線形代数II演習のレポートの解答について、
学生のレポートをみていて気になった箇所について書きます.
数学の解答は自分だけのものではなく、誰かに読んでもらうことを念頭に置いて書いてください.
数学に限らず、人に読んで理解してもらえる文章をこころがけましょう.
大変多かったのは、
$a_0E+a_1A+\cdots+a_mA^m=\begin{pmatrix}a_0&0&\cdots&\cdots\\0&a_0&\cdots&\\0&\cdots\end{pmatrix}+\begin{pmatrix}a_1\lambda_1&0&\cdots&\cdots\\0&a_1\lambda_2&\cdots&\\0&\cdots\end{pmatrix}+\cdots\begin{pmatrix}a_{n-1}\lambda_1^{n-1}&0&\cdots&\cdots\\0&a_{m-1}\lambda_2^{m-1}&\cdots&\\0&\cdots\end{pmatrix}=(a_0+a_1\lambda_1+\cdots+a_m\lambda_{m-1})\begin{pmatrix}1\\0\\\vdots\\0\end{pmatrix}+\cdots$
などと途中まで$n\times n$行列で書いているのに最後になぜか$n$次元ベクトルになっている.
今回のレポートに限らず集合とその元を混同しているもの.
${\Bbb C}[A]=a_0E+a_1A+\cdots+a_mA^m$
と書いている人も少なからずいます.さらにこの式を変形している人もいますが、
この等式?は左辺は$A$ の多項式全体の集合なのに、右辺はその多項式を書いています.
${\Bbb R}=3$ のように書いているのと同じですが、普通このように書きませんよね?
実数$=3$は誰だっておかしいと思います.
書くなら
${\Bbb C}[A]\ni a_0E+a_1A+\cdots+a_mA^m$ や
${\Bbb R}\ni 3$
と書くべきです.
C-6-1(2)
$\begin{cases}
a_0+a_1\lambda_1+a_2\lambda_1+\cdots+a_{n-1}\lambda_1^{n-1}=0\\
\cdots\\
a_0+a_1\lambda_{n}+a_2\lambda_n+\cdots+a_{n-1}\lambda_n^{n-1}=0
\end{cases}$
となっており、$\lambda_1\cdots,\lambda_n$
が相異なるので$a_0=a_1=\cdots=a_{n-1}=0$ となると
単に書いてある答案が多かったです.
なぜこの式から全て $0$ がいえるでしょうか?
線形代数を習っているのだから、一次式の連立方程式が出てきたら
線形代数を是非とも使ってください.
$$\begin{pmatrix}1&\lambda_1&\lambda_1^2&\cdots\\1&\lambda_2&\lambda_2^2&\cdots\\\cdots\\1&\lambda_n&\lambda_n^2&\cdots\\\end{pmatrix}\begin{pmatrix}a_0\\a_1\\\vdots\\a_{n-1}\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}0\\0\\\vdots\\0\end{pmatrix}$$
この行列が逆行列をもつかどうかが $\{E,A,\cdots,A^m\}$ が一次独立かどうかに依存することになります.
こうするとファンデルモンテの行列式が出ますね?
$\lambda_i\neq \lambda_j\ \ (i\neq j)$ が本質的にどこで用いたのか分からない解答もちらほらありました.
使っていない条件があれば、どこで使うのか考えてみてください。
詰将棋で、使っていない手持ち駒があったら変だと思うのと同じ感覚です.
以下意味不明な文章
$\dim(V)$ において意味が有るのは$V$がベクトル空間などの場合です.
同じように、$Ker(F)$ や $Im(F)$ も $F$ が線形写像など写像でないと少なくとも意味が通りません. $V$ をベクトル空間なのに $Ker(V)$ や$Ker(7)$ などの定義は意味が有りません.
C-6-2
有理数$=\sqrt{2}$ となることを使って矛盾を導くことがでいればよかったのですが、
背理法をうまく使うことができていない答案が多かったです.
3つのときも、単に、そのような有理数がないとなっている答案もありました。
どうしてそうなのか?要証明です.
学生のレポートをみていて気になった箇所について書きます.
数学の解答は自分だけのものではなく、誰かに読んでもらうことを念頭に置いて書いてください.
数学に限らず、人に読んで理解してもらえる文章をこころがけましょう.
- 自分だけがわかる記号などはやめること.その記号が何なのか定義がないと読めません.
- 定義されていない(もしくはできないような)書き方は避けること、以下に書くように、行列$A$ として、$\dim (A)$ やベクトル空間を $V$ として $Ker(V)$ など、自分が書いた数式に本当に意味があるかどうか見直してみることも大事です.そうすると、自分が何をしているのかはっきりしてきます.
- 国語として主語と目的語が何かいちいち自分に問いかけてください.必要だと思えばそれらは補って書いた方が誤解が少ないです.それらを省略する場合はいかにも分かっており回りくどいと思われるときだけです.読んでもらう人には、自分にとってはほとんど当たり前と思えるようなレベルで書いていくとよいのです.
- 相手は何も分からない小学生だと思って、「いい?わかる?だって○○でしょ、だからこうなるよね?で、こうなって....こうしたんだよ.だから証明できたでしょ.」などと思いながら丁寧にやると丁度よいくらいです.
大変多かったのは、
$a_0E+a_1A+\cdots+a_mA^m=\begin{pmatrix}a_0&0&\cdots&\cdots\\0&a_0&\cdots&\\0&\cdots\end{pmatrix}+\begin{pmatrix}a_1\lambda_1&0&\cdots&\cdots\\0&a_1\lambda_2&\cdots&\\0&\cdots\end{pmatrix}+\cdots\begin{pmatrix}a_{n-1}\lambda_1^{n-1}&0&\cdots&\cdots\\0&a_{m-1}\lambda_2^{m-1}&\cdots&\\0&\cdots\end{pmatrix}=(a_0+a_1\lambda_1+\cdots+a_m\lambda_{m-1})\begin{pmatrix}1\\0\\\vdots\\0\end{pmatrix}+\cdots$
などと途中まで$n\times n$行列で書いているのに最後になぜか$n$次元ベクトルになっている.
今回のレポートに限らず集合とその元を混同しているもの.
${\Bbb C}[A]=a_0E+a_1A+\cdots+a_mA^m$
と書いている人も少なからずいます.さらにこの式を変形している人もいますが、
この等式?は左辺は$A$ の多項式全体の集合なのに、右辺はその多項式を書いています.
${\Bbb R}=3$ のように書いているのと同じですが、普通このように書きませんよね?
実数$=3$は誰だっておかしいと思います.
書くなら
${\Bbb C}[A]\ni a_0E+a_1A+\cdots+a_mA^m$ や
${\Bbb R}\ni 3$
と書くべきです.
C-6-1(2)
$\begin{cases}
a_0+a_1\lambda_1+a_2\lambda_1+\cdots+a_{n-1}\lambda_1^{n-1}=0\\
\cdots\\
a_0+a_1\lambda_{n}+a_2\lambda_n+\cdots+a_{n-1}\lambda_n^{n-1}=0
\end{cases}$
となっており、$\lambda_1\cdots,\lambda_n$
が相異なるので$a_0=a_1=\cdots=a_{n-1}=0$ となると
単に書いてある答案が多かったです.
なぜこの式から全て $0$ がいえるでしょうか?
線形代数を習っているのだから、一次式の連立方程式が出てきたら
線形代数を是非とも使ってください.
$$\begin{pmatrix}1&\lambda_1&\lambda_1^2&\cdots\\1&\lambda_2&\lambda_2^2&\cdots\\\cdots\\1&\lambda_n&\lambda_n^2&\cdots\\\end{pmatrix}\begin{pmatrix}a_0\\a_1\\\vdots\\a_{n-1}\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}0\\0\\\vdots\\0\end{pmatrix}$$
この行列が逆行列をもつかどうかが $\{E,A,\cdots,A^m\}$ が一次独立かどうかに依存することになります.
こうするとファンデルモンテの行列式が出ますね?
$\lambda_i\neq \lambda_j\ \ (i\neq j)$ が本質的にどこで用いたのか分からない解答もちらほらありました.
使っていない条件があれば、どこで使うのか考えてみてください。
詰将棋で、使っていない手持ち駒があったら変だと思うのと同じ感覚です.
以下意味不明な文章
- $\lambda_1,\cdots,\lambda_n$ が線形独立である.
- $\dim(A^i)$ を計算しているもの.
$\dim(V)$ において意味が有るのは$V$がベクトル空間などの場合です.
同じように、$Ker(F)$ や $Im(F)$ も $F$ が線形写像など写像でないと少なくとも意味が通りません. $V$ をベクトル空間なのに $Ker(V)$ や$Ker(7)$ などの定義は意味が有りません.
C-6-2
有理数$=\sqrt{2}$ となることを使って矛盾を導くことがでいればよかったのですが、
背理法をうまく使うことができていない答案が多かったです.
3つのときも、単に、そのような有理数がないとなっている答案もありました。
どうしてそうなのか?要証明です.
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