2016年11月25日金曜日

トポロジー入門演習(第6回)

[場所1E103(月曜日4限)]

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今日は、位相空間や開基の問題を解いた人もいましたが、半分近くの人が
分離公理や連結性についての問題でした.

位相空間の定義が分かれば、そのほかの定義は簡単に理解できますので、
自主的に定義を読んで勉強を進めておきましょう.

また、分からない部分が出てきましたら、授業時間にいつでも質問してください.
そろそろ1/3を超えましたので、発表回数が低い人にはこちらから声をかけます.

私も、時間がありましたら、補足スライドの方も作っていく予定です.


以下では、質問にもあった、少し難しめの話です.


超空間のトポロジー

位相空間 $X$ に対して、$X$ の部分集合の族

$CL(X)=\{A\subset X|A\text{は $X$ の閉集合}\}$
$2^X=\{A\subset X|A\text{は空ではない $X$ の閉集合}\}$
$\mathcal{K}(X)=\{A\subset X|A\text{は $X$ のコンパクト集合}\}$
$\mathcal{F}(X)=\{A\subset X|A\text{は $X$ の有限集合}\}$

を考えます.これらの集合にトポロジーを導入したものを超空間(hyperspace)といいます.
これ以降、$X$ はハウスドルフ $T_2$ 空間であると仮定します.
なので、任意の一点集合は、閉集合です.

ちなみに、上で書いたように、数学でよく言われる、○○の族というのは、単に集まりを指し、○○を満たすもの全てもってきた集合というわけではありません。

超空間に入るトポロジーはいくつかあります.

代表的なものは、ハウスドルフ距離(ハウスドルフ位相)とヴィエトリス位相(ヴィエトリストポロジー)や、フェル位相(フェルトポロジー)があります.

ハウスドルフ距離位相(Hausdroff metric space)

この距離は、以下のようにして定義します。
$(X,\rho)$ を距離空間とする.$\sup(\rho(x,y)|x,y\in X\}<\infty$ を満たすとき、有界距離空間という.

有界距離空間 $(X,\rho)$ に対して、
$A,B\in 2^X$ とする.

$$\rho_H(A,B)=\max\{\sup\rho(a,B),\rho(b,A)\}$$

として、$2^X$ に対して距離空間 $\rho_H$ とします.
これは、$X$ 上の閉集合上の距離ですが、一般に、コンパクト距離空間の間の距離として、微分幾何で使われる、グロモフハウスドルフ距離があります.
これは、
$X_1,X_2$ をコンパクト距離空間とすると、$\phi_i:X_i\to X$ を等長埋め込みとし、
$$d_{GH}(X_1,X_2)=\inf_{X,\phi_1,\phi_2}\rho_X(\phi_1(X_1),\phi_2(X_2))$$
としたものをグロモフハウスドルフ距離といいます.
ここで、下限は、距離空間 $X$ と等長埋め込み全体にわたった距離になり、
これにより、コンパクト距離空間全体の等長を同値関係にした空間上の距離となります.
つまり、$d_{GH}(X_1,X_2)=0$ ならば、$X_1$ $X_2$ は等長な距離空間となります.

距離空間 $X_1,X_2$ が等長であるとは、$X_1$ から $X_2$ の間に距離を保つような全単射が存在することです.


ヴィエトリス位相(Vietoris topology)

ヴィエトリス位相とは、 $2^X$ 上の位相

$U_1,\cdots, U_n$ を $X$ の開集合とします.
$$\langle U_1,\cdots, U_n\rangle=\{B\in 2^X|B\subset \cup_{i=1}^nU_i, B\cap U_i\neq \emptyset\}$$
を位相空間のベースとするような位相です.これは、$X$ が距離空間でなくても定義できるのが特徴です.

$\mathcal{K}(X)$ や $\mathcal{F}(X)$ は、$2^X$ の部分空間としてのトポロジーを誘導することが
でき、それらを一般に超空間といいます.

ここで、超空間上に成り立つトポロジーの基本的な性質をまとめておきます.

  1. $\langle U_1,\cdots,U_m\rangle \cap \langle V_1,\cdots,V_n\rangle=\langle U_1\cap V,\cdots,U_m\cap V,U\cap V_1,\cdots, U\cap V_n\rangle$
    ここで、$U=\cup_{i=1}^mU_i$, $V=\cup_{i=1}^nV_i$ とします.
  2. $\langle U_1,\cdots,U_m\rangle \subset \langle V_1,\cdots,V_n\rangle$ であることは、$\cup_{i=1}^mU_i\subset \cup_{i=1}^nV_i$ かつ 任意の $i$ に対して、ある $j$ が存在して、$U_j\subset V_i$
  3. $\langle U_1,\cdots,U_m\rangle$ のVietoris 位相の閉包は $\langle \overline{U_1},\cdots,\overline{U_m}\rangle$ と一致する.
  4. $\mathcal{U}$ を $X$ の被覆であれば、$\langle \mathcal{U}\rangle=\{\langle U_1\cdots,U_k\rangle| U_1,\cdots,U_k\in \mathcal{U},k\in{\mathbb N}\}$ は $\mathcal{K}(X)$ の被覆
  5. $\mathcal{U}$ を $X$ の開基であれば、$\langle \mathcal{U}\rangle=\{\langle U_1\cdots,U_k\rangle| U_1,\cdots,U_k\in \mathcal{U},k\in{\mathbb N}\}$ は $\mathcal{K}(X)$ の開基
  6. $\hat{X}=\{\{x\}|x\in X\}$ は $2^X$ で閉集合.$\mathcal{F}(X)$ は、$2^X$ で稠密
  7. $f:X\to Y$ を写像とする.このとき、以下のように、$f^\ast$, $f^{-1\ast}$, $f^{-1\ast\ast}$ を以下のように定義できる.
    $f^\ast:\mathcal{K}(X)\to \mathcal{K}(Y)$ を $f^\ast(E)=f(E)$
    $f^{-1\ast}:Y\to 2^X$ を $y\in Y$ に対して $f^{-1\ast}(y)=f^{-1}(y)$
    $f^{-1\ast\ast}:CL(Y)\to 2^X$ を $f^{-1\ast\ast}(E)=f^{-1}(E)$
  8. $f^\ast$ が連続であることと $f$ が連続であることは同値.
    $f^{-1\ast}$ が連続であることと、$f$ が開かつ閉でることと同値.
    $f^{-1\ast\ast}$ が連続であることと、$f^{-1\ast}$ が連続であることと同値.
問題として、
$X$ の性質はどのようにして、$2^X$ $\mathcal{K}$, $\mathcal{F}(X)$ 上の性質に引き継がれるか?

が挙げられますが、これまで、分かっているよく知られている事柄を挙げると、以下のものがあります.

$X$ が正則であることは、$2^X$ がハウスドルフと同値こと.
$X$ が完全正則 $T_{3\frac{1}{2}}$ であることは、$2^X$ が ストーン空間であることと同値.
$X$ が正規であることは、$2^X$ が完全正則であることと同値であり、それは $2^X$ が正則であることも同値.
$X$ はコンパクトであることは、$2^X$ がコンパクトであることと同値.
$X$ がコンパクト距離付け可能であることは、$2^X$ がコンパクト距離づけ可能であることと同値であり、$2^X$ が距離づけ可能であることと同値.

コンパクト距離空間上の Vietoris 位相は、ハウスドルフ距離位相と同値.

次の性質は、$X$ と $\mathcal{K}(X)$ 上において同値となる.

ハウスドルフ性、ストーン空間、コンパクトハウスドルフ、距離化可能性、0次元、
完全非連結、第二可算.

また、演習問題であった、のは、やはり、$X$ が $T_1$ ならば、$2^X$ が $T_1$ であるという命題で、よく知られており、$X$ に $T_1$ が仮定されないと証明できないようです.下の Michaelの論文でも $T_1$ は仮定していますね.
もちろん、この記事のように、ハウスドルフを仮定してもよいですが、上の同値関係は、$T_1$ であれば成り立ちます.(Michaelの論文)

$X$ が $T_1$ であれば、$X$ がコンパクトであることと、$2^X$ が正規であることは同値.(Velichko)

ストーン空間とは、一般に、コンパクトハウスドルフ0次元な位相空間のこと.
ストーン自身については、距離空間がパラコンパクトであることを
証明した偉いトポロジスト.トポロジーへの招待(寺澤順著)にも出てきます.

フェル位相(Fell topology)
$X$ の任意の開集合 $V$ に対して、$\{A\in 2^X|A\cap V\neq \emptyset\}$ を準開基
とする $2^X$ 上の位相のこと.
この空間の開集合は、ヴィエトリス位相の開集合として含まれるので、一般にフェル位相はヴィエトリス位相より弱い位相ということになります.


参考文献
  • Edited by K.P. Hart, J. Nagata and J. E. Vaughan, Encyclopedia of General topology, Elsevier
  • E.A. Michael, Topologies on spaces of subsets, Trans. Amer. Math. Soc. 71 (1951)152-182
  • 寺澤順, トポロジーへの招待, 日本評論社
  • N. V. Velichko, On the space of closed subsets, Siberian Math. J. 16 (1975) 484–486

2016年11月23日水曜日

微積分II演習(化学類)(第5回)

[場所1E102(水曜日4限)]

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今回は、少し話題を戻った内容も含め、
  • 全微分可能
  • 陰関数の定理
についてやりました.

全微分可能性

$(x,y)=(a,b)$ で $f(x,y)$ が全微分可能というのは、教科書的に書けば、
$h=x-a$, $k=y-b$ とすると、

$$f(x,y)=f(a,b)+\alpha h+\beta k+o(\sqrt{h^2+k^2})\ \ (h,k)\to (0,0)$$

となる、$\alpha,\beta$  が存在することです.全微分可能とは、微分可能を
多変数の場合に定義したものです.なので、一変数同様、
接平面が存在するということと同値です.

これは、一変数関数の微分可能の一般化といえます.この定義を一変数にすれば、

$$f(x)=f(a)+\alpha h+o(h)$$

となるので、これは、$\frac{f(x)-f(a)}{h}\to \alpha$ ($h\to 0$) と同値ですから、
$f'(a)$ の存在と同じですね?

全微分可能の全というのは、偏微分可能という言い方と区別するためです.
偏微分可能とは、$x,y$ の軸上に沿った微分の仕方といえます.

例えば、偏微分は、

$$f_x(a,b)=\lim_{h\to 0}\frac{f(x,b)-f(a,b)}{h}$$
なので、$x$ 軸や $y$ 軸に沿った微分であるのに対して、
全微分の全とは、全ての方向(全ての近づき方)からの微分が存在するということです.

ここで、$f(x,y)$ が全微分可能であることを、上の $o$ を使わずに書いておきます.

(全微分可能であるための証明の方針)
$g(x,y)=f(x,y)-f(a,b)-f_x(a,b)(x-a)-f_y(a,b)(y-b)$ とおく.
このとき、 $\lim_{(x,y)\to (a,b)}\frac{g(x,y)}{\sqrt{(x-a)^2+(y-b)^2}}$ が収束して、
その極限値が $0$ であるとき、 $f(x,y)$ は全微分可能となります.

(全微分可能でないことの証明の仕方)
上の$g(x,y)$ に対して、 $\lim_{(x,y)\to (a,b)}\frac{g(x,y)}{\sqrt{(x-a)^2+(y-b)^2}}$ が収束しないか、その収束先が $0$ でないとき、$f(x,y)$ は全微分不可能となります.


例1
関数 $f(x,y)=\frac{x^3+y^3}{\sqrt{x^2+y^2}}$
が $(x,y)=(0,0)$ で全微分可能であることは、次のようにしてわかります.
これは今回の問題の一部でもあります.

$g(x,y)=f(x,y)$ とすると、
$\lim_{(x,y)\to (0,0)}\frac{g(x,y)}{\sqrt{x^2+y^2}}=\lim_{(x,y)\to (0,0)}\frac{x^3+y^3}{x^2+y^2}$
となり、ここで、$(x,y)=(r\cos\theta,r\sin\theta)$ とし、$r\to 0$ なる極限を考える.

$|\frac{x^3+y^3}{x^2+y^2}|=|\frac{r^3(\cos^3\theta+\sin^3\theta)}{r^2}|=r|\cos^3\theta+\sin^3\theta|\le 2r\to 0$
となるので、$(x,y)\to (0,0)$ となるとき、$\frac{x^3+y^3}{x^2+y^2}\to 0$ となる.

よって、$\lim_{(x,y)\to (0,0)}\frac{x^3+y^3}{x^2+y^2}=0$ となり、
$g(x,y)=f(x,y)=o(\sqrt{x^2+y^2})$ となる.

よって、$\frac{x^3+y^3}{\sqrt{x^2+y^2}}$ は $(0,0)$ で全微分可能であり、特に
$f_x(0,0)=0$ かつ $f_y(0,0)=0$ となる.


例2
関数 $f(x,y)=\frac{x^3+y^3}{x^2+y^2}$ が $(0,0)$ で全微分可能でないことの証明.
$\lim_{(x,y)\to (0,0)}\frac{x^3+y^3}{x^2+y^2}=0$ であることは
$(x,y)=(r\cos\theta,r\sin\theta)$ とすると、$|f(x,y)|=|r(\cos^3\theta+\sin^3\theta)|\le 2r\to 0$ であることから分かる.
よって、$f(0,0)=0$ とする.

まず、偏微分を求める.
$f_x(0,0)=\lim_{h\to 0}\frac{f(h,0)-f(0,0)}{h}=\lim_{h\to 0}1=1$ となる.
同様に、
$f_y(0,0)=\lim_{h\to 0}\frac{f(0,h)-f(0,0)}{h}=\lim_{h\to 0}1=1$ となる.

もし、$f(x,y)$ が原点で全微分可能とすると、
$g(x,y)=f(x,y)-f(0,0)-f_x(0,0)x-f_y(0,0)y=-\frac{xy(x+y)}{x^2+y^2}$ とすると、

$\lim_{(x,y)\to (0,0)}\frac{g(x,y)}{\sqrt{x^2+y^2}}=0$ となるはずである.
今、$(h,h)\to (0,0)$ として $h>0$ で近づくとします.
このとき、

$\lim_{h\to +0}\frac{-h^2(h+h)}{(h^2+h^2)\sqrt{h^2+h^2}}=\lim_{h\to +0}\frac{-2h^3}{2h^2\sqrt{2}|h|}=\frac{-1}{\sqrt{2}}$
となり、$0$ に収束しない.

よって、$f(x,y)=\frac{x^3+y^3}{x^2+y^2}$ は、$(0,0)$ で全微分可能ではない.

これで証明終わりですが、斜め45度から近づけた理由は、
例えば、$(h,0)\to (0,0)$ で正の数 $h$ で近づくと $g(h,0)=0$ なので、
$\lim_{h\to +0}\frac{g(h,0)}{\sqrt{h^2+0^2}}=0$ となってしまい、うまく満たさないことを示せません.

陰関数の定理
陰関数の定理についてやりました.
少しだけ抽象的なので、わからなくなったら、$F(x,y)=x^2+y^2-1$ となる簡単な場合を
想定して考えてください.

陰関数の定理は、
$F(x,y)$ を $C^1$ 級関数とする.このとき、$F_y(x_0,y_0)\neq 0$ であるなら、
$(x_0,y_0)$ の近くで、$F(x,y)=0$ を満たす関数 $y=\varphi(x)$ が存在し、$x=x_0$ において$C^1$ 級となる.

$C^1$ 級というのがわからなければ無視しても構いません.
要するに、$F(x,y)=0$ を満たす集合が、なめらかな曲線で、その点が、$x$ 軸からのグラフになっている場所はどこか?ということです.

例えば、$F(x,y)=x^2+y^2-1$ の場合、これは、平面上の単位円を表していますが、
その単位円の点 $(x_0,y_0)$ で、その周りで、$x$ 軸からのグラフのようになっている点は、ちょうど $F_y(x,y)=2y\neq 0$ つまり、$(1,0),(-1,0)$ となる点以外の点だということです.

ここ(リンク先)に一昨年書いた陰関数を教えた時のグラフがあります.
微積分II演習(第5回)例1」ですが、この絵のように、$(1,0),(-1,0)$ の点以外の円上の点では、その点を含む小さい区間を取れば、$x$ 軸からのグラフになっていますね?

また、$y$ 軸からのグラフになっている、つまり、$x=\psi(y)$ なる関数になっているための条件は、$F_x(x,y)\neq 0$ となることです.今の円の場合では、$2x\neq 0$ であるので、$(0,1),(0,-1)$ となる点以外の点ということになります.

宿題の$\varphi(x)$ の2回微分を求めよ、という問題は、

1回微分の求め方を真似て求めてください.
つまり、$F(x,y)=0$ の陰関数 $y=\varphi(x)$ の1回微分は、
$F(x,\varphi(x))=0$ という恒等式を微分をすることで、
$F_x(x,\varphi(x))+F_y(x,\varphi(x))\varphi’(x)=0$ となります.
ここで、合成関数の微分を用いています.
よって、移項して整理することで、
$\varphi’(x)=-\frac{F_x(x,y)}{F_y(x,y)}$ となります.
ここで、$y=\varphi(x)$ が陰関数であることから、その点の周りで、$F_y(x,y)\neq 0$ を満たすことを思い出してください.
この方法を真似ることで、$\varphi’’(x)$ が表記の式になることを示して下さい.

やり方は、$F_x(x,\varphi(x))+F_y(x,\varphi(x))\varphi’(x)=0$ をさらに、$x$ で微分してください.合成関数の微分法を何回か使うことになります.

問題5-2(1) の方は、具体的に与えられた関数から、陰関数の微分法を用いて、
接線、法線の方程式を求めてください.それらの公式は、プリントに書きました.

また、最後の問題は、極値の応用問題です.
一定体積を $V$ 各辺の長さを $a,b,c$ などとおいて、表面積をある2変数関数
として書けばできるのではないでしょうか?

2016年11月18日金曜日

トポロジー入門演習(第5回)

[場所1E103(月曜日4限)]

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トポロジー入門の講義の方では位相や、開基にはすでに入っているようですね。
位相の定義をもう一度書いておくと、

$(X,\mathcal{O})$ が位相空間であるとは、
$X$ を集合とする.$\mathcal{O}$ が $X$ の部分集合の族であり、
以下の性質を満たすものをいいます.

  1. $X\in \mathcal{O}$ かつ、$\emptyset\in \mathcal{O}$
  2. $U_1,\cdots, U_n\in \mathcal{O}$ であれば、$U_1\cap U_2\cap\cdots\cap  U_n\in \mathcal{O}$
  3. $\mathcal{O}$ の族 $\{U_\lambda\}_{\lambda\in \Lambda}$ であるなら、$\cup_{\lambda\in \Lambda}U_\lambda\in \mathcal{O}$
2. は有限個の共通部分は必ず、位相に入っている.
3. は有限個とは限らない和集合であれば、その和集合も位相に入っている.

ということになります.

位相空間上の開集合は $\mathcal{O}$ によって特徴付けられているので、
$\mathcal{O}$ のことを $X$ 上の位相といい、$\mathcal{O}$ のことそのものを位相と言ったりも
します.
 
 
今回の授業では、有限点上の位相空間を解いた人が何人かいました。
$n$ 点集合の部分集合は全部で $2^n$ 個ありますが、その部分集合の族を与えるのが
位相ということです.
なので、部分集合の族全体は、 $2^{2^n}$ 個あります.その中で、
位相となる集合があるのです.

ただ、そのうち、全体集合と、空集合は必ず入りますから、$2^{2^{n}-2}$ の部分だけを考えればよいことになります。

$n=2$ の場合は、部分集合の族全体で、自明に位相でないものを抜いたものの数、
$2^{2^{2}-2}=4$ が全て位相になります.つまり、$4/4$ が位相になります.

$n=3$ の場合は、$2^{2^3-2}=2^6=64$ が部分集合の族全体で、自明に位相でないものを抜いたものの数ですが、実際位相となりうるのは、そのうち、29個です.$29/64$ ですからだいぶん小さくなることがわかります.
一般の $n$ について $T(n)$ を $n$ 点集合の位相の数とすると、比 $T(n)/2^{2^n-2}$ はだんだんと小さくなっていくと思われます.しかし、その極限
$\lim_{n\to \infty}\frac{T(n)}{2^{2^n-2}}$
は存在するのか? $0$ に収束するのか?一定の値に近づくのか知られていません.

一般の有限点集合上の位相空間の考え方を以前(ここ)書いたので、参照してください。
有限集合上の位相をその中で、ある点を含む最小の開集合を使ってある順序集合ができ、
その順序集合のハッセ図によって分類を行うものです.


一般の位相の話に戻ります.
このように、位相を定義すると、位相空間の間の連続写像 $f:X\to Y$ が以下のように定義されます。つまり、

位相空間 $Y$ 上の任意の開集合 $U$ に対して、$f^{-1}(U)$ は $X$ の開集合になる

と簡単にいうことができます.この中には、距離空間における、$\epsilon-\delta$ 論法のステートメントも含まれています.ただ、これが連続の定義だと最初に見せられるより、まずは、$\epsilon-\delta$ 論法を学んでから、この定義を学んだ方が連続のイメージはしやすいと思います.

また、開基(ベース、base)という概念が重要です.
位相空間において、開基のいくつかの元の和集合によってかける開集合全体が、
その位相と一致するものをその位相空間の開基といいます.

開基の線形空間の基底と似ており
全ての開集合が、開基の元の和集合としてかけるという性質があります.

よって、開基を決めておけば、一意的に集合上に位相を入れることができます.

例えば、${\mathbb R}$ 上の通常の位相は、開基として、$(a,b)$ なる開区間の
集合を開基としてもつことで、得られます.これは、${\mathbb R}$ の開集合が
距離空間としての開集合であることからすぐにわかると思います.
 

2016年11月10日木曜日

トポロジー入門演習(第4回)

[場所1E103(月曜日4限)]

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今回は、以下の問題についてやった人がいました.

収束点列

位相空間 $X$ の中の点列 $\{x_n\}$ が収束点列とは、$x\in X$ が存在して、
任意の $x$ の開近傍 $U$ に対して、$\{x_n\}$ の中の有限個を除いて、$x_n\in U$ となる
ことを言います.

別な言い方をすれば、任意の開近傍 $U$ に対して、ある自然数 $N$ が存在して、 $n\ge N$ なる任意の $n$ に対して $x_n\in U$ となる、となります.

距離空間の場合には、任意の開近傍の代わりに、$x$ を含む任意の開球 $U(x,\epsilon)$ に変えて成り立つもので十分です.

また、$\{x_n\}$ がコーシー列であるとは、それが、距離区間の点列であり、
任意の $\epsilon>0$ に対してある自然数 $N$ が存在して、$N\le n,m$ なる任意の自然数 $n,m$ に対して、$d(x_n,x_m)\le \epsilon$ となることをいいます.

距離空間において、コーシー列と収束点列の違いは、
収束点列は収束先が存在する(一意性は問わない)が、コーシー列は、収束先が存在しなくてもよいという点です.
例えば、正の実数からなる空間 $X={\mathbb R}_{>0}$ に通常の距離位相を入れておけば、
$\{1/n\}$ はコーシー列ですが、収束先が $X$ に存在しないので、収束点列では
ありません.

今回示してくれたように、距離空間の部分集合 $F$ に対して、$F$ が閉集合であることと、$F$ の中のコーシー点列が $F$ 内に収束点を持つことは同値です.

また、上の収束点列の定義を用いれば、
$f:X\to Y$ が位相空間の間の連続写像とすると、
$\{x_n\}$ が収束点列であるなら、$\{f(x_n)\}$ が $Y$ で収束点列となります.

つまり、連続であるなら、収束点列を収束点列に移すといえます.
もちろん、距離空間の間の連続写像であれば、コーシー列はコーシー列に移ります.


商写像

商写像について解いている人がいました

まずは定義から
写像 $f:(X,\mathcal{O}_X)\to (Y,\mathcal{O}_Y)$ が商写像であるというのは、$f$ が全射であり、
$f^{-1}(U)\in \mathcal{O}_X\Leftrightarrow U\in \mathcal{O}_Y$
を満たすものを言います.

右から左へ向かう性質は、$f$ が連続であることと同値です.
なので、商写像は全射連続写像が、左から右へ向かう性質をもつものともいえます.

その時の $Y$ 上の位相
$f:X\to Y$ が商写像であるとき、$Y$ に入る位相のことを $f$ による商位相といいます.
言い換えれば、位相空間 $X$ から、ある集合 $Y$ 上に全射 $f:X\to Y$ があるとき、 上の商写像の定義を満たすように $Y$ 上に一意的に位相を定めることができ、それを $Y$ の商位相だということができます.$Y$ 上の位相が $X$ から一意的に誘導されるので誘導位相ということもあります.

極大性としての商位相
普通、$f:X\to Y$ は $Y$ に開集合が少なければ少ないほど連続になりやすいです.
極端な話、 $Y$ が密着位相であれば、どんな写像も連続です.

$f$ が商写像となるような $Y$ 上の位相は、$f^{-1}$ により $X$ に引き戻して開集合になるものはすべて $Y$ の開集合として付け加えているので、$Y$ 上の商位相は、$f$ が連続全射となる目一杯の開集合を $Y$ に入れているということになります.

商空間としての商位相
商写像や商位相の“商"とは商空間の商のことです.

$f$ が全射であることから、$X$ において $f$ の逆像の点をすべて同一視してできる集合(商空間)は $Y$ と一致します.つまり、同一視 $X/\sim=Y$ が存在します.$Y$ 上の商位相と、$X/\sim$ 上に自然に定まる位相( $V=f^{-1}(U)$ が $X$ の開集合となるとき $V/\sim$ を $X/\sim$ 上の開集合とする )はこの同一視により、同相となります.
$$(X/\sim,\mathcal{O}_{X,f})\cong (Y,\mathcal{O}_Y)$$
とかけます.

ここで、$\mathcal{O}_{X,f}$ を商空間に自然に定まる位相とし、$\mathcal{O}_{Y}$ を $Y$ 上の商位相とする.

2016年11月9日水曜日

微積分II演習(化学類)(第4回)

[場所1E102(水曜日4限)]

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今日のことを書く前に、今回返すレポートについて悪い例です.

問題2-2の(d)を例としてとります.

$n\ge 4$のときに、$(x,y)\to (0,0)$ のときに
$$\frac{x^3+y^3}{(x^2+y^2)^{\frac{n}{2}}}$$
が発散することについて、

収束することを示す時には、これに絶対値をつけて評価し、極限を考えればよいですが、
発散を示す場合は、そのようなことをする必要はありません.
また、$(0,0)$ への行き方を指定して考えても構いません.

収束は、すべての道に対して収束することを言わなければならなかったのですが、
それを否定した命題を示す場合には、ある道に対して収束しないことを示せば
十分だからです.

それはさておき、答案として以下のような解答がいかに多いことか.

極座標を取ってやって、

$|\frac{x^3+y^3}{(x^2+y^2)^{\frac{n}{2}}}|=|\frac{r^3(\cos^3\theta+\sin^3\theta)}{r^n}|=\frac{1}{r^{n-3}}|\cos^3\theta+\sin^3\theta|\le \frac{2}{r^{n-3}}\to \infty$

としているのです.絶対値をっている上、$\frac{2}{r^{n-3}}\to \infty$
とまでやっています.完全に蛇足です.
収束の時になぜ絶対値を取って上から評価したのか考えてください.
(注:発散を示す場合、絶対値を取って、下から評価しても発散を示すことはできます.)


つまり、$(0,0)$ にいくに従って $0$ から $\infty$ の間( $\infty$ を含めて)のどこかに行くということ主張しているに他なりません.

何も示したことにはなりません.
収束だろうが、発散だろうがどのような場合にも成り立つことを示したに過ぎないからです.

正しくは、絶対値を取る必要はなく、さらに、$\theta=0$ などと固定したまま $(0,0)$ に収束するなどするとよいでしょう.

そのようなとき、
$y=0$ かつ、$x\to 0$ として $(0,0)$ に近づくとすると、$n\ge4$ であることを考慮すると

$\frac{x^3+y^3}{(x^2+y^2)^{\frac{n}{2}}}=\frac{x^3}{x^{\frac{n}{2}}}=\frac{1}{x^{\frac{n}{2}-3}}\to \infty$

となり、発散が示せます.

このような極めて単純な解答を書いた人はいませんでした.


この他、(b) において正確でない文章

極限において
$0\le |\frac{x^3+y^3}{x^2+y^2}|\le 0$
となるので、収束する

このような文章が大量発生していますが、
他人の文章を写すにしても、自分の文章としても、正しくない式を使って議論することは
できません.自分の文章が正しいことを言っているのかどうか判断しながら書いてください.
このような訓練をすることはかなり大変ですが、自分の文章が正しいのか、確認するなどの習慣だけでも身につけて下さい.


第4回の授業の内容について書きます。
内容は

  • 2次近似
  • 極値の判定でした。
この内容と同じ内容で、
一昨年のブログをここ
また、去年のブログをここ
にかいてあります。

また、ここには2変数関数のグラフの凹凸についてのヘッセ行列ごとの
グラフの凹凸について綺麗な絵をのせています。

今回やったことは、2次近似の式から2変数関数のグラフの凹凸が描けるという
ことです。

これは、高校で習う微積分の教科書にもある通り、関数の極値を求め、
その凹凸を知ることで、その極値が極大値か極小値かということを調べる手法です。

一変数の場合を復習しておきます。
ここで、用語を一つ用意しておきます。
$y=f(x)$ の微分が消える場所を臨界点もしくは停留点といいます.
プリントにはすでに書いてあるのですが、授業中に説明がなかったですね.
2変数の場合は、
$z=f(x,y)$ であれば、$f_x(x,y)=0$ かつ $f_y(x,y)=0$ となる点 $(x,y)=(a,b)$ のことを
同じように臨界点、停留点といいます.


問題:$y=f(x)$ の極値を求めたい。
Step 1:  $f(x)=0$ となる点(臨界点) $x=a$ を求める.
Step 2:  そのような点 $x=a$ に対して、$f’(x)$ が負の数の数から正の数に切り替わる点であれば、$y=f(x)$ は $x=a$ でその点は極小.また、$f’(x)$ が正の数から負の数に切り替わる点であれば、$y=f(x)$ は $x=a$ でその点は極大.

Step2’:  Step2 の代わりに、特に、$f’’(a)>0$ であれば、$x=a$ で $y=f(x)$ は極小をとり、$f’’(a)<0$ であれば、$x=a$ で $y=f(x)$ は極大をとる.



つまり、臨界点が極値であるための十分条件として、2回微分を調べることで、

$f’’(a)>0$ ならば、極小、
$f’’(a)<0$ ならば、極大ということです。

また、$f’(a)=0$ であるとするとき、極大か極小は決められません。
例えば、$f(x)=x^3$ は臨界点は $x=0$ のみで、2回微分は $f’’(a)=0$ですが、$x=0$ で、$f(x)$ は極大でも極小でもありません。

また、$f(x)=x^4$ の臨界点は、やはり $x=0$ のみで、$f’’(0)=0$ となります.
しかし、$x=0$ では、$f(x)$ は極小です。 なぜかというと、$f’(x)=3x^3$ という関数は、$x=0$ において、負から正の数をとるからです.Step 2が適用できるからです.

なので、臨界点において、$f''(a)=0$ だからといって、極値だとか、極値でないとかをいうことはできません.$y=x^3$ の原点での様子は、極値ではありませんが、
臨界点(その値のことは臨界値)は正しいいいかたです.


問題:$z=f(x,y)$ の極値を求めたい。
Step 1:  $f_x(x,y)=0$ かつ $f_y(x,y)=0$ を満たす点 $(x,y)=(a,b)$ (臨界点)を求める.

Step 2’: ヘッセ行列 $H=\begin{pmatrix}f_{xx}(a,b)&f_{xy}(a,b)\\f_{yx}(a,b)&f_{yy}(a,b)\end{pmatrix}$ の行列式 $\det(H)$ (ヘッシアンという)が、$0$ でないとする.

$\det(H)>0$ であるとすると、$(x,y)=(a,b)$ は極値となる.
 さらに、$f_{xx}(a,b)>0$ とすると、極小値である.
 さらに、$f_{xx}(a,b)<0$ とすると、極大値である.
$\det(H)<0$ であるとすると、$(x,y)=(a,b)$ は極値ではない.
 どのような形かというと、鞍点である.


鞍点がどのような点であるかというと、下のようなグラフのことをいいます.
馬の背中っぽいですよね?

このグラフは $z=x^2-y^2$ のグラフをmathematicaに描いてもらった図です.
具体的な2回微分などは授業中にやったはずなので、例の計算などはここでは省略しておきます.

同じように、$\det(H)=0$ であるからといって、極値だとか、極値でないとかをいうことはできません.

レポートでよくある間違いは、$\det(H)=0$ という点が出てきたとき、すぐさま、
極値ではないということを結論づけている解答があります.
上と同じ例を与えれば、

$z=x^3+y^3$ は、極値でも馬の鞍でもありません.試しに描いてみせれば、

という、なんとも言えないグラフになります.
同じように、$z=x^4+y^4$ というグラフは、ヘッシアンは消えますが、極値になります.

2016年11月7日月曜日

トポロジー入門演習(第3回)

[場所1E103(月曜日4限)]

HPに行く.

今回発表してもらった内容をおさらいしておきます.

$A$ の内部の定義は2種類あります。

  • $A$ に含まれる最大の開集合.
  • $x\in U_\epsilon(x)\subset A$ となる $\epsilon>0$ が存在するような $x$ 全体.

また、$A$ の閉包についても、同値な条件として、
  • $A$ を含む最小の閉集合.
  • 任意の $\epsilon>0$ に対して、$x\in U_\epsilon(x)\cap A\neq \emptyset$ となる $x$ 全体.
もあります.これらのことが同値であることを示す問題が今日は見受けられました.
これらの同値性について、講義の方の先生の通達で、演習をしておいてくださいとの依頼されています.

それについては、HP(リンク)の補足プリントにおきました.

p-進位相
についての問題もありました.

$p$-進位相は、距離空間ですが、非アルキメデス的距離を持ちます.

$p$ を素数として、
${\mathbb Z}$ 上の $p$-進位相とは、距離関数 $d$ を $d(n,m)=\varphi_p(n-m)$ とし、$\varphi_p$ は以下のようにして定義します.
$\varphi_p$ は、$N$ を整数として、$N=ap^k$ とかきます.
ここで $a$ は $p$ と互いに素である場合、$\varphi_p(N)=2^{-k}$ と定義し、$N=0$ の場合、$\varphi_p(N)=0$ とします.

この距離は、普通の距離空間の関係以上に、

任意の $x,y,z$ に対して、
$$d(x,y)\le \max\{d(x,z),d(z,y)\}\ \ \ \ \ (\ast)$$
が成り立ちます.

この式が成り立てば、距離空間の三角不等式、$d(x,y)\le d(x,z)+d(z,y)$
が成り立ちます.$(\ast)$ の関係式が満たされる距離を非アルキメデス距離といいます.

${\mathbb Z}$ に $p$-進位相を与えるとします. $d$ を $p$-進距離とします.

今回の問題では、$U(x,\epsilon)=\{y\in X|d(x,y)<\epsilon\}$ が閉集合となることをいうという問題もありました.

$U(n,\epsilon)$ はどのような集合かというと、
$U(n,\epsilon)=\{m|\varphi_p(n-m)\le \epsilon\}=\{n+\alpha p^k|\alpha\in {\mathbb Z},k\ge -\log_2\epsilon\}$
となり、ある程度大きい $k$ によって、 $p^k$ によって割り切れる数を $n$ に
足した数全体です.
とくに、$U(n,\epsilon)$ は無限個の元が含まれます.


2点以上の要素をもつ集合上の非アルキメデス距離空間 $X$ は、以下の性質を満たします.
  • $U(x,\epsilon))$ は閉集合
  • 非連結
最初の主張は、以下のようにして示します.

$y\in\text{Cl}( U(x,\epsilon))$ とすると、$U(y,\epsilon)\cap U(x,\epsilon)\neq \emptyset$ となります.その $z\in U(y,\epsilon)\cap U(x,\epsilon)$ とすると、$d(x,y)\le \max\{d(x,z),d(y,z)\}<\epsilon$ となります.
よって、$\text{Cl}(U(x,\epsilon))=U(x,\epsilon)$ となります.
つまり、$U(x,\epsilon)$ は閉集合ということになります.

特に、$\{U(x,\epsilon)\}$ は、開かつ閉な近傍をもつ基本近傍系となるので、
非アルキメデス距離をもつ空間の位相は0次元(zero-dimensional)となります.

上の2つ目の主張を示します.

まず、位相空間 $X$ が連結であるとは、2つの違いに交わらない、空ではない2つの開集合の和集合ではないことをいいます.

上記の位相空間は、2点以上あるので、それを、$p,q$ としておきます.
ここで、$p,q$ の間の距離より小さく正の実数 $\epsilon$ を取っておけば、
$U(p,\epsilon)$ は、$q$ を含まない $p$ の開近傍となります.
よって、$X=U(p,\epsilon)\cup U(p,\epsilon)^c$ とすれば、$p\in U(p,\epsilon)$ かつ $q\in U(p,\epsilon)^c$ となり、もちろん交わりはありません.
上記のことから、$U(p,\epsilon)$, $U(p,\epsilon)^c$ はどちらも空ではない開集合です.
ゆえに、この空間は非連結となります.

${\mathbb Z}$ 上の $p$-進距離空間は(2点以上あり)、$n$ を任意の整数とすると、$U(n,\epsilon)$ と $U(n,\epsilon)^c$ の(共通部分のない)開集合の和集合です.よって、${\mathbb Z}$ 上の $p$-進位相として連結ではないということになります.

$p$-進距離空間は、非コンパクト空間ですが、これは
また演習で問題にしますので、解いてください.

$p\neq 2$であるとき、
$1$, $1+p$, $1+p+p^2$, $1+p+p^2+p^3$, $\cdots$

なる点列を考えるとうまくいきます.
また、この距離における完備化(コーシー点列の収束先を全て付け加えること)をされた
空間を考えると、コンパクトになります.それを $p$-進整数といい、
数論の一部の世界では、崇め奉られています.