2016年11月10日木曜日

トポロジー入門演習(第4回)

[場所1E103(月曜日4限)]

HPに行く.

今回は、以下の問題についてやった人がいました.

収束点列

位相空間 $X$ の中の点列 $\{x_n\}$ が収束点列とは、$x\in X$ が存在して、
任意の $x$ の開近傍 $U$ に対して、$\{x_n\}$ の中の有限個を除いて、$x_n\in U$ となる
ことを言います.

別な言い方をすれば、任意の開近傍 $U$ に対して、ある自然数 $N$ が存在して、 $n\ge N$ なる任意の $n$ に対して $x_n\in U$ となる、となります.

距離空間の場合には、任意の開近傍の代わりに、$x$ を含む任意の開球 $U(x,\epsilon)$ に変えて成り立つもので十分です.

また、$\{x_n\}$ がコーシー列であるとは、それが、距離区間の点列であり、
任意の $\epsilon>0$ に対してある自然数 $N$ が存在して、$N\le n,m$ なる任意の自然数 $n,m$ に対して、$d(x_n,x_m)\le \epsilon$ となることをいいます.

距離空間において、コーシー列と収束点列の違いは、
収束点列は収束先が存在する(一意性は問わない)が、コーシー列は、収束先が存在しなくてもよいという点です.
例えば、正の実数からなる空間 $X={\mathbb R}_{>0}$ に通常の距離位相を入れておけば、
$\{1/n\}$ はコーシー列ですが、収束先が $X$ に存在しないので、収束点列では
ありません.

今回示してくれたように、距離空間の部分集合 $F$ に対して、$F$ が閉集合であることと、$F$ の中のコーシー点列が $F$ 内に収束点を持つことは同値です.

また、上の収束点列の定義を用いれば、
$f:X\to Y$ が位相空間の間の連続写像とすると、
$\{x_n\}$ が収束点列であるなら、$\{f(x_n)\}$ が $Y$ で収束点列となります.

つまり、連続であるなら、収束点列を収束点列に移すといえます.
もちろん、距離空間の間の連続写像であれば、コーシー列はコーシー列に移ります.


商写像

商写像について解いている人がいました

まずは定義から
写像 $f:(X,\mathcal{O}_X)\to (Y,\mathcal{O}_Y)$ が商写像であるというのは、$f$ が全射であり、
$f^{-1}(U)\in \mathcal{O}_X\Leftrightarrow U\in \mathcal{O}_Y$
を満たすものを言います.

右から左へ向かう性質は、$f$ が連続であることと同値です.
なので、商写像は全射連続写像が、左から右へ向かう性質をもつものともいえます.

その時の $Y$ 上の位相
$f:X\to Y$ が商写像であるとき、$Y$ に入る位相のことを $f$ による商位相といいます.
言い換えれば、位相空間 $X$ から、ある集合 $Y$ 上に全射 $f:X\to Y$ があるとき、 上の商写像の定義を満たすように $Y$ 上に一意的に位相を定めることができ、それを $Y$ の商位相だということができます.$Y$ 上の位相が $X$ から一意的に誘導されるので誘導位相ということもあります.

極大性としての商位相
普通、$f:X\to Y$ は $Y$ に開集合が少なければ少ないほど連続になりやすいです.
極端な話、 $Y$ が密着位相であれば、どんな写像も連続です.

$f$ が商写像となるような $Y$ 上の位相は、$f^{-1}$ により $X$ に引き戻して開集合になるものはすべて $Y$ の開集合として付け加えているので、$Y$ 上の商位相は、$f$ が連続全射となる目一杯の開集合を $Y$ に入れているということになります.

商空間としての商位相
商写像や商位相の“商"とは商空間の商のことです.

$f$ が全射であることから、$X$ において $f$ の逆像の点をすべて同一視してできる集合(商空間)は $Y$ と一致します.つまり、同一視 $X/\sim=Y$ が存在します.$Y$ 上の商位相と、$X/\sim$ 上に自然に定まる位相( $V=f^{-1}(U)$ が $X$ の開集合となるとき $V/\sim$ を $X/\sim$ 上の開集合とする )はこの同一視により、同相となります.
$$(X/\sim,\mathcal{O}_{X,f})\cong (Y,\mathcal{O}_Y)$$
とかけます.

ここで、$\mathcal{O}_{X,f}$ を商空間に自然に定まる位相とし、$\mathcal{O}_{Y}$ を $Y$ 上の商位相とする.

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