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2019年6月15日土曜日

数学外書輪講I(第7回)

[場所1E501(月曜日5限)]

HPに行く

今回は、誰も発表者がいなかったので、線形代数の復習をしました。

(7) 3つのベクトル v_1, v_3  v_3 のうちどの2つをとっても一次独立であるとき、これらは一次 独立か?

これは、ダメです。

{\mathbb R}^2 の場合を考えてみます。
v_1=\begin{pmatrix}1\\0\end{pmatrix}, v_2=\begin{pmatrix}0\\1\end{pmatrix}, v_3=\begin{pmatrix}1\\1\end{pmatrix} としてみれば、
どの2つも平行ではないので、1次独立になりますが、
3つの間には、v_3=v_1+v_2 が成り立つのでこれらの間では一次独立ではありません。


(10) 2\times 2 正方行列で対角化できない行列の例をあげよ。


ですが、1年生の授業では、対角化可能条件はやらなかったそうです。
ここでは、対角化可能条件について、まとめておきます。
An 次正方行列とします。\lambda_1,\lambda_2,\cdots, \lambda_r
A の固有値全体とします。また、W_{\lambda_i} を固有値 \lambda_i
固有空間とします。このとき、以下が成り立ちます。


定理
A が対角化できるためには、
n=\sum_{i=1}^r\dim(W_{\lambda_i})

が成り立つことが必要十分である。

(証明)
A が対角化できるとすると、正則行列 P と対角行列 D が存在して、
P^{-1}AP=D となります。P を左からかけて、AP=PD としておきます。
P の第 i 列を p_i とし、D の対角成分を d_1,d_2,\cdots, d_n とします。
i 列だけみると、Ap_i=d_i p_i が成り立ちます。
よって、p_i は固有値 d_i に属する A の固有ベクトルとなります。
また、P は正則であるので、
p_1,\cdots, p_n{\mathbb C}^n の基底となります。
よって、固有値 \lambda_j に対して、\lambda_j=d_i となる i の数を n_j
とします。このとき、そのような p_i を集めることで、
n_j 個の一次独立な W_{\lambda_j} のベクトルが
あることになるので、\dim(W_{\lambda_j})\ge n_j となります。
よって、
n=\sum_{j=1}^r n_j\le \dim(W_{\lambda_j})\le n

である。よって、n= \dim(W_{\lambda_j}) となります。
一方、n=\sum_{j=1}^r\dim(W_{\lambda_j}) が成り立つとします。
このとき、l_j=\dim W_{\lambda_j} として、W_{\lambda_j} の基底を
l_jp_{j,1},\cdots, p_{j,l_j} と取ります。
このとき、 n 個のベクトル p_{1,1},\cdots, p_{1,l_1},p_{2,1},\cdots, p_{2,l_2},\cdots, p_{r,l_r}
を並べると、
これらは、固有ベクトルから、
A(p_{1,1},\cdots, p_{1,l_1},p_{2,1},\cdots, p_{2,l_2},\cdots, p_{r,l_r})=(\lambda_1p_{1,1},\cdots, \lambda_1p_{1,l_1},\cdots, \lambda_rp_{r,l_r})=PD
となります。ここで、D はある対角行列であり、
P=(p_{1,1},\cdots, p_{1,l_1},p_{2,1},\cdots, p_{2,l_2},\cdots, p_{r,l_r})
とします。これらは一次独立であるので、P は正則行列になります。(証明終了)


他に、対角化可能のための十分条件として、以下があります。

定理
n 次正方行列 A の固有多項式の解が重複なく、ちょうどn
存在するとき、A は対角化可能である。

(証明)
A の固有値が重複なく、\lambda_1,\lambda_2.\cdots, \lambda_n
のように存在したとする。このとき、
W_{\lambda_i} には固有ベクトル(non-zero ベクトル)が少なくとも一つ以上あるので、
次元は1以上です。\dim(W_{\lambda_i})\ge 1 となります。
よって、
n\ge\sum_{i=1}^n\dim(W_{\lambda_i})\ge n であるので、
n=\sum_{i=1}^nW_{\lambda_i} となります。つまり、A は対角化可能となります。(証明終了)



(10)を解くには、例えば、次のような行列を考えればよいでしょう。

(証明)
A=\begin{pmatrix}0&1\\0&0\end{pmatrix}
とすると、A は三角行列ですから、固有値は、対角成分となります。
実際、固有多項式は \det(xE-A)=\det\begin{pmatrix}x&-1\\0&x\end{pmatrix}=x^2
となりますので、この根である 0 が固有値となります。
固有値は 0 だけですので、W_0 を求めればよいことになります。
W_0=\{x|(0\cdot E-A)x=0\}=\{x|Ax=0\} ですが、
x=\begin{pmatrix}x_1\\x_2\end{pmatrix} とすると、
この連立一次方程式は、x_2=0 と同じです。
よって、x_1=c と置けば、
x=\begin{pmatrix}c\\0\end{pmatrix}=c\begin{pmatrix}1\\0\end{pmatrix}

となるので、W_0 は、
\begin{pmatrix}1\\0\end{pmatrix}

によって生成されます。
ベクトル空間となります。つまり、W_{0} の次元は1次元となります。
よって、A の次数は2なので、
2\neq 1 であることから、
この行列は対角化できません。(証明終了)


このように固有多項式に重複解が存在する場合、対角化可能かどうかは
多項式からは判断できませんので、実際、連立方程式を解いて、次元を
調べる必要があります。

例えば、同じ x^2 を固有多項式にもつ行列として、ゼロ行列がありますが、
ゼロ行列は明らかに対角行列ですので対角化可能です。

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