[場所1E102(水曜日4限)]
配付プリント
HPに行く
今回はラグランジュの未定乗数法をやりました.
多項式など簡単な場合です.
前提となるのは、{\mathbb R}^2 上の有界閉集合上の連続関数は
最大値と最小値を持つということです.({\mathbb R}^2 だけではなく一般に {\mathbb R}^n で成り立ちますが、あまり一般的な空間はここでは扱いません.)
本当は最初に有界閉集合であることをチェックする必要があります.
閉集合であることは、以前やった様な示し方もありますが、ここでは、多項式(一般に連続関数)の零点集合などは、閉集合になります.
また、有界であるかどうかは、g(x,y)=0 なる多項式の場合、
x^ny^mg(1/x,1/y)=0 なる式、(ここで、n,mがx,yのそれぞれ最高次の係数とする)が
(x,y)=(0,0) なる点がなければ、有界ですが、ここではあまりそれらにはこだわりません.
例
x^2+y^2-1=0 となる条件の元、xy などの関数の最大値を求めよ.
のような問題を解きます.例えば、x=\cos\theta, y=\sin\thetaとしておけば、
xy=\cos\theta\sin\theta=\frac{1}{2}\sin2\theta となるので、
最大値は 1/2で、
\theta=\frac{\pi}{4},\frac{5\pi}{4} のとき、
最小値は、-1/2 で、
\theta=\frac{3\pi}{4},\frac{7\pi}{4} のとき、
となり、簡単に求まりますが、このように極座標表示がすぐ求められるわけではありません.そのような場合も含めて、関数のまま、行います.
最大、最小の求め方
f=xy とし、g=x^2+y^2-1 としておきます.
このとき、H=f-\lambda g=xy-\lambda(x^2+y^2-1) とします.
このとき、f の g=0 での臨界点(微分がゼロになる点)は、
H の (x,y,\lambda) での3変数関数としての臨界点である.
これが、手法の核となる部分です.
本当は最大最小を求めたいのに、微分が消えているだけの臨界点を求めるのは手法として弱いと思うかもしれませんが、最大、最小は臨界点であることを考慮し、最大と最小があらかじめ存在が確定している場合は、臨界点を求めるだけで意味があります.
臨界点の方程式を作って見ると、
\begin{cases}H_x=y-2\lambda x\\H_y=x-2\lambda y\\H_\lambda=-x^2-y^2+1\end{cases}
となります.この方程式を解きますが、授業で示したように、最初の2つは、x,y についての線形な方程式であり、3番目の方程式から、(x,y)\neq (0,0) が満たされるので、
この線形方程式の行列式 (-2\lambda)(-2\lambda)-1=0 でなければなりません.
よって、\lambda=\frac{1}{2}, -\frac{1}{2} となります.
このとき、もう一度式に戻して、(x,y) を求めると、
\lambda=\frac{1}{2} の場合、(x,y)=(\pm\frac{1}{\sqrt{2}},\pm\frac{1}{\sqrt{2}}) (複合同順)
\lambda=-\frac{1}{2} の場合、(x,y)=(\pm\frac{1}{\sqrt{2}},\mp\frac{1}{\sqrt{2}}) (複合同順)
となり、それらは、最大、最小に対応することになります.
\lambda の値が3つ現れた時は、そのうちの最大のものが最大値であり、最小のものが最小値に対応します.真ん中の値がある場合は、その点は、極大、極小( y=x^3 の原点の様に停留点かもしれません)かもしれませんが、それがすぐにどちらかはわかりません.
g(x,y)=0 を一度、陰関数の定理で、陰関数に直してから議論する必要があります.
円盤上の最大、最小
円盤(有界で閉集合)の内部上での最大最小を求める問題も発展問題としてやりました.
ここでは、例を挙げてはしませんが、まとめておきます.
円盤を D=\{(x,y)|x^2+y^2\le 1\} (ディスクの D )としておくと、
A=\{(x,y)|x^2+y^2< 1\} とし、
B=\{(x,y)|x^2+y^2= 1\} とします.
このとき、A\cup B=D の最大値最小値は、A,B のそれぞれの最大値、最小値のうち大きい方(同じ場合はその値)となります.
ただ、A の方は、有界閉集合ではありません(有界だが、開集合)ので、最大、最小が存在しないかもしれません.実際授業中でやった通り、f(x,y)=xy は内部 A で最大値、最小値を持ちませんでした.
なので、A の方の最大値、最小値を考慮する必要があるかどうかは、もちろん、最大値、最小値が存在するときに限ります.
B の方は必ず、最小値最大値がありますので、全体 D としては必ず、最大値最小値は存在します.
参考のため、以下のページも挙げておきます。
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今回はラグランジュの未定乗数法をやりました.
多項式など簡単な場合です.
前提となるのは、{\mathbb R}^2 上の有界閉集合上の連続関数は
最大値と最小値を持つということです.({\mathbb R}^2 だけではなく一般に {\mathbb R}^n で成り立ちますが、あまり一般的な空間はここでは扱いません.)
本当は最初に有界閉集合であることをチェックする必要があります.
閉集合であることは、以前やった様な示し方もありますが、ここでは、多項式(一般に連続関数)の零点集合などは、閉集合になります.
また、有界であるかどうかは、g(x,y)=0 なる多項式の場合、
x^ny^mg(1/x,1/y)=0 なる式、(ここで、n,mがx,yのそれぞれ最高次の係数とする)が
(x,y)=(0,0) なる点がなければ、有界ですが、ここではあまりそれらにはこだわりません.
例
x^2+y^2-1=0 となる条件の元、xy などの関数の最大値を求めよ.
のような問題を解きます.例えば、x=\cos\theta, y=\sin\thetaとしておけば、
xy=\cos\theta\sin\theta=\frac{1}{2}\sin2\theta となるので、
最大値は 1/2で、
\theta=\frac{\pi}{4},\frac{5\pi}{4} のとき、
最小値は、-1/2 で、
\theta=\frac{3\pi}{4},\frac{7\pi}{4} のとき、
となり、簡単に求まりますが、このように極座標表示がすぐ求められるわけではありません.そのような場合も含めて、関数のまま、行います.
最大、最小の求め方
f=xy とし、g=x^2+y^2-1 としておきます.
このとき、H=f-\lambda g=xy-\lambda(x^2+y^2-1) とします.
このとき、f の g=0 での臨界点(微分がゼロになる点)は、
H の (x,y,\lambda) での3変数関数としての臨界点である.
これが、手法の核となる部分です.
本当は最大最小を求めたいのに、微分が消えているだけの臨界点を求めるのは手法として弱いと思うかもしれませんが、最大、最小は臨界点であることを考慮し、最大と最小があらかじめ存在が確定している場合は、臨界点を求めるだけで意味があります.
臨界点の方程式を作って見ると、
\begin{cases}H_x=y-2\lambda x\\H_y=x-2\lambda y\\H_\lambda=-x^2-y^2+1\end{cases}
となります.この方程式を解きますが、授業で示したように、最初の2つは、x,y についての線形な方程式であり、3番目の方程式から、(x,y)\neq (0,0) が満たされるので、
この線形方程式の行列式 (-2\lambda)(-2\lambda)-1=0 でなければなりません.
よって、\lambda=\frac{1}{2}, -\frac{1}{2} となります.
このとき、もう一度式に戻して、(x,y) を求めると、
\lambda=\frac{1}{2} の場合、(x,y)=(\pm\frac{1}{\sqrt{2}},\pm\frac{1}{\sqrt{2}}) (複合同順)
\lambda=-\frac{1}{2} の場合、(x,y)=(\pm\frac{1}{\sqrt{2}},\mp\frac{1}{\sqrt{2}}) (複合同順)
となり、それらは、最大、最小に対応することになります.
\lambda の値が3つ現れた時は、そのうちの最大のものが最大値であり、最小のものが最小値に対応します.真ん中の値がある場合は、その点は、極大、極小( y=x^3 の原点の様に停留点かもしれません)かもしれませんが、それがすぐにどちらかはわかりません.
g(x,y)=0 を一度、陰関数の定理で、陰関数に直してから議論する必要があります.
円盤上の最大、最小
円盤(有界で閉集合)の内部上での最大最小を求める問題も発展問題としてやりました.
ここでは、例を挙げてはしませんが、まとめておきます.
円盤を D=\{(x,y)|x^2+y^2\le 1\} (ディスクの D )としておくと、
A=\{(x,y)|x^2+y^2< 1\} とし、
B=\{(x,y)|x^2+y^2= 1\} とします.
このとき、A\cup B=D の最大値最小値は、A,B のそれぞれの最大値、最小値のうち大きい方(同じ場合はその値)となります.
ただ、A の方は、有界閉集合ではありません(有界だが、開集合)ので、最大、最小が存在しないかもしれません.実際授業中でやった通り、f(x,y)=xy は内部 A で最大値、最小値を持ちませんでした.
なので、A の方の最大値、最小値を考慮する必要があるかどうかは、もちろん、最大値、最小値が存在するときに限ります.
B の方は必ず、最小値最大値がありますので、全体 D としては必ず、最大値最小値は存在します.
参考のため、以下のページも挙げておきます。
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