[場所1E501(月曜日5限)]
今回は、バートランド仮説
です。
前回で素数は無限個あることはわかったが、
いつ素数が出てくるかということは、一般に予測することは難しいです。
例えば、ある素数と次の素数の差を gap(ギャップ)
ということにします。この用語は素数論の世界では一般的なものでもあります。
ギャップが1の素数の組みは、
2,3
以外ないのはわかりますが、
ギャップが2の素数の組みは、
5,7や11,13
などのようによく出てきます。
ギャップが2の素数の組のことは双子素数とも言います。
双子素数はある程度数が大きくなっても現れることが確認されているので、
双子素数が無限個あることが予想されています(双子素数予想)が、未だ未解決です。
逆に、ギャップがいくらで大きくなるような素数の組があるか、
同じ問題ですが、少なくともある数だけ進んだら必ず素数が現れるかといったら、
それは正しくありません。
THE BOOKにある通り、
N=2\cdot 3\cdot 5\cdots p
のように素数を最初から p まで順番に掛けていって得られる数 N を
用意します。
N+2,N+3,N+4,N+5,...,N+p
をとると、これは必ず合成数です。
よって、p はいくらでも大きくできるのだから、
任意の自然数 k に対して、
ギャップが k より大きい素数の組が存在することになります。
バートランド仮説を(一部)証明してもらいました。
この仮説は以下をいいます。
しかしこれは証明されているので定理と書いておきます。
定理
任意の自然数 n\ge 1 に対して、ある素数 p が存在して、n<p\le 2n
となる。
証明は5つのパートに分けられます。
方針は、\binom{2n}{n} の評価をすることで行います。
今回はその内2つをやってもらいました。
(証明)
(1) まずは、n\le 511 において、この定理が成り立つことを示します。
次の数列
2,3,5,7,13,23,43,83,163,317,521
の11個からなる数列を考えましょう。
この数列は素数から作られており、n 番目の数を p_n とします。
この数列は、p_n まで定まったとき、2p_n 以下の素数のうち、最も2p_n に
近いものを p_{n+1} とすることで得られています。
n=1の場合は、1<2\le 2 であるから、定理は正しい。
2\le \forall n\le 511 となる任意の整数をとります。
このとき、k=1,2,\cdots,10 のどれかが存在して、p_k\le n<p_{k+1} が成り立ちます。
よって、n<p_{k+1}<2p_{k}\le 2n<2p_{k+1} であるから、
素数 p_{k+1} が n と 2n の間にある素数である。
よって、n\le 511 のときに定理は正しい。
(2) 2 以上の x において \prod_{p\le x}p\le 4^{x-1}
が正しいことを示す。
この左辺の積は x より小さい素数全体の積を表しています。
よって、この不等式は、素数 x=q に対してだけ証明すればよい。
q=2 とする。このとき、2\le 4 であるから明らかに正しい。
ここで、帰納法で示す。
q を奇素数 2m+1 とする。
x\le 2m で正しいとする。
となる不等式が証明できれば良い。
\prod_{p\le m+1}p\le 4^m は帰納法の仮定であり、
\prod_{m+1<p\le 2m+1}p\le \binom{2m+1}{m}
であることは、m+1<p\le 2m+1 を満たす素数は、\frac{(2m+1)!}{m!(m+1)!} の
分子素因数となり、分母の素因数となるから成り立ちます。
よって、あとは、
\binom{2m+1}{m}\le 2^{2m}
であることがわかれば良い。
\binom{2m+1}{m} と \binom{2m+1}{m+1} は同じ整数であり、
2^{2m+1} の2項係数にどちらも現れるので、
2^{2m+1}\ge \binom{2m+1}{m}+\binom{2m+1}{m+1}=2\binom{2m+1}{m}
よって、2^{2m}\ge \binom{2m+1}{m} となる。
後半はまた次の機会です。
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