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2014年12月26日金曜日

微積分II演習(第9回)

[数学1 クラス対象(金曜日5限)]

今日は広義重積分と、パラメータを含む関数の積分の微分を行いました.
  • 広義重積分
  • パラメータを含む関数の積分の微分

広義重積分
 広義重積分で重要なのはその積分が収束するかどうかということですが、収束するかどうかは検証する必要があります.

 まず、広義積分可能であるとは領域 D の任意の有界閉集合の増大列
D_1\subset D_2\subset D_3\cdots
が存在して、D=\cup_{n=1}^\infty D_n が成り立つとします.関数 f(x,y) が各 D_nにおいて積分可能とするとき、
\lim_{n\to\infty}\int\int_{D_n }f(x,y)dxdy
が収束するとき、\int\int_Df(x,y)dxdy は収束するといいます.

問題は任意の増大列をとって収束するかどうかをチェックする必要があるということです.
しかし、g(x,y)\ge 0 であれば、収束する増大列が一つ存在すれば十分です.

また、絶対収束という立場で、|f(x,y)|\le g(x,y)が成り立ち、\int\int_Dg(x,y)dxdyが収束すれば、\int\int_Df(x,y)dxdyも収束します.
条件収束の形の問題は収束を示すのが困難です.

一変数の広義積分では、例えば、[1,\infty)の区間での広義積分は、
|f(x)|\frac{1}{x^s} のようなべき関数で比較して、|f(x)|\le \frac{1}{x^s}\ \ (s>1) であれば収束し、
|f(x)|\ge \frac{1}{x^s}\ \ (s\le 1) であれば、発散します.
\int_1^{\infty}f(x)dx\le \int_1^{\infty}\frac{dx}{x^2}<\infty
と比べることで、広義積分の収束を議論しました.
つまり、|f(x)x^s|,\ \ (s>1)x\to \infty で有界であればよいことになります.
これはランダウの記号でかけば、f(x)=O(\frac{1}{x^s})\ \ (x\to \infty) です.
要するに \frac{1}{x} が収束発散の境目あたりということになります.

例えば\int_1^\infty\frac{dx}{\sqrt{x^4+1}} の収束や\int_1^\infty\frac1{\sqrt{x^3+x^2}}
は収束しますが、
\int_0^\infty\frac{xdx}{x^2+x+1} などは収束しません.

また、上の判定法が万能というわけではなく、 \int_2^\infty\frac{dx}{x\log x} などは上の判定からはわかりませんが収束しません.
\int \frac{dx}{x\log x}=\log\log x であることを使うか、変数変換をして、
\int_{\log 2}^\infty\frac{dy}{y} として上記の判定法に帰着させるかです.
つまり、\int_2^\infty\frac{dx}{x(\log x)^s} は、s>1 であるなら収束はします.
このような関数もべき関数の次に判定として使える関数であることがわかりますね.
\int_2^\infty\frac{\sin \frac{1}{x}(\log x+1)dx}{(\log x)^2(\log x+2x)} なども
適当に作った積分ですが、収束するということでしょうか.

2変数では、広義積分可能であるためには比べる関数は \frac{1}{x}\frac{1}{\sqrt{x^2+y^2}} が境目というわけではありません.
重積分は一変数の積分を2回することになるのでこれでは収束に足りないでしょう.
つまり、\frac{1}{(x^2+y^2)^{\frac{s}{2}}} としたときに、s>2であれば、収束します.

無限大に発散する領域上の積分においては、いつもの優級数法などで収束を示す場合、
f(x,y)\le \frac{C}{(x^2+y^2)^{\frac{s}{2}}} ただし、s>2 なる状況を作っておいて
無限大の方向に右辺が収束するから \int\int_Df(x,y)dxdy の収束する
などとやるとよいでしょう.

実際、D=\{(x,y)|1\le x^2+y^2\} において、
\int\int_D\frac{dxdy}{(x^2+y^2)^{\frac{s}{2}}}=\int_0^{2\pi}\int_1^\infty\frac{drd\theta}{r^{s-1}} となりますので
s>2 であれば収束します.


授業で取り上げなかった問題をやってみます.

例題9-1(5)
極座標で変換してやると D_n=\{(x,y)|x^2+y^2\le n^2\} として、
\int\int_{D_n}\frac{dxdy}{(x^2+y^2+1)^2}=\int_0^{2\pi}\int_0^n\frac{rdrd\theta}{(r^2+1)^2}=2\pi\int_0^{n}\frac{rdr}{(r^2+1)^2}=\pi\int_1^{n^2+1}\frac{ds}{s^2},\ \ (s=r^2+1)
=\pi\left[-\frac{1}{s}\right]_1^{n^2+1}=\pi(1-\frac{1}{n^2+1})\to \pi\ \ \ (n\to \infty)
故に、広義積分は収束し値は \piになる.

パラメータのある関数の積分

 パラメータのある関数とは f(x,y) のうち y の方をパラメータと考えて
\int_a^bf(x,y)dx とする積分のことですが、これはyの関数になっており、
それを F(y) とするとき、F(y) の微分可能性については、f(x,y)yについて
偏微分可能であり、 f_y(x,y) が両方の成分に関して連続.つまり f_y(x,y)
2変数関数として連続であれば y について微分でき、
\frac{d}{dy}F(y)=\int_a^bf_y(x,y)dx
となります.
つまり微分と積分を順番を入れ替えてもよいことになります.
ただし、a,by に依らない定数とします.
積分が広義積分である場合は\int_a^bf_y(x,y)dx の広義積分が収束する
必要があります.

演習で途中までになってしまったものを最後までやっておきます.
\int_0^{\frac{\pi}{2}}\log(a^2\cos^2x+b^2\sin^2x)dx=F(a,b) とすると、
被積分関数の a での微分は
\frac{2a\cos^2x}{a^2\cos^2x+b^2\sin^2x}=\frac{2a}{a^2+b^2\tan^2x} ですが、
0<x<\frac{\pi}{2}, 0<a<\infty において明かに連続です.

F_a(a,b)=\int_0^{\frac{\pi}{2}}\frac{2a}{a^2+b^2\tan^2x}dx=2a\int_a^{\infty}\frac{1}{a^2+b^2t^2}\frac{dt}{1+t^2}
=\frac{2a}{b^2-a^2}\int_0^{\infty}\left(\frac{b^2}{a^2+b^2t^2}-\frac{1}{1+t^2}\right)dt
=\frac{2a}{b^2-a^2}\left(\frac{b}{a}-1\right)\int_0^{\infty}\frac{dt}{1+t^2}=\frac{2}{a+b}\lim_{\theta\to \infty}\text{Arctan}\theta
=\frac{\pi}{a+b}
ゆえに、F(a,b)=\pi\log(a+b)+C(b) となる.
F(0,b)=\int_0^{\frac{\pi}{2}}\log(b^2\sin^2x)dx=\pi\int_0^{\frac{\pi}{2}}(\log b)dx+2\int_0^{\frac{\pi}{2}}\log\sin xdx=\pi\log b+\pi(-\log2)
つまり、C(b)=-\pi\log2 よって、
F(a,b)=\pi\log\frac{a+b}{2}
となる.


2014年12月21日日曜日

線形代数II演習(第9回)

[物理2 クラス対象(金曜日4限)]



今日は計量ベクトル空間をやりました。
  • 計量ベクトル空間の定義
  • 直交補空間の求め方.
計量ベクトル空間とは内積の入ったベクトル空間のことです.
内積と計量は言葉は違いますが同じものです.

高校のころに登場した内積を一般のベクトル空間に入れたいわけです.
目的は、ベクトルの長さを計ったり、直交性を調べたりすることです.

内積の出所はやはりピタゴラスの定理です.

直角三角形の3辺には、
a^2+b^2=c^2
なる関係があります.つまり、直線の長さはその座標のある2次式として記述できるというのです.

実際に 4次元空間において、2点の長さの距離を測った人はいませんが、1辺が1の正方形の対角線の長さが \sqrt{2} や1辺が1の立方体の対角線の長さが \sqrt{3} であることから
容易に想像がつきます.

4次元においては、3次元にもう一つ直交座標を加えて、1辺が1の超立方体の対角線の長さを測ると、3次元の立方体の対角線ともう一つの直交座標を加えてピタゴラスの定理を用いれば、
r^2=(\sqrt{3})^2+1^2=4 より、r=\sqrt{4}=2 となるのです.

このように、ピタゴラスの定理を繰り返し用いることで、原点から (x_1,x_2,\cdots,x_n)\in {\Bbb R}^n までの距離 r
x_1^2+x_2^2+\cdots+x_n^2=r^2
として計算できるのです.


また、2次元のベクトル {\bf u}=(x_1,y_1),{\bf v}=(x_2,y_2) に対して、その2次式
x_1y_1+x_2y_2 は、その2つのベクトルの間の角度に関するになっています.
ベクトル {\bf u}c倍してやると、このc倍になりますし、
{\bf v}c 倍してやってもこのc 倍になります.
なので、{\bf u}{\bf v} の両方のベクトルを長さ1にしてやります.
このを何を意味するのか?

2点 (x_1,x_2),(y_1,y_2) の間の長さはピタゴラスの定理から (x_1-y_1)^2+(x_2-y_2)^2=x_1^2+y_1^2+x_2^2+y_2^2-2x_1y_1-2x_2y_2
がわかりますが、それぞれの点は原点からの長さは 1 なので、
(x_1-y_1)^2+(x_2-y_2)^2=2-2x_1y_1-2x_2y_2
となります.
なので、(0,0),(x_1,x_2),(y_1,y_2) で作られる三角形(3辺の長さが a,b,c )に対して余弦定理を使うと、
\cos\theta=\frac{a^2+b^2-c^2}{2ab}=\frac{1+1-(2-2x_1y_1-2x_2y_2)}{2\cdot 1\cdot1}=x_1y_1+x_2y_2
となります.
つまり、共に長さが 1 のベクトル (x_1,x_2),(y_1,y_2) に対して、
量 x_1y_1+x_2y_2 はその間の角度 \theta\cos\theta を与えることになるのです.

また、(x_1,x_2)=(y_1,y_2) としておけば、上の量は、x_1^2+x_1^2 を表します.
角度が0 であり、ピタゴラスの定理から、この点までの長さの2乗を表します.
この積 x_1y_1+x_2y_2 を内積ということにすれば、内積はピタゴラスの定理を含んでいることになります.

こうして、この式には単なる式ではなく、その幾何的意味を与えることができたのです.
x_1y_1+x_2y_2\Leftrightarrow\text{長さや角度を与える}

数式にこめられた意味を用いて数学者は多くの議論が出来るともいえます.

次なる課題は、一般のベクトル空間に対して、例えば多項式同士の間の距離や連続関数の間の角度や距離をどのように与えればよいのか?ということです.

つまり一般のベクトル空間においても同じように距離を考えられないか?
x_1x_2+y_1y_2 なる式はないのか?しかし、多項式にどのように距離をいれてよいか普通分かりません.距離が自然に考えられないものに無理やりいれているわけですから.

そんなとき、どのようなものが距離や角度になったか、もう一度考え直してみます.
ベクトルの間の角度を測るような x_1x_2+y_1y_2 のような式があれば、距離も自然にできるわけですから、2つのベクトル {\bf u}, {\bf v} の間に何か実数を与えるものがあればよい
それを、
({\bf u}, {\bf v})\in {\Bbb R}
としたのです.
そして、単なる2ベクトルから実数へのベクトルではなくて、{\bf u}{\bf v} に対して一次式になっている.つまり、2つで2次式になっていることがピタゴラスの定理から誘導されていたので、
(i)\ \ \ \ ({\bf u}+{\bf u}',{\bf v})=({\bf u},{\bf v})+({\bf u}',{\bf v})
(ii)\ \ \ \ (c{\bf u},{\bf v})=c({\bf u},{\bf v})
などを満たすこと.

を計量の定義に入れたのです.さらにこの内積からピタゴラスの定理のようなものを得たいとすれば、({\bf u},{\bf u}){\bf u} の"長さ"の2乗になるようにするのです.
それで、(iv)\ \ \ \ {\bf u}\neq {\bf 0} であれば、({\bf u},{\bf u})>0 となるようにする必要があります.

このような (\cdot,\cdot) が与えられれば、これを一般のベクトルにおける距離を与える内積と呼ぼうということです.
自然なものがなければ、内積の性質だけ抜き出して、その性質をもつものは何でも"内積"としましょうとい考え方なのです.
また、x_1y_1+x_2y_2 には対称性がありますので、(iii)\ \ \ \ \ ({\bf u},{\bf v})=({\bf v},{\bf u}) という
性質が含まれています.
x_1y_1+x_2y_2 や一般に、x_1y_1+x_2y_2+\cdots+x_ny_n などは {\Bbb R}^2{\Bbb R}^n 上の標準内積と呼ばれます.
授業中でやった
({\bf u},{\bf v})=2u_1v_1+u_1v_2+u_2v_1+2u_2v_2 は標準的な内積では有りませんが、
内積の性質を持っていました.
この式の謎は、実は
({\bf u},{\bf v})=\begin{pmatrix}u_1&u_2\end{pmatrix}\begin{pmatrix}2&1\\1&2\end{pmatrix}\begin{pmatrix}v_1\\v_2\end{pmatrix}
と書けることです.つまり、一般に、数ベクトル {\bf u},{\bf v} とある対称行列 A があって、
({\bf u},{\bf v})={}^t{\bf u}A{\bf v} とかけるとすると、上の性質 (i),(ii),(iii) までは成り立ちます.
残りの、ピタゴラスの定理が復活するという (iv) という性質は、この行列 A の性質ということですが、これは、全ての (x_1,x_2)\neq(0,0) に対して、 ({\bf u},{\bf u}) が成り立つ必要があります.これは A正定値という性質です.
このような性質をもつ行列は、例えば、2次元の場合では、\det(A)>0 かつ、対角成分が正の数であることです.一般の場合には、固有値が全て正の数ということで片づけられますが、
固有値についてはこれまであまりやっていないので、この辺で終わることにします.
最後に、
授業中にしゃべっていた、
({\bf u},{\bf v})=\begin{pmatrix}u_1&u_2\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1&1\\1&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}v_1\\v_2\end{pmatrix}
に相当する式は、内積を与えていないことがもうわかりますよね?
この行列 A が正定値でないからです.\det(A)=0 になってしまいますよね?
もっといえば、{\bf u}=\begin{pmatrix}1\\-1\end{pmatrix} とすると、
この式で内積を入れてしまえば、
({\bf u},{\bf u})=\begin{pmatrix}1&-1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1&1\\1&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1\\-1\end{pmatrix}=0
となり、非ゼロベクトルの内積が ゼロになってしまいます.

2014年12月17日水曜日

微積分II演習(第8回)

[数学1 クラス対象(金曜日5限)]


今日は積分に入りました.
  • (ジョルダン)可測集合
  • 外測度ゼロ集合
  • 重積分を累次積分として計算できること.
  • 変数変換の公式を使うこと.
  • 積分範囲を理解して積分の順序を変えること.(アフィン変換など)

ジョルダン可測集合

有界なジョルダン可測な集合 D 上で積分
\int_Df(x,y)dxdy
が定義されます.

まず、ジョルダン可測集合とは、その集合 D 上で、定義関数 \chi_D(x,y)
\chi_D(x,y)=\begin{cases}1&(x,y)\in D\\0&(x,y)\not\in D\end{cases}
としたときに、\chi_DD を含む任意の有界閉区間で積分可能であることとして定義されます.有界閉区間上での積分可能については、教科書を見てください.その積分値をジョルダン可測集合の面積といい、\mu(D) と書きます.

そのようなジョルダン可測集合上で積分が定義されます.
ここで、平面上の有界閉区間とは、[a,b]\times [c,d]=\{(x,y)|a\le x\le b,c\le y\le d\} を意味しています.

そして、有界なジョルダン可測集合 D上の関数 f(x,y)積分可能とは、f(x,y)D を含む有界閉集合 I 上に f(x,y) をゼロ拡張をしておいて、 その拡張された関数が I で積分可能であることです.

これで、ジョルダン可測集合と、その上の積分可能関数の定義が出来たことになります.


外測度ゼロ集合

集合 D が外測度がゼロであるとは、D を覆う 正方形の有限個の集合 \{L_j\}
D\subset L_1\cup L_2\cup\cdots\cup L_n
として、そのような \{L_j\} の測度の下限をとることで、外測度が定義されます.
つまり、
\overline{\mu}(D)=\inf\left\{\sum_{j=1}^n\mu(L_j)|D\subset \cup_{j=1}^nL_j\right\}
ここで、\mu(L_j) は四角形の面積です.



その集合 D が外測度がゼロであれば、D はジョルダン可測であり、面積 0
つまり、\mu(D)=0 となります.
また、面積ゼロ集合上の任意の有界な関数は積分可能で、\int\int_Df(x,y)dxdy=0 となります.

なので、外測度がゼロな集合は無視しても積分には関係がありません.


累次積分と重積分の計算

 I=[a,b]\times [c,d] を有界閉区間とします.f(x,y)I 上で積分可能であれば、
\int\int_If(x,y)dxdy=\int_c^d\int_a^bf(x,y)dxdy
と、累次積分を実行できます.

計算例は授業で何回かやって見せたので省略します.

変数変換の公式

D を可測集合とし、一対一写像
\varphi:D\to \varphi(D)\subset {\Bbb R}^2
があるとします.
(x,y)=(\varphi_1(u,v),\varphi_2(u,v)) とします.
このとき、
\int\int_{\varphi(D)}f(x,y)dxdy=\int\int_Df(\varphi_1(u,v),\varphi_2(u,v))|\frac{\partial(x,y)}{\partial(u,v)}|dudv
が成り立ちます.
これを変数変換の公式といいます.


授業ではこのような領域で積分を実行しました.
行列 \begin{pmatrix}1&1\\-1&1\end{pmatrix} を左から掛ける線形写像によって、
閉区間 [0,1]\times [0,1] の積分に直すことができます.
ヤコビアンもこの行列式に等しいので、2となります.
この領域を D とすると、x=\varphi_1(u,v)=u+v,y=\varphi_2(u,v)=-u+v なので、
\int\int_D(x-y)e^{x+y}dxdy=\int\int_{[0,1]\times[0,1]}2ue^{2v}2dudv
=4\int_0^1\int_0^1ue^{2v}dudv=4\int_0^1udu\int_0^1e^{2v}dv=2(e^2-1)

となります.

外測度0上の積分はいつでも0 ですから、外測度が0 の集合で、写像が一対一にになっていなくても、この変数変換の公式は成り立ちます.

2014年12月16日火曜日

線形代数II演習(第8回)

[物理2 クラス対象(金曜日4限)]

今日は表現行列についてやりました.
  • 表現行列の求め方
  • 基底の変換行列と表現行列の関係

表現行列

表現行列を求めることは、抽象的なベクトル空間の間の線形写像を具体的な行列データとして取り出すことです.

求め方は前やった表示行列と同じです.
f:V\to W を線形写像とし、V,W の基底を{\bf v}_1,\cdots,{\bf v}_n{\bf w}_1,\cdots,{\bf w}_m とすると、
(f({\bf v}_1),\cdots, f({\bf v}_n))=({\bf w}_1,\cdots,{\bf w}_m)A
と書いた時のm\times n 行列 Af の基底 {\bf v}_1,\cdots,{\bf v}_n{\bf w}_1,\cdots,{\bf w}_m に関する表現行列といいます.

つまり、表現行列は、(f({\bf v}_1),\cdots, f({\bf v}_n)) の、基底 ({\bf w}_1,\cdots,{\bf w}_m) による表示行列ということです.

何を表現しているかというと、線形写像 f:V\to W を行列によって表現しているということです.

基底の変換行列との関係

基底の変換行列との関係を述べます.これは授業で公式だけ述べました.

基底の変換行列は
({\bf v}'_1,\cdots,{\bf v}'_n)=({\bf v}_1,\cdots,{\bf v}_n)P
({\bf w}'_1,\cdots,{\bf w}'_m)=({\bf w}_1,\cdots,{\bf w}_m)Q
となります.
さらに、表現行列はそれぞれ、定義から、
(f({\bf v}_1),\cdots, f({\bf v}_n))=({\bf w}_1,\cdots,{\bf w}_m)A
(f({\bf v}'_1),\cdots, f({\bf v}'_n))=({\bf w}'_1,\cdots,{\bf w}'_m)B
ですが、これらを使って証明してみます.

{\bf v}'_i=({\bf v}_1,\cdots,{\bf v}_n){\bf p}_i となります.つまり、 P=({\bf p}_1\cdots{\bf p}_n)

です.
線形性から、
f({\bf v}'_i)=(f({\bf v}_1),\cdots,f({\bf v}_n)){\bf p}_i
となりますので、上の式を用いて

(f({\bf v}'_1),\cdots, f({\bf v}'_n))=(f({\bf v}_1),\cdots,f({\bf v}_n))P=({\bf w}_1,\cdots,{\bf w}_m)AP
となります.
上の Q のある式に右からQ^{-1} をかけて、
({\bf w}'_1,\cdots,{\bf w}'_m)Q^{-1}=({\bf w}_1,\cdots,{\bf w}_m)
となるので、
(f({\bf v}'_1),\cdots, f({\bf v}'_n))=({\bf w}'_1,\cdots,{\bf w}'_m)Q^{-1}AP
が成り立ちます.よって、等式で結べば、

({\bf w}'_1,\cdots,{\bf w}'_m)Q^{-1}AP=({\bf w}'_1,\cdots,{\bf w}'_m)B
となり、({\bf w}'_1,\cdots,{\bf w}'_m) は一次独立ですので、Q^{-1}AP=B という
等式が成り立つことになります.

特に、V=W のとき、同じ基底をとれば、基底の変換行列も当然 P=Q となりますので、
B=P^{-1}AP が成り立ちます.

なので、ベクトル空間の基底を取り換えれば、表現行列が

A\to Q^{-1}AP

のように変わっていきます.


表現行列を取り換えると \text{Ker}(f)\text{Im}(f) がわかる

ベクトル空間の間の線形写像
f:V\to W
に対して基底を選ぶことで表現行列 A を得ましたが、A から、 f がどのような線形写像であるか理解するためには、A がなるべく簡単な方がよいです.
そのためには、基底はそのためによいものを選ぶ必要があります.
他の例で言えば、行列のランクがわかるためには行列を簡約階段行列にし変形しておかないといけません.簡約階段行列がランクを求める上ではよい行列ということです.

線形写像がわかるとは、ほぼ、\text{Ker}(f)\text{Im}(f) がわかることと言ってもよいです.ベクトル空間の基底をいろいろと取り換えて、表現行列を簡単なものにすることで \text{Ker}(f)\text{Im}(f) の基底がわかるようになります.
AQ^{-1}AP と変形することは行および列で基本変形を繰り返していることになります.
Q^{-1} の積は、行の基本変形、P の積は列の基本変形.

ですから、Q^{-1}AP=\begin{pmatrix}E_r&O_{r,n}\\O_{m,r}&O_{m,n}\end{pmatrix}
のような行列に変形することができます.ここで、E_rr 次の単位行列、O_{k,l}k\times l 次のゼロ行列.

このときの基底をそれぞれ、{\bf v}_1,\cdots,{\bf v}_{r+n}{\bf w}_1,\cdots,{\bf w}_{r+m} とすると、
(f({\bf v}_1),\cdots,f({\bf v}_{r+n}))=({\bf w}_1,\cdots,{\bf w}_{r+m})Q^{-1}AP=({\bf w}_1,\cdots,{\bf w}_{r+m})\begin{pmatrix}E_r&O_{r,n}\\O_{m,r}&O_{m,n}\end{pmatrix}
となります.
{\bf w}_1,\cdots,{\bf w}_r\text{Im}(f) の基底となり、{\bf v}_{r+1}\cdots{\bf v}_{r+n}
\text{Ker}(f) の基底となります.
また、\langle{\bf v}_{1}\cdots{\bf v}_{r}\ranglef によって W の中に同型に写されます.


f:V\to V に対して、共通の基底 {\bf v}_1,\cdots,{\bf v}_n に対して表現行列を考える場合には、A\to P^{-1}AP なる変形を考えてA を簡単なものにする必要があります.
これは、ジョルダン標準形が有ります.任意の線形写像、f:V\to V に対してそれがどのような線形写像であるかはその行列に付随するジョルダン標準形によって区別されます.
2年生以降でこれらは習います.

2014年12月11日木曜日

線形代数II演習第6回レポートについて

線形代数II演習のレポートの解答について、

学生のレポートをみていて気になった箇所について書きます.

数学の解答は自分だけのものではなく、誰かに読んでもらうことを念頭に置いて書いてください.

数学に限らず、人に読んで理解してもらえる文章をこころがけましょう.

  • 自分だけがわかる記号などはやめること.その記号が何なのか定義がないと読めません.
  • 定義されていない(もしくはできないような)書き方は避けること、以下に書くように、行列A として、\dim (A) やベクトル空間を V として Ker(V) など、自分が書いた数式に本当に意味があるかどうか見直してみることも大事です.そうすると、自分が何をしているのかはっきりしてきます.
  • 国語として主語と目的語が何かいちいち自分に問いかけてください.必要だと思えばそれらは補って書いた方が誤解が少ないです.それらを省略する場合はいかにも分かっており回りくどいと思われるときだけです.読んでもらう人には、自分にとってはほとんど当たり前と思えるようなレベルで書いていくとよいのです.
  • 相手は何も分からない小学生だと思って、「いい?わかる?だって○○でしょ、だからこうなるよね?で、こうなって....こうしたんだよ.だから証明できたでしょ.」などと思いながら丁寧にやると丁度よいくらいです.

大変多かったのは、

a_0E+a_1A+\cdots+a_mA^m=\begin{pmatrix}a_0&0&\cdots&\cdots\\0&a_0&\cdots&\\0&\cdots\end{pmatrix}+\begin{pmatrix}a_1\lambda_1&0&\cdots&\cdots\\0&a_1\lambda_2&\cdots&\\0&\cdots\end{pmatrix}+\cdots\begin{pmatrix}a_{n-1}\lambda_1^{n-1}&0&\cdots&\cdots\\0&a_{m-1}\lambda_2^{m-1}&\cdots&\\0&\cdots\end{pmatrix}=(a_0+a_1\lambda_1+\cdots+a_m\lambda_{m-1})\begin{pmatrix}1\\0\\\vdots\\0\end{pmatrix}+\cdots
などと途中までn\times n行列で書いているのに最後になぜかn次元ベクトルになっている.

今回のレポートに限らず集合とその元を混同しているもの.

{\Bbb C}[A]=a_0E+a_1A+\cdots+a_mA^m

と書いている人も少なからずいます.さらにこの式を変形している人もいますが、

この等式?は左辺はA の多項式全体の集合なのに、右辺はその多項式を書いています.

{\Bbb R}=3 のように書いているのと同じですが、普通このように書きませんよね?
実数=3は誰だっておかしいと思います.

書くなら
{\Bbb C}[A]\ni a_0E+a_1A+\cdots+a_mA^m
{\Bbb R}\ni 3
と書くべきです.


C-6-1(2)
\begin{cases} a_0+a_1\lambda_1+a_2\lambda_1+\cdots+a_{n-1}\lambda_1^{n-1}=0\\ \cdots\\ a_0+a_1\lambda_{n}+a_2\lambda_n+\cdots+a_{n-1}\lambda_n^{n-1}=0 \end{cases}
となっており、\lambda_1\cdots,\lambda_n
が相異なるのでa_0=a_1=\cdots=a_{n-1}=0 となると
単に書いてある答案が多かったです.
なぜこの式から全て 0 がいえるでしょうか?

線形代数を習っているのだから、一次式の連立方程式が出てきたら
線形代数を是非とも使ってください.
\begin{pmatrix}1&\lambda_1&\lambda_1^2&\cdots\\1&\lambda_2&\lambda_2^2&\cdots\\\cdots\\1&\lambda_n&\lambda_n^2&\cdots\\\end{pmatrix}\begin{pmatrix}a_0\\a_1\\\vdots\\a_{n-1}\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}0\\0\\\vdots\\0\end{pmatrix}
この行列が逆行列をもつかどうかが \{E,A,\cdots,A^m\} が一次独立かどうかに依存することになります.
こうするとファンデルモンテの行列式が出ますね?

\lambda_i\neq \lambda_j\ \ (i\neq j) が本質的にどこで用いたのか分からない解答もちらほらありました.
使っていない条件があれば、どこで使うのか考えてみてください。


詰将棋で、使っていない手持ち駒があったら変だと思うのと同じ感覚です.


以下意味不明な文章
  • \lambda_1,\cdots,\lambda_n が線形独立である.
線形独立であるのはベクトルに用いる言葉です.スカラーには意味が有りません.
  • \dim(A^i) を計算しているもの.
行列に対する次元の定義は有りません.
\dim(V) において意味が有るのはVがベクトル空間などの場合です.

同じように、Ker(F)Im(F)F が線形写像など写像でないと少なくとも意味が通りません. V をベクトル空間なのに Ker(V)Ker(7) などの定義は意味が有りません.

C-6-2
有理数=\sqrt{2} となることを使って矛盾を導くことがでいればよかったのですが、
背理法をうまく使うことができていない答案が多かったです.

3つのときも、単に、そのような有理数がないとなっている答案もありました。
どうしてそうなのか?要証明です.

2014年12月9日火曜日

微積分II演習(第7回)

[数学1 クラス対象(金曜日5限)]

HPに行く.

今日は以下のような内容でした.
  • ラグランジュの未定乗数法
  • 特に、条件 g(x,y)=0 における関数 f(x,y) の臨界点.
  • 条件付き関数の極値の判定
  • 円盤上の関数の最大最小問題

ラグランジュの未定乗数法
 この方法は、g_i(x_1,\cdots,x_n)=0\ \  (i=1,\cdots,m) となる条件の下、関数 f(x_1,\cdots,x_n) の臨界点(および極値)の満たす条件を求める方法です.

 この条件の下、関数がそこで、微分が消えている必要があります.ただし、この微分の方向は、
条件に沿っていないといけません.

\lambda_i を実数の変数として、
H(x_1,\cdots,x_n,\lambda_1,\cdots,\lambda_m)=f(x_1,\cdots,x_n)-\sum_{i=1}^m\lambda_ig_i(x_1,\cdots,x_n)
とおくと、条件によって制限された関数の臨界点(および極点) (a_1,\cdots,a_n)
H_{x_i}(a_1,\cdots,a_n,b_1,\cdots,b_m)=0\ \ (i=1,\cdots,n)
H_{\lambda_i}(a_1,\cdots,a_n,b_1,\cdots,b_m)=0\ \ (i=1,\cdots,m)
を満たす.

これがラグランジュの未定乗数法です.
後半の式は条件式そのものですので、本質的に加わるのは前半のn この式です.
このとき、付随的に (b_1,\cdots,b_m) も求まります.

n=2,m=1 の場合にどうしてこのようなことが成り立つのか、f,g
勾配ベクトルを使って授業では説明しました.
grad(f)grad(g) が条件付き極値の周辺では平行になることがキーポイントでした.

変数をもう一つずつ上げて、n=3,m=2 の場合にもう一度考えましょう.
g_1(x,y,z)=g_2(x,y,z)=0 なる条件をもつ集合において、関数 f(x,y,z)
極値を求めましょう.

grad(g_1)=(g_{1,x},g_{1,y},g_{1,z})grad(g_2)=(g_{2,x},g_{2,y},g_{2,z})となります.
g_{i,x} などは偏微分 \frac{\partial g_1}{\partial x} を表すことにします.
\begin{pmatrix}g_{1,x}&g_{1,y}&g_{1,z}\\g_{2,x}&g_{2,y}&g_{2,z}\end{pmatrix}
のランクが 2 であるとします.
つまり、grad(g_1)grad(g_2) が平行ではないことと同値です.

このとき、そのような点では g_1(x,y,z)=g_2(x,y,z)=0 は空間上の曲線になります.
grad(g_1), grad(g_2) はその曲線に直交する2つのベクトルです.
下のような図になります.



接線の方向に垂直な方向(つまりこの円盤に含まれる方向)は法方向と呼ぶことにします.特にこの2つのベクトル grad(g_1), grad(g_2) もこの曲線の法方向です.さらにその2つのベクトルの任意の一次結合 \alpha grad(g_1)+\beta grad(g_2) も法方向です.逆に法方向はこの2つのベクトルの一次結合になります.

 この円い円盤はこの曲線に直交する平面を表しています.
この曲線に f(x,y,z) の等高面を書き加えていくと、下のようになります.





ちょうど、f=c_3 が曲線と接しているときに、この曲線上関数 f は極値の様相を呈していることがわかると思います.分からなければ、この図の意味を考えながらよく見てみましょう.
この絵のように等高面 f=c_1,f=c_2,f=c_3 とこの曲線 g_1=g_2=0 の交わりを接点の近くで見てください.(例えば c_1<c_2<c_3 のようにして追いかけていくと、この点で、極大点のようになっていることがわかるはずです.)
黒い点で書いているところは、曲面と曲線が交わったところです.

f=c_3 での接平面と直線との交点を p とすると、f=c_3p での接平面に、曲線の接線が含まれているような状況になります.下の図を見てください.


描かれている平面は、曲面 f=c_3 での接平面であり、その上に乗っている直線は直線の接線です.

特に、grad(f) は曲線の法方向を向いています.
なので、ある実数 \lambda_1,\lambda_2 が存在して、
grad(f)=\lambda_1grad(g_1)+\lambda_2grad(g_2)\hspace{1cm}(\ast)
となるのです.

だから、上で H=f-\lambda_1g_1-\lambda_2g_2 としたときに、(\ast) を成分ごと見れば H_x=H_y=H_z=0 が成り立つのです.
\lambda_i での微分は単なる制約条件を意味します.


条件付き関数の極値
 条件付き関数の臨界点を求めることはラグランジュの未定乗数法でできますが、極値は少しめんどくさいです.
ラグランジュの未定乗数法は(陰関数定理)+(臨界点問題)を合わせたものとみなすこともできますので、極値を求める際には、(陰関数定理)+(極値問題)を合わせることになります.

例 x^2+y^2=2 の条件の下、 関数 f(x,y)=y-x の極大、極小を求めよ.
授業でやりましたが、極値の計算をもう少し効率よくやります.

ラグランジュの未定乗数法の結果、
H=y-x-\lambda(x^2+y^2-2) とおいて、臨界点を求めると、
H_x=-1-2\lambda x=0,\ \  H_y=1-2\lambda y=0,\ \  H_\lambda=-x^2-y^2+2=0 より、
(x,y)=(1,-1),(-1,1) となり、この点が極値かどうかを判定します.
g(x,y)=x^2+y^2-2 とすると、
(x,y)=(1,-1) 、のとき、 g_y(1,-1)=-2\neq 0 であるから、陰関数定理より陰関数 y=\varphi_1(x) が存在してg(x,\varphi_1(x))=0 が成り立ちます.
(x,y)=(-1,1) の場合も同じで陰関数 y=\varphi_2(x) が存在します.

ゆえに、g(x,\varphi_i(x))=0 を微分することで、
\varphi_i'(x)=-\frac{g_x(x,\varphi_i)}{g_y(x,\varphi_i)}=-\frac{x}{y}=-\frac{x}{\varphi_i(x)}
より、
\varphi_1'(1)=\varphi_2'(-1)=1

\varphi_i''(x)=(-\frac{x}{\varphi_i(x)})'=-\frac{\varphi_i(x)-x\varphi_i'(x)}{\varphi_i^2(x)}
より、
\varphi_1''(1)=-\frac{-1-1\cdot 1}{(-1)^2}=2
\varphi_2''(-1)=-\frac{1-(-1)\cdot 1}{1^2}=-2

(式の形から、\varphi_1''(1),\varphi_2''(-1) の値を出すところを少し効率よくしました.)

G(x)=f(x,\varphi_i(x))=x-\varphi_i(x) とすると、
G'(x)=1-\varphi_i'(x)
G''(x)=-\varphi_i''(x) なので
G''(1)=-2<0
G''(-1)=2>0
ゆえに、(x,y)=(1,-1) のとき、極大値 f(1,-1)=2 をとり、
(x,y)=(-1,1) のとき、極小値 f(-1,1)=-2 をとります.


円盤上の関数の最大最小問題
 円盤 D=\{(x,y)\in{\Bbb R}^2|x^2+y^2\le 1\} において関数の最大最小を探す問題を考えます.円盤 D は有界閉集合ですから連続関数であれば、D に最大最小は存在します.それらは、D の境界か、内部かどちらかで取るわけですから、それぞれで、最大最小を考えればよいことになります.ある点が最大最小であれば、その点で(広義な意味で)極値になっていないといけません.

例:f(x,y)=xy、のとき、D で最大最小を求めよ.
内部において f_x=f_y=0 となる点は (x,y)=(0,0) しかありません.
(もちろん境界にもそのような点はありません.)
しかし、原点でのヘッシアンは、\det(H)=-1 となり、内部には極値はありません.なので、内部で最大最小は取ることはできないことになります.
(この関数は何回も出てきましたね.)

よって、境界においてこの関数は最大最小をとることになるのです.なので境界に制限してみても大丈夫です.
H=xy-\lambda(x^2+y^2-1) とすると、
H_x=y-2\lambda x=0
H_y=x-2\lambda y=0
H_\lambda=-x^2-y^2+1=0
より、\begin{pmatrix}-2\lambda&1\\1&-2\lambda\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}0\\0\end{pmatrix}
となり、x,y はどちらも 0 ではありませんので、この行列の行列式は 0 にならなければ なりません.
つまり、\lambda=\pm\frac{1}{2} となります.x,y も決定すれば、
(x,y,\lambda)=(\frac{1}{\sqrt{2}},\frac{1}{\sqrt{2}},\frac{1}{2}),(\frac{1}{\sqrt{2}},-\frac{1}{\sqrt{2}},-\frac{1}{2}),(-\frac{1}{\sqrt{2}},\frac{1}{\sqrt{2}},-\frac{1}{2}),(-\frac{1}{\sqrt{2}},-\frac{1}{\sqrt{2}},\frac{1}{2})
となります.
このとき、xy=\pm\frac{1}{2} となりますので、
(x,y)=(\frac{1}{\sqrt{2}},\frac{1}{\sqrt{2}}),(-\frac{1}{\sqrt{2}},-\frac{1}{\sqrt{2}})
で最大 \frac{1}{2} をとり、
(x,y)=\frac{1}{\sqrt{2}},-\frac{1}{\sqrt{2}}),(-\frac{1}{\sqrt{2}},\frac{1}{\sqrt{2}})
で最小 -\frac{1}{2} をとります.

線形代数II演習(第7回)

[物理2 クラス対象(金曜日4限)]

今日やったことは線形写像でした.
  • 線形写像であることを示す方法
  • 核Kerを求める方法
  • 線形写像の作り方
  • 直和


線形写像

線形写像は、ベクトル空間 V,W の間の写像 f:V\to W で、以下の
性質を満たすものです.
任意の {\bf v}_i,{\bf v}\in V,\alpha\in {\Bbb K}(スカラー) に対して
f({\bf v}_1+{\bf v}_2)=f({\bf v}_1)+f({\bf v}_2)
f(\alpha{\bf v})=\alpha f({\bf v})
となる.

(写像とはV の任意の元に対して唯一つの W の元を対応させることをいいます.)

直和

直和というのは以前習いましたが、それは、V の部分空間の直和に関してでした.
その部分空間の和が V と一致するための条件など習ったわけですが、
今日習ったのは部分空間とは限らず、とにかく2つベクトル空間を持ってきて
それらの直和を定義しました.

V,W を集合とし、V\times W({\bf v},{\bf w})\ \ {\bf v}\in V,{\bf w}\in W という形の2つのペア全体にわたる集合のことを表し、2つの集合の直積集合といいます.

とくに、V,W がベクトル空間の場合は、この直積集合上にもう一度ベクトル空間の構造を下のように入れることができます.{\bf v},{\bf v}'\in V,{\bf w},{\bf w}'\in W,\alpha\in {\Bbb K} とすると、
({\bf v},{\bf w})+({\bf v}',{\bf w}')=({\bf v}+{\bf v}',{\bf w}+{\bf w}')
\alpha({\bf v},{\bf w})=(\alpha{\bf v},\alpha{\bf w})
がなりたちます.

例えばV,W を実数の空間としたときに{\Bbb R}\times {\Bbb R} が実数と実数の直積空間ですが、その上に上のように入れたベクトル空間の構造は平面のベクトル空間の構造と同じです.
なので、{\Bbb R}\times {\Bbb R}={\Bbb R}^2 ということになります.
このように、直積集合に入ったベクトル空間を VW の直和ということがあります.
同じように V\oplus W と書きます.

元の書き方は授業では {\bf v}\oplus {\bf w} を採用していましたが、教科書でも他の本でもそのような書き方はあまりしていないようでした.なので、単に、({\bf v},{\bf w}) として書こうと思います.

結局、V\times W と書いても和が定義されていれば V\oplus W でも同じものということにはなります.この辺はこれ以上あまり突っ込まずにいきます.

(もう少し一般には、直積と直和は少し違うのですが、今は次元が有限なので、
どちらも結局同じものになってしまいます.)

B-7-1(2)
F:V\oplus V\to VF({\bf v},{\bf w})={\bf v}+{\bf w}
F が線形写像であるためには、任意の {\bf x}_1,{\bf x}_2\in V\oplus V に対して
F({\bf x}_1+{\bf x}_2)=F({\bf x}_1)+F({\bf x}_2) を満たすことを言えばよいのですが、

任意の {\bf x}_1,{\bf x}_2 は {\bf x}_1=({\bf v}_1,{\bf w}_1),\ \ {\bf x}_2=({\bf v}_2,{\bf w}_2)
と書くことができますので、
F({\bf x}_1+{\bf x}_2)=F(({\bf v}_1,{\bf w}_1)+({\bf v}_2,{\bf w}_2))=F(({\bf v}_1+{\bf v}_2,{\bf w}_1+{\bf w}_2))
={\bf v}_1+{\bf  v}_2+{\bf w}_1+{\bf w}_2={\bf v}_1+{\bf w}_1+{\bf v}_2+{\bf w}_2
=F(({\bf v}_1,{\bf w}_1))+F(({\bf v}_2,{\bf w}_2))=F({\bf x}_1)+F({\bf x}_2)
のようになりますが、これはそれぞれの式の意味が明らかになるように提示したものですのでここまで丁寧に書かなくてもいいですが、一つ一つやるとこんな感じになります.

F(\alpha({\bf v},{\bf w}))=\alpha F({\bf v},{\bf w})
の場合もやってみてください.

B-7-1(3)
F:V\to V,\ \ F({\bf x})={\bf x}+{\bf x}_0
線形写像ならば、F({\bf 0})={\bf  0} が成り立ちます.
F({\bf 0})=F({\bf 0}+{\bf 0})=F({\bf 0})+F({\bf 0})
より、移項して、F({\bf 0})={\bf 0} が成り立つわけです.
ゆえに、 F({\bf 0})={\bf x}_0\neq {\bf 0}
となり、線形写像でないことがわかります.

B-7-1(5,6)
が線形写像であるための性質としては、定義の各係数が
一次式(定数がなし)でなければなりません.
しかし、ちゃんと式で証明が必要です.
{\bf x}=a_0+a_1X+a_2X^2+a_3X^3
{\bf y}=b_0+b_1X+b_2X^2+b_3X^3
を使ってF({\bf x}+{\bf y})=F({\bf x})+F({\bf y})
を示しましょう.スカラー倍の方も同じです.
(6)の場合は2次以上の式や定数が含まれている多項式ですので、
線形性を満たさないベクトルを探しましょう.

B-7-1(7)
F:P({\Bbb R})_2\to P({\Bbb R})_4F(f)(x) の書きかたですが
F は関数から関数への写像ですから、 F(f) はまた関数になります.
つまり、 F(f):{\Bbb R}\to {\Bbb R} です.
なので、 F(f)(x)=(f(x))^2 はその関数の値が (f(x))^2 になるという意味です .
これも線形写像では有りませんが、そうならないベクトルを見つけるのはたやすいと
思います.

線形写像の作り方
 線形写像を作るには、上のような性質を満たす写像をベクトル空間の間に作る必要があります.そのような写像 f:V\to W を作る方法は、基底の行き先を定めることです.
定めておけば、線形写像が全ての V の元に対して作ることができます。

{\bf v}_1,\cdots,{\bf v}_nV の基底とし、 f({\bf v}_i)={\bf w}_i\in W として定めておくと、
任意の {\bf v}\in V は {\bf v}=c_1{\bf v}_1+\cdots c_n{\bf v}_n と一次結合で書くことができますので、f が線形であるためには、{\bf v} の行き先は
f({\bf v})=c_1f({\bf v}_1)+c_2f({\bf v}_2)+\cdots+c_nf({\bf v}_n)=c_1{\bf w}_1+c_2{\bf w}_2+\cdots+c_n{\bf w}_n\in W とならなければなりません.
よって、写像として f が一つ定まったことになります.このようにして作った f はさらに線形写像になります.やってみれば、
{\bf v}=c_1{\bf v}_1+\cdots+c_n{\bf v}_n,
{\bf v}'=d_1{\bf v}_1+\cdots+d_n{\bf v}_n
とすると、
f({\bf v}+{\bf v}')=f((c_1+d_1){\bf v}_1+\cdots+(c_n+d_n){\bf v}_n)
=(c_1+d_1){\bf w}_1+(c_2+d_2){\bf w}_2+\cdots+(c_n+d_n){\bf w}_n
=c_1{\bf w}_1+\cdots+c_n{\bf w}_n+d_1{\bf w}_1+\cdots+d_n{\bf w}_n
=f(c_1{\bf v}_1+\cdots+c_n{\bf v}_n)+f(d_1{\bf v}_1+\cdots+d_n{\bf v}_n)
=f({\bf v})+f({\bf v}')
となり、スカラー倍の方も同じようにやれば、線形性が成り立ちます.

つまり、線形写像を作るには基底の行き先を指定してやれば自動的に作れることがわかりました.
逆に線形写像が作られていれば、基底の行き先も定まっているわけですから
\text{線形写像を定めること}\Leftrightarrow \text{基底の行き先を決めること}
となるわけです.

B-7-3
の問題は、
f\text{が同型写像である}\Leftrightarrow \text{基底の $f$ の行き先が再び基底となること}
です.
V の基底を \{{\bf v}_1,{\bf v}_2,\cdots,{\bf v}_n\} とすると、

f:V\to W が同型写像であること」
と、
\{f({\bf v}_1),f({\bf v}_2),\cdots,f({\bf v}_n)\}W の基底であること」

同値という意味です.

ちなみに、(線形)同型写像とは線形写像 f:V\to W が全単射であることです.
授業では、\{f({\bf v}_1),f({\bf v}_2),\cdots,f({\bf v}_n)\}W の基底であるなら
f が同型写像であることを示しました.

逆は問題として残しておきます.誰か発表してください.

C-7-3
Im(F) とはいっても {\Bbb C}^3 と同じですから i は同型写像になっています.