[数学1 クラス対象(金曜日5限)]
広義重積分
広義重積分で重要なのはその積分が収束するかどうかということですが、収束するかどうかは検証する必要があります.
まず、広義積分可能であるとは領域 D の任意の有界閉集合の増大列
D_1\subset D_2\subset D_3\cdots
が存在して、D=\cup_{n=1}^\infty D_n が成り立つとします.関数 f(x,y) が各 D_nにおいて積分可能とするとき、
\lim_{n\to\infty}\int\int_{D_n }f(x,y)dxdy
が収束するとき、\int\int_Df(x,y)dxdy は収束するといいます.
問題は任意の増大列をとって収束するかどうかをチェックする必要があるということです.
しかし、g(x,y)\ge 0 であれば、収束する増大列が一つ存在すれば十分です.
また、絶対収束という立場で、|f(x,y)|\le g(x,y)が成り立ち、\int\int_Dg(x,y)dxdyが収束すれば、\int\int_Df(x,y)dxdyも収束します.
条件収束の形の問題は収束を示すのが困難です.
一変数の広義積分では、例えば、[1,\infty)の区間での広義積分は、
|f(x)| を \frac{1}{x^s} のようなべき関数で比較して、|f(x)|\le \frac{1}{x^s}\ \ (s>1) であれば収束し、
|f(x)|\ge \frac{1}{x^s}\ \ (s\le 1) であれば、発散します.
\int_1^{\infty}f(x)dx\le \int_1^{\infty}\frac{dx}{x^2}<\infty
と比べることで、広義積分の収束を議論しました.
つまり、|f(x)x^s|,\ \ (s>1)がx\to \infty で有界であればよいことになります.
これはランダウの記号でかけば、f(x)=O(\frac{1}{x^s})\ \ (x\to \infty) です.
要するに \frac{1}{x} が収束発散の境目あたりということになります.
例えば\int_1^\infty\frac{dx}{\sqrt{x^4+1}} の収束や\int_1^\infty\frac1{\sqrt{x^3+x^2}}
は収束しますが、
\int_0^\infty\frac{xdx}{x^2+x+1} などは収束しません.
また、上の判定法が万能というわけではなく、 \int_2^\infty\frac{dx}{x\log x} などは上の判定からはわかりませんが収束しません.
\int \frac{dx}{x\log x}=\log\log x であることを使うか、変数変換をして、
\int_{\log 2}^\infty\frac{dy}{y} として上記の判定法に帰着させるかです.
つまり、\int_2^\infty\frac{dx}{x(\log x)^s} は、s>1 であるなら収束はします.
このような関数もべき関数の次に判定として使える関数であることがわかりますね.
\int_2^\infty\frac{\sin \frac{1}{x}(\log x+1)dx}{(\log x)^2(\log x+2x)} なども
適当に作った積分ですが、収束するということでしょうか.
2変数では、広義積分可能であるためには比べる関数は \frac{1}{x} や \frac{1}{\sqrt{x^2+y^2}} が境目というわけではありません.
重積分は一変数の積分を2回することになるのでこれでは収束に足りないでしょう.
つまり、\frac{1}{(x^2+y^2)^{\frac{s}{2}}} としたときに、s>2であれば、収束します.
無限大に発散する領域上の積分においては、いつもの優級数法などで収束を示す場合、
f(x,y)\le \frac{C}{(x^2+y^2)^{\frac{s}{2}}} ただし、s>2 なる状況を作っておいて
無限大の方向に右辺が収束するから \int\int_Df(x,y)dxdy の収束する
などとやるとよいでしょう.
実際、D=\{(x,y)|1\le x^2+y^2\} において、
\int\int_D\frac{dxdy}{(x^2+y^2)^{\frac{s}{2}}}=\int_0^{2\pi}\int_1^\infty\frac{drd\theta}{r^{s-1}} となりますので
s>2 であれば収束します.
授業で取り上げなかった問題をやってみます.
例題9-1(5)
極座標で変換してやると D_n=\{(x,y)|x^2+y^2\le n^2\} として、
\int\int_{D_n}\frac{dxdy}{(x^2+y^2+1)^2}=\int_0^{2\pi}\int_0^n\frac{rdrd\theta}{(r^2+1)^2}=2\pi\int_0^{n}\frac{rdr}{(r^2+1)^2}=\pi\int_1^{n^2+1}\frac{ds}{s^2},\ \ (s=r^2+1)
=\pi\left[-\frac{1}{s}\right]_1^{n^2+1}=\pi(1-\frac{1}{n^2+1})\to \pi\ \ \ (n\to \infty)
故に、広義積分は収束し値は \piになる.
パラメータのある関数の積分
パラメータのある関数とは f(x,y) のうち y の方をパラメータと考えて
\int_a^bf(x,y)dx とする積分のことですが、これはyの関数になっており、
それを F(y) とするとき、F(y) の微分可能性については、f(x,y)がyについて
偏微分可能であり、 f_y(x,y) が両方の成分に関して連続.つまり f_y(x,y) が
2変数関数として連続であれば y について微分でき、
\frac{d}{dy}F(y)=\int_a^bf_y(x,y)dx
となります.
つまり微分と積分を順番を入れ替えてもよいことになります.
ただし、a,b はy に依らない定数とします.
積分が広義積分である場合は\int_a^bf_y(x,y)dx の広義積分が収束する
必要があります.
演習で途中までになってしまったものを最後までやっておきます.
\int_0^{\frac{\pi}{2}}\log(a^2\cos^2x+b^2\sin^2x)dx=F(a,b) とすると、
被積分関数の a での微分は
\frac{2a\cos^2x}{a^2\cos^2x+b^2\sin^2x}=\frac{2a}{a^2+b^2\tan^2x} ですが、
0<x<\frac{\pi}{2}, 0<a<\infty において明かに連続です.
F_a(a,b)=\int_0^{\frac{\pi}{2}}\frac{2a}{a^2+b^2\tan^2x}dx=2a\int_a^{\infty}\frac{1}{a^2+b^2t^2}\frac{dt}{1+t^2}
=\frac{2a}{b^2-a^2}\int_0^{\infty}\left(\frac{b^2}{a^2+b^2t^2}-\frac{1}{1+t^2}\right)dt
=\frac{2a}{b^2-a^2}\left(\frac{b}{a}-1\right)\int_0^{\infty}\frac{dt}{1+t^2}=\frac{2}{a+b}\lim_{\theta\to \infty}\text{Arctan}\theta
=\frac{\pi}{a+b}
ゆえに、F(a,b)=\pi\log(a+b)+C(b) となる.
F(0,b)=\int_0^{\frac{\pi}{2}}\log(b^2\sin^2x)dx=\pi\int_0^{\frac{\pi}{2}}(\log b)dx+2\int_0^{\frac{\pi}{2}}\log\sin xdx=\pi\log b+\pi(-\log2)
つまり、C(b)=-\pi\log2 よって、
F(a,b)=\pi\log\frac{a+b}{2}
となる.
今日は広義重積分と、パラメータを含む関数の積分の微分を行いました.
- 広義重積分
- パラメータを含む関数の積分の微分
広義重積分
広義重積分で重要なのはその積分が収束するかどうかということですが、収束するかどうかは検証する必要があります.
まず、広義積分可能であるとは領域 D の任意の有界閉集合の増大列
D_1\subset D_2\subset D_3\cdots
が存在して、D=\cup_{n=1}^\infty D_n が成り立つとします.関数 f(x,y) が各 D_nにおいて積分可能とするとき、
\lim_{n\to\infty}\int\int_{D_n }f(x,y)dxdy
が収束するとき、\int\int_Df(x,y)dxdy は収束するといいます.
問題は任意の増大列をとって収束するかどうかをチェックする必要があるということです.
しかし、g(x,y)\ge 0 であれば、収束する増大列が一つ存在すれば十分です.
また、絶対収束という立場で、|f(x,y)|\le g(x,y)が成り立ち、\int\int_Dg(x,y)dxdyが収束すれば、\int\int_Df(x,y)dxdyも収束します.
条件収束の形の問題は収束を示すのが困難です.
一変数の広義積分では、例えば、[1,\infty)の区間での広義積分は、
|f(x)| を \frac{1}{x^s} のようなべき関数で比較して、|f(x)|\le \frac{1}{x^s}\ \ (s>1) であれば収束し、
|f(x)|\ge \frac{1}{x^s}\ \ (s\le 1) であれば、発散します.
\int_1^{\infty}f(x)dx\le \int_1^{\infty}\frac{dx}{x^2}<\infty
と比べることで、広義積分の収束を議論しました.
つまり、|f(x)x^s|,\ \ (s>1)がx\to \infty で有界であればよいことになります.
これはランダウの記号でかけば、f(x)=O(\frac{1}{x^s})\ \ (x\to \infty) です.
要するに \frac{1}{x} が収束発散の境目あたりということになります.
例えば\int_1^\infty\frac{dx}{\sqrt{x^4+1}} の収束や\int_1^\infty\frac1{\sqrt{x^3+x^2}}
は収束しますが、
\int_0^\infty\frac{xdx}{x^2+x+1} などは収束しません.
また、上の判定法が万能というわけではなく、 \int_2^\infty\frac{dx}{x\log x} などは上の判定からはわかりませんが収束しません.
\int \frac{dx}{x\log x}=\log\log x であることを使うか、変数変換をして、
\int_{\log 2}^\infty\frac{dy}{y} として上記の判定法に帰着させるかです.
つまり、\int_2^\infty\frac{dx}{x(\log x)^s} は、s>1 であるなら収束はします.
このような関数もべき関数の次に判定として使える関数であることがわかりますね.
\int_2^\infty\frac{\sin \frac{1}{x}(\log x+1)dx}{(\log x)^2(\log x+2x)} なども
適当に作った積分ですが、収束するということでしょうか.
2変数では、広義積分可能であるためには比べる関数は \frac{1}{x} や \frac{1}{\sqrt{x^2+y^2}} が境目というわけではありません.
重積分は一変数の積分を2回することになるのでこれでは収束に足りないでしょう.
つまり、\frac{1}{(x^2+y^2)^{\frac{s}{2}}} としたときに、s>2であれば、収束します.
無限大に発散する領域上の積分においては、いつもの優級数法などで収束を示す場合、
f(x,y)\le \frac{C}{(x^2+y^2)^{\frac{s}{2}}} ただし、s>2 なる状況を作っておいて
無限大の方向に右辺が収束するから \int\int_Df(x,y)dxdy の収束する
などとやるとよいでしょう.
実際、D=\{(x,y)|1\le x^2+y^2\} において、
\int\int_D\frac{dxdy}{(x^2+y^2)^{\frac{s}{2}}}=\int_0^{2\pi}\int_1^\infty\frac{drd\theta}{r^{s-1}} となりますので
s>2 であれば収束します.
授業で取り上げなかった問題をやってみます.
例題9-1(5)
極座標で変換してやると D_n=\{(x,y)|x^2+y^2\le n^2\} として、
\int\int_{D_n}\frac{dxdy}{(x^2+y^2+1)^2}=\int_0^{2\pi}\int_0^n\frac{rdrd\theta}{(r^2+1)^2}=2\pi\int_0^{n}\frac{rdr}{(r^2+1)^2}=\pi\int_1^{n^2+1}\frac{ds}{s^2},\ \ (s=r^2+1)
=\pi\left[-\frac{1}{s}\right]_1^{n^2+1}=\pi(1-\frac{1}{n^2+1})\to \pi\ \ \ (n\to \infty)
故に、広義積分は収束し値は \piになる.
パラメータのある関数の積分
パラメータのある関数とは f(x,y) のうち y の方をパラメータと考えて
\int_a^bf(x,y)dx とする積分のことですが、これはyの関数になっており、
それを F(y) とするとき、F(y) の微分可能性については、f(x,y)がyについて
偏微分可能であり、 f_y(x,y) が両方の成分に関して連続.つまり f_y(x,y) が
2変数関数として連続であれば y について微分でき、
\frac{d}{dy}F(y)=\int_a^bf_y(x,y)dx
となります.
つまり微分と積分を順番を入れ替えてもよいことになります.
ただし、a,b はy に依らない定数とします.
積分が広義積分である場合は\int_a^bf_y(x,y)dx の広義積分が収束する
必要があります.
演習で途中までになってしまったものを最後までやっておきます.
\int_0^{\frac{\pi}{2}}\log(a^2\cos^2x+b^2\sin^2x)dx=F(a,b) とすると、
被積分関数の a での微分は
\frac{2a\cos^2x}{a^2\cos^2x+b^2\sin^2x}=\frac{2a}{a^2+b^2\tan^2x} ですが、
0<x<\frac{\pi}{2}, 0<a<\infty において明かに連続です.
F_a(a,b)=\int_0^{\frac{\pi}{2}}\frac{2a}{a^2+b^2\tan^2x}dx=2a\int_a^{\infty}\frac{1}{a^2+b^2t^2}\frac{dt}{1+t^2}
=\frac{2a}{b^2-a^2}\int_0^{\infty}\left(\frac{b^2}{a^2+b^2t^2}-\frac{1}{1+t^2}\right)dt
=\frac{2a}{b^2-a^2}\left(\frac{b}{a}-1\right)\int_0^{\infty}\frac{dt}{1+t^2}=\frac{2}{a+b}\lim_{\theta\to \infty}\text{Arctan}\theta
=\frac{\pi}{a+b}
ゆえに、F(a,b)=\pi\log(a+b)+C(b) となる.
F(0,b)=\int_0^{\frac{\pi}{2}}\log(b^2\sin^2x)dx=\pi\int_0^{\frac{\pi}{2}}(\log b)dx+2\int_0^{\frac{\pi}{2}}\log\sin xdx=\pi\log b+\pi(-\log2)
つまり、C(b)=-\pi\log2 よって、
F(a,b)=\pi\log\frac{a+b}{2}
となる.