\delta)\subset U(x,\epsilon) となります.U(x,\epsilon)\subset A であることと A^\circ の定義から
y\in A^\circ であることがわかります.

ゆえに、U(x,\epsilon)\subset A^\circ となることがわかりました.
つまり、A^\circ は開集合であることがわかりました.

よって、A^\circ は開集合であり、A に含まれるすべての開集合が含まれている
ということもわかったと思います.

要するに、\cup\{S|A\text{ に含まれる開集合}\}\subset A^\circ
であることもわかります.A^\circA の開集合であることから、
A^\circ\subset \cup\{S|S\text{ は }A\text{に含まれる開集合}\}\subset A^\circ
となります.

ゆえに、A^\circ = \cup\{S|S\text{ は }A\text{に含まれる開集合}\} となります.
つまり、A^\circA に含まれる開集合で、A に含まれる開集合をすべて含んでいるので、A^\circ は、A に含まれる最大の開集合ということになります.

最大であることを実際証明することもできます.

x\in A-A^\circ が、あるA に含まれる開集合 B の点であるとすると、
ある \epsilon>0 が存在して、U(x,\epsilon)\subset B\subset A となります.
A^\circ の定義から、x\in A^\circ であることから条件に反します.

同じようにして、(2) についても証明することができます.


次に、6,7の問題でも手習い塾でやっていた問題は、

問題6-1-1の
{\mathbb R} の部分集合の族を \mathcal{O}=\{(a,\infty)|a\in {\mathbb R}\cup\{-\infty\}\}\cup\{\emptyset\}
とすると位相空間であることを示せ.

という問題でした.(最初配ったプリントにはミスプリがありましたので直しました.最後の部分は \cap ではなく、\cup が正しいです.)

X が位相空間であることを示すには、X の部分集合族 \mathcal{O} が以下の性質を満たすことを示せば良いことになります.
[1] \emptyset \in \mathcal{O} かつ X\in\mathcal{O}
[2] 有限個の U_1,\cdots,U_n\in \mathcal{O} に対して、U_1\cap U_2\cdots\cap U_n\in\mathcal{O} となる.
[3] 任意個の U_\lambda\in\mathcal{O} に対して、\cup_{\lambda\in\Lambda}U_\lambda\in \mathcal{O} となる.

上の6-1-1についてやって見ると、
[1] については \emptyset\in \mathcal{O},(-\infty,\infty)=X\in \mathcal{O} であるから成り立つ.
[2] について、(a_1,\infty),\cdots,(a_n,\infty)\in\mathcal{O} とし、\cap_{i=1}^n(a_i,\infty) を考える.a_1\cdots,a_n の中で -\infty が一つでもあれば、 のぞいて考えても構わない.(もし、そのような物しかなければ、この共通集合は (-\infty,\infty) となりこのときも[2] は成り立っている.)
任意の i に対して、-\infty<a_i<\infty として構わない.このとき、\cap_{i=1}^n(a_i,\infty)(\max\{a_i\},\infty) となるので、\cap_{i=1}^n(a_i,\infty)\in\mathcal{O} となる.
[3] \cup_{\lambda\in\Lambda}(a_\lambda,\infty) を考える.この中で、一つでも、(-\infty,\infty) があるとすると、この和集合は (-\infty,\infty) になる.なので任意の \lambda\in\Lambda に対して a_\lambda\neq -\infty と仮定してよい.
このとき、\cup_{\lambda\in\Lambda}(a_\lambda,\infty)=(\inf\{\lambda|\lambda\in\Lambda\},\infty) となる.
実際、a\in \cup_{\lambda\in\Lambda}(a_\lambda,\infty) とすると、ある\lambda\in \Lambda に対して、a_\lambda<a が成り立つので、\inf\{a_\lambda|\lambda\in \Lambda\}<a が成り立つ.
よって、\cup_{\lambda\in\Lambda}(a_\lambda,\infty)\subset (\inf\{\lambda|\lambda\in\Lambda\},\infty)
逆に、a\in (\inf\{\lambda|\lambda\in\Lambda\},\infty) とすると、\inf\{\lambda|\lambda\in\Lambda\}<a となり、a\{\lambda|\lambda\in\Lambda\} の下界ではないので、ある \lambda\in\Lambda に対して、a_\lambda<a となる.よって、
a\in \cup_{\lambda\in\Lambda}(a_\lambda,\infty) がいえる.
よって、\cup_{\lambda\in\Lambda}(a_\lambda,\infty)=(\inf\{\lambda|\lambda\in\Lambda\},\infty) がなりたつ.
つまり、\cup_{\lambda\in\Lambda}(a_\lambda,\infty)\in \mathcal{O} が成り立ったので、[3]が成り立つことがわかる.



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