[場所1E501(月曜日5限)]
4/15日は、外書輪講のガイダンスを行いました。
今回選んだ本は、去年使っていた
Matousekの33-miniatures
と
Martin Aigner: Gunter M. ZieglerのProofs fro THE BOOK
で、どちらも有名な本で、日本語訳も出ています。
ここでは、一つ目を33-miniaturesといい、二つ目をTHE BOOKと
略すことにします。
この授業では、セミナー形式をとっており、指定された内容の場所をわかりやすく、
聴衆に説明してもらうという授業です。
今回は最初ということで、昨年と同様、線形代数の問題をいくつか解いてもらいました。
(1) 正方行列 $A,B$ に対して $\text{rank}(A\cdot B)\le \text{rank}(A)$ であることを示せ。
(解答) 行列 $A$ に正則行列 $P$ を左からかけることで $P\cdot A=(a_1\cdots a_n)$
としたとき、$a_{i_1}=e_1,\cdots, a_{i_r}=e_r$ が標準基底ベクトル
($e^t_i=(0,\cdots, 0,1,0,\cdots 0)$ $i$-成分目が $1$ でその他が $0$ である。)
になっており、その他の $a_j$ はこれら、$e_1,\cdots, e_r$ の一次結合でかける。
ここで、$r=\text{rank}(A)$ とすると、$r\times n$ 行列 $A_1$ で
$P\cdot A=\begin{pmatrix}A_1\\O\end{pmatrix}$
とすることができる。
$P\cdot A\cdot B= \begin{pmatrix}A_1\\O\end{pmatrix}B=\begin{pmatrix}B_1\\O\end{pmatrix}$
となります。
ここで、$B_1$ は $r\times n$ 行列。
よって、$\text{rank}(A\cdot B)=\text{rank}(B_1)\le r$ であるので、
$\text{rank}(A\cdot B)\le \text{rank}(A)$ となります。
(5) $v_1,v_2,\cdots, v_n\in V$ を $\dim(V)=n$ のベクトルとする。このとき、これらが一次独立であれば、$v_1,v_2,\cdots, v_n$ は基底であることを示せ。
$v_1,v_2,\cdots, v_n$ が基底であるとは、それが1次独立であり、
$V$ のすべての元がそれらの1次結合でかけることだから、
この後半を示せばよい。
$w_1,\cdots, w_n\subset V$ を基底とする。
$v_i=\sum_{i=1}^nc_{ji}w_j$ とする。
このとき、$\sum_{i=1}^n c_iv_i=\sum_{j=1}^n(\sum_{i=1}^nc_ic_{ji})w_j=0$
とすると,1次独立性から、$\sum_{i=1}^nc_ic_{ji}=0$ であり、
$C=(c_{ij})$ とすると、
$C\begin{pmatrix}c_1\\c_2\\\vdots\\c_n\end{pmatrix}=0$ となる。
この連立一次方程式は、自明な解以外にないことになる。
このとき、もし、$\text{rank}(C)=r<n$ とするとき、
ある正則行列 $P$ が存在して、$P\cdot C=\begin{pmatrix}C_1\\O\end{pmatrix}$
となります。ここで $C_1$ は $r\times n$ 行列。
よって、$P\cdot C\begin{pmatrix}c_1\\c_2\\\vdots\\c_n\end{pmatrix}=0$ となる。
$C_1$ の $(c_1\cdots c_n)$ とすると、$n$ 個のベクトル $c_1,\cdots c_n$ は、
$c_{i_1}=e_{1},\cdots,c_{i_r}=e_r$ であり、その他のベクトルはこれらの1次結合
でかけるから、特に、
$c_n=\gamma_1c_{i_1}+\cdots+\gamma_r c_{i_r}$
となります。ここで、$f_k$ を $k=i_j$ となるとき、$f_k=\gamma_j$ とし、$k=n$ のとき、$k=-1$ それ以外で $k=0$ となるベクトルを $f={}^t(f_1,f_2,\cdots f_n)$ とおくと、
$f$ は $Cf=0$ となる解であり、$f\neq 0$ であるので、 $Cx=0$ の解に非自明解が
存在することと矛盾する。
$f$ は $Cf=0$ となる解であり、$f\neq 0$ であるので、 $Cx=0$ の解に非自明解が
存在することと矛盾する。
よって、$r=n$ つまり、$C$ は $\text{rank}(C)=n$ であるから、$C$ は正則である。
$C^{-1}=(d_{ij})$ とすると、
$w_i=\sum_{i=1}^n d_{ij}v_i$ となり、すべての $v\in {\mathbb C}^n$ の元は
$w_1,\cdots, w_n$ の1次結合でかけ、各 $w_i$ は $v_j$ の1次結合で書けるので、
任意の $v\in {\mathbb C}^n$ は$v_i$ の1次結合で書ける。
つまり、$v_1,\cdots, v_n$ は $V$ の1次結合である。
(3) 2次元ベクトル空間 $V$ の任意の3つのベクトルは一次従属であることを示せ。
も同じように証明できます。
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