結び目のアレクサンダー多項式は、ある状態和として得られることを
以前のblogでやりました.
この不変量は結び目のある状態の足し合わせとして得られていました.
しかし、この不変量はある行列の行列式としての解釈もあります.
行列式としてのアレクサンダー多項式
ちなみに、以下のように、状態和としての不変量であるアレクサンダー多項式が
何かの行列式になっているという事実は、カウフマンをして「ミラクル」だと言っています.
これから、アレクサンダーコンウェイ多項式(正確にいえば、$z=W-B$ を代入する前の式)
はある行列の行列式の展開式だということを例を使って説明します.
ちなみに前回紹介したのはアレクサンダー-コンウェイ多項式と言いましたが、
アレクサンダー多項式とアレクサンダー-コンウェイ多項式は下に示すように変数を
取り換えただけですから本質的には同じものです.
以下の構成はカウフマン(Kauffman)の以下の著書(1)もしくは論文(2)にそのまま
載っています.
どのような行列かというと....
結び目の図式の各交点において、その4ツ角に
のような式をおきます.
このとき、この点において、
$$xA-xB+C-D=0$$
なる関係式をおきます。
このような交点の周りのラベリングをアレクサンダーラベリングといいます.
上を通るアークの方向が付いていませんが、どちらに向かっていてもラベリングの付け方は
かわりません.
そうすると、各交点の数が列数 $n$ 、領域の数が行数 $n+2$ となる $n\times (n+2)$ 行列
$M$ を作ることができます.
例えば、三葉結び目の場合、アレクサンダーラベリングは、領域を
図のように $A,B,C,D,E$ として、表示しておけば、
となります.この交点に従って作られた3つの関係式からくる行列 $M$ は
$$M=\begin{pmatrix}x&-1&0&-x&1\\x&-x&-1&0&1\\x&0&-x&-1&1\end{pmatrix}$$
となります.さらに、隣り合う領域をひと組、例えば、$A,D$ としておきます.
この選び方は、blogで行ったものと同じですが、実際、どこの隣り合った領域でも
構いません.そして、その領域に関係する縦ベクトルを除いてやって
得られる$n\times n$ 行列を $M[A,D]$ としておけば、
$$M[A,D]=\begin{pmatrix}-1&0&1\\-x&-1&1\\0&-x&1\end{pmatrix}$$
となります.つまり、行列 $M[A,D]$ は、$B,C,E$ からなる列つまり、$2,3,5$列目だけから
なる正方行列です.
こうして、この行列の行列式を計算することで、
$$\det(M[A,D])=1-x+x^2$$
が得られます.
この式は実は、アレクサンダー-コンウェイ多項式を計算する前の式 $\langle K\rangle$
つまり、$WB=1$ かつ $z=W-B$ とする前の式において、
$W=x^{\frac12}$, $B=x^{-\frac12}$ としてえられる $x$ のローラン多項式と、
全体に $\pm x^m$ をかけることを除いて等しくなります.
($m$ は何かの整数.)
つまり、$\langle K\rangle=W^2-WB+B^2=x-1+x^{-1}$ ですが、
この式は、$x-1+x^{-1}=x(1-x+x^2)$ となっています.
他のを計算してみると、 $\det(M[A,B])=1-x+x^2$ や $\det(M[D,E])=x-x^2+x^3$
$\det(M[A,C])=-1+x-x^2$ となり、$\pm x^m$ をかけてやれば、みな、$x-1+x^{-1}$ と
等しくなります.
この、$\pm x^m$ をかけることを除いて $1-x+x^2$ と一致することを
$$\det(M[A,D])\doteq 1-x+x^2$$
と書きます.
そうしてでてきた $x$ の多項式をアレクサンダー多項式と言います.
アレクサンダー多項式の指数は $x^m$ を掛ければどんどん変わっていってしまうので、
対称化しておいて、$x^{-1}-1+x$ と書くこともあります.
ちなみに、アレクサンダー多項式の性質として、必ず、上のように対称になります.
つまり、$\pm x^m$ を掛けてやることで必ず、
$$a_kx^k+a_{k-1}x^{k-1}+\cdots+a_{k-1}x^{-k+1}+a_kx^{-k}$$
の形に置くことができます.
アレクサンダー多項式は結び目のイソトピー不変量になります.
状態和不変量がどうして行列式で書けたのか?
この不変量の各項は意味があります.
三葉結び目の状態は3つであったことを思い出しましょう.
つまり、もう一度振り返りますと、
$$M[A,D]=\begin{pmatrix}-1&0&1\\-x&-1&1\\0&-x&1\end{pmatrix}$$
となっています.この行列式がどうしてアレクサンダー多項式と一致するのでしょうか.
$M[A,D]=(a_{ij})$ としておき、この行列を行列式の定義に基づいて考えます.
つまり、残った、$B,C,E$ を順に $1,2,3$ とし、
交点のうち左上のものを 1 として時計回りに $1, 2, 3$ としています.
ところで、行列式は定義式で書いておけば、
$$\det=\sum_{\sigma\in S_n}sgn(\sigma)a_{1\sigma(1)}a_{2\sigma(2)}\cdots a_{n\sigma(n)}$$
となっています.
ここで $sgn$ は置換 $\sigma$ の符号数です.
結び目の図式のある状態とは、
$$\tau:\{\text{交点全体}\}\to \{\text{●のない領域全体\}}$$
であり、それぞれは、同数ずつあり、(例えば上のように $\{1,2,3\}$ と同一視しましたが)
状態の条件(各領域には▲は一つだけおく)はこの $\tau$ が一対一写像であることを
意味します.
つまり、この行列の各項は、結び目の図式のある状態と一致すること
とりわけ今の場合は $S_3$ の元との一致があります.
に対応しています.次にそれぞれの項を見ていきます.
それぞれの項はどうなっているのか.
前回の $S_1,S_2,S_3$ のそれぞれの ▲ があった場所にだけ
アレクサンダーラべリングを置きます.
は状態
に対応し、
$$a_{11}a_{32}a_{23}=(-1)\cdot 1\cdot (-x)$$
は状態
に対応し、
$$a_{13}a_{21}a_{32}=1\cdot (-x)\cdot (-x)$$
は状態
に対応しています.
さらに、状態 $S$ に対して $\sigma(S)$ ですが、これは状態が $B$ を指している数の偶奇、
今の場合は、ちょうど$-x$ に当たるのが $B$ (もちろんいつもそうなっているわけではない)
ですから、指している角が $B$ となる数が奇数であるのは、2つ目の
状態であるときのみであり、このとき $\sigma(S)=-1$ となり、それ以外は $\sigma(S)=1$ です.
そのとき、
$$\sigma(S)=sgn(\tau)$$
がきれいに成り立っているのです.
もちろん、この関係式は証明が必要です.
状態和を行列式で書くこと.
状態和の不変量を考えるとき、
その量をある行列の行列式で書くということは、他の場面でもよく現れます.
今の例では、「状態全体」を「結び目の図式のなす交点と領域の間の一対一対応全体」
と読み替えた時、その状態にそって考えられた量は何かの行列の行列式として
書けていることが期待されます.
もちろん、符号の問題もありますからミラクルが起こるかどうかは
その時次第かもしれません.
「ある状態が、何かの一対一対応写像と一致するものとします.
さらに、その状態の量がその一対一写像に付随して決まり、その状態和がある不変量を
与えているとすると、その値は何かの行列の行列式としてまとめることができる.」
ことを意味し、
「何かの不変量が行列式で与えられるとすると、その各項は、ある状態全体の和とした不変量
として解釈することができる」
も意味するでしょう.
前者の方の見方の方が、状態和不変量が行列式としてまとまって、
きれいな公式が作れそうですが、
後者の方の見方には実は深みがあります.
つまり、なんとなく定義した行列式不変量の展開項一つ一つには何か幾何学的な
意味が潜んでいるかもしれないということを示唆しているからです.
実際、アレクサンダー多項式の展開式の項はある状態を表しますが、
これは単なる項ではなく、さらに結び目のフレアホモロジーというものの生成元としての意味が
れっきとしてあったのです.(参考文献(3)をみよ.)
このフレアホモロジーというのはさらに、サイバーグウィッテン不変量など、
現代を代表する、物理学のある理論から出てくる不変量と同型の理論であることがわかっています.
参考文献
以前のblogでやりました.
この不変量は結び目のある状態の足し合わせとして得られていました.
しかし、この不変量はある行列の行列式としての解釈もあります.
行列式としてのアレクサンダー多項式
ちなみに、以下のように、状態和としての不変量であるアレクサンダー多項式が
何かの行列式になっているという事実は、カウフマンをして「ミラクル」だと言っています.
これから、アレクサンダーコンウェイ多項式(正確にいえば、$z=W-B$ を代入する前の式)
はある行列の行列式の展開式だということを例を使って説明します.
ちなみに前回紹介したのはアレクサンダー-コンウェイ多項式と言いましたが、
アレクサンダー多項式とアレクサンダー-コンウェイ多項式は下に示すように変数を
取り換えただけですから本質的には同じものです.
以下の構成はカウフマン(Kauffman)の以下の著書(1)もしくは論文(2)にそのまま
載っています.
どのような行列かというと....
結び目の図式の各交点において、その4ツ角に
のような式をおきます.
このとき、この点において、
$$xA-xB+C-D=0$$
なる関係式をおきます。
このような交点の周りのラベリングをアレクサンダーラベリングといいます.
上を通るアークの方向が付いていませんが、どちらに向かっていてもラベリングの付け方は
かわりません.
そうすると、各交点の数が列数 $n$ 、領域の数が行数 $n+2$ となる $n\times (n+2)$ 行列
$M$ を作ることができます.
例えば、三葉結び目の場合、アレクサンダーラベリングは、領域を
図のように $A,B,C,D,E$ として、表示しておけば、
となります.この交点に従って作られた3つの関係式からくる行列 $M$ は
$$M=\begin{pmatrix}x&-1&0&-x&1\\x&-x&-1&0&1\\x&0&-x&-1&1\end{pmatrix}$$
となります.さらに、隣り合う領域をひと組、例えば、$A,D$ としておきます.
この選び方は、blogで行ったものと同じですが、実際、どこの隣り合った領域でも
構いません.そして、その領域に関係する縦ベクトルを除いてやって
得られる$n\times n$ 行列を $M[A,D]$ としておけば、
$$M[A,D]=\begin{pmatrix}-1&0&1\\-x&-1&1\\0&-x&1\end{pmatrix}$$
となります.つまり、行列 $M[A,D]$ は、$B,C,E$ からなる列つまり、$2,3,5$列目だけから
なる正方行列です.
こうして、この行列の行列式を計算することで、
$$\det(M[A,D])=1-x+x^2$$
が得られます.
この式は実は、アレクサンダー-コンウェイ多項式を計算する前の式 $\langle K\rangle$
つまり、$WB=1$ かつ $z=W-B$ とする前の式において、
$W=x^{\frac12}$, $B=x^{-\frac12}$ としてえられる $x$ のローラン多項式と、
全体に $\pm x^m$ をかけることを除いて等しくなります.
($m$ は何かの整数.)
つまり、$\langle K\rangle=W^2-WB+B^2=x-1+x^{-1}$ ですが、
この式は、$x-1+x^{-1}=x(1-x+x^2)$ となっています.
他のを計算してみると、 $\det(M[A,B])=1-x+x^2$ や $\det(M[D,E])=x-x^2+x^3$
$\det(M[A,C])=-1+x-x^2$ となり、$\pm x^m$ をかけてやれば、みな、$x-1+x^{-1}$ と
等しくなります.
この、$\pm x^m$ をかけることを除いて $1-x+x^2$ と一致することを
$$\det(M[A,D])\doteq 1-x+x^2$$
と書きます.
そうしてでてきた $x$ の多項式をアレクサンダー多項式と言います.
アレクサンダー多項式の指数は $x^m$ を掛ければどんどん変わっていってしまうので、
対称化しておいて、$x^{-1}-1+x$ と書くこともあります.
ちなみに、アレクサンダー多項式の性質として、必ず、上のように対称になります.
つまり、$\pm x^m$ を掛けてやることで必ず、
$$a_kx^k+a_{k-1}x^{k-1}+\cdots+a_{k-1}x^{-k+1}+a_kx^{-k}$$
の形に置くことができます.
アレクサンダー多項式は結び目のイソトピー不変量になります.
状態和不変量がどうして行列式で書けたのか?
この不変量の各項は意味があります.
三葉結び目の状態は3つであったことを思い出しましょう.
つまり、もう一度振り返りますと、
$$M[A,D]=\begin{pmatrix}-1&0&1\\-x&-1&1\\0&-x&1\end{pmatrix}$$
となっています.この行列式がどうしてアレクサンダー多項式と一致するのでしょうか.
$M[A,D]=(a_{ij})$ としておき、この行列を行列式の定義に基づいて考えます.
つまり、残った、$B,C,E$ を順に $1,2,3$ とし、
交点のうち左上のものを 1 として時計回りに $1, 2, 3$ としています.
ところで、行列式は定義式で書いておけば、
$$\det=\sum_{\sigma\in S_n}sgn(\sigma)a_{1\sigma(1)}a_{2\sigma(2)}\cdots a_{n\sigma(n)}$$
となっています.
ここで $sgn$ は置換 $\sigma$ の符号数です.
結び目の図式のある状態とは、
$$\tau:\{\text{交点全体}\}\to \{\text{●のない領域全体\}}$$
であり、それぞれは、同数ずつあり、(例えば上のように $\{1,2,3\}$ と同一視しましたが)
状態の条件(各領域には▲は一つだけおく)はこの $\tau$ が一対一写像であることを
意味します.
とりわけ今の場合は $S_3$ の元との一致があります.
上の行列で、係数が $0$ でない項を見ると、
$$a_{11}a_{22}a_{33}-a_{11}a_{32}a_{23}+a_{13}a_{21}a_{32}$$
となります.それぞれの状態では、置換
$$\begin{pmatrix}1&2&3\\1&2&3\end{pmatrix}, \begin{pmatrix}1&2&3\\1&3&2\end{pmatrix}, \begin{pmatrix}1&2&3\\3&1&2\end{pmatrix}$$に対応しています.次にそれぞれの項を見ていきます.
それぞれの項はどうなっているのか.
前回の $S_1,S_2,S_3$ のそれぞれの ▲ があった場所にだけ
アレクサンダーラべリングを置きます.
対角成分の積は、
$$a_{11}a_{22}a_{33}=(-1)\cdot (-1)\cdot 1$$は状態
に対応し、
$$a_{11}a_{32}a_{23}=(-1)\cdot 1\cdot (-x)$$
は状態
に対応し、
$$a_{13}a_{21}a_{32}=1\cdot (-x)\cdot (-x)$$
は状態
に対応しています.
さらに、状態 $S$ に対して $\sigma(S)$ ですが、これは状態が $B$ を指している数の偶奇、
今の場合は、ちょうど$-x$ に当たるのが $B$ (もちろんいつもそうなっているわけではない)
ですから、指している角が $B$ となる数が奇数であるのは、2つ目の
状態であるときのみであり、このとき $\sigma(S)=-1$ となり、それ以外は $\sigma(S)=1$ です.
そのとき、
$$\sigma(S)=sgn(\tau)$$
がきれいに成り立っているのです.
もちろん、この関係式は証明が必要です.
状態和を行列式で書くこと.
状態和の不変量を考えるとき、
その量をある行列の行列式で書くということは、他の場面でもよく現れます.
今の例では、「状態全体」を「結び目の図式のなす交点と領域の間の一対一対応全体」
と読み替えた時、その状態にそって考えられた量は何かの行列の行列式として
書けていることが期待されます.
もちろん、符号の問題もありますからミラクルが起こるかどうかは
その時次第かもしれません.
「ある状態が、何かの一対一対応写像と一致するものとします.
さらに、その状態の量がその一対一写像に付随して決まり、その状態和がある不変量を
与えているとすると、その値は何かの行列の行列式としてまとめることができる.」
ことを意味し、
「何かの不変量が行列式で与えられるとすると、その各項は、ある状態全体の和とした不変量
として解釈することができる」
も意味するでしょう.
前者の方の見方の方が、状態和不変量が行列式としてまとまって、
きれいな公式が作れそうですが、
後者の方の見方には実は深みがあります.
つまり、なんとなく定義した行列式不変量の展開項一つ一つには何か幾何学的な
意味が潜んでいるかもしれないということを示唆しているからです.
実際、アレクサンダー多項式の展開式の項はある状態を表しますが、
これは単なる項ではなく、さらに結び目のフレアホモロジーというものの生成元としての意味が
れっきとしてあったのです.(参考文献(3)をみよ.)
このフレアホモロジーというのはさらに、サイバーグウィッテン不変量など、
現代を代表する、物理学のある理論から出てくる不変量と同型の理論であることがわかっています.
参考文献
- Kauffman, Louis H. Formal knot theory. Mathematical Notes, 30. Princeton University Press, Princeton, NJ, 1983. ii+168 pp. ISBN: 0-691-08336-3
- Kauffman, Louis H. Remarks on Formal Knot Theory, arXiv:math/0605622v1
- 丹下基生 ヒーゴールフレアホモロジー-Heegaard Floer homology, 数理科学47(通号556)2009年10月48-53
次の様な結び目だけの計量を考えました。
返信削除不変量では無いかもしれませんが役に立つ様です。
結び目で交点を一つ上下交換しても必ず結び目になります。
この方法だけで計量する事を考えました。
正の三葉結び目ならば、交換すると解けて0になります。
この流れの路は3点あるので、この計量は3pとします。
同様に負の三葉結び目なら、3mですので、正負の判別は明解です。
交点数4の八の字結び目なら、2p+2mです。
素な正の5交点の1番目の結び目なら、どの点も交換すると
正の三葉結び目になるので5p・3pとします。
素な6交点の3番目の結び目なら、2つの正の交点を交換すると
負の3葉結び目になり、他の1つの正の交点では解けて0になります。
それで2p・3m+pとします。残りの負の交点でも同様に
2m・3p+mとなります。併せて、12pm+p+mとすると、
pとmの対称式になり、この結び目がもろて型であることが明示できました。
また最小交点数が奇数交点の結び目では必ずもろて型でない結び目である事が
この方式で明示できます。
カウフマン多項式では9交点の42番目の素な結び目などが
もろて型で無いと分類できませんが、pm方式では分類できます。
ジョーンズ多項式では11交点のミュータントな結び目が分類できませんが、
この方法なら分類できると思いますが、如何でしょうか。
どうぞ御教え下さい。
コメントありがとうございます.
削除最小交点数が奇数でも両手型の結び目は存在します.
Hoste, J., Thistlethwaite, M., Weeks, J., The first 1,701,936 knots.
Math. Intelligencer 20 (1998), no. 4, 33-48.
ただし、素な結び目ではありますが、交代結び目ではありません.
交代結び目であれば、奇数最小交点なら両手型ではありません.
また、おっしゃられている量はおそらく不変量ではないと思いますが、普通、不変量は結び目から引き出される量(イソトピー不変など)であって、その量を見ただけで両手型であると断言できる場合は限られた場合です.
勿論証明が必要です.
結び目の絵だけ見て計算できる量からイソトピー不変量(そのようなものを目指したものではないのかもしれませんが)を引き出すのは結構大変です.
その結び目の持つ全ての射影図に対して同じ量でないといけないからです.
ただ、もう少し考えれば面白いものを作っているのかもしれません.
非交代結び目であっても最小交点数の射影図であれば正負の交点数が不変量として保存されるのではないでしょうか。奇数交点数であれば必ず過不足があり双手型にはなれないわけです。反例の素な結び目があればどうぞ番号をお教え下さい。
削除両手型結び目の最小交点図式も両手型の図式とは限りません.
削除反例に関しては、
https://ja.wikipedia.org/wiki/交点数_(結び目理論)
の文章を読んでみてください.
「両手型結び目の最小交点図式も両手型の図式とは限りません.」とはいかなる意味でしょうか。双手型ならばその図式の正負の交点数は同じではないでしょうか。
削除そうぞ反例の素な非交代結び目の番号を一つ御教え下さい。
両手型の図式を持つ結び目があってもそれの交点数が最小とは限らないということです.
削除詳しくは、上記の論文を見てください.そのような結び目の射影図が載っています.
私の方法は、とり合えずは、最小交点数の射影図に対してしか成り立ちませんので、ご指摘のものは考慮していません。最小交点数で無いものについては、この方式を生かしつつ不変量になる様に拡張が必要です。
削除どうぞ最小交点数の射影図の素な非交代結び目の反例の番号を一つ御教え下さい。
15_224980です。
削除図式表示は、
http://mathworld.wolfram.com/AmphichiralKnot.html
を見てください.
ですから、それは最小交点数ではないでしょ。最小交点数でないのなら、もっと小さなもので幾らでもあります。最小交点数の場合は当然例外が無いですね。
削除この方式では何時編み込みが発生するかと心配ですが、8交点の素な非交代結び目では発生しませんでした。
削除ジョーンズ多項式の美しい証明に於いて捻り数を考慮すると、物理の統計和が、ライデマイスター移動で不変である、という事実について、どう思われます?
返信削除結び目の完全不変量は結び目群なのに、不完全なジョーンズ多項式がもてはやされて、結び目群の改善が直接なされない事について、どう思われます?
ジョーンズ多項式が実にさまざまな数学的な理論に支えられています.元々はジョーンズの作用素環を用いた存在性、ウィッテンによるTQFTを用いた再定義、また、カウフマンによる状態和の理論.その他様々な側面を持っています.つまり、おっしゃられているように定義された多項式が不変量となるということは、そのような側面であることの直接の系であるということです。
削除つまり、ジョーンズ多項式の最大の魅力は、そのように非常に多くの分野と関わっているということです。多くの分野で整合性が取れるということは、非常に役に立つし、多くの性質を持っているともいえます。また、多くの側面からの研究ができることで、多項式そのものの研究のみならず、それを成立せしめている状況においても多くのことがわかるようになるということです。
そういうわけで、ジョーンズ多項式とその周辺分野は、十分すぎるほど魅力的な研究対象であり、今でも活発に研究されているという理由がここにあります。
これからも、ジョーンズ多項式が数学者を魅了し続けるということは間違いないと思います。
結び目群を直接改善するということが何を意味しているのかよくわかりません。まず、結び目群そのものが難しいということはあるでしょう。群の表現を用いたような研究は今でもなされており発展をしています。
大槻知忠さんの結び目の不変量、河内明夫さんの結び目の理論、河野俊丈さんの反復積分の幾何学など、コンセビッチ不変量を理解する為に、何が良いと御考えですか?
返信削除手にとってめくってみて面白いと思えるもので良いのではないでしょうか?
削除入門としては河野俊丈先生の「場の理論とトポロジー」なんかはどうでしょうか。
「ヤング台と結び目」という書籍は無いでしょうか。ヤング台とジョーンズ多項式と結び目の関係を示した書籍は無いでしょうか。
返信削除関係があるかどかわかりませんが、村上先生の「結び目と量子群」はとても良い本です.量子群の既約表現のR行列の関係式などを具体的に求めていたりします.T.OhtsukiのQuantum invariantsなんかはどうなんでしょうか。
削除多次元の対称式を基本対称式でまとめる時、ヤング図形を用いると計算が省略できます。河内明夫教授によるとヤング標準盤は結び目のジョーンズ多項式に対応しています。大槻知忠教授によるとジョーンズ多項式は結び目のコンツェヴィッチ不変量の一次の係数に表れます。山田修司教授によると結び目の多並行化不変量の計算量を減らす
削除のにヤング標準盤が使えます。大槻知忠教授によるとジョーンズ多項式の方法では計算量が大きくなり過ぎるので、R行列を用いて減らす必要があります。(R行列はマイクロ波工学にも場の量子論にも用いられる行列のことでしょうか?)コンツェヴィッチ不変量は多重ゼータ関数と関係があるという情報があります。原子から出るスペクトルは素数のゼータ関数のゼロ点の間隔に対応しているそうですが、(ちょっと妄想ですが)原子を構成する超弦が絡み目現象を起こしているのでしょうか(^^??????
まずは、興味のある話題に対して自分の中で納得できるまで、計算してみるところから始めると良いと思います.これは、非常に具体的な対象に対してでさえ効果的です.そうすると、どのようなことが成り立ちそうか、ということがはっきりと見えてきます.
削除ヤング標準盤をスッ飛ばして、分割数を見つけて多重合成関数のテイラー展開の係数を多重分割数の式で表しましたが、分割数のより核心的な式は何かと思いました。デデキントのη関数に出会いましたが、ヤング標準盤やR行列や結び目に伴う、より高等な関数は何でしょうか。
削除「物事には順序があります」という御言葉を頂き、日比孝之教授の順序のあるヤング標準盤の文を見ました。
一松信教授の新数学辞典には、分割数をガンマ関数を核に用いて積分で表した核心的な式がありました。
一松信教授も、今では日比孝之教授も(さらに高速化する為にでしょうか)グレブナー基底を紹介されている様です。
どうも「1章 リー代数と量子論」を見るとクォークなどの素粒子の計算の省略にヤング図形が役立つ様です。
山田修司教授(や村上順教授)によると、結び目では多平行化不変量の為に、より詳細に順序のあるヤング標準盤を用いますが、大槻知忠教授によると、計算を省略する為にR行列で行う必要があります。
ネット情報の自動学習や、分子生物学の在る今日、絡み目やグラフ理論の計算の省略の要求が非常に高く成っているのでしょうか。
超弦理論やM理論の時代になり、原子内の電気力の10^-40程度の強さしかない万有引力も無視しない時代に突入したのでしょうか。カラビ・ヤウ空間には多様体の不変量が必要になるのではないかと思います。
削除存在物の基礎である、素粒子や、原子内の空間は、厳密に同種の物は同一です。これを完全に記述する時代に突入したのでしょうか。
大脳表面の星状細胞には量子効果があるのではないか、とも言われています。これもシミュレートする時代になるのでしょうか。焼きなまし型のカナダのDウェーブ社の量子計算機が近く512キュービットになると聞きます。結び目の完全不変量でないと、誤差が大きくなるのではないかと心配です。
カウフマンによると、最小交点表示の結び目では、捻り数が不変量になるとのことです。捻り数が不変量であれば、最小交点数表示の交点数が奇数個の結び目は、必ず正と負の交点数が異なり、もろ手型にはならないと言えます。
返信削除どうでしょうか。
最小交点表示としてもろ手形の図式が実現できるような結び目であれば、最小交点数奇数の結び目はもろ手形にはなりません。
削除ヤング標準盤のフック長の公式は簡便で強力ですが、証明は難解な様です。平易な証明があれば御教授頂けないでしょうか。
返信削除